ネロンガ


ウルトラマン』の第3話「科特隊出撃せよ」に登場した怪獣。別名「透明怪獣」。
身長は45m、体重4万。どっしりと貫禄のある巨体に長い尾、頭部に角と二本の触角を持つ。
東宝映画の怪獣であるバラゴンの着ぐるみの流用で作られた怪獣の一体であり、
これ以前のパゴスや以後のマグラーガボラもこの着ぐるみから作られた怪獣である。
頭部の細い角は前後に動かすことができ、これを鼻先の大きな角と合わせて放つ「暴君電撃」を武器とする。

劇中では江戸時代に一度現れたと記録があり、その時は武士によって退治されている。
なお、その武士の名は村井強衛門(むらい つよえもん)。・・・・強い漢だ。*1
どうやって倒したかは語られていないが、残された絵を見る限り5mも無かったようである。

現代では伊豆の伊和見山のある城の地下に潜んでいたのだが、近くに出来た発電所から電気を吸収することにより巨大化、
より大量の電気を求めて発電所を襲った。
普段は透明な状態であり姿が見えないが、食事の際に姿を見せる。
最大の武器として電気を利用した10万ボルトの放電光線を放つのだが、人一人殺せない程度の威力しかない
アラシ隊員が喰らったが気絶しただけ)。
当然ウルトラマンに効く訳も無く、格闘戦ではそこそこ善戦するも最期はスペシウム光線で倒された。

しかし怪獣としてはこの通り然程強くない一方で、ストーリー描写としてネロンガの担っている役割は極めて大きい。
あくまで科特隊員としてネロンガ迎撃に当たっていたハヤタ隊員は、発電所が破壊されても変身する素振りを見せないが、
ネロンガによって気絶させられたホシノ少年が「ウルトラマン、ネロンガをやっつけておくれよ」と呟くのを聞いて、
ぐっと唇を噛み締めるや否や意を決して走り出しベータカプセルを点火、ウルトラマンに変身して戦いを挑む。
つまり第一話では説明されなかったのでわけもわからずベータカプセルを点灯して変身、
第二話では命の危機からやむを得ずベータカプセルを使って変身したハヤタ隊員が、
初めて自分の意志で積極的に変身したのが、このネロンガとの対決なのだ。
そういう意味で『ウルトラマン』というシリーズ全体において、ネロンガは重要な役割を担った怪獣といえよう。

+ その後の映像作品でのネロンガ
ネロンガは知名度はそこそこありOPにも影絵で登場するのだが、着ぐるみがすぐにマグラに改造されているので『初代』本編では再登場無し。
そしてこの後20世紀中は一度も『ウルトラ』シリーズに再登場無し(『ウルトラファイト』など初マン第3話の画像流用での出番はある)という、
長い長い雌伏の時を経て2007年放送の『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』第3話にて久々の復活を遂げる。
この時は放電光線の威力が並の怪獣なら感電死するほどにパワーアップしていた
(冒頭における地底怪獣グドンとの戦いで勝利している)。
透明化能力も健在で、主役怪獣であるゴモラをも苦戦させた。
第7話でも登場。ブルトンの能力でレッドキングテレスドンとともに時空を超えて呼び出されゴモラと戦った。

CGアニメ『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』ではレッドキングに続くプラズマ怪獣の一体として登場。
雷を求めて活動を開始した。プラズマソウルの影響か、地形を変えるほどの強力な電撃を放てる。
従来と違いこの世界では電気を吸収すると透明になり、一定時間経過すると元に戻るという、これまでとは逆の特性を備えている。
恐らく吸い取った電気を使って光学迷彩のように透明化している、という解釈なのだろう。

2018年には『ウルトラマンR/B』にも登場。
映像作品への出演は11年ぶり、そしてなんとウルトラ戦士と戦うのは実に52年ぶりである。
本作の個体はウルトラ戦士を大きく吹き飛ばすほどの威力の暴君電撃に加え、
跳躍してボディプレスを繰り出すアグレッシブさや電撃を球状にしての飛び道具、放電しながら突進するなどの新技を持っている。
その強さは従来とは一線を画しており、一度はウルトラマンロッソ&ウルトラマンブルを敗北に追い込んだ。
しかし再戦時にはロッソグランド形態&ブルウインド形態の作戦で透明化を破られ、ロッソとブルが合体した戦士であるウルトラマンルーブに撃破された。
本作では着ぐるみが新造されており、CG処理で目玉を動かすといった表現もされている。

2020年の『ウルトラマンZ』には第二話に登場。
こちらは電気を吸収する事で透明化する能力に加え、体温も感知不能にする能力を発揮。
蓄えた電気(電磁波)で可視光線や赤外線に干渉でもしているのだろうか。
電気を求めて地表に現れたところ、セブンガーが迎撃にやってきた為これと交戦、
透明化能力で翻弄した挙句にセブンガーのバッテリーから電気を吸い尽くして容易く退ける。
その後は新型発電所を強襲し、再度防衛に現れたセブンガーを暴君電撃であっさりダウンさせ、
ウルトラマンZ・アルファエッジとの戦闘では透明化を「空気の動きや地面の振動で察知する(気配を読む)」戦法で破られつつも、
電撃と格闘戦で窮地に追いやるが、一瞬の隙をついたセブンガーの特殊弾によって蓄えていた電気を強制放電させられて大幅に弱体化、
不利を悟って透明化して逃げようとするが、ウルトラマンZのゼスティウム光線によってそのまま粉砕された。
倒された遺体は回収され、その後「充電に時間がかかり過ぎる」という問題を抱えていたウインダムの問題解決に役立ったりした。
また、『ウルトラマンZ&ゼロ ボイスドラマ』では、初代ウルトラマンが地球で戦った「透明化する怪獣」として
宇宙警備隊の訓練校の教科書にネロンガが載っている事が判明している。
尤も、授業で習った筈のZは名前すらうろ覚えであり、ゼロから「襲われた時はどう対処する?」と聞かれた時には、
「そこら辺を手当たり次第に攻撃しまくる」と答えていた。バカヤロー!!なんてヘタクソな戦い方だ!

映画『シン・ウルトラマン』では登場禍威獣の1体として選出された(通称「シン・ネロンガ」)。
別名は「透明禍威獣」。
本作では電気を吸うと姿が現れる性質が、「エネルギーを奪った上で巨大な姿を現して威嚇するため」と理由付けされている。
また透明になる能力についても可視光線を100%透過するが、熱源探知などでは発見・攻撃することが可能なので、
「なんだよ、透明の意味ねーじゃん」とダメ出しされ
「もし仮に生物兵器だとすれば(レーザー光線などに対する防御能力なので)もっと進んだ文明用だ」と推測されている。
+ ネタバレ注意
本作の禍威獣は在来種の生物ではなく、太古の昔に地球に遺棄された星間戦争用の生物兵器である。
パゴス、ネロンガ、ガボラなど、異なる禍威獣に類似する部分が見られるのは、
メタ的には原典でスーツを使い回したのと同じくモデリングを流用して負担を削減するためだが、
作劇的には共通する「雛型」のようなものから培養されたためであることが示唆されている。

+ 映像作品以外でのネロンガ
他にも一峰大二氏の漫画『ウルトラマン』では、記念すべき連載初回エピソードの怪獣として登場
(ウルトラマン初戦の相手は同話冒頭に登場する“深海人”が務めており、ネロンガはその二番手である)。
ネロンガ菌と呼ばれるアメーバの一種で電気を食べる性質を持ち、人間の生体電流をも捕食する。
集合体はガスのような状態なのだが、電気を食べることでネオンのように発光し、怪獣として実体化した。
最期はウルトラマンに折られた角から電気が流出、弱った所をスペシウム光線で撃破された。

特撮エース誌で連載された漫画『ウルトラマン THE FIRST』にも登場。
過去に退治されて古井戸で眠っていたが、ラゴンの出現によって眠りから目覚めた。
四足歩行のまさに獣のような動きで暴れ回り、原作に比べるとかなり強力な放電光線と透明化能力を使ってラゴンを倒し、
ウルトラマンをも苦しめた。

ちなみに『ウルトラ』シリーズと無関係だが、1966年に発行された小学館の『世界原色百科辞典』(怪獣図鑑ではなく正真正銘ただの百科辞典)では、
タイムリーなキャラだったためか、「特殊撮影」の項の説明でネロンガ(+手前の撮影スタッフ)は写真が載せられる厚遇を受け、
特殊撮影 怪獣(縫いぐるみ)が火力発電所(模型)を破壊するシーンの撮影 円谷プロ」と書かれていた。


この他、ネロンガではないが『ウルトラマンマックス』にはネロンガによく似た「牛鬼怪獣ゲロンガ」が登場した。
もともと『ウルトラQ』のパゴスを登場させる予定だったが当時の脚本家が亡くなっていたため、
「(パゴスと同様に)バラゴンの身体を持つオリジナルの怪獣を登場させる」という経緯でデザインされたという。
また、ゲロンガという名前は『Q』の未使用プロット「ゲロンガ対山椒ラウス」から転用されている
(執筆時点ではゲロンガはカエルの怪獣という構想であったようだが)。
このゲロンガは後に『ウルトラマンメビウス』の怪獣墓場の場面に現れるネロンガに改造され、
前述の『ウルトラギャラクシー』に登場したものはこれの流用である。

1991年のアーケード版ゲーム『ウルトラマン』にも登場し、
文字通り時々透明となってプレイヤーを惑わす他(透明になっても攻撃は当てられる)、やはり放電光線を撃ってくる。
残念ながら同ゲームのSFC版には登場しない。

+ その他ゲーム作品でのネロンガ
アーケードゲーム『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』には2007年12月稼働のEX5弾にてCGで登場。
透明化しての攻撃を持ち、角から放つ放電光線にも『暴君電撃』の技名がある。

KAZe製作のPS2用ソフト『ウルトラマン』に登場。
四足歩行の体形と透明化が特徴で、放電光線も四足歩行時と立ち上がり時の高威力光線の二種類が使い分けられる。
頭部側から掴んで投げ技を使用すると、顎に膝蹴りを叩き込んで角を折る特殊演出が発生する。
「怪獣天下モード」ではプレイアブルキャラとして使用する事も出来る。

ソーシャルゲーム『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』でも上記『大怪獣バトル』のCGを元にして登場。
原作を再現してか、保有スキルは回避した時次のフェイズ終了時まで攻撃対象にならず、運をアップさせる「透明化」、
継承スキルも「回避中アップ」、「回避大アップ」を両方持つなど、回避に特化した性能を持つ。
ただし、素の回避力が低いので戦力として採用されず、継承スキル素材として扱われる事が多かった


MUGENにおけるネロンガ

AC版ゲームドットを用いたものと、『ウルトラマン 光の国の使者』のドットを用いたものが存在する。

+ 這い寄る混沌氏製作 AC版ドット
  • 這い寄る混沌氏製作 AC版ドット
ウルトラ怪獣でお馴染みの這い寄る混沌氏による、1991年AC版ゲームのドットを用いたもの。2008年8月13日から公開開始。
現在はムゲぎこ氏によって代理公開されている。
古参のキャラなので、更新による仕様変更もあってかなり以前とは仕様が変化している部分も多い。
AIもデフォルトで搭載されている。ライフが半分以上だと半透明状態であり、半透明時は常時投げに対して無敵になる。
特に目立つような技はそれ程持っていなく、基本性能もあれやらそれやらこれやらに比べればかなり大人しい。
しかし、技の1つである「透明化」は画面から全く見えなくなり
しかもアーケード版と違って完全無敵状態になってしまっているため、これが発動した途端に手が付けられなくなる。
しかも画面に見えないという都合上、どこから攻撃してくるか分からない(CPU同士なら無意味だが)ため、
姿を現すまで持ちこたえられないと一方的にボコられてしまう。

なお、2010年7月9日の更新で透明化が「一時的に透明化」と名称変更されて通常必殺技扱いになり、
新たな超必殺技として「雷神の怒り」が追加された。
発動するとネロンガが真上に電撃を放ち、その後しばらくの間、一定間隔で画面中のどこかにランダムで落雷が発生するというもの。
タッグ戦では透明化しつつ敵の技を潰したりするなど、後衛に向いている。
プレイヤー操作(5:39~)

+ ステージや怪獣との相性について
前述のように怪獣の中では性能は大人しい方なのだが、AIが時々相手を壁際に追い込んで尻尾攻撃でハメてくることがある。
この尻尾ハメや、落雷の落ちる場所がランダムで、画面に表示される範囲が狭いステージの方が落雷が相手に当たりやすいなどが原因で、
横方向が狭いステージの方が強さを発揮できる場合が多い。逆にハメが嫌な時は横方向に広いステージを使うといいだろう。

怪獣としての強さはメガロテレスドンと同じくらいだが、
攻撃力や防御力は普通なので広範囲を攻撃したり飛び道具で攻撃できる普通の相手に苦戦することもある。
逆に半透明時に投げを無効化するため、投げ攻撃への特化が進んだ最新版のゴモラに対して有利である。
また、放電光線と「雷神の怒り」による落雷にアーマー殺しの性質があるのでアーマー持ちの怪獣に有利で、
k氏改変版のゴジラの1Pやスペースゴジラの2P、コダラーなどを落雷で倒してしまうことも珍しくない。

+ カーベィ氏製作 『光の国の使者』ドット
  • カーベィ氏製作 『光の国の使者』ドット
2021年に公開された、ワンダースワンの『ウルトラマン 光の国の使者』のドットを用いて作られたネロンガ。
氏曰く「ゲロンガを作成する際の副産物」とのことであり、CNSもゲロンガをベースにしたとのこと。
前述した這い寄る混沌氏版に比べて一般キャラ寄りの性能になっているのが特徴。
スプライトの関係で通常技は先に公開された氏のマグラーと似たようなものが多いが、
原作でもスーツ自体は同じなのでそこまで違和感は無い。
必殺技の「透明化」は這い寄る混沌氏と同じく一定時間画面から全く見えなくなる技だが、
無効になるのは相手の飛び道具のみであり、それ以外の攻撃は普通に当たるのが特徴。
超必殺技には「暴君電撃」「通電」など電撃を扱う技が搭載されている他、
『ウルトラマンR/B』で見せた、透明になって相手の頭上ボディプレスを行う「透明ボディプレス」が搭載されている。
また、7P以降は常に透明化状態となっている。

AIもデフォルトで搭載されている。
這い寄る混沌氏版とは戦わせる相手の強さによって使い分けるといいだろう。
参考動画

出場大会

出演ストーリー

怪獣王 王座復権への道
人造生物03RIA-紅
仮面ライダーMIOMEGA(第26話、27話後編、28話中編、29話前編に登場)
ネクサスまてぃっく(2017年エイプリルフール回の『バラゴンまてぃっく』に登場)

プレイヤー操作

ブリジットと遊撃の旅 part129 、這い寄る混沌氏製)


*1
せいえもん、すねえもん、とも。
モチーフとなったのは実在の戦国武将である鳥居強右衛門(とりい すねえもん)であるのだが、
山田正弘氏の執筆した初期稿「恐怖のネロンガ」にはこの下りは存在しておらず、
バルタン星人の生みの親でもある飯島敏宏氏がブラッシュアップしていく段階で、妖怪退治の講談をイメージして挿入された。
そのため読み方についても各メディア媒体で表記がバラけているのだが、本編および井上英沖氏の漫画を確認する限り、
ホシノ少年は「むらい つよえもん」と呼び、字幕、英語字幕でもそのようになっているため、これが正式名称と思われる。

ちなみに井上英沖氏の漫画版では井戸に続く洞窟の中でホシノ少年とフジ隊員が骸骨を発見、
その側に「村井強右衛門、怪物ネロンガを退治せり」と書き残されていた事で怪獣の正体が判明するという流れになっており、
この骸骨が村井強右衛門本人なのかどうかはハッキリとはしないが、どうやら此方では相討ちとなったらしい。
当時のネロンガがどの程度のサイズであったかは不明ながら、透明になり、電撃を操る怪獣を、
たった一人で井戸に追い詰めて封じたのだから、相討ちといえど快挙であることに間違いはない。・・・・強い漢だ。


最終更新:2023年07月21日 16:56