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Ver3/テティス/コメントログ」(2016/09/23 (金) 22:01:04) の最新版変更点

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- 3.5フレーバー &br() &br()それは、私がいつものように、息子のために不死身料理の試作を作っていた時だった。エリスが倒れたと聞き、私は取るものもとりあえず、彼女の元に駆け付けた。寝所で横になる彼女の顔は、かつての面影も無い程に、ひどくやつれ果てていた。 &br() &br()「エリス、どうしたの!? …いったい何があったの!?」 &br() &br()エリスの侍女の話によれば、ここ数年、エリスは黄金の林檎を穫り行くと言っては、何日も戻らないことが、幾度もあったという。おそらく、その無理が祟ったのだろう…林檎穫りの帰りに、道に倒れているところを侍女が見つけたとのことだった。しかもその際に、やっとの思いで手に入れた最後の林檎を失くしてしまったそうで、その無念も加わり、枕も上がらぬほどに弱りきってしまったらしい。 &br() &br()「そんな――エリス……ごめんなさい…」 &br() &br()私は、何も分かっていなかった――いや、分かろうとしていなかった。あの、たくさんの黄金の林檎を手に入れるために、そうまでしてくれていた、彼女の気持ちを…。 &br() &br()エリスの手を握ると、彼女はうっすらと笑みを浮かべ、弱々しく握り返してくれた。私は喉が詰まりそうになるのをなんとかこらえて、声を絞りだした。 &br() &br()「…エリス、私のためにこんなにボロボロになるまで……それだというのに、私は息子を不死身にすることばかり考えて……全部、私のせいだわ…」 &br() &br()エリスは首を振った。しかし彼女の手からは、ゆるゆると力が失われていく。 &br() &br()「そうだわ…エリス、これを!」 &br() &br()私は、持っていたバスケットを開くと、その中身を取り出した。 &br() &br()「これは不死身料理の試作――あなたの林檎で作ったアップルパイなの…!」 &br() &br()エリスの体がこわばったのが分かった。優しい彼女は、息子の為に作ったこの貴重なパイを、自分が食べるわけにはいかない――そう思ったのだろう。でも、でも違うの…これは、今、あなたにこそ食べて欲しいの……いいえ、どうか食べてちょうだい! &br() &br()私は、身を引くエリスを構わず抱きかかえ、アップルパイを彼女の口に押し込んだ。ところが、彼女は元気を取り戻すどころか、ガタガタと震え、悶えだしたのだ。 &br() &br()「どうしたの!? エリス!?」 &br() &br()エリスは大きく呻きを上げ、体の震えはどんどん激しさを増してゆく。私は恐ろしくなって、震えるエリスの体をただただ抱きしめるしかできなかった。 &br() &br()「どうして!? 不死身料理のはずなのに…! まさか、また失敗……!? どうしよう…もう林檎は無いのに……どうしよう…エリスが…死んじゃう!!」 &br() &br()絶望が私を押し潰そうとしたその時だった。 &br() &br()――バンッ!!! &br() &br()寝所の扉が力任せに開け放たれ、エリスの侍女が息せいて駆け込んできた。彼女は私の腕からエリスを奪い取ると、エリスの口元に何かを差し出した。それは、黄金に輝く果実――エリスが失くした黄金の林檎だった。そうだ…これがあれば……!! &br() &br()私は侍女の手から黄金の林檎をもぎとり、叫んだ。 &br() &br()「エリス! 待ってて! 今すぐ料理を作り直してくるから!」 &br() &br()その瞬間、エリスは目を見開き、バネのように跳ね起きると、私の手から林檎を石火の如く奪い取り―――放り投げた。 &br() &br()黄金の林檎は、流星のようなきらめきと共に、遥か彼方に消えてゆく。 &br() &br()突然のことに、私はただ茫然と林檎の描く美しい軌跡を眺めるしかなかった。そして気付いた――エリスが“立っている”ということに。 &br() &br()「エリス!? …元気に…なったの…?」 &br() &br()エリスは我に返ったようにゆっくりとこちらを向くと、いつもの彼女らしい、少し皮肉めいた微笑みを浮かべてくれた。彼女は何か言いたげだったが、私は構わず彼女を思い切り抱きしめた。 &br() &br()「よかった…! 本当に…本当に!!」 &br() &br()エリスは私を押しのけ、再び何か言葉を口にしようとする――きっと、黄金の林檎を失ったことについて、謝ろうとしてくれているのだろう。私は彼女の唇を指で遮った。 &br() &br()「…いいの、もういいのよエリス」 &br() &br()エリスは不思議そうに私を見つめ返した。それもそうだ。私はそれを、あんなにも際限なく欲しがっていたのだから。でも―― &br() &br()「私が間違っていたわ。いくら息子のためとはいえ、エリスを苦しめるようなものに、頼ってはいけなかったのよ。だからもう――黄金の林檎はいらないわ」 &br() &br()驚いたように目を見開くエリス。私は、彼女の手を握りしめて言った。 &br() &br()「息子を不死身にする方法は、他にもあると思うの。そう、この広い世界を探せばきっと他にもあるはずよ! そうね…『創世主』の力を宿したあの“紅い石”なんてどうかしら? うん、きっといけるわ! そうと決まればさっそく出発しなきゃ!」 &br() &br()自分を信じ、強い意志を持ち続ければ、いつかきっと願いはかなう――私はそう信じてきた。でも、そうではなかった。私は、こんなにも私を思ってくれる友達の支えがあったからこそ、その意志を保ち続けることができていたのだ。だから―― &br() &br()「――だから、もちろんエリスも一緒よ! あなたとわたしは親友だものね♪」 &br()身長 &br()1.58[meter] &br()体重 &br()息子への愛でいっぱいよ &br()目標 &br()不死身の息子 &br()使命 &br()不死身料理の完成 &br()味見 &br()味より質よ! &br()テイスター &br()ネーレウス &br()keypot -- (名無しさん) &size(80%){2016-07-11 02:22:15}
- 3.5フレーバー &br() &br()それは、私がいつものように、息子のために不死身料理の試作を作っていた時だった。エリスが倒れたと聞き、私は取るものもとりあえず、彼女の元に駆け付けた。寝所で横になる彼女の顔は、かつての面影も無い程に、ひどくやつれ果てていた。 &br() &br()「エリス、どうしたの!? …いったい何があったの!?」 &br() &br()エリスの侍女の話によれば、ここ数年、エリスは黄金の林檎を穫り行くと言っては、何日も戻らないことが、幾度もあったという。おそらく、その無理が祟ったのだろう…林檎穫りの帰りに、道に倒れているところを侍女が見つけたとのことだった。しかもその際に、やっとの思いで手に入れた最後の林檎を失くしてしまったそうで、その無念も加わり、枕も上がらぬほどに弱りきってしまったらしい。 &br() &br()「そんな――エリス……ごめんなさい…」 &br() &br()私は、何も分かっていなかった――いや、分かろうとしていなかった。あの、たくさんの黄金の林檎を手に入れるために、そうまでしてくれていた、彼女の気持ちを…。 &br() &br()エリスの手を握ると、彼女はうっすらと笑みを浮かべ、弱々しく握り返してくれた。私は喉が詰まりそうになるのをなんとかこらえて、声を絞りだした。 &br() &br()「…エリス、私のためにこんなにボロボロになるまで……それだというのに、私は息子を不死身にすることばかり考えて……全部、私のせいだわ…」 &br() &br()エリスは首を振った。しかし彼女の手からは、ゆるゆると力が失われていく。 &br() &br()「そうだわ…エリス、これを!」 &br() &br()私は、持っていたバスケットを開くと、その中身を取り出した。 &br() &br()「これは不死身料理の試作――あなたの林檎で作ったアップルパイなの…!」 &br() &br()エリスの体がこわばったのが分かった。優しい彼女は、息子の為に作ったこの貴重なパイを、自分が食べるわけにはいかない――そう思ったのだろう。でも、でも違うの…これは、今、あなたにこそ食べて欲しいの……いいえ、どうか食べてちょうだい! &br() &br()私は、身を引くエリスを構わず抱きかかえ、アップルパイを彼女の口に押し込んだ。ところが、彼女は元気を取り戻すどころか、ガタガタと震え、悶えだしたのだ。 &br() &br()「どうしたの!? エリス!?」 &br() &br()エリスは大きく呻きを上げ、体の震えはどんどん激しさを増してゆく。私は恐ろしくなって、震えるエリスの体をただただ抱きしめるしかできなかった。 &br() &br()「どうして!? 不死身料理のはずなのに…! まさか、また失敗……!? どうしよう…もう林檎は無いのに……どうしよう…エリスが…死んじゃう!!」 &br() &br()絶望が私を押し潰そうとしたその時だった。 &br() &br()――バンッ!!! &br() &br()寝所の扉が力任せに開け放たれ、エリスの侍女が息せいて駆け込んできた。彼女は私の腕からエリスを奪い取ると、エリスの口元に何かを差し出した。それは、黄金に輝く果実――エリスが失くした黄金の林檎だった。そうだ…これがあれば……!! &br() &br()私は侍女の手から黄金の林檎をもぎとり、叫んだ。 &br() &br()「エリス! 待ってて! 今すぐ料理を作り直してくるから!」 &br() &br()その瞬間、エリスは目を見開き、バネのように跳ね起きると、私の手から林檎を石火の如く奪い取り―――放り投げた。 &br() &br()黄金の林檎は、流星のようなきらめきと共に、遥か彼方に消えてゆく。 &br() &br()突然のことに、私はただ茫然と林檎の描く美しい軌跡を眺めるしかなかった。そして気付いた――エリスが“立っている”ということに。 &br() &br()「エリス!? …元気に…なったの…?」 &br() &br()エリスは我に返ったようにゆっくりとこちらを向くと、いつもの彼女らしい、少し皮肉めいた微笑みを浮かべてくれた。彼女は何か言いたげだったが、私は構わず彼女を思い切り抱きしめた。 &br() &br()「よかった…! 本当に…本当に!!」 &br() &br()エリスは私を押しのけ、再び何か言葉を口にしようとする――きっと、黄金の林檎を失ったことについて、謝ろうとしてくれているのだろう。私は彼女の唇を指で遮った。 &br() &br()「…いいの、もういいのよエリス」 &br() &br()エリスは不思議そうに私を見つめ返した。それもそうだ。私はそれを、あんなにも際限なく欲しがっていたのだから。でも―― &br() &br()「私が間違っていたわ。いくら息子のためとはいえ、エリスを苦しめるようなものに、頼ってはいけなかったのよ。だからもう――黄金の林檎はいらないわ」 &br() &br()驚いたように目を見開くエリス。私は、彼女の手を握りしめて言った。 &br() &br()「息子を不死身にする方法は、他にもあると思うの。そう、この広い世界を探せばきっと他にもあるはずよ! そうね…『創世主』の力を宿したあの“紅い石”なんてどうかしら? うん、きっといけるわ! そうと決まればさっそく出発しなきゃ!」 &br() &br()自分を信じ、強い意志を持ち続ければ、いつかきっと願いはかなう――私はそう信じてきた。でも、そうではなかった。私は、こんなにも私を思ってくれる友達の支えがあったからこそ、その意志を保ち続けることができていたのだ。だから―― &br() &br()「――だから、もちろんエリスも一緒よ! あなたとわたしは親友だものね♪」 &br()身長 &br()1.58[meter] &br()体重 &br()息子への愛でいっぱいよ &br()目標 &br()不死身の息子 &br()使命 &br()不死身料理の完成 &br()味見 &br()味より質よ! &br()テイスター &br()ネーレウス &br()keypot -- (名無しさん) &size(80%){2016-07-11 02:22:15} - 考察以外を修正しました -- (名無しさん) &size(80%){2016-09-23 22:01:04}

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