めくり


レバーでガード操作を行う作品において、ジャンプで相手の背後に飛び越えつつ攻撃をし、ガード方向を狂わせるテクニックの事。
現在ではジャンプに限らず、相手と左右の位置関係を入れ替えながら攻撃を出す事全般がめくりと呼ばれる。

名前の由来は元ゲーメストライターのVMT-DANという人物がこの動作を「背中の皮めくり」と表現した事から
(『スーパーストリートファイターII スーパー増刊』より)。
ちなみに元は『ストII』を対象にした用語で、SNK格ゲーの雑誌や攻略本では「裏回り」という名で表現されていた事があり、
特に1990年代のSNK格ゲーマーには「めくり」と言ってもピンとこない人もいる。
また、本来の由来とは意味が異なるが「本のページをめくるように相手を飛び越す」と紹介される事も稀にある。
英語圏では「CROSS UP」と呼ばれる。

めくり攻撃をガードするには通常とは逆方向(自キャラが向いていた方向)にレバーを入れる必要があるため、
右から左、左から右へとレバーを倒す間の一瞬ニュートラルになる瞬間に攻撃をヒットさせたり、
内部処理(セルフディレクション)でガード方向が再認識されるまでのタイムラグを利用して攻撃をヒットさせる事でガード崩しが狙える。
また、単純にガード方向が通常とは逆になるため幻惑効果もあり、普通に表から当てる攻撃とめくり攻撃を混ぜる事で択一攻撃が成立する(所謂「表裏二択」)。
場合によっては見た目は通常なのに前・後判定の内部処理上では逆状態になる事もある。

相手の背中側から攻撃を当てる必要があるため、めくりに使う空中技は通常「攻撃判定の横幅が広く、下方向に強い技」である事が条件となる。
中には八神庵の「外式・百合折り」のように明確に背中の方向にしか攻撃判定が無い、所謂「めくり専用技」のようなものもある。
成功すると相手が自分側(相手の背中の方向)に仰け反るため、
ヒット硬直の長い技でめくった場合は着地後に密着からの連続技を狙う事ができ、リターンが非常に大きい。
ただし、ボタン式のガードを採用するゲームや手動で振り向きを行うゲーム(背後方向からの攻撃に完全に無防備なゲームを除く)では当然成立しない*1

基本的には相手を飛び越す事が出来るジャンプ後の空中攻撃に対して使われ、地上におけるめくりは作品によるが例が少ない。
例えば牙神幻十郎の「三連殺」のように、相手とすれ違いながらの突進攻撃を出す事でガード方向を惑わす事が出来る特殊な技や、
技そのものがすり抜ける事が出来なくても、相手がダウンした時に接触判定や食らい判定が消える事を利用し、
攻撃判定の背中側を起き上がり直後に当てるなどといっためくりの手段があったりする。
他にもバージルの「疾走居合」は本体に攻撃判定が無く、相手をすり抜けた後で後ろ側にのみ攻撃判定が発生するという珍しい「地上めくり専用技」である。
まぁこんなものがポンポン実装されてしまったらバランス調整が難しくなる為、当然とも言えるのだが。
ちなみに、ワープや前転などで相手の背後に移動した後に攻撃動作を行う、といった形態の技の場合、
「めくり技」と呼ばれるか「裏回り技」と呼ばれるかはケースバイケースのようだ。

概念としては『ストII』からあったものだが、スタッフが意図して入れたものではなかった。
プレイヤーの研究によって発見され、以降のゲームでは(特にジャンプからの攻めを重視したゲームでは)意図的にめくりに適した技が設定されている事も多い。


MUGENにおけるめくり

MUGENではガードを含む全ての左右への入力の認識は自キャラの向きに準拠で固定されているため、所謂逆ガードは存在しない。
よってプレイヤー操作時には、原作ではめくりになる位置関係でもキャラクターの見た目の向きに従った入力をしていれば良いのだが
(原作の事は忘れ見た目の向きに従った入力をしなくてはならない、という事でもある*2)、
AIに関してはめくられたキャラはinguarddist=0の状態になってしまうため、本体がinguarddistを使うだけのAIはめくり攻撃への対処を苦手としている。
これに関しては、常時キャラクター本体の前後にヘルパーを出しておき、
本体のinguarddistが無効かつ前方に出したヘルパーのinguarddistが成立し、
本体が相手の背後にいて、本体と相手の向いている方向が同じ時にガードする事で対応が可能。
以下記述例。helper(20000)は本体の前方に出したヘルパー。

[state -1, ガード]
type = changestate
value = 120
triggerall = var(59) > 0;AIフラグ
triggerall = ctrl
triggerall = stateno != [120,155]
trigger1 = inguarddist;本体のinguarddistによるガード
trigger1 = random <= xx
trigger2 = !inguarddist
;めくられた時の条件には、本体のinguarddistが無効である事を加える。仕込んでおかないとガードが固くなりすぎやすい。
trigger2 = helper(20000),inguarddist
trigger2 = enemy,p2dist X < 0 && facing = enemy,facing;本体が相手の背後にいて、本体と相手の向いている方向が同じ時
trigger2 = random <= xx

また、120、130、131ステートのガードの解除条件として、
[state 120, ガード解除]
type = changestate
triggerall = var(59) > 0;AIフラグ
trigger1 = !inguarddist
trigger1 = !(helper(20000),inguarddist && enemy,p2dist X < 0 && facing = enemy,facing)
value = 140

ただし上記の記述では、タッグ戦や、相手が設置飛び道具を使った時に過剰にガードしてしまう事があるので、適宜条件を緩めておいた方がよい。


関連項目



*1
この手のシステムを採用したゲームにおける特殊な例としてスマブラがあり、
本作ではボタン入力によるガード方式であり背後でも攻撃をガード出来る為、格ゲーのような「ガード崩しとしての」めくりはやはり存在しない。
しかし、ガードキャンセルで取れる行動(地上投げなど)が大体前方向にしか機能しない為、敢えて相手の背中側から攻撃をする事により反撃を受け辛くするテクニックが存在し、
これもスマブラにおいては慣習的に「めくり」と呼ばれている。

*2
余談だが、キーボード操作の場合はスティックやパッドでは不可能な左方向と右方向の同時押しが可能で、
これをやると左右の揺さぶりを完全に無効化してしまえる(また、タメ技を溜めたまま自由に移動出来たりする事も)。
『格ツク』でも同様の問題が存在するため、『ヴァンガードプリンセス』では左右を同時押しするとガード耐久値とゲージが急激に減るという措置が取られている。

その為、アメリカで行われた「ComboBreaker 2019」と言う賞金付きの大会では、
「ヒットボックス」(厳密にはそれに特殊な回路を組み込んだ「ガフロコン」)と呼ばれるキーボード型コントローラーが同じ理由で制限された事が話題になった。
日本では主に「ヒットボックスに反対していたはずのウメハラ氏が使うと宣言した直後だった」という理由で


最終更新:2024年03月16日 21:10
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