• フレーバーテキストです

    異形の王は日に二人の贄を求めた。

    しかし、王が求めたものは、贄の『肉』でも『魂』でもなく、ヒトの頭を開くと出てくる、灰色に輝く“それ”であった。

    遠い昔、悪魔の呪いによって王の両肩から生えた蛇は、王に絶え間ない頭痛をもたらした。その痛みは、どのような薬でも抑えることができず、「絶対の悪」と「絶対の恐怖」、その二つが刻まれた、ぬらぬらしたヒトの“それ”を、日にふたつ食べさせることでだけ鎮めることができた。

    贄は、王がこの国を治めてよりすぐ、何年にも渡り続けられた。国民たちは、恐怖からそれに異を唱えることなく口をつぐんでいたが、時がたつにつれ、次第に不満を募らせていった。

    その様子を見かねた忠実な家臣が王に申し出た。

    ――我が王よ、恐れながら申し上げます。あなた様への不満の声が高まっております。このままでは民の怒りは膨れるばかり… いずれ王の権威も危うくなってしまうでしょう…。

    王は、さして気にも留めない様子で家臣を一瞥すると、つまらなそうに返した。

    「怒り、不満…それは嘆かわしい。民を正しく導いてやらなければな。私への恐怖で震え上がらせ、猛った心を鎮めてやろう。さて、民の恐怖を煽る、何かいい方法はないものか…」

    忠実な家臣はさらに進言した。

    ――ならば王よ、良き案がございます。次の贄は民の面前で行うのはいかがでしょう? 生きたまま頭を開かれる様を見せてやるのです。王への不満を口にする者達も、きっとさらなる恐怖で口をつぐむことでしょう。無益な反乱や争いなどを起こして、我が王の治世を乱そうなどと一切考えることができぬほどに…。

    家臣がそう言うと、王はじゃれつく蛇の頭を撫でながら少しの間考えた。

    「ふむ。それはいい考えだ。シャル・アジとザラーム・ダハーカも喜んでいる、褒めてやろう。若く忠義に溢れ、心から私に賛同してくれている我が下僕よ。では早速贄を広場に連れて――ああ、待て。お前の案をもっと良くする方法を思いついたよ」

    ――といいますと?

    「贄の一人はお前にしよう。もう一人はお前の兄…いや、最も親しい友や恋人でも良いな。お前の言う通り、生きたまま、ゆっくりと時間をかけて開くとしよう。忠義に溢れ、将来の有望さが知れ渡るお前の有様を見て、何者も私に取り入ることはできないのだと、皆が悟り、恐れるだろう。さあ、今すぐ準備に取り掛かれ」

    そう言って王は、青ざめる家臣をよそに、つまらなそうに二匹の蛇を撫でた。 -- (名無しさん) 2016-09-24 20:01:43
  • DATAです

    身長:1.82[merter]
    体重:110[kg]
    好物:人の恐れ
    蛇の好物:頭の中の灰色のそれ
    後に封印される地:ダマーヴァンド山
    身に宿すもの:暗黒竜 -- (名無しさん) 2016-09-24 20:06:31