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- 3.5フレーバーです &br() &br()戦場から少し離れた森で、私は彼女と思いがけない再会を果たした。 &br() &br()「セルディッド、あんたにも使命があったはずだろう? それを忘れて、また人間と恋愛ごっことはね…」 &br() &br()そう言って笑う彼女の表情には、呆れと軽蔑の色が濃く浮かんでいた。彼女は、くぃっと顎を上げ、横目で私を見ながら言った。 &br() &br()「――フン、馬鹿なエルフ。そうやって、また絶望に酔うんだ――」 &br() &br()その言いぐさにムっときた私は、彼女―フィンテールの言葉を遮るように言った。 &br() &br()そんなこと、言われるまでもない。これが叶わぬ恋だなんて、とうの昔に理解している――と。しかし彼女は鼻を鳴らし、いっそう目を鋭く細めるだけだった。 &br() &br()「…なんと言い繕おうともエルフと人、結局はあんたの独りよがりじゃないか。未来に悲しみしかないとわかってる“ごっこ”に付き合わされるなんて――あの人間にも同情するよ」 &br() &br()違う、そんなこと――言いかけた私に、彼女はさらに言葉を浴びせた。 &br() &br()「さっさと諦めて、あんたも自分の使命を果たすんだね。なに、あんたみたいな非力なエルフ一人がいなくなったところで、あの人間も大して困りゃしないだろうさ」 &br() &br()それを聞いた私は、今度こそ激昂した。 &br() &br()お調子者の仮面を脱ぎ捨て、怒りにまかせて彼女につかみかかった。 &br() &br()しかし、その手は虚しく空を切り、世界が回った。ひらりと身を翻した彼女に、あっさりと地面に組み伏せられたのだ。 &br() &br()――そうよ…そんなことわかってるわよ。 &br() &br()さっきの彼女の言葉に、どうしてあんなに腹が立ったのか――彼女の態度が気に入らなかったから? 何も知らない彼女に、自分と彼とのこれまでを否定された気がしたから? &br() &br()違う、それはきっと――彼女の指摘が正しいと、私の心が理解してしまったからだ。 &br() &br()非力で、役立たずで、ただ歌って、おどけて笑っていることしかできない私――情けなく空を見上げている今の私が、そんな私の何を否定できるだろうか。 &br() &br()「残念だね。エルフのあんたが、何故それほどまでに人間に興味を持つのか、私もそれに興味があったのだけど、今のあんたを見てたらそれも失せたよ――“紅”の資質を見定めるのがダークエルフである私の使命。私は“紅”の行く末を見届けるために皇帝のところにいく。戦場でまた会ったら、ついでにあんたの愚かな選択の結末も、見届けさせてもらうさ」 &br() &br()そう言って去っていく彼女の背中を、もはや私は見ていなかった。 &br() &br()立ち上がることすらできずにいる私の頭の中は、ただひとつの疑問で埋め尽くされていた――私は、本当に彼に必要とされているのだろうか。 -- (名無しさん) &size(80%){2016-06-29 14:42:52}
- 3.5フレーバーです &br() &br()戦場から少し離れた森で、私は彼女と思いがけない再会を果たした。 &br() &br()「セルディッド、あんたにも使命があったはずだろう? それを忘れて、また人間と恋愛ごっことはね…」 &br() &br()そう言って笑う彼女の表情には、呆れと軽蔑の色が濃く浮かんでいた。彼女は、くぃっと顎を上げ、横目で私を見ながら言った。 &br() &br()「――フン、馬鹿なエルフ。そうやって、また絶望に酔うんだ――」 &br() &br()その言いぐさにムっときた私は、彼女―フィンテールの言葉を遮るように言った。 &br() &br()そんなこと、言われるまでもない。これが叶わぬ恋だなんて、とうの昔に理解している――と。しかし彼女は鼻を鳴らし、いっそう目を鋭く細めるだけだった。 &br() &br()「…なんと言い繕おうともエルフと人、結局はあんたの独りよがりじゃないか。未来に悲しみしかないとわかってる“ごっこ”に付き合わされるなんて――あの人間にも同情するよ」 &br() &br()違う、そんなこと――言いかけた私に、彼女はさらに言葉を浴びせた。 &br() &br()「さっさと諦めて、あんたも自分の使命を果たすんだね。なに、あんたみたいな非力なエルフ一人がいなくなったところで、あの人間も大して困りゃしないだろうさ」 &br() &br()それを聞いた私は、今度こそ激昂した。 &br() &br()お調子者の仮面を脱ぎ捨て、怒りにまかせて彼女につかみかかった。 &br() &br()しかし、その手は虚しく空を切り、世界が回った。ひらりと身を翻した彼女に、あっさりと地面に組み伏せられたのだ。 &br() &br()――そうよ…そんなことわかってるわよ。 &br() &br()さっきの彼女の言葉に、どうしてあんなに腹が立ったのか――彼女の態度が気に入らなかったから? 何も知らない彼女に、自分と彼とのこれまでを否定された気がしたから? &br() &br()違う、それはきっと――彼女の指摘が正しいと、私の心が理解してしまったからだ。 &br() &br()非力で、役立たずで、ただ歌って、おどけて笑っていることしかできない私――情けなく空を見上げている今の私が、そんな私の何を否定できるだろうか。 &br() &br()「残念だね。エルフのあんたが、何故それほどまでに人間に興味を持つのか、私もそれに興味があったのだけど、今のあんたを見てたらそれも失せたよ――“紅”の資質を見定めるのがダークエルフである私の使命。私は“紅”の行く末を見届けるために皇帝のところにいく。戦場でまた会ったら、ついでにあんたの愚かな選択の結末も、見届けさせてもらうさ」 &br() &br()そう言って去っていく彼女の背中を、もはや私は見ていなかった。 &br() &br()立ち上がることすらできずにいる私の頭の中は、ただひとつの疑問で埋め尽くされていた――私は、本当に彼に必要とされているのだろうか。 -- (名無しさん) &size(80%){2016-06-29 14:42:52} - &br()3.5データです &br() &br()身長 &br()1.7[meter] &br()体重 &br()52[kg] &br()最高速度 &br()15[km/h] &br()最近覚えた料理 &br()パスタ料理 &br()最近やってみたいこと &br()演劇鑑賞 &br()最近好きな場所 &br()“紅”の隣 &br() -- (名無しさん) &size(80%){2016-06-29 14:43:19}

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