E97 医療SS


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

医療周辺の点景SS


シオ見て小隊をはじめとした臨時医療班が忙しく立ち働く本陣を少し離れて、
そぞろ歩く二つの人影があった。

「そろそろ、結果が出ますね」
「さようでございますな」
ACEユニット、海法紀光とミュンヒハウゼンであった。

海法紀光といえば、音に聞こゆる共和国の軍神である。
今回レムーリア派遣軍の総司令を務める土場藩王あさぎに、
わんわん帝國単独での戦いを助言したのが彼であった。
犬限定縛りの中参戦は五分五分と予測されていたが、
ダイスの勝利で本陣への出現に成功している。
もっとも召喚に成功した人物は目下藩王ごと死亡しており、
同時に召喚されたミュンヒハウゼンともども
時間切れによるゲームからの除去を待つ身ではあった。

「あちらが成功しなければ」
と時計を覗き込む海法。
「我々の介入もここまで、時間切れです」
「ふむ、短い介入でございました」
「いや僕はまだ共和国にアイドレスがありますけどね」

医療班の方から、なにごとか叫び声が聞こえる。
ここからでは、悲鳴か歓声かわからなかった。

「しかしまあ、これなら」
と、空を仰ぎ見る海法。
雲はすでに円を描くようにおしのけられており、
そこから大量の加護がふりそそぎはじめているのが二人には見えた。



ニューワールド全土からかきあつめられた大量の応援が、
リンクゲートを通じてこのレムーリアに届き始めている。
元来医療系アイドレスをもたない帝國からの応援に混じって、
共和国の医療系アイドレス着用者からの助言がいくつも見えた。
「成功しそうでございますな」

「時間切れは、気にしなくていいようですね。……すると、再戦かー」
うーんと頭を抱える海法。
「まずは、茜くんと相談かなあ。補給もなんとかしないと」
また声の上がる本陣へと戻っていく二人。
今度は、確かに歓声のようだった。

90707002 わんわん帝國参謀本部にて



少し肌寒い陽気の中、参謀本部にて時雨はその報を聞いた。
緑オーマとの戦い。凄絶な戦場。
「あとすこしなんだよ!こんな所で滅亡とか、冗談じゃないよ!どうか生き返って!」
叫ぶように祈りを捧げる。
待つというのはこんなにもつらいものなのか。

同時刻。FVBにて。
きみこ「あんなに頑張った人たちを、お願いだから助けてください!」
悲痛な祈りはここにもあった。

同時刻。伏見藩国にて。
助清@伏見藩国「竹戸さん!寿々乃さん!りあらりんさん!霞月さん!ていわいさん!こんこさん!」
名前を連呼するほどに言葉にならない祈りがあふれる。


一方、遠くにゃんにゃん共和国でもさらに辺境にあたるこの国でも祈りが捧げられていた。
歩露も猫ではあったが、犬のために祈りを捧げる度量があった。
「絶対に死んではだめです! まだ何も終わっていません! あなたたちの力が、まだ必要なんです!」

同時刻。リワマヒ国にて。
平 祥子@「まだやらなきゃいけないことがいっぱいありますよ、生きて!」
ここにも一人。


同時刻。紅葉国にて。
神室想真「まだまだやらなければならないことは残っているはずだ!」
む~む~「みんなを守って、それで終わらないで。生きて戻ってきて!」
アルバート・ヴィンセント・ログマン「いろんな声が聞こえませんか? みんな貴方の帰りを待っています」
三人もの声援が。

同時刻。無名騎士藩国にて
キギ「シオネの守り手たちに加護を。」
またも一人。

ぽつぽつと声援が増えていく。それはアイドレスの最強を目覚めさせる合図。

「数は力なり」

同時刻。レムーリア、医療班の結果を待ちながら。
つきやままつり「ここはまだ戦場だけど! 戻ってきなさい!」

……幾重もの祈りが折り重なり、そこにあった。
これが治療の後押しになることを祈るばかりである。


調薬SS


深い傷を負った患者を目の前にして、足がすくんだ。

「動悸が弱い……強心剤の調薬、頼む!」
「は、はいっ!」

拾ってきたセイヨウサンザシを、震える手で摩り下ろす。
疲労だけではない。今、命を、それも大事な人の命を取り扱っているのだ。

「クソッ、体が大分冷えてる……シナモンのお湯も頼む。少しで良い」

少しってどのくらいだ?
演習で散々やって、解りきっていた筈なのに頭はパニックを起こした。

「あわ、あわわ……」

そんな、慌てる私の腕を、誰かがグッと掴んだ。

「………だ、ぃじょうぶ」
「そんな、じっとしてて下さい!」
「しんじ……君、ちならできる―…」

息も絶え絶えな患者。
その人が、私を励ましてくれていた。

全く。何と情けないのだろう。
助ける方が、助けられるなんて。

感謝の言葉を紡ぐ余裕も無かった私は、代わりにその人の手を握った。
あたたかい。人の温度。いきている証。

このぬくもりを、ただの冷たい肉の塊にするのなんて、どうしても御免だった。

「よし!」

シナモンの投与は少量づつ。丸暗記した医療書にあった通りの少量で良い。
朝鮮人参による血圧上昇には、輸血を併用する。
精神安定にはトケイソウ―――

大丈夫。何一つ忘れちゃいない。
私は、私の大事な仲間を助ける為に全力を以って調薬をし、
適切に用いて、助けられるだけ、否、全ての人を助けてみせる。
奇跡が必要だと言うのなら、起こすだけの事。

それが、できる。
なぜだろうか。
根拠は無いのに、妙な自信が漲っていた。

調剤SS(「医薬品が不足?




「医薬品が足りない?」

「強度の重傷者用に足りない訳じゃないんですが、比較的軽いものに対しては。まぁ・・・なんせ数が多くて」

「無ければ、作りなさい。ここでも使えるように、予備に薬草を積んできてあるし、湯煎になんかで簡単に処方できるようにしてあるから」

「いぃ!?今ですか?」

「今でなくて、いつするの?さぁ、これリスト。急いで!」

「外傷にはコバノトネリコに、芍薬。精神安定剤には甘草。鎮痛剤にナツメの仁に・トケイソウを煎じたもの・・・・消毒薬、麻酔薬にモルト酒、強心剤にジキタリス?また前時代的なというか・・・」


「古くても、いい物はいいし、効く物は効くの。御託はいいから、さっさと作る!あぁ、そこの貴方、この患者の出血が酷いの。アカヤジオウの根を準備して」

「了解です!」

「ふぅ、古代の英知に感謝ね・・・・ん?なにしてるの!さっさと動く」

「は、はい!」

薬品の不足は、こうして蓄積された技術と経験により補われていた。

医療SS


戦況芳しくない戦場の夜は、ともすれば望みを手放してしまいそうな自分との勝負の場所でもある。
陽が落ちて薄暗くなったその戦場の片隅で、疲れた顔の女性兵士たちが集まり始めていた。みな一様にほこりにまみれてはいても、その瞳はまだ、静かで力強い希望を宿して未来を見据えていた。

その内の一人が立ち上がって、集まった者たちに話し始めた。乏しい灯りに照らされたその横顔の中で、強い意志をたたえた瞳が、光を放つ。

「まだ戦いは終わっていない。私たちも出来るだけのことをしよう。医療技術は無くても、お手伝いをすることは出来るわね。」
「まず、水を。それから、煮沸消毒のための火を。包帯や添え木になるようなものは、出来るだけ清潔なものを集めて。今は、物資が…。」

故郷を遠くはなれ、ゲートを超えて未知の世界に飛び込んだ以上、苦しい戦いになるであろうことは誰もが最初から承知していた筈だった。限られた時間で整えられた準備、かき集められた物資が潤沢であるなどとは望むべくもない。それでも、誰もが自分の想いと大切な何かを守ろうと全力を尽くし、だからこそ辛うじてここまでたどり着くことが出来た、それが真実の全てだった。

「…物資が乏しいのは、今はどうしようもない。安全ピンでも、ソーイングセットでも、使えるものがあったら活用して。体力が落ちてると、傷が浅くても感染症だけでやられるの。消毒薬が少ないのは、小まめに洗って代用するしかないわ。もし薬草の知識がある人がいたら、みんなで手分けして集めましょう。ついでに食料になりそうなものは、何でもかき集めたらいいわ。食べないと、元気出ないものね。」

近くに横たわっていた軽傷の兵たちから、バトル・ナースかよ、と投遣りな野次が飛ぶのを、彼女はにっこり笑って切り返した。

「それだけ元気があったら、体力余ってしょうがないでしょう。特別に私たちでこき使ってあげるから楽しみしてて。そうだ、さっき林檎みたいな赤い木の実を見つけたのよ。最初の仕事は毒見役ね。お腹壊したら、藩王さま並みにおもてなししてあげるわ。」

力の無い、それでも確かに笑いをもらす気配が、さざなみのように周囲に広がっていく。絶望は緩やかに押しのけられ、もう一度希望が、その翼を広げて飛び立とうとしていた。

「私たちが挫けなかったら、この場所で持ちこたえたら、この戦い敗けにはならない。そのために、私たちひとりひとりが、今、自分に出来ることをしましょう。」

立派な勲章とも、人々の賞賛の声とも縁のない、平凡で当たり前の、そしてだからこそ何よりも大切な戦いが、始まろうとしていた。

[[槙昌福@立案副長>http://namelessworld.natsu.gs/sakura/sanbou_BBS/wforum.cgi?no=1949&reno=1893&oya=1891&mode=msgview]]


荒野は見渡す限り、敵味方の屍で埋まっていた。

見方の表情は乱戦を経て疲れきっており、誰もかれもが泥と血と汚物にまみれ、生気を抜かれたような表情をして黙り込んでいる。

(ちきしょう。ちきしょう、なんで、こんな・・・。

『なにしてるの!!!!』

静寂を破ったのは、力強い声であった。

「あんた達、未だ戦いは終わってないわ!」

むくろのような眼が、その声の主に注がれる

「何呆けてるのよ!そこのアンタ!要救助者のリストアップ!後ろの野郎どもは要救助者を見つけてアタシのところまで運んできなさい!」


(え?俺?

呆ける私に彼女は言う。

「未だ終わってないのよ。終わらせるものですか・・・お願い、急いで」


消え入りそうなその声に、私は自らの役目を、その意義を思い出した

―――風が、吹いた。

『よっし、野郎ども!要救助者を探せ!息のあるなし関係なくだ!指一本でも見落とすな!』

そして、広がる


『おお!』

『任せとけ!』

「ヲチ藩国、暁の円卓、神聖巫同盟、え~藩国、よんた藩国、土場藩国の人員が不明との連絡。リスト化します」

場は沸きかえり、みなが懸命に働きだす。

今ここに、もうひとつの戦いが始まった。

命を懸けた その戦いが。

装備転用SS(担架、包帯等)

助清@伏見藩国
なんてこった。
私は首を捻った。
患者を無闇に動かさないのは緊急医療の鉄則だと言うのに。
これでは、おぶって行かなければならない。

「……剣を、折りましょう。旗に、包みましょう。担架にしましょう」
「でも、それは戦士の魂じゃないですか……それを、折るなんて」
「けど!」

彼女が、珍しく必死の形相で叫ぶ。

「誇りとか、魂とか、男の人はいつだってそんな下らない事言いますけど!
 そもそも、死んじゃったら意味が無いじゃないですか!」
「………」

目には、涙が溜まっている。
きっと、倒れて傷ついている者の中には、友人も少なくないのだろう。

「生きてれば、死ななければ……だって、死んじゃうなんて……」

そうだ。
我々は拳法家だけれど。
今は、医者であるつもりだ。

「死ななければ……」

顔を上げる。
辛い事だ、戦士の魂を砕くのは。
だからこそ、リーダーを任された自分が決断を下さねばならない。

「死ななければ、生きれば明日に繋がる。明日に繋がれば、誇りと魂は取り戻せる――」

そう。
そもそもが。共和国に依存し過ぎた帝国のプライドを取り戻す戦い。
破れ、死に逝き、滅んでしまえばそれこそ帝国の心は折れてしまうだろう。

「武器、防具、装備。可能なら全てを臨時の医療器具となるよう転用しろ!
 剣は焼けば殺菌されたメスになる!衣服、旗は包帯と担架に!」

それは、心苦しい選択だ。
けれど、決して間違ってないと。
誰が何と言おうと、胸を張って言ってみせる。
ただ、倒れた彼等に言い訳する為に。
なんとしても、全員治療成功と言う、結果が欲しいとは思った。

医療SS


「くっそー!出血が止まらねぇっ!」
「止まらねぇ…じゃねぇ!止めるんだよっ!」
戦場に怒号が響く。
先ほどの戦闘で部隊は大打撃を受けていた。
このままでは、多くの藩国が滅亡するほどの大打撃だ。
戦闘によってアラダ覚醒した者も現れたが、その者まで倒された。
普通に考えたら大敗…絶望的状況である。
しかし、まだ諦めきれない者たちが…いた。
たけきの藩国の”シオネの守り手”の面々である。

「1人だって死なすかよぉ…死なせてたまるか!」
普段は見せないような怒りの声。
誰に対して?
この状況を作り出した敵?
仲間を救えない自分?
「まだよ、まだまだ。」
「私たちの”力”は人を救うためにあるんだからー。」
互いに声をかけあってテンションをあげていく面々。

「大丈夫ですか?意識は?」
「…う……あ……。」
戦傷者の顔が苦痛に歪む。
「大丈夫、絶対たすけるから。」
「頑張って。」
傷ついた者に優しく声をかけながらも治療は続ける。
苦しいからこそメンタルのケアも大事なのだ。

絶望の暗い影が、その心を呑み込もうとするのに必死で耐える。
危機的状況だからこそ、絶望的状況だからこそ、
本当に大切なものが見えてくる時もある。
今が…その時だ!

傷つけるよりも治すほうが何倍も難しい。
彼ら、彼女らは、その心に浮かぶ光に祈る。願う。
シオネ・アラダの守り手たるは何か?
どんな者も見捨てない事だ。そのための力だ。
そう。
絶望の闇の中でこそ、希望の光は輝きを増すのである。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。