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- spジキル フレーバー &br() &br()綺麗な赤毛だな――そう思っただけなのだが、悪い癖 だ。また私は思ったことの端っこを、気付かぬうちに口 にしてしまっていたようだった。その赤毛の持ち主であ る彼女は、少し戸惑った表情でこちらを見つめていた。 しまったな…私はなんと口にしたのだろう? ――私が まごまごとしていると、彼女はニコリと笑って言った。 「でもそれって ご自分の髪を褒めていることになりま せん?」 あぁ、やはりまた失敗してしまったようだ…きっと嫌な 思いをさせてしまったに違いない――そう思った私は、 恐らくしでかした非礼を詫び、申し訳なさからそのまま 下を向いてしまった。しかし、彼女はいっこうに私の前 から立ち去る気配を見せない。次第に私は、こんな私の 態度に彼女が困ってしまっているのではないかと心配に なり、ちらりと目線を上げてみた。すると、彼女の顔が すぐ近くで私の顔を覗き込んでいた。私の鼓動は子ネズ ミのように飛び跳ねた。 「やっぱり 優しいんですね」 やっぱり? 私が? 私は…このパーティーではないど こかで、彼女と会ったことがあるのだろうか…? ――いや、私は彼女の言葉よりも、その言葉の返答として自 分のとった行動に驚かされていた。元来女性が得意では ない私が、自ら手を差し出し、彼女にダンスを申し込ん でいたのだ。私は、自分のこの驚くべき冒険を、先ほど 戯れに口にしたカクテルのせいだと思い込もうとしてい たが、それが、軽く目を伏せて笑う、彼女の愛らしい微 笑のせいだともわかっていた。そしてその心の片隅に は、彼女ならばきっと申し出を受けてくれる――不思議 とそういう小さな確信があった。 彼女は再び目を伏せ、見とれる程しなやかにドレスの端 を軽くつまんで会釈すると、私の手を取った。彼女の手 は柔らかく、伝わる体温は…温かく…この…冷たい手を 濡らす、赤く、残酷な液体のように……温かく、粉々 に、崩れ――。 &br() &br()「……また 記憶が… 彼女との思い出が消えて… 早く 早く彼女を見つけなければ…でないと…私はきっと… 時間がない…」 男は、魔械の右腕に刺さった男をそっと地面におろす と、闇の中へと溶け入るように消えた。 -- (名無しさん) &size(80%){2015-08-08 01:06:02}
- spジキル フレーバー &br() &br()綺麗な赤毛だな――そう思っただけなのだが、悪い癖 だ。また私は思ったことの端っこを、気付かぬうちに口 にしてしまっていたようだった。その赤毛の持ち主であ る彼女は、少し戸惑った表情でこちらを見つめていた。 しまったな…私はなんと口にしたのだろう? ――私が まごまごとしていると、彼女はニコリと笑って言った。 「でもそれって ご自分の髪を褒めていることになりま せん?」 あぁ、やはりまた失敗してしまったようだ…きっと嫌な 思いをさせてしまったに違いない――そう思った私は、 恐らくしでかした非礼を詫び、申し訳なさからそのまま 下を向いてしまった。しかし、彼女はいっこうに私の前 から立ち去る気配を見せない。次第に私は、こんな私の 態度に彼女が困ってしまっているのではないかと心配に なり、ちらりと目線を上げてみた。すると、彼女の顔が すぐ近くで私の顔を覗き込んでいた。私の鼓動は子ネズ ミのように飛び跳ねた。 「やっぱり 優しいんですね」 やっぱり? 私が? 私は…このパーティーではないど こかで、彼女と会ったことがあるのだろうか…? ――いや、私は彼女の言葉よりも、その言葉の返答として自 分のとった行動に驚かされていた。元来女性が得意では ない私が、自ら手を差し出し、彼女にダンスを申し込ん でいたのだ。私は、自分のこの驚くべき冒険を、先ほど 戯れに口にしたカクテルのせいだと思い込もうとしてい たが、それが、軽く目を伏せて笑う、彼女の愛らしい微 笑のせいだともわかっていた。そしてその心の片隅に は、彼女ならばきっと申し出を受けてくれる――不思議 とそういう小さな確信があった。 彼女は再び目を伏せ、見とれる程しなやかにドレスの端 を軽くつまんで会釈すると、私の手を取った。彼女の手 は柔らかく、伝わる体温は…温かく…この…冷たい手を 濡らす、赤く、残酷な液体のように……温かく、粉々 に、崩れ――。 &br() &br()「……また 記憶が… 彼女との思い出が消えて… 早く 早く彼女を見つけなければ…でないと…私はきっと… 時間がない…」 男は、魔械の右腕に刺さった男をそっと地面におろす と、闇の中へと溶け入るように消えた。 -- (名無しさん) &size(80%){2015-08-08 01:06:02} - spハイド フレーバー &br() &br()「その…赤い髪って きれいだよね」 驚いた――彼から話しかけてくるなんて。わたしは舞い 上がり、今自分がどのような顔をしているのか、この大 きく胸打つ心臓の音が彼に聞こえてしまっているのでは ないかと、不安でたまらず固まってしまった。 何か…何か話さないと――そう思う程に気の利いた言葉 が浮かばない。わたしは、戸惑う心をどうにかして落ち 着かせ、できるだけ冷静を装った言葉を返した。しかし ――「…あぁ 変なことをいってしまったようだね ごめ ん…」 わたしの言葉は、彼の視線をわたしではなく、床に向け るだけの残念な結果しか残さなかった。確かに、周囲の 女の子たちのように、可愛らしいひとことを返せた気は しない。むしろ、怒らせてしまったのではないだろう か…。不安になり、わたしは下を向く彼の顔をそっと覗 き込んだ。 そこには、眉を下げ、不器用に悩む顔があった。あぁ、 あの顔だ――わたしがいつも父の事務所の窓から眺めて いた顔。街の住人たちが、医者である彼を慕って投げか ける愛にあふれた軽口を、いつも真剣に受け止めては悩 んでいる時のあの顔。とても優しい、困り顔――きっと 今も、自分より人のことを心配して――。ふと彼と目が 合い、慌てたわたしは、つい、その時思っていたことを 口にしてしまった。 わたしは自分の言ったその言葉に顔がほてり、目線を落 した。しかし、その視界に、驚くべきものが入ってき た。手…彼がわたしに手を差し伸べていた。 「…そうかどうかはわからないけど 素敵な言葉をあり がとう お礼に… その 良かったらだけど 踊っても らえないだろうか? あ…赤い髪同士 良い組み合わせ なんじゃないか…なと…」 わたしは、困ったような笑顔で語る彼の不器用な言葉の 中に、今日、このパーティーで出会った誰よりも誠実 な、精一杯の気持ちを感じた。だからわたしは、母に教 わったとっておきの作法で、このパーティーで誰にも見 せなかった最高の会釈をし、いつも窓から見ているしか なかった彼の手を取った。 彼の手は、冷たく小刻みに震えていた。わたしはその手 をそっと包むように握り、彼の体温を感じ、暖かな、血 と肉と、命を掴み、バラバラに摘み取るように――。 &br() &br()「…なんだよ これ… 記憶があたしの中からあふれだ してくる… なんだ… あれは あたしなのか…?」 最近はいつもこうだ。衝動にしたがって人を殺す度、 “コレ”が起こる。この…胸のあたりをムズムズと引っ掻 く苛立ちはなんだ…すごく、苦しい…けど――すでに物 言わぬ体を階下へと投げ捨て、彼女は唇を噛みしめ、虚 空へと消えて行った。 -- (名無しさん) &size(80%){2015-08-08 01:40:43}

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