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- ――from “SS オキクルミ”
「やれ!! ガキんちょ!!!」 <エ… マジゾ?>
魔女ウエソヨマは、自身もろとも魔人モシレチク・コタネチクを魔方陣で封じ込め、自分もろとも魔人を討つようにとオキクルミに叫びました。
「何言ってるべさ!? 本気かウエソヨマ!?」 <ソウダゾ! 本気カゾ!?>
魔人は激しく身をよじって抵抗しますが、魔女はそれを必死の形相で抑え込みます。しかし魔方陣は魔人の剛力にパリパリとほころび始め、いつ消えてもおかしくありません。
「クソッ…早くしろ! もうもたねぇぞ!」 「でも、そんなことしたらお前まで…!」 <ソウダゾ! オレタチモダゾ!?>
躊躇して動けずにいるオキクルミに、魔女は叫びました。
「バカヤロー!! オレはかわいいものが守りたい!! テメェが守りたいのは何なんだよっ!?」
魔女の言葉に、オキクルミはハッとしました。 -- (名無しさん) 2016-10-03 15:21:01
- ――オキクルミ、あなたの“優しさ”には、何ものにも惑わされない“強さ”と“厳しさ”が足りないの。その意味は、あなた自身で見つけなければならない――そうでなければ、本当の意味で人々を守ることなんてできないわ。
――人間どもは案外しぶとく応戦してるみてぇだし、あんなザコども、テメェがいちいち相手にしなくても大丈夫なんじゃねぇの?
女神と魔女の言葉が、オキクルミの中で何度も繰り返されます。そして――
「そうか…そういうことだったのか」
――オキクルミは声を震わせてつぶやきました。
「人間は神と違ってもろくて弱い…。だから私は、人間を守ることばかりを考えていた。でもそれは、人の持つ力を信じることができなかった、私の心の弱さゆえだったのだ。だから私は、大局を見誤り、守れたはずの者たちを守ることができなかったのだな…」 -- (名無しさん) 2016-10-03 15:21:29
- すると、そう口にするオキクルミの体から青白い気炎が緩やかに立ち昇りはじめました。
オキクルミはゆっくり顔を上げると、涙をたたえた瞳で魔人をにらみつけます。
「…どれだけ不安であろうとも、私は人々を信じて、真っ先にお前を倒さなければならなかったんだ!」
オキクルミの気炎が天にも届かんばかりに昇り、両脇に浮かぶ神剣に青白い炎となって注がれていきました。
そして―――
「カムイ…ランケタム!」
父、カンナカムイより授かったオキクルミの神剣が、父神の神威である雷の如き神速で飛んだのです。
その切っ先はウエソヨマの魔方陣ごと魔人を貫くや、激しい氷白色の爆発と魔人の断末魔を同時に引き起こしました。 -- (名無しさん) 2016-10-03 15:21:59
- 舞いあがった土煙が薄らいでいくとともに、辺りに静寂が戻っていきます。
魔人と魔女がいた場所には、もう何もなく、魔人は瓦礫もろとも跡形も無く消え去っていました。
オキクルミはゆっくりとその場に両膝をつくと、大きく息をつきました。
―――すると
「…まったく、テメェはつくづく優しいやつだよ」 <ハ・ハ・ハ、マジデ死ヌカト思ッタゾ!>
オキクルミが顔を上げると、そこには少し照れくさそうな笑みを浮かべた魔女と、神剣に削られ、頭頂部の毛がゾリッと禿げあがったイペタムが、カムイチカップに咥えられてぶら下がっていました。
オキクルミも、少し照れくさそうに笑ってみせました。
「そっちこそ」
* * * * -- (名無しさん) 2016-10-03 15:22:25
- 頭領が倒されたことにより、戦意を喪失した魔物達が村々から次々と引き揚げていくのを、オキクルミと魔女は瓦礫の上で並んで見守っていました。
「見ていたわよ。見事だったわ、オキクルミ」
そこに、まばゆい光を伴い女神が現れました。
「一時はどうなることかと思ったけど、ようやく自分の力であるべき“優しさ”に辿りつけたようね。…ま、ギリギリ感は無きにしもだけど、今のあなたなら“合格”よ」
そう言うと、女神はオキクルミに右手を差し出しました。
「アイヌラックル・オキクルミ。『剣』として、私と一緒に来てくれないかしら」
オキクルミは女神の右手をしばし見つめるたのち、顔を上げて言いました。
「『剣』になるということは、この地を離れるということなのか?」
女神は頷いて「そうなるわね」と言いました。 -- (名無しさん) 2016-10-03 15:22:52
- オキクルミは、村々を見渡しました。
運よく逃げきれた村人たちが、一人また一人と戻ってきています。彼らは犠牲者の死を嘆きつつも、死者を弔い、すでに村の立て直しに取り掛かっていました。
この地を離れることなど、オキクルミは考えたこともありませんでした。人は弱くて脆いから、常に近くで守ってやらねばと思っていたからです。しかし――
――人は私が思うよりずっと、強くて逞しいのだな…。
オキクルミはもう一度女神の顔を見つめて言いました。
「しかし、『剣』になるということは、人を守ることでもあるのだな?」 「もちろんよ――私が保証する。今のあなたには、その力があるわ」
オキクルミは「そうか」と頷くと、女神の差し出した右手を力強く握りました。
~『フルー・アイヌラックル伝』 完~ 身長 1.46[meter] 体重 38[kg] 神騎 カムイチカップ 特技① 弓 特技② 魚捕り 特性 騙されやすい めいびい -- (名無しさん) 2016-10-03 15:23:22
- VRの分です -- (名無しさん) 2016-10-03 15:23:48
- とりあえずRとVRのフレーバーテキスト埋めときました。
VRの情報ありがとうございます。 テキトーに改行挟んだりして推敲してないので、 読んでて改行とか気になる場合は改めて編集お願いします。 -- (名無しさん) 2016-10-03 22:29:54
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