ヤマトタケル

最終更新日時 2019年08月10日 (土) 19時57分47秒

基本情報

名前 ヤマトタケル
ジョブ ディフェンダー
召喚コスト 90
セフィラ なし
HP 700
ATK 120
DEF 120
PSY 90
武装
血晶武装
アーツ
CV 立花 慎之介
対象称号① 朱き神事の編纂者
古来より日の本を守りし者達の物語に関係する使い魔を使って50回勝利する。
対象称号② 神とある人として
オトタチバナ、ヤマトタケルすべての勝利回数が10回以上になる。

アビリティ

状態 ボーナス アビリティ
召喚 なし なし
武装 なし なし
血晶武装 ATK+20
DEF+20
真威・草薙
ガーディアンスタイル時にHPが徐々に回復する。ただし、移動速度が下がる。

エクストラアビリティ

種族 アビリティ
人獣 風薙ぎ
「ガーディアンスタイル状態」を一定時間維持したとき、バトルスタイル切り替え時に
ファイタースタイルでの移動速度が一定時間上がる。
その効果中は、他の移動速度変化を受けなくなる。
神族 天薙ぎ
「ガーディアンスタイル状態」を一定時間維持したとき、バトルスタイル切り替え時に
一定時間射程距離が延び、複数攻撃になる。
魔種 炎薙ぎ
「ガーディアンスタイル状態」を一定時間維持したとき、バトルスタイル切り替え時に
一定時間攻撃力が上がり、攻撃間隔が短くなる。
海種 渦薙ぎ
「ガーディアンスタイル状態」を一定時間維持したとき、バトルスタイル切り替え時に
一定時間射程距離が延び、ファイタースタイル時の攻撃が、常にスマッシュアタックになる。
さらに、スロウアタックの「移動速度を下げる効果」が上がる。
不死 冥薙ぎ
「ガーディアンスタイル状態」を一定時間維持したとき、バトルスタイル切り替え時に
ファイタースタイルでの移動速度が一定時間上がる。
さらに、効果時間内の次の攻撃に「攻撃対象とその周囲の敵ユニットに、『攻撃力に応じたディフェンダー属性ダメージ』を与え、一定時間移動速度を下げる効果」を付与する。
移動速度上昇の効果は、敵ユニットを攻撃をすると消える。

パラメーター

状態 種族 HP ATK DEF PSY 備考
召喚 700 120 120 90
武装 750 170 170 110
血晶武装 人獣 800 210 210 140
神族
魔種
海種
不死


DATA

+ 創魔 第2弾
創魔 第2弾
創魔 第2弾
No 創魔:2-016
身長 16[meter](神威発現時)
体重 54[t](神威発現時)
偉業 東国征討
愛する人 オトタチバナヒメ
性格 熱血にして使命感強し
性質 時に抜けていることあり
イラストレーター naked
フレーバーテキスト(LoV4.net)
≪ From“アマテラス(ver 4.2)”/“源義経(ver 4.2)”≫


風が轟々と唸り、波が猛って激しいうねりを作ります。

夜の浜辺に突如吹き荒れた嵐、その中心に立ったのは、巨大な黒い鬼神――。

それは、先程まで人の姿をしていた武者――源頼朝が変じた姿でした。

浜辺ではその姿を、頼朝と対峙していた三人の武者――源義経、弁慶、那須与一が、固唾を飲んで見上げます。

そうしている内に、立ち込める黒雲が逆さに渦を巻き始めたかと思うと、その先端から美しい女神が姿を現しました。

死の香り漂う艶やかな黒髪をたなびかせたその女神――伊邪那美神は、浜辺で見上げる三者を見下ろすと、

「ほほほ、驚いておるのう。矮小な人間どもにはちと刺激が強すぎたか」

と、さも楽しそうに笑います。

そしてふよふよと宙を飛び、鬼神の肩に座ると、そっとその頬を撫でました。

「良い良い、見違えたぞ頼朝。やはり益荒男は大きい程に見栄えが良いのぉ。しかしなるほど……これ程の“肉体”であれば、確かに『守護者』も狩れるであろうなぁ。さぁて、これから何を見せてくれるのかの?」


* * * *


「主……義経!! さすがにあれはいかん! こっちへ来い!」

弁慶が叫び、離れたところで唖然と立ちすくむ義経を呼び寄せます。

その声に我に返った義経は、鬼神を警戒しつつじりりと下がり始めました。

「……私が、一射放ってみよう。その隙に……逃げよ」

気付くと、傍で横になっていた与一が軋む体を押して立ち上がろうとしましたが、

「馬鹿者! 生身でも当たらなかったのだぞ! あのような化け物になれば猶更気すら引けぬわ! じっとしておれい!」

そう弁慶がたしなめます。

その間に二人の傍まで下がった義経が、弁慶に訊ねました。

「弁慶、俺は幻を見ているのか……兄上はどうなった!?」

「解らぬ、ただあの禍々しさは本物……恐らく頼朝様は、『混沌』に組みしたのやもしれぬ……」

「……こんとん……あの『混沌』か!? 兄上が……」

背に冷たいものを感じ見上げる義経――その目が、ぎろりと見下ろす鬼神の目と合いました。

すると鬼神は、五丈はあろうかという巨大な刀を握り直すと、めきりめきりと鎧を軋ませながら大きく振りかぶり始めました。

義経はともかく、動けぬ与一を連れ、これ程の太さ、長さの巨刀から走り逃れることなどできるはずもなし――そう考えた弁慶は六尺の大金棒をどんと頭上に構えます。

「……なっ!? 無茶だ、弁慶!」

「忘れたか主、無茶無謀が我の持ち味よ! さあ来いいい!!」

その声に引かれたように、ぶぉんと一気に大気が切り裂かれ、焼け焦げる匂いを纏わせた鬼神の一撃が放たれます。

ズンッ、とあたりの地面が沈み――

「どっせえええええい!!!」

なんと、弁慶が見事、その一撃を受け止めてみせたではありませんか。

だがしかし、全身の筋肉が震え、血管という血管は風船のように膨らみ、どす黒く染まった顔からは鼻血が噴水の如く流れ出します。

「くぅっ!! 耐えろ弁慶!!」

「ぶん、ぼんにがわでぃぼっだなぁ、あるじい(ふん、ほんに変わりおったなぁ主ぃ)」

それでも笑みを浮かべる弁慶を横目に収めると、義経は目を閉じてぐぐいと刀を引き絞り、

「邪鬼―――― 一っっっ閃!!!!」

頭上の巨刀に向け、特大の斬光を放ちました。

ゴイン――鈍い衝突音が響き、鬼神の刀が浮かび上がりました。

しかし、その距離は僅か数尺のみ――これではすぐさま再び頭上に落ちて、元の木阿弥――それを見てとった義経は、「ふんっ!」と腰を落として両足を踏みしめると、力の限りの掌底を打ちこんで弁慶の巨体を跳ね飛ばし、次いでそのまま与一の腰紐を掴んで投げ飛ばしました。

「主いいいい!」

ズガンと再び巨刀が落ち、地が揺れ、もうもうと砂煙が舞い上がり――弁慶が目を凝らすと、『八艘飛び』の技が生きたか、義経は紙一重で巨刃から逃れていました。しかし、あまりの衝撃に気を失ったか、その体はまったく起き上がる様子が無く――。

その後ろで、

「起きよ主……! 義経えええ!!」

先の剛撃をもう一度繰り出そうというのか、巨刀がゆっくりと動き始めました。


* * * *


一方、鬼神の肩より一連の様子を眺めていた伊邪那美神は満足そうな笑みを浮かべながらも、

「ふむ……ちと『魂魄』が馴染み過ぎたか、少々意識を飛ばしておるかの」

と、鬼神の顔を見上げ、首を捻っていました。

「“あの皇子”の四魂が頼朝にこれ程合おうとは……効果はてきめんだが、この様子だとそれ程持たずして『魂魄』が尽きてしまうやもしれぬ」

伊邪那美神はそう一人ごちつつ、眼前に広がる人の街を睥睨します。

「だが、それも良いか。このまま現世を壊滅させれば、おのずと『守護者』どもも巻き込んでくれよう。さすれば『紅蓮の君』も我が物ぞ。此奴はちともったいないが――さぁ、まずはこの一帯! 頼朝よ、この忌々しき日の本を地ならししてやれい!!」

伊邪那美神の号令と共に、鬼神は地に落とした巨刀の切っ先を引き戻し、再び構え直します。

燈色の月を背に立つその姿は、まさに地獄より現れし魔王の如し。

そして巨刀が再度振り上げられた、その時――。

≪むぅ……?≫

伊邪那美神が鬼神の肩から飛び去りました。


「十種、辺津鏡(とくさ、へつかがみ)!!」


同時に、背後の月が眩く七色に輝いたではありませんか。


* * * *


弁慶が義経に駆け寄り担ぎ上げたその時、空が七色に輝き、巨刀の動きが止まりました。

「何事か……!?」

見上げると、鬼神の頭上にて少女が一人、背に浮かべた鏡より放たれし七光の帯にて、鬼神の動きを縛りつけているではありませんか。

「あれは……」

「あらあら、人の子が随分とハジケちゃってるわねぇ」

すぐ横に聞こえた声に弁慶が振り向くと――そこに、白銀の髪に月を戴いた美しい女神が立っていました。

「そなたは……“神族”であるか……?」

「うん、そうね。この国の神様よ」

忽然と現れしその女神は、麗しき月の化身――月読命でした。

「では、あそこに浮かぶ女人も……」

「ああ、あの子は元人だけど、今は半分神様みたいなもんかな。それよりここは危ないわよ、さっさと逃げなさい」

「いや……そなたが神であるならお訊ねしたい。これはやはり、『紅蓮の戦い』であるのか?」

弁慶の言葉に、月読命は少しだけ驚いた風にしましたが、三人の武者を見回して納得したのか、

「それを知ってるってことは、あなたたちは『使い魔』になったことのある雄霊ってことよね。この世界の『ロード』とはまだ契約していないの?」

「この二人はわからぬが、少なくとは我は未だ……」

「ならやっぱり逃げなさい。そして『ロード』を探すの。あれは『使徒』――『混沌』に改造された魔神よ。神でもないただの人魂が『ロード』無しで勝てる相手じゃないわ」

そう答えました。すると弁慶の背後より、

「『ロード』達のいる場所ならば……知っている」

与一が体を押さえ、苦しそうに顔をしかめながらよろよろと近づいてきました。

「その様子じゃ逃げるのもままならなそうね……」

月読命はそう言うと、両手を大きく広げ宙に三日月を描きます。それはみるみる大きくなり、光る船となって弁慶たちの前に浮かび上がりました。

「これに乗って念じなさい。夜の間しかダメだけど、あなたたちの思うところへ運んでくれるわ」

「……かたじけない」

弁慶は深々と頭を下げると、義経と与一を船に乗せ自らも乗り込みました。

「……そなたらは、アレとやり合うというのか」

「そうなるわね」

「面目ない……我らが因縁に巻き込んでしまい……」

弁慶がすまなそうに頭を垂れます。しかし月読命は片目を閉じると、

「いいえ、むしろ感謝してるわ。“彼”の魂魄がああやって表に出てきてくれたから“気付けた”の。意外に近くに居てくれて助かっちゃった。さあ、行って!」

そう微笑みかけ、月の船を押し出しました。

そして振り返り、

「――そう、私とあの子は、おそらくあいつに用がある」

再び海に立つ鬼神を睨みつけました。


* * * *


月の光に照らされて落ちる巨大な鬼神の影が、暗い海をさらに暗く染めます。

鬼神の目は破壊の意思に染まり、遠く輝く人の街をねめつけていました。

しかしその体は前へと進むことなく、軋みを上げて震えるのみ――そうたらしめているのは、七光の帯で鬼神の手足を封じる可憐なる姫神――弟橘姫でした。

鬼神が手足を動かそうとするたび、弟橘姫の顔が歪みます。

「ああもう! ツクヨミ様あああ! これ、すっごくキツいかもぉ……うあっ!」

少しでも気を抜こうものなら、すぐにでも封を破りかねない鬼神の圧――それを抑え込もうと、弟橘姫は必死に鏡に祈りを込めます。

「うう、まずいな……アマテラス様が言ってた“切り札”ってまだなのかな……ふんっ!!」

僅かな弱気の隙を突いた鬼神に体を持って行かれそうになったところ、再度念を入れ直して耐えたその時、

「お待たせタッチー!」

地上に居た人間たちを無事逃がした月読命が、宙に跳び上がってきました。

「よく頑張ったわね! 二人で封じれば何とかなるはずよ。今行くわ!」

「――何処へだ?」

背後より、月読命を悍ましい気配が包みました。

そのまま素早く横に飛んで振り向くと、元居た空間を何本もの“腕の影”が、飢えた蛇の如く空を掴みすり抜けていきます。

その根元を辿ると――

「……お義母様(おかあさま)」

「やめい、虫唾が走るわ。数百年前に、そのように呼ぶなと伝えたであろう」

そこには、伊邪那美神が、背に『八雷神の勾玉』を浮かべ月読命をねめつけていました。

「ちょっと……これ、お義母様の仕業なの?」

「『三貴子』ともあろう神が、そう見えぬか?」

「なんで……『混沌』なんかに……」

「さあて、何故だろうのう? 父神殿にでも聞いてみたらよかろう」

予感はありましたが、突如敵として現れた母神の出現に、月読命は身を強張らせます。

「……引いて、下さいませんか?」

「何故、妾が……」

伊邪那美神から昏い炎が立ち昇り、

「お前などの言うことを聞かねばならん!!」

轟と唸って月読命に放たれました。



「ツクヨミ様!?……ううっ!」

月読命の危機を目にした弟橘姫が、何とか加勢できないかと祈る片手を放し、呪術を放とうとします。しかしすぐに動き出しそうになる鬼神に引かれて思うように祈れず、むしろ力が削がれ、鬼神がずりりと足を前にすり出してしまいました。

「タッチ―! こっちは大丈夫! 集中して!!」

「ほう、余裕だな。始原の古代、古き一柱たる妾など、取るに足らぬと申すか!」

伊邪那美神から放たれる無数の『黄泉の誘い手』が月読命に迫ります。月読命は縦横無尽に飛び回ってそれを躱しながら、なんとか弟橘姫に近づこうとしますが、避けど払えど無限に沸いてくる腕の影に少しも前に進むことができません。

「お義母様! あんなのを野放しにて日の本が無くなったら、あなたの神性も危ういのよ!?」

「当然熟知しておるわ。故に、あれは“制限付き”よ」

「制限……?」

「そうだ。あれは中に仕込んだ神威持つ『魂魄』を食いつぶしながら動いておる。ふふ、あの皇子、まことに良い拾い物であったわ」

「じゃあやっぱり“タケル”はあの中に………でもそんな、このままじゃ……!」

「なんだ、お前たちあの皇子を探しておったのか? これは面白いのぉ。このまま上手くすれば現世の半分は黄泉となるであろうし、合わせて高天原の者どもに意趣返しまで出来ようとは、まさにまさにの僥倖よ!」

非道に笑う伊邪那美神に、月読命はきりりと真剣な目を向けると、

「……いい加減にしてください、お義母様」

静かに、弧なりに沿った月刀を引き抜きました。

「良いぞ、正面からやってみるか?」

対する伊邪那美神もまた、『八雷神の勾玉』を不気味に揺らし身構えました。

先に動いたのは、月読命――空を蹴り、雲間から差す月光の如き瞬速で伊邪那美神に迫ります。伊邪那美神は勾玉より黒い雷を放ち迎え撃ちますが、本気の速さで飛ぶ月読命にはまるで当たることなく――そしてその刃が届こうとしたとき――

「うぅっ!」

びたりと、月読命の動きが止まりました。いくら前に進もうとしてもビクともせず――見ると、伊邪那美神の周りを漂う八つの勾玉の内二つがありません。それもそのはず、二つの勾玉は気づかぬ内に月読命の後方に回り込み、『黄泉の誘い手』を伸ばして月読命の足を掴み取っていたのです。

月読命はそれでも刃よ届けと力を込めますが、

「力比べだなぁ」

さらに増えた腕の影が、腕へ、首へと絡みつきます。

「何よ……これじゃどうにも……」

月読命はなんとか首だけ巡らせると、

「逃げてタッチ―! このままじゃ共倒れよ! 夜が明けたらきっと姉さんが何とかしてくれる!」

上空の弟橘姫に叫びました。

しかし――


「……“かもしれない”、ですよね」


弟橘姫は何かを思いつめるように下を向いていました。

「タッチ―……?」

「……話は聞いてました。こうして触れていて感じるんです。ここに、“タケル”の魂魄がある。そしてそれはどんどんすり減っていってる……」

そして顔を上げると、決意の瞳を向けました。


「……『天津祓(あまつはらえ)』をやります」


『天津祓』――それは八百万の神々の神力を集めてその身に宿し、災禍を祓う強力な祝詞、

「そんな、あなたの体では無理よ! あんなのできるのはヒミコくらい……成功したって、そんな神力を放ったらあなたの体は……!!」

一度死して、仮初の体で生きる弟橘姫には大変危険を伴う術でもありました。

「なるほどなぁ、その娘、何か匂うと思ぅたら“義体”であったか。ほぅれほれ、ツクヨミよ、諦めて妾の好きにさせい。日の本の半分とこの『魂魄』は失われるが、あの娘の命は助かるぞ?」

二人の様子に、伊邪那美神が目を細めて笑います。

しかし決意を固めた弟橘姫は譲りません。

「タケルを救うにはこれしかないんです。ツクヨミ様はそのままイザナミ様を押さえていてください」

「オトタチバナ……!」


かつて、倭建命を救うために命を捨てた弟橘姫。

そして魔神に捕らわれた弟橘姫の魂を救うために闇に落ちた倭建命。

そして因果は巡り、今再び、弟橘姫は命を賭して倭建命を救おうと――。


弟橘姫が左手に『辺津鏡』の祈りを残したまま右手を開くと、七光の帯が数本残して溶け消えました。

同時に、自由になった鬼神の片足がズンと踏みしめられます。

「由良由良止布瑠部(ゆらゆらとふるべ)――高天原に神留坐す(かむづまります)、神漏岐神漏美(かむろぎかむろみ)の命以ちて――」

右手にて祈りを込める弟橘姫の祝詞が静かに響き、

「ほほほほ、“死に戻り”が仮初の体で何を! 不幸はな、輪になって巡る。故に“輪廻”というのよ!!」

月読命を縛り、それを嘲笑う伊邪那美神の声が木霊します。

そこに、さらに封が緩み上半身の自由を得た鬼神が、片腕を揮い弟橘姫を掴もうと手を伸ばしました。

しかし弟橘姫は宙を舞い、寸でのところでそれを躱すと再び祝詞を続けます。

「皇親神伊邪那岐(すめみおやかむいざなぎ)の大神、筑紫日向(つくしひむか)の橘の小門(おど)の阿波岐原に(あわぎはら)に――」

さらに迫る鬼神の腕――祝詞を唱えつつなんとか躱すも、

「禊祓ひ給ふ時に生坐(あれま)せる――うあっ!!」

不意にかちあげられた巨刀がもたらす風圧に煽られた弟橘姫は、空中でもみくちゃにされ、体を捻じられてしまいます。それでも――

「くっそおおお!!」

四肢に力を込めて立て直し、左手に『辺津鏡』、右手に『天津祓』の祈りを込め続けました。

「祓戸(はらえど)の大神等(おおかみたち)……諸々禍事罪穢(もろもろまがごとつみけがれ)を祓へ給ひ清め給ふと申す事の由(よし)を……ああああ!!」

しかしその為に動きが鈍ったことが仇となり、とうとう鬼神の手に掴まれてしまいました。

弟橘姫は握りつぶされぬよう、さらなる神力にて障壁を張りますが、二つの祈りと同時に張るそれはひどく薄く、すぐにヒビが入ってしまいます。

「……天つ神(あまつかみ)……地つ神(くにつかみ)……八百万神等共に(やおよろづのかみたちとも)に聞食(きこしめ)せと……」

「……オトタチバナ……」

月読命の顔が苦渋に歪み、なかなか諦めようとしない弟橘姫に、伊邪那美神も苛立ちをつのらせます。

「愚かな、せっかく取り戻した命であろう? こんな滅しかけの『魂魄』など、いい加減見捨てたらどうだ?」

しかし弟橘は、荒い息に肩を上下させ、

「……諦めない」

「なんと往生際の悪い」

「死なせない……」

頑ななその姿に、伊邪那美神が激しく顔を歪めました。

「えええい、強情な! 頼朝よ! 鬼神よ! 一気に握り潰せ!!」

その命に応え、鬼神が力を込めつつ弟橘を握る手を眼前まで持ち上げ――


「タケルは、絶対に死なせない!!!」


激しく、強い意思を宿した瞳にてそう叫んだ時、一瞬、鬼神の指が止まりました。


「畏み畏み白す(かしこみかしこみもうす)――――――天津祓ええええ!!!」


ドンッ、と弟橘姫の鏡からまっ白な閃光が迸り、鬼神の巨大な体を包み込みました。

そして光が和らいでいき、再び鬼神が姿を見せると、その巨体はじっと天を仰いだままヒビ割れ――――しかし、めきりという嫌な音と共に、再び鬼神が動き出したではありませんか。

「ふふん」

伊邪那美神がほくそ笑み、

「……失……敗……?」

月読命が絶句します。

しかし、もはや精魂尽きた弟橘姫は、鬼神の手から滑り落ちるしかなく――。

その体を、ふわりと何かが受け止めました。

「うぅ………」

何事かと閉じかけた瞼に力を込めて見上げると、鬼神の動きが止まっています。

鬼神は、何か強い力に押さえ付けられているようでした。

よく見ると、鬼神から煙のようなものが抜け出し、その体を押さえ付ける何かを形作っているではありませんか。

それは――青銅の巨人でした。

巨人は片方の手で鬼神の肩をがっちりと掴み、もう一方の手で弟橘姫を受け止めていました。

その顔を見上げた弟橘姫は、


「……良かった、帰ってこられたんだね……でも、やっと逢えたのにこんな一瞬か……それになんか鎧だし……」

遠いその頬に触れようと震える手を伸ばし、


「それでも、大好きだよ」


そう笑って、静かに手を下ろしました。


鬼神の体が崩れていきます。

何ら障害なく倭建命を救えたとしても、いつかは朽ちるはずだった弟橘姫の体。

しかしその時が、こんなにも早く訪れるとは――。

それでも、それが、彼女の決めた道でした。

それが、弟橘姫という魂でした。


鬼神の侵攻が止まったことにより、争う理由を失った伊邪那美神は月読命の戒めを解きます。

しかし月読命はその場から動かず、頭を垂れるばかり――。

「ふん、男なぞ、女を不幸にする種でしかないわ。そのようなものに己を懸けるからこうなる」

月読命に背を向け、そう呟いた伊邪那美神の表情は――。

空が白み始め、じっと佇む青銅の巨人に色が差し始めます。

そのやわらかな光は、巨人の手の上で穏やかな笑みを浮かべ横たわる、冷たい少女の体を悲しく照らすのでした。


~『紅編日本書紀』より~


≪ Continued to “卑弥呼(ver 4.2)”≫

セリフ一覧

+ 通常版
通常版
召喚
武装
血晶武装
通常攻撃
タワー制圧
ストーン破壊
死滅
+ EXボイス
EXボイス
召喚
武装
血晶武装
通常攻撃
タワー制圧
ストーン破壊
死滅

考察


ガーディアンスタイル時0.5秒毎にHP5のリジェネ&自身のSPD-???%。
同状態を約数秒維持することで種族毎の強化状態へ 強化発動はエフェクトで分かりやすい
強化状態は20c持続(不死のみ持続2c弱+1度攻撃すると強化解除)

  • 人獣
SPD+20%
  • 神族
レンジアップ+範囲攻撃
  • 魔種
ATK+40、攻撃間隔-30%
  • 海種
オートスマッシュ+スロウブースト+レンジアップ
  • 不死
SPD+100%
攻撃対象と周囲の敵にATK50%相当のディフェンダー属性ダメージ追加+SPD-???%

キャラクター説明

日本神話の登場人物・ヤマトタケルノミコト。
天照大神の血を引く半神の身ながら、父帝に疎まれて戦争征伐の生涯を送った。
古事記によれば、戦いの果てに体を蝕まれ力尽きるのだが、LoVにおいてはロキの手引きにより機械の体を得て蘇生。
機甲化した草薙の剣と融合し、巨大なロボットへ変身する力を得る。
しかし、草薙の剣と融合してからは強烈な殺戮衝動に襲われる様になり、ロボットの姿へ変身しては暴れまわるという不安定な状態に。
そして草薙の剣とヤマトタケル自身にはとんでもないものが仕込まれていた。
ツクヨミととある紅蓮の子(恐らく琥珀)率いる大和の神々、そしてそれとは別の紅蓮の子(恐らくヴォルフ)と卑弥呼によってなんとか暴走は止まったものの、
草薙の剣に彼の想い人であるオトタチバナヒメの魂が込められている事、そしてロキの手によりヤマトタケル自身に混沌の鍵を生む「忌み種」が植え付けられているという衝撃の真実が明らかとなる。
オトタチバナの魂により混沌の侵食は寸前まで押しとどめられていたものの、オトタチバナを昇天させて欲しいというヤマトタケルの願いにより彼女の魂は昇天。
同時に「忌み種」が発芽し完全に暴走。混沌の鍵の1人として完成してしまう。

と言うのが、前作の話であった。
カードも通常版闇落ち版の2種類のカードがあった。
だが、どちらも癖が強く余り使われる機会は無かった。
カッコいいデザインなのに勿体無い。
因みにデザインされた方は、水栄一 X 下口智裕 である。実に勿体無い。

紹介動画

+ 第2弾
第2弾


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最終更新:2019年08月10日 19:57