Dr.ドゥーム


"To face Doom is to face one's end."

(ドゥームと対峙するということは終わりと対峙するも同じ)

+ 日本語吹替声優
南利明
『宇宙忍者ゴームズ』
江川大輔
『スパイダーマン&アメイジング・フレンズ』『ファンタスティック・フォー(1994年アニメ版)』
てらそままさき
『超能力ユニット』(ソフト版)、『銀河の危機』
楠大典
『超能力ユニット』(日本テレビ版)
阪口周平
『ファンタスティック・フォー(2015年映画版)』

マーベルコミック『ファンタスティック・フォー』(略称「FF」)に登場する、FFの宿敵であるヴィラン(悪役)。
初出は1962年の『Fantastic Four #5』。
初期には「卑劣で高慢な悪党」という設定だったが*1、後に「世界征服の野望のためヒーローと対立してはいるが高潔」と描かれたりもするように。
これは固定はされておらず、時々シリーズが切り替わるとコロっと変わってしまう。アメコミではよくある事である。
そしてさらに……詳しくは後述する。

マーベル初の“スーパー”ヴィラン*2であるためか、他の作品に最も多くスピンオフした悪役であり、
DCのジョーカーと対を成していると言っても過言ではないアメコミ界の大物悪役である。
コンセプトとしては『シャーロック・ホームズ』に登場するモリアーティ教授や、ドラキュラ伯爵、上記したジョーカー、
あるいはレックス・ルーサー、ハンニバル・レクター博士、そしてダース・ベイダーなど、
その時点で世に出ていた名だたる闇の帝王悪のカリスマといった存在を参考に、
それらを超えるキャラクターとして生み出されたそうである
(↑ではリンクを張ってあるボ卿やDIO様なんかもむしろドゥームの後輩にあたり、
 さらにはベガ様やギース様なども間違いなく影響を受けたキャラである)。
それ故か、1対1で勝てるヒーローはほとんどいない最強クラスの敵の1人であり、
そのポジションを誕生してから50年以上たった今でも守り続けているという、正に凄い悪役なのである。
マーベルとDCが黎明期にコラボ企画した際にスパイダーマンスーパーマンによるクロスオーバーが成されたのだが、
その際に悪役を担ったのも何を隠そうこのドゥーム氏であった。
日本では馴染みの薄いキャラだが本国での人気は高く、IGNによる『Greatest Comic Book Villain of All Time』ではマグニートー、ジョーカーに次いで第3位、
Wizard magazineの『100 Greatest Villains Ever』では、あのダース・ベイダーやハンニバル・レクター等を破り第4位にランクインされたほどである。
ちなみに1位はこいつ

本名はヴィクター・ワーナー・フォン・ドゥーム。身長188cm。体重102kg。アーマー装着時はそれぞれ201cm、188kg。
90年代の邦訳書籍やカプコンのゲームで「ドーム」表記も存在する。
東欧の小国「ラトヴェリア」の専制君主で、独裁政治を行っている。
が、所謂「有能な独裁者」であるために国民からの支持も高く、国自体も平穏なのだとか。
FFのリーダー、Mr.ファンタスティックことリード・リチャーズの大学の同級生で、彼と同じく天才的な科学者である。
ほとんど全ての科学分野に精通しており、ロボット工学や遺伝子工学、兵器テクノロジー、生命化学などの専門家になっている。

傲慢かつ過剰すぎるほどの完璧主義者。学生時代に試みたある実験で、リードに計算のミスを指摘されながらも、
自分に間違いは無いとそれを放置。結果起こった装置の爆発のため、痕が残るほどの傷を顔に負った。
ドゥームはその傷を「リードの妨害工作のせい」と事実を捻じ曲げて捉え、それ以降彼を深く恨み、憎んでいる*3
人を捨て過去の自分と決別するため、そして顔を隠すために、二度と外せぬ仮面をつける意味で自ら真っ赤に焼けた鉄仮面を被り、
(そのため仮面の下の素顔は焼け爛れている)、鋳造した全身鎧を身に纏った彼は世界征服と宿敵リードの打倒に乗り出した。

ちなみに若い頃のドゥームはお約束だが結構美形である。
+ 素顔若ドゥーム

銀色の全身鎧に緑色のフード付マント(ローブ)という特徴的な格好は「死神」をイメージしていると共に、
「人間としての外見を捨てる(=人間界から隔絶され人間をやめる)」事の意志の暗示として、殻に閉じ籠もっている事が表わされている。
ドゥームは人間不信でありいかなる部下も心から信頼する事ができない。
自身の居城は全て機械仕掛けの全自動防衛システムに護らせており、
身の回りの世話をするのも後述のドゥームボットをはじめ自ら製造したロボットばかり。
鎧を纏った時計仕掛けの人形しか愛せず、自らもまたそうなろうとする哀しき科学者……
カプコンのに少なからず影響を与えているだろうか?
何度倒されようとも負けを認めないネバーギブアップ精神も共通だが、
ドゥームの場合は負けそうになるとドゥームボットと入れ替わったり他人の肉体に精神を転送したりして逃げ延びてしまうため、
「あの時倒されたのは偽物だから。本物はまだ倒されてないから」という言い訳宣言が通ってしまうのが厄介である。
そんな言い訳が唯一通用しない過去(まだドゥームボットが無い学生時代)の敗北(リードからの忠告無視と実験失敗)は、
ドゥームの人生最大の汚点であり、最も許し難い恥辱と言える。
ドゥームがリード・リチャーズ打倒に拘るのはそれ故である。

もう一つちなみに、彼の行動、人格には母シンシアの存在とその死が大きく影響している。
前述の「学生時代に試みたある実験」とは、「科学装置による霊界との交信実験」だった。
ドゥームの人生における野望は三つあり、一つはリード・リチャーズに勝つ事、
二つ目は世界征服を成し遂げ世界を平和にする事、
そして三つ目(これが一番重要)は亡き母の魂を地獄から救い解放する事なのである。
また、現実が改変されて生まれた「全ての人間の願いが叶えられた世界」でのドゥームの願いは、
世界征服でもリードへの復讐でもなく、母親と静かに暮らす事であった。

+ 能力
FFのメンバーと違い肉体的には常人だが、それでいながら頭に“スーパー”とつくヴィランなだけに能力はかなり高い。
マーベル屈指とされる知力と科学力で自ら開発した装備や兵器を多数有しており、おまけに魔術も操れる。
しかも「肉体的には常人」とは書いたが、バットマンパニッシャーのような「常人としては最強クラス」の身体能力、戦闘技能がある。
またその知力は狡猾に陰謀・罠を張り巡らせる時にも発揮され、ドゥームが表に出てこないような計画でも阻止は困難。
亡国だったラトヴェリアを単身復興させ数年で日本に匹敵する経済大国へと発展させたその手腕も目を見張るものがある。
彼のカリスマ性は「一声かけるだけで世界のヴィランが半分集う」とすら言われるほどなのだ。

彼の鎧はただの鎧ではなくアイアンマンのそれに劣らないほどの非常に高性能なパワードスーツである。
表面から防御力を引き上げる防護フィールドを発生させており見た目以上の高い防御力を持つ他、
その内部には空気や水・食料・エネルギーの蓄積・再生システムを持っており、
水中や外宇宙でもかなりの長時間着用者の生命を維持できる。
空を自由に飛べるがアイアンマンのように大きな音は立てない。そして瞬間移動機能やタイムトラベル機能を搭載。
麻酔薬噴射装置や超音波発生装置爆弾の起爆装置等も付いている。
攻撃面でも高性能で、まず強力なパワーアシスト性能があり、当時最強クラスのアーマーとされていた、
アイアンパトリオットと互角の殴り合いが可能。
腕から発射されるブラストはオンスロートが配下として活用していたセンチネル
ミズ・マーベルから奪ったパワーで92tの物体を持ち上げられるローグのパンチを受けても壊れない)を一撃で破壊する。
強力な電撃を発生させる事もでき、不用意に触れる者はたちまち感電・失神する事になる。
しかもこの鎧、着用者無しでもある程度の自律行動の機能がある。

タイムマシンや人間にスーパーパワーを付与する装置、多くのロボットなども製造。
センチネルウルトロンを自分用にカスタマイズ&量産して使役した事もある。
特に自分自身の精巧なレプリカロボット「ドゥームボット」はピンチの際によく使われている。
悪の大ボスを倒したと思ったら偽物だったのだ!というよくあるパターン
スパイダーマンを拉致るためにモニター越し遠隔操作のドゥームボットにヘリを操縦させて現地に向かわせる、というかなり回りくどい作戦をとった事も。
またドゥームの身代わりをさせる以上、当然の話ではあるがこのドゥームボット自体も非常に強力な戦闘ロボットで、
このドゥームボットの劣化コピーがブラックマーケットに出回り、その回収にアイアンマンらがてんやわんやした事も。

科学以外にも、かつて母親から教わったものやチベット僧と過ごしている間に身につけた魔法を使う事が可能。
設定上、魔法の習得と行使に必要な「謙虚さ」を欠いていたり、
自分が魔法の全てをマスターしているわけではないと認めたがらない事が原因で、彼の魔法に関する能力は限定されている、
とされてはいるのだが、それでも魔術の師にしてマーベル世界最高峰の魔術師であるモーガン・ル・フェイにそこそこ対抗できていたり、
資料によってはソーサラー・スプリームであるDr.ストレンジと互角とすらされていたりする。
ちなみにモーガン・ル・フェイとDr.ストレンジの二人は、相性の問題もあったとは言え、
太陽百万個の爆発と同等のエネルギー量を誇るセントリーや、
彼を含むマイティアベンジャーズやダークアベンジャーズを手玉に取った事すらあると言えば、
この二人と同格の魔術を持つ事がどれほど凄いか分かるというものである。
この魔法の力によって作り上げた弾丸はレッドスカルによって使用され、キャプテンアメリカを暗殺する事に成功している。
加えてMr.ファンタスティックと言えども魔法は理解の範囲外であるため、効果的な戦術として良く使用されている。

そして、これらの科学や魔術以外にも身体能力も非常に優れており、
装備無し・魔術を封印された状態かつ丸裸でサバンナに放り出された際
自分を襲ってきたライオンを素手の一撃で倒している。
繰り返すがドゥーム自身は何の特殊能力も保持しない生身の人間である。ホントか?

また、エイリアン種族Ovoidsより、自らの意識を近くの生物へ転送するサイオニック技術を教わっている。

2015年の『シークレット・ウォーズ』という大規模クロスオーバーイベントの際には、
MARVEL世界が並行世界や多元宇宙も含めて全部何もかも綺麗さっぱり消えてしまうという事件が起きたのだが、
ドゥームは超越存在ビヨンダーからその能力を奪い取る事で神皇帝ドゥームとなり、
なんとバトルワールドと呼ばれる宇宙(世界)を0から創り上げてそこの支配者として君臨するという凄まじい事をしていた。
インヴィジブル・ウーマンを妻に、Dr.ストレンジを側近にする、
サノスを軽く腹パンしただけで頭蓋骨と脊髄を残し灰にするなどその実力は圧倒的。
自分に従わないやつは宇宙の外側へ追いやってウルトロンゾンビに喰わせるという正に暴君そのものであった。
宇宙崩壊の影響から逃れ生き延びていたMr.ファンタスティックが現れた事でその戦況は変わるのだが、
もしそうならなかったから誰もドゥームには勝てなかっただろう…。
配色や能力の共通点から某ゲームの天国に到達したとの類似点を見出し夢の対決を夢想するファンも

しかし彼の最大の強みはただの犯罪者でなく国家の要人だから治外法権扱いで逮捕されない事であろう。
ヒーロー達はドゥームを叩きのめして母国に送り返しはするが刑務所にぶち込む事ができないのだ。
そして母国ではむしろヒーロー扱いであり、彼がいなくなるとラトヴェリア国民が困るので殺すわけにもいかない……。
なんだこの完璧超人悪役……?

+ 人間関係
ファンタスティック・フォー誌の悪役として創作されたので当然FFの面々と最も激しく戦ってきたが、
敵対だけの関係でもなく複雑な関係にある。詳しくは後述。

FFを除いたヒーローの中ではアイアンマンと関わりを持つ事が多い。
リードのような決定的な対立になるような出来事があったわけでも無いのに何故か犬猿の仲なのだが、
ソーが暴走した際にはトニーと共闘して「ソーバスターアイアンマン」を作り上げたり、
トニーと中世ヨーロッパへタイムスリップして嫌々ながら共闘したり、
オンスロート相手のアイアンマンの特攻に無理やり付き合わされたりと何かと縁のある関係である。
別宇宙では大学の同窓生で、ヒーローとヴィランになる前からやっぱり犬猿の仲だった。確実に同族嫌悪の類だと思う

スパイダーマンの実力を高く評価しており、「手を組み一緒に世界征服しよう」と度々持ちかけては拒まれている。

シルバーサーファーに対しては、彼らヘラルドの持つ「コズミック・パワー」を狙って、奪ったりコピーしようと試みており、何度か成功している。
この時のドゥームは通称「コズミック・ドゥーム」と呼ばれており、
ある戦いにおいてはパワーだけでなくシルバーサーファーのボードまで強奪し、完全に使いこなしていた。
勿論実力はとてつもないレベルであり、ファンタスティックフォーの面々を一人で完全に圧倒。
Mr.ファンタスティックが用意した超兵器も無効化するなど、もはや止める事はできないかと思われていた……が。
この後彼は、「シルバーサーファーがボードで宇宙に出る事を封じるバリアが地球に張られている事を、ドゥームは知らないんじゃないか?」と気付き、
それを利用する事を提案。
「ドゥームを宇宙まで誘導し、バリアにぶつける」という作戦を実行した。
その結果、ドゥームはバリアに衝突すると共に強烈なダメージを受け、その余波でなんとコズミック・パワーまでも消失してしまったのだった。
幾らシルバーサーファーのパワーを奪い取ったとはいえ、それを与えた張本人たるギャラクタスの力の前には、無力だったというべきだろうか……。

ヴィラン同士の中ではマグニートーとの関係の良さが目立つ。
高慢なドゥームをして「我と貴様ならばこの世のすべてを手中にできよう」とまで言っていたり、
互いのヒーロー転向後の初共闘でも抜群のコンビネーションを見せている。
その分ケンカすると周辺被害がものすごいけど

マスターズ・オブ・イーヴルやカバルといった悪の秘密結社が結成される際は大抵名を連ねている。
ネイモアドックオックとはそこで顔馴染みと言った所。
まあ、黒幕ポジも参謀ポジも科学者ポジ尖兵ポジもなんでもいける人なので、
引っ張りだこなのは当然か。
気位が高すぎてご機嫌窺いがめんどいけど

上記の通り亡き母の魂を地獄に囚われているため、地獄の主である悪魔メフィストは生涯にわたる宿敵である。
アベンジャーズの敵であるアーサー王伝説の邪悪な魔女モルガン・ル・フェイはドゥームの魔術の師であり、
ドゥームがタイムトラベルで過去へ行った時に恋人同士になった事がある。
他にもアベンジャーズの宿敵である征服者カーンの仮面はドゥームの影響を受けたものとされる。

さて、肝心のFFの面々との関係だが、やはりドゥームの最大の敵と言うと彼らという事になる。
単純に野望の邪魔者である事と、学生時代からのリードへの恨み、憎しみがある事で激しく戦ってきた。
しかしリードとは「対立はしていても互いの青春時代を知る古くからの知人」という関係でもあり、
リードの妻スーザンの第二子出産の際、流産する運命にあった赤ん坊を救うべく尽力したのはドゥームその人であったりする。
その甲斐あって無事に生まれた女児の名付け親になって欲しいとリードに頼まれたドゥームは、
自らにとって最も大切な女性、初恋の人の名前をとって、彼女にヴァレリアと名づけた。
その縁でヴァレリア、それとその兄フランクリンの事は特別視しており、ヴァレリアからも尋常ではなく懐かれている
(あまりにも二人への思い入れが強すぎて独占するために世界を巻き込む大事件を起こしたほどである)。
そして2011年。ヒューマン・トーチの戦死とメンバー補充を経て、「いつものメンバーじゃないんだから四人組にこだわらなくてもいいじゃない」と、
ファンタスティック・フォーが『フューチャー・ファウンデーション』(略称はやっぱり"FF")と名前を変え大所帯の新チームになると、
なんやかやあって数名のヴィランと共にそれに所属。名実共にヒーローになってしまった。本性を現したとか収まるべき所に収まったとか言うな
フードの色をチームカラーの白に合わせて、リードやスパイダーマンとヒーローチームとして活躍し始めたのだった。

+ その他エピソード
印象的なエピソードとして、
「ドゥームがとある装置を使用して世界征服を成功させた結果、
 独裁政治ではあるもののその統治能力は高く、世界中の犯罪率は低下し飢餓問題なども解決してしまう。
 結局はヒーロー達に倒され、世界は以前のように戻るのだが
 当然、犯罪率なども元と同じように上昇し、ドゥームが解決した国際的な諸問題も復活。
 ヒーロー達が「本当にこれで良かったのか?」と苦悩する」
といった話が存在する。

また、マーベルユニバースで9.11が発生した際他のヴィランと共に救助に駆け付けたり
(その時、彼が保護すべきラトヴェリア国民でもない、ニューヨーク市民の死を見つめて涙を流している)、
自国で発生したクーデターが原因で家族を失った少年に対し責任を感じて跡継ぎにすべく引き取ったり
(その少年からは無茶苦茶懐かれている)、
クリスマスの夜にラトヴェリア上空を飛んでいたサンタクロースを城の自動防衛装置が撃墜してしまい、
責任を感じたため負傷したサンタクロースに代わって子供達に玩具を配りに行き、
終わった後にご褒美として自身もぬいぐるみを受け取って童心に返ったり(その際のドゥームの笑顔は無茶苦茶可愛い)と、
折に触れて人間らしい部分を描かれている。
+ ...
サンタクロースから預かったプレゼントの届け先は、なんとアベンジャーズマンションにいるヒーロー逹。
そんな所に見つからずに潜入してプレゼントを置いてくるなんて、実行できるのは本物のサンタかドゥームしかいないだろう。
かくして……


"Prepare yourselves, creatures! Away we will zoom!"

(トナカイども、準備せよ!出発だ!)

"I'm the new monarch of christmas! I am SANTA DOOM!"

(余は新たなるクリスマスの主! サンタドゥームなり!!)

当然トナカイ逹には爆笑され、怒ったドゥームは自前の飛行ソリでアメリカに飛び立っていった。なんでそんな物があるんだよ

だが結局ヒーロー達に発見され、「いや今日は違うんだ、みんなにクリスマスプレゼントを配……」と言い訳をした所で、
普段が普段なので聞いてもらえず総攻撃を食らい、遥か彼方に吹っ飛ばされる。
流石にドゥームも怒り爆発、ヒーロー達との戦闘を開始するが、そこに……

「どうしてヒーローがサンタさんをいじめてるの……?」

ドゥームが吹き飛ばされて落下した場所のすぐ側には貧しい孤児院があり、幼い子供達がその光景を見ていたのだ。
子供の純粋な眼差しに晒されたドゥームは咄嗟に、

「な、なにを言っているのかな。ヒーローのみんなはサンタさんを手伝いに来てくれたんだよ。なあ、みんな」
「そ、そうなんだよ!」

と誤魔化し、サンタドゥームがプレゼントを配り、ヒーロー達は孤児院の子供達と遊んであげて、楽しい一時を過ごしたのであった。

そして、プレゼント配送を終えたドゥームはラトヴェリアに戻り、
サンタクロースからはプレゼント配り達成の報酬として「何でも願いを叶えてあげよう」と言い渡される。
つまり、世界征服の達成や、リード打倒の成就を願えば、それが本当に叶ってしまうのだ。
だが、ドゥームは穏やかな表情で答える。

「もう……いいんだ」

それはクリスマスの奇跡だったのか。
子供達の純粋な心に触れ、自身も童心に返ったドゥームは、今宵一夜はあらゆる野望や復讐心を忘れる事ができた。
そして、何の変哲も無いぬいぐるみを受け取り、ヒーロー達には決して見せる事の無い、幸せに包まれた表情を浮かべるのだった……。
+ 守りたい、この笑顔

彼の心に何があったのか?それを言葉にする必要は無い。
敢えて言うとしたら……「でめたし、でめたし」。
ひょっとしたら、サンタさんは予めこうなる事を全部見抜いていたのかもしれない。
だからこそのご褒美のぬいぐるみなのだろう。

このような「クリスマスの奇跡」の話は他のキャラクター達でも存在し、
悪魔王メフィストが自身も気付かぬ内に慈悲の心を見せてしまったり、
J.J.ジェイムソンが宿敵スパイダーマンを助けてしまったりそこを他の新聞社にスッパ抜かれて隠蔽のため他紙の買い占めに走る有様
子供達に「もうスパイダーマンをいじめないでね?」とからかわれて「や、約束する。 ……今年中はな!(あと一週間しか無い)」と渋々認めたり、
心温まるエピソードが描かれている。

その他、『ヒーローズリボーン』では事実上の主役を務め、ヒーロー達と共にギャラクタスに立ち向かった事も。
ギャラクタスに敗れるたびに時間遡行してリトライを繰り返すドゥームが、
ヒーローの懸命さを何度も目の当たりにして認識を改めていく描写を通じて、ヒーロー像の再生が図られていた。
共闘の末、握手を求めるリードに対し「ドゥームは常に孤独だ」と背を向ける姿は、
彼のツンデレぶり人間性を表した名場面となっている。
また、ヒーローがあっさりやられ「失敗だ。時は巡る」とリセットボタンを押すかの如く淡々と言い放つ迷場面も……。

とはいえ、やはりヴィランとして相当あくどい行為が見られた時期もあり、
アズガーディアン(ソーの故郷アスガードの住人。つまり)を生きたまま解剖したとか、
オンスロート戦でヒーロー達を助けにくるも結局それはオンスロートのエネルギーを自らのものにするだけのためだったとか、
そう言うエピソードも多数ある。

DCユニバースとの対決企画『Marvel vs. DC』ではヴィランなので代表メンバーに選出されなかった。
それはともかく、登場したのは冒頭で二つの世界が混ざり合ってしまった混乱の時期にDCユニバースのキャプテン・マーベルと激突した場面のみ。
大型クロスオーバーではたいてい裏で暗躍するドゥームがこの時は何もせず沈黙しており、
さらにマーベルはDC側代表としてソーと対戦している(ドゥーム戦での負傷は特に無し)ので、
おそらくマーベルにのされて事件解決まで寝てたと思われる。ひどい。
レックス・ルーサーかブレイニアックあたりと組んでなんかやらかすとか無かったものだろうか。

『アイデンティティ・ウォー』にも並行世界の彼が登場。
同作はスパイダーマンとハルクデッドプールが平行世界に飛ばされ、思いも寄らない並行世界の自分に出会う作品なのだが…
+ 『アイデンティティ・ウォー』のネタバレあり
この世界ではデスウィッシュという自殺願望を持った緑色のデッドプールになっていた。
そしてこの世界のデッドプールの方がリードの手術を受けて天才と化した結果「デスマスク」という赤いマントをつけたドゥームの姿になっていた。
デッドプールとしばらくの間面白おかしく過ごしていたが、真面目に任務をやらなかった罰としてデッドプールの前でデスマスクに殺されてしまう。

ちなみにこんな姿になった理由はアメイジング・スパイダーが強すぎて要らなくなったFFが解散した為。
やはりFFあってこそのドゥームなのだろう。

+ 恥知らずの悪魔博士
ラスボス御用達・悪役やったらドゥームさんと言われんばかりに長年ヴィランの代表格を務めてきた彼であったが、
そんなDr.ドゥームにとうとう単体で主人公を務める機会がやってきた。
それが『インファマス・アイアンマン』と呼ばれるシリーズである。

前述の『シークレット・ウォーズ』でリード・リチャーズが、『Civil War II(第二次シビル・ウォー)』ではトニー・スタークが姿を消してしまい、
マーベル・ユニバースには深刻な影響が生じた。
立て続けに二人の好敵手を失ったドゥームはどうしたかと言うと…
なんと仮面を脱ぎ捨て、ラトヴェリアをも放棄し、
自身が新たなアイアンマンとなってしまったのであった。
「インファマス・アイアンマン(Infamous Iron Man=恥知らずのアイアンマン)」と名乗る彼は、
悪の救世主から一転して正義のヒーローとなる。
そして独自の正義感からヒーロー活動を始めることとなるのだが…なにしろかつては唯一無二の悪の帝王だった男である。
ドゥームというヒーローにとってドゥーム以上に脅威となる悪など存在するはずもなく、
インファマス・アイアンマンは名だたるヴィランの数々を鎧袖一触に蹴散らして正義を執行していくのだった。

…とは言え悪の大ボスが突然「改心してヒーロー始めました」と言い出して「はいそうですか」とすんなり信用されるはずもなく。
ザ・シングといったかつての宿敵やシールドなどの組織からはその真意を疑われ、動向を注目される。
そんな中で、仮面を外したにも拘らず仮面を着けている時以上に表情に乏しい不気味な顔をしたドゥームが目指すものとは何なのか…。
そしてそんな彼の前に死んだはずの母・シンシアが姿を見せるのだが、その意味する所とは…。
全能に等しい神皇帝になってすら達成できなかった彼の望み、それはヒーローとなることで叶えられるのか。
そういったテーマが本作で描き出されるのであった。

小悪党を叩きのめすインファマス・アイアンマンを無責任に持て囃すマーベル一般市民達、
国を治める偉大な英雄を失いかつての暴君の帰還を望むラトヴェリアの民、
よすがを失って迷走しインファマス・アイアンマンに当たり散らすザ・シングや、ドゥームに亡き母の面影を見出されて執着されるかつての同窓生など、
様々な人物の思いが交錯しながら物語は進む。
だが裏にはとある邪悪な存在の思惑が絡んでいて……。

「もしラスボスが改心して主人公になったらどんな問題が起きるのか」という割と日本ではありがちなテーマを扱った本作は、
Dr.ドゥームというキャラクターの新たな一面にスポットライトを当てたストーリーとして非常に面白いので、
もしこれから物語を作る予定のある方は何かの参考にすると良いかもしれない。

+ メディアミックス
映画(2005年版)ではラトヴェリア生まれの億万長者であり、
FFのメンバーと同じく宇宙放射線を浴びて、金属の肌と電気を操作する能力を持つようになった。
あと、本名のミドルネームが「フォン」ではなくオランダ系の「ヴァン」になっている。バンバンババン、バンバヴァンドゥーム!
一作目でFFに敗れ、金属の箱に閉じ込められてラトヴェリア送りになるが二作目で復活。
シルバーサーファーと手を組んでその力を得ようとするが失敗し、アメリカ軍の仲介でFFと協力してシルバーサーファー捕獲作戦に当たる事になる。
シルバーサーファーを捕獲後はボードを奪い、コズミックパワーを手に入れてアメリカ軍を裏切った。
香港での戦いでインヴィジブル・ウーマンを殺害するが、FF四人分の能力を集めたヒューマン・トーチにボコボコにされてボードから引き剥がされ、
ザ・シングの操作するクレーンに跳ね飛ばされて海中に沈んだ。

かつて放映されたテレビアニメ(邦題『宇宙忍者ゴームズ』)では「悪魔博士」と呼ばれ、何故か名古屋弁で喋っていた
これは声を担当した南利明氏の芸風による所が強い
東欧訛りの表現という演出上の理由という俗説もあったが、言語版に訛りは無いのであくまで日本製作側のアドリブに過ぎない)。
ちなみに、これに登場するガンロックも、声を担当した関敬六氏の持ちギャグである「ムッシュムラムラ」と言う事がある。

「ほんだけどよ今日のところは見本だで、サンプルだで。造船所だけにしとく」

他のヴィランが一回だけの出演な中、悪魔博士は数回に亘って登場する。
名古屋弁の上に擬声語がよく混ざる話し言葉も相まって、元のドゥームよりもかなりコミカルなキャラクター性に仕上がっている。
また鎧と仮面が自作ではなく部下になった魔法使い達からのプレゼントだったり、仮面の材質も鉄からブリキになっている等、原作と異なる設定が多い。
まぁ後半部分は果たして本当に「設定」と言えるのか少々疑問だが……。
なお、本名はアクマ・ユメノアールであり、出身地はアチャラカ王国という東欧の小国らしい。
「博士(ドクター)」を自称しているが「大学中退なら博士じゃなくて修士(博士号とってない)だろう」という辛辣なツッコミもあり、
「悪魔修士」と呼ぶ向きもある。そこは博士にしてあげてよ

「鉄より硬くて丈夫なブリキで作ってくれたんだもんな~、ブリキだぞ?お前ぇ~!
 それを顔に着けたらビッタ(ピッタリ)だ!その日から俺は悪魔博士と呼ばれるようになったのさ」

ちなみに、ディズニーとマーベルの合作『Ultimate Spider-Man』の日本語版の字幕で、
スパイダーマンがドゥームを「悪魔博士じゃないッスか」と呼んでいた(吹き替え音声ではドゥームと呼んでいる)。

MUGENではbild氏がKong氏のドゥームをこの声に差し替えた動画を投稿しているが、ボイスパッチは公開されていない。
ドゥーム本人以外では悪魔繋がりの某キャラにこの声を使ったボイスパッチが製作されていたりする。
また、ハヤテの人ことカッ昏倒氏が初期の単発!良キャラ発掘絵巻でラウンドコールに使用していた。
「覚悟はええな?GO!」

+ 『The Marvel Action Hour』での活躍
1994年アニメ版『ファンタスティック・フォー』では第21話で初登場。
最終話ではラスボスとなり、シルバーサーファーから奪った宇宙パワーでファンタスティック・フォーやアベンジャーズを追い詰め、世界征服を企む。
しかし、リードが開発した宇宙パワーを抑えるロボットと戦っている内に宇宙へ飛び出し、
ギャラクタスが張っていたシルバーサーファーを宇宙へ出られない様にしたバリアに阻まれてパワーを失い落下していった。

世界観を同じくする1996年アニメ版『インクレディブル・ハルク』では第7話で登場。
アメリカ合衆国攻撃の為に、ジェニファーを人質に取ってハルクを操り、ホワイトハウスを攻撃する。
しかし、ブルースから輸血されてシーハルクに覚醒したジェニファーに妨害されて計画が破綻し、逃亡した。

コミックボンボンで連載された『スパイダーマンJ』ではラスボスとして登場。
ファンタスティック・フォーとの戦いで負った傷を癒やすために来日し、先走ったヒューマン・トーチを人質に取って待ち受けた。
先に駆け付けたスパイダーマンJとシングを追い詰めるが、ファンタスティックとインビンシブルウーマンも加勢に入り、形勢逆転される。
最後はファンタスティックが開発したプリズンビーム砲で拘束された。
未決着で終わった本作オリジナルのヴィラン「B・ロード」とは同志だったらしい。

「さあ・・・・破滅(ドゥーム)の幕をあけようか」


格闘ゲームにおけるDr.ドゥーム


"I'll make you wish you were facing Magneto."

(マグニートーと戦ったほうがまだ楽だぞ。引き返すなら今だ)

格闘ゲームでは『MARVEL SUPER HEROES』から中ボスとして登場。この作品では名前の表記は「ドーム」となっている。
射撃性能、特に弾幕に特化したキャラで、強力なビームを発射したり、前後8方向に光線を飛ばす「フォトンショット」、
それを強化した超必殺技の「フォトンアレイ」で画面全体に弾をばら撒く。
さらに一定時間飛行も可能。空中からも射撃できるため、初代マグニートーの如く撃ちまくる事ができる。
まさに動く砲台
アーケード版ではサノスアニタと同様にフリープレイかつ特殊設定でないと使用できなかったが、
家庭用では通常の隠しキャラとして使用できるようになった。
ただし、サノスとは違いアーケード版の時点で個別エンディングがきちんと用意されていた。

ゲームではヒーロー達の敵として登場するが、『MARVEL SUPER HEROES』の元となったコミック「インフィニティ・ガントレット」においては、
サノスのガントレットを手に入れる為、ヒーロー達に協力した。
尤も、指揮官に自分を推してウルヴァリンに「寝言は寝て言え」と言われたり、ソーの攻撃でサノスに隙ができたと見るや、
ガントレットを奪おうと横やりを入れてソーの追撃を邪魔したり、悪役らしさは随所に発揮している。


MARVEL VS. CAPCOM 2』でも初期キャラとして再登場した。
この作品からは「ドゥーム」の表記になっている。
+ 『MVC2』におけるDr.ドゥームの性能
『MVC2』においては作中でもトップクラスのチクチク制圧キャラ。
基本的に「削り」という部分に特化しており、その強さは馬鹿にならない。
地上戦自体は、通常技発生判定的にも得意な方ではないのだが、逆に空中戦はかなり性能が良い。
飛行・八方向のダッシュが可能なため、空中での機動能力が高い。
刺し込みしやすい強判定の通常技のおかげで、攻め込みもしやすい。
ドゥームのメインはその中でも、必殺技の「フォトンショット」にあると言える。
出はやや遅いのだが、地上では全方位に、空中では斜め下に5wayの小さいビームを撃ち、相手を固める。
カバーする範囲が広いため、相手は止まるのを余儀なくされる。
アシストを振った後に使う事で、アシストフォローも可能になる。
「プラズマビーム」は見た目よりも奥への判定がやや遅れるが、コンボの隙を消すために用いる事ができる。
当然レーザーなので、弱いという事はないが、一部小さい相手(コブンロール)には発生点が高めのため、
しゃがまれると(立っていても?)普通にガードすらされないので注意。まぁそいつら自体が全然危険じゃないから(ry
「モレキュラーシールド」は後述。メインで使う事はまず無いが、固めたり削ったりするのには使える。
メインHCは「フォトンショット」の強化版の「フォトンアレイ」。
簡単に言えば「フォトンショット」を連続で行うだけなのだが、削りと威力が馬鹿にならない。
地上で撃つと暗転までが遅いのだが、空中だと急激に早くなる。
暗転後ガード不能なため、接近した状態で全弾ヒット(ガード)させると(空中版の方が当然楽)、非常に高い効果を得る事ができる。
ぶっぱ・コンボ共に優秀。
「エレクトリックケイジ」はどちらかというと安全ディレイドを考えた時に使う程度で、
威力などは(確定での入れ易さを考慮しなければ)やや「フォトンアレイ」に劣る。
「スフィアフレイム」はほぼ完全に対空と言える性能で、発生などは早いがミスした時の隙がでかい。
さらに範囲の問題上、ディレイドなどの視野が非常に狭い事が痛い。

アシストはβ(対空迎撃)タイプのほぼ一択状態と言って良い。
この時の行動は「モレキュラーシールド」なのだが、このアシスト、
  • 出が早め
  • 固め時間が異常に長い
  • 削り能力が異常
  • 足元にも判定がある(←重要)
  • 間接攻撃による攻撃をある程度防ぐ(ビーム系あたりは無理)
といった性能が揃っており、この性能上脅威のアシスト「キャプテンコレダー」を潰す事も可能という点が見逃せない。
出が早めとはいえ、固め能力や潰されやすさ(一応空中からの攻撃には無力)を考慮すると、守りよりも攻めに向くとされる。
近くで出された時点で、最低限高い削りダメージが約束されるため、出し損自体かなり低い高性能アシ。
トロン・ボーンのアシにやや似ている部分がある。あっちは火力・相殺力、こっちは削り・拘束力と言った所か。

キャラとしてはストライダー飛竜と特に相性が良いと言われ、この二人が組まれている事がよくある。
(ただし、その場合は飛竜がメインとなり、あくまで飛竜のアシ専という形にはなる)
ドゥーム本人を使う場合、ブラックハートなどが良いともされる。(ただし、ブラハのパートナーはソンソンと言われているため…)
アシストが強いので、基本的にアシ専の形を取る事が多いようだ。

弱点は、やはり牽制メイン削り強いタイプなので接近されると厳しい事。
特に飛竜は、本人と相性がいいのに加えて対戦相手としても非常に相性が良いため(ドゥームからすれば相性が悪い)、
かなり苦戦を強いられる事になる(ワープによる牽制無視がでかい要因)。
牽制も全てガードさせられるなら削りも高いのだが、一発一発では威力が低い。
そのため、わざと牽制に引っかかりつつ生替え、などされる危険性も秘めている。
アシストにしても、発生無敵タイプ(上位のサイクロップスサイロックキャミィなど)や貫通間接攻撃タイプには無力であり、
上空からの攻撃に対しても意味を成さないという欠点がある。
どれだけ上手く立ち回り、上手く相手を引っ掛けるかが勝利の鍵かもしれない。

あだ名は「岩」。
βタイプアシストが岩を飛ばすため、そう呼ばれる事があるのだとか。
岩はトロンも投げるし、アシストでなければ岩などほぼ見る事は無いのだが…。

そして『MARVEL VS. CAPCOM 3』にも参戦。流石人気ヴィランと言った所か。
他のFF勢は同じくヴィランのスーパースクラル、ボス専用キャラとしてギャラクタスが参戦。
出ないと公言されたFFの皆さんは泣いていい
+ 『MVC3』での性能
主にバージョンアップ版である『UMVC3』での性能について記述する。

本体性能は空中戦主体の万能キャラ。
『UMVC3』というゲーム自体の特徴として球形で処理される当たり判定というものがある。
簡単に説明すると「剣を振っている技」でも実際はボールが連なったような判定をしている、という事なのだが、
ドゥームは特にこの判定処理の恩恵が大きい。平たく言うと判定がムチャクチャ馬鹿でかい

地上ステップこそ一定距離を進むステップタイプ、俗にいう産廃ではあるものの、
空中での8方向ダッシュは高速であり、その機敏な動きから雑に振り回されるJ6H、JSは判定の塊として知られ、
ただのパンチの癖に上記判定のおかげで空対空に強すぎるJL、逆に下方向に強く表裏に持って来いのJM、横に超伸びるJ5H(手に持った光線銃を撃つ)。
必殺技は必殺技で画面制圧力の高い空中フォトンショットで徹底的な牽制が可能…と、
「プラズマビームを撃つ時以外で地上に居る必要がない」と言われる程に空中戦特化したキャラである。

上述の技のうち特にJSとJ6H(通称フッダイ)は特徴的なボイスや立ち回りコンボでの使用回数から印象に残りやすい。
特にJ6H版は当たれば強制ダウンなので確認が簡単。しかもダウン時間が非常に長いので追撃も容易。
相討ちになったと思ったらドゥームが先に起き上がり5Hから拾ってコンボをしているなんて事もよくある。最高に濁る事請け合いである。

また、前作『MVC3』から調整をミスった部分として、補正とコンボルートの変更があり、
コンボが非常に補正の緩いパーツで構成できるようになっている。まぁ簡単に言うと通常打撃のどれかが当たったら相手は死ぬ
のみならず、チーム次第ではあるものの、コンボ中の生交代を導入できれば他キャラの通常打撃でもどれかが当たったら相手は死ぬ
まぁ本作のパワーキャラ込みのチーム編成は「ワンパン即死は当然、あとはどれだけゲージをケチれるか」という世界であり、
ドゥームは火力の高いキャラの一角ではあるものの、飛び抜けて火力が高いキャラというわけではない。そういうゲームだからこれ!

ただし、本体性能としての利点は多数にあるものの、立ち回りで殊更に有利なキャラが多いというわけではない。
というかむしろ「不利キャラ多いけどパワーとスピードを兼ね備えているのでどこからでもワンチャンある」というタイプの性能であり、
立ち回りを徹底されるとつらい相手は結構多い。ダイヤは低いが実戦値のあるキャラ、と言った所。
例えば雑な空中技を全て昇竜による逆択で返せる(+そこから即死の)ハガーとかを追いかけるのは命がけだし、
一応STG技を持ってるとはいえ、STGの火力は微々たるもののため遠距離から纏まったダメージが取れる普通のSTGキャラは、
「徹底できれば」という前提はあるものの大体ドゥームに有利をつけている。

本体での立ち回りは以上のように結構博打的な部分はあるが、ドゥームを使う際にはもっとリスクを排した起用方法がある。
それが『UMVC3』の代表的なシステムの一つ…「ヴァリアブルアシスト」である。
ドゥーム最大の利点、それは3種のアシストがそれぞれ非常に高性能である所なのだ。
  • αアシスト「プラズマビーム」
    • 一瞬で端から端まで届く、いわゆる「ビームアシスト」として高い性能であり、ワープを持つキャラのアシストとして優秀。
      出す→キャラがワープでめくる、という単純な動きで表裏のを迫れる。
      挙動が短く着弾が一瞬のため他2種のアシと比較して非常に狩られ辛いのも魅力的。
  • βアシスト「ヒドゥンミサイル」
    • 追尾するミサイルを6発撃つ。通常立ち回りでは投げ漏れか出現攻めにしか用途が無い隙だらけなこの技もアシストになると評価は一変。
      発生保証、追尾、ダウン拾いと至れり尽くせりな上に、発生から着弾までのディレイが長めであり行動制限力も高い。
      「画面制圧系アシスト」と言えばヒドゥンミサイルかセンチネルフォース、といった具合。
      ただし自分のコンボ中にも問答無用で着弾してくるのでアドリブが重要になってくる。
  • γアシスト「モレキュラーシールド」
    • 岩を纏って横に飛ばす。発生が早く、多段ヒットする判定が飛んでいくためヒット確認からの追撃が容易でコンボパーツとして優秀な一方、
      「弾速の遅い飛び道具」のため本体が別行動しながらの時間差固め、表裏を迫っての崩しに使える。
      とはいっても遅いため能動的に生かすのは(他2つと比べると)苦手ではあるが、
      相殺も困難な多段の判定が長期間地上に残るという特性上ウルヴァリンみたいな愚直に地上ダッシュするタイプに滅法強く、
      おもにキャラ対の一環としてその辺に被せで使うと大層嫌がってくれる。

空中にも届くカバー範囲の広さから、総合評価ではβアシ「ヒドゥンミサイル」が頭一つ抜けているものの、
死にアシが一つとしてなく、後ろに置いておくだけで先鋒の立ち回りが大幅に強化される。

「本体最大の弱点がドゥームのアシストが付かない所」とか言われるぐらいのアシスト力なので、
どの立ち位置でもこなせる性能ではあるものの、大体においてチームの繋ぎポジション、つまり「中堅」に適任である。
何でもできる点を生かして先鋒キャラのできない部分をサポートし、大将の為に場を作る。
そんな立ち位置こそドゥームの強さが発揮されるポジションと言える。
特にバージルとの組み合わせ「何かドゥームバージル」や、飛竜とのコンビ「何かドゥーム飛竜」、アマテラスとのチーム「何かドゥームアマテラス」は、
超鉄板構成として熱帯でも非っ常に見かけるチーム構成である。
熱帯でのドゥーム遭遇率は8割を超えるとすら言われ、お手軽にチーム力を上げるキャラとして広く周知されている。
実際、大会等での使用率は最強キャラのバージルを余裕で抜き去りぶっちぎりの一位である事が殆ど。
このゲームで如何にアシストが大切か、よく分かる話である。
コンボ自体も画面端なら信じられないほど簡単かつ高威力で、それさえできれば最低限の戦力にはなってくれる。
チーム選考に悩んだ初中級者も、一度は試してみる価値のあるキャラである。

余談だがLv3HC「ドゥームズタイム」発動時の台詞が「はい死んだー」と聞こえる事で有名である。
相手をカプセルに閉じ込めスイッチ一発で爆破という構図、コンボの締めにこの技でトドメというセオリーもありまるで違和感が無い。
スイッチを叩く時の動きもあって、どことなく『なるほど・ザ・ワールド』のキンキンの「はい消えたー!」を思わせるのかもしれない。
実際の台詞も「Time to Die」と言っており意味は大体あってる。
「はい死んだー」

あとフッダイもコンボとか立ち回りでブンブン振り回しまくるので非常に耳に残る。そのためよく音MADの素材になったり。
ダダッツボンダダッダダッフッフッダーイ

なお、設定上海外の要人扱いなので治外法権が扱われ裁判にかける事はできない彼なのだが、
カプコンのエクストリーム弁護士にはそんなもの通用しなかったようである。

+ EDネタバレ注意
同作のEDでは、コズミックパワーを奪い取る事に成功する。お約束と言うかなんと言うか…
更に原作と違いラスボステッカーメンから直接手に入れたものなので、その破壊力も桁違い。
そして全宇宙の支配者を名乗る事になる。
…なんだけど、その先行きに不安を感じるのはなんでだろうね?

ガチ勢による詳細な解説
MVS(3:35~)
UMVC3


MUGENにおけるDr.ドゥーム

海外製作者によるものが複数存在する。

+ kong氏作 MVC2+アレンジ仕様
  • kong氏作 MVC2+アレンジ仕様
演出やグラフィックは『MVC2』仕様、基本的な部分はいつものkong氏仕様。
空中フォトン・ショットが無い、岩を纏ったまま動けるウロボロスのようなオリジナルのスパコン、
通称「岩ボロス」が追加されているなど結構アレンジがされている。
恒例の3段階調整可能なAIも付き、完成度は高い。
また君麻呂氏によって外部AIが製作されていた(現在はブログ閉鎖&OneDrive管理放棄で入手不可)。

なお、岩ボロスは発生保障こそ無いものの出てしまえば岩が消えるまで無敵、持続15秒という凄まじい性能で、
君麻呂氏AIのレベルMAXだと凶~狂の狭間くらいとなる。
そのため、氏のAIではレベルの他に岩の使用頻度や持続時間、岩使用中の無敵・削り・ゲージ増加の有無、
タッグでビーム脳と化すか否か等を細かく設定でき、調整次第で強~凶とも戦える。

ふみV3氏による改変版も公開されており、ランクは狂下位から狂上位へと跳ね上げられている。
原作通りの圧倒的強ボスドゥームが見たい方は是非ご活用を。

+ kamekaze氏 MVC2仕様
  • kamekaze氏 MVC2仕様
必殺技、演出、エフェクト等は原作再現
AIも搭載されている。シングルだとほどほどの強さだがタッグだと飛び道具を活かして大活躍する。
新MUGENではMvC2Doom.def、
旧MUGENではMvC2DoomW.defなので注意。
現在は新MUGEN用のみが公開されている。

+ Infinite氏 Pots仕様
  • Infinite氏 Pots仕様
氏恒例のPots氏風アレンジ。新MUGEN専用。
ボイスは通常のドゥームの他、Configで『MVC3』版の音声に変更する事ができ、
技にもヒドゥンミサイルやハイシンダードゥームズタイムなどが追加されている。
またオリジナルの3ゲージ技として、無数のドゥームボットを自爆特攻させる「Legion of Doom」が搭載された。シュール

+ Kusder_Polino氏 Divekick_Doom
  • Kusder_Polino氏 Divekick_Doom
機械翻訳の人で知られる氏によるSFF改変キャラ。改変元はnotfound氏のDivekick_Nanaya
『UMVC3』をベースとした『Divekick』仕様で、技はJ6HとJS(通称フッダーイ)の2つのみである。
元ゲー通りの判定をしているので判定は信じられないくらいに強く、おまけに食らえば即死となっている。
しかし本体もオワタ式であり、一撃もらえばKOされるという一発ネタキャラである。
まあ原作でもフッダーイが直撃したらそのまま10割持ってかれる場面は多々あるので、ある意味原作再現とも言えなくはない…のか?


この他、Magus氏がラトヴェリアの居城をイメージしたステージ「Castle Von Doom」を製作している。
参考動画


「余の名はドゥーム、貴公の墓石にでも刻むがよい!!」

出場大会

+ 一覧
シングル
タッグ
チーム
その他
更新停止中
凍結
削除済み
非表示

出演ストーリー

+ 一覧


*1
ドゥームはスタン・リー氏とジャック・カービー氏のコンビによって生み出されたが、
その生みの親の一人カービー氏によれば「邪悪。だが“常に”ではない」との事。

*2
ヴィラン自体はドゥーム以前から数多く登場しており、
ファンタスティック・フォーに限ってもモールマンスクラルネイモアはヒーローじゃねーのかよなどと戦っているが、
それらの悪役を遙かに凌ぐ強大なボス格を生み出そうという試みにより登場したドゥームは「アーク・エネミー(宿敵)」と称される特別枠であり、
何度倒されようとも復活し再戦を図る悪役としてはまさに最初にして最大の存在となったのである。

*3
この傷痕の程度の設定も固定されていない。
カービー氏は「ごく小さな傷痕。しかし完璧主義者の彼には許容できない」という想定でドゥームを描いていたが、
本当に凄まじい傷痕とされる場合もある。


最終更新:2024年03月12日 14:36