スラりん


「ぷるぷる、ぼくわるいスライムじゃないよう」

エニックス(現スクウェア・エニックス)のRPG『ドラゴンクエスト』シリーズにおける敵モンスター。
「スラりん」という名称はスライムが仲間になった時に一匹目にデフォルトで付く名前
シリーズによっては名前が全てカタカナの「スラリン」になっていたりもする。
ちなみにナンバリングで仲間になるのは『V』とSFC版『VI』(DS版ではイベントで仲間になる「ルーキー」のみ)と『VIII』である。
またシリーズではイベントに関連するようなスライムには、雑魚モンスターとの差別化の為にこのニックネームが付けられる事が多い。
『スライムもりもりドラゴンクエスト』(以下『スラもり』)では主人公のスライムのデフォルトネームになっている。

『V』を元にした作品であるCDシアターと『ユアストーリー』ではCVが付いており、前者で 佐久間レイ 氏、後者では 山寺宏一 氏が演じている。

+ スライムに関するトリビア
本来スライム(slime)には「泥状・粘液状のぬるぬるとしたもの」という意味があり、
転じてそのような性質・状態を持った架空生物や玩具・教材も指す。

架空生物のスライムの祖先は、1931年にH・P・ラヴクラフト(クトゥルフを生み出した小説家)によって書かれた
小説『狂気の山脈にて』に登場する人工生物「ショゴス」だと言われている。
そして1953年にJ・P・ブレナンが発表した短編小説『スライム』において、この不定形生物に初めて「スライム」の名が与えられた。
そう、スライムは比較的最近になって生まれた存在なのだ(そもそも1674年にアメーバ等の微生物が発見されるまでは誰も思い付けなかったとされている)。
この頃は「貪欲で得体の知れない怪物」というイメージで書かれていた。
1976年(アメリカ製。日本は2年後)には「スライム」と言う名前の玩具が発売されて、そのベトベト具合を楽しまれたりもした
(1985年には家庭の材料で作る方法も発明されている)。

その後1974年に出版されたテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場したスライムは、
等の特徴を持つ、かなり厄介な生物という側面を持っていた。
その後『ウィザードリィ』(1981年)などのコンピュータRPGにて、プレイヤーが比較的ゲームの初期に出遭う非常に弱いモンスターとして登場。
当時は細かい特性を持たせる技術も容量も無かった為、単に殴るだけで退治出来るようになっていた(幽霊も殴り倒せるぐらいだし)。
日本では『ドルアーガの塔』(1984年)で最初に最弱モンスターとしてスライムが設定され、「スライムは弱い」というイメージを定着させた。
だがドルアーガ版は「移動中は無敵」という特性も併せ持ち、最強装備の慢心したプレイヤーを倒す事もあったため、
「スライムこそが最強」とも言われたりも。最弱が最も恐ろしィィ――――――ッ!!
そして日本ではテーブルトークRPGよりもコンピュータRPGの方が先に有名に成った事もあり、
スライムは「弱いモンスターの代名詞」のように扱われるようになっていった。

こうして「弱いモンスター」として冒険を始めたプレイヤーに狩られる存在として登場し続ける事が多かったスライムだが、
『ドルアーガ』ではではアメーバ状の物体ではなくグミ状のプルプルとした姿、
更に初代『ドラクエ』(1986年)では水滴状の体形に大きな丸い目と笑っているかのようなU字型の口という、
親しみ易いコミカルなデザインで登場し、その後のスライムのイメージに大きな影響を与え、
スライムが元来持っていた「ベトベトとした汚らわしいもの」というイメージが払拭され、「 ぷにぷにとしたかわいいもの 」に変化していった。
これ以後スライムは人類の敵としてだけではなく、新たな隣人としても扱われるようになっていくのである。


『ドラゴンクエスト』シリーズにおけるスライム

シリーズ皆勤で、本作の顔とも言うべき存在。
冒険の初めに出会う事になる最弱モンスター(『VI』を除く*1)であり、『V』『VII』『VIII』『IX』では強制エンカウントとして必ず出会う。
雑魚モンスターとしての性能はほぼ通常攻撃一辺倒であり、呪文や痛恨の一撃といった器用な事は出来ない。
ステータスも軒並み低い為、初期レベルで武器を装備していなくても快勝出来てしまうのがしばしば。
所持金や経験値も雀の涙なので、集団でもない限り戦ってもそれ程意味がない。

しかしゲーム内でのコミカルなモーションやマスコット的な可愛らしさ、親しみ易さから、人気の高さは他のモンスターの追随を許さない。
その人気からかモチーフになっているグッズ、更には単独主役となっている作品もいくつかあり、
「『ドラクエ』シリーズのマスコット」として非常に貢献している。
単独主役作品は最古のものとしてVジャンプ連載の漫画作品『スライム冒険記』があり、
以降もVジャンプにて同作者のスライム主役漫画が連載され、令和の現在も最新作が連載中。
コンシューマゲームでは、そのスライムシリーズの作者である、かねこ統氏キャラデザインの『スライムもりもりドラゴンクエスト』が発売されている。
2008年にオリコンが調査した「好きなTVゲームのキャラクター」では、ピカチュウと同列の4位に位置している。
ファミリーマートで発売されたスライム肉まんが、わずか1週間で100万個が完売してしまったというのも納得のいく話であろう。

スライムをベースとしているモンスター全般は『ドラゴンクエストモンスターズ』以降「スライム系」と呼ばれ、
初代『DQ』からそのバリエーションは豊富である。
一例を挙げると、
等々、外伝作品も含めて全部紹介するとキリが無い程で、現在もその数を増やし続けている。
また、メタルスライムはぐれメタルなどは更に細かく「メタル系」に分類されたりする。
意外にも、全作品に皆勤しているのはスライムとメタルスライムだけである。
これはスライム系のみならず、ナンバリング作品に登場する全てのモンスターの中でも他に例が無い。
恐らくこれからも皆勤が途切れる事はないだろう。
敵モンスターだけではなく、ペットとして飼われているスライムや洞窟や町中に人間の言葉を話すスライムがいる事もあり、トップの台詞はその代表的なもの。
この喋るスライムはシリーズの定番として登場しており、上述の台詞と共に有益な情報が得られる事もある。

仲間モンスターとしては「すばやさ」が伸びやすく、補助系の呪文を中心に覚えるのでサポート役に適している。
ちなみに仲間モンスターシステムが初登場した『V』以後のシリーズでもスライム系は素早さに優れている事が多い。
なお、最後まで育てきると「しゃくねつ」等強力な技を覚えるというパターンが多く、
『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズでは最強クラスの攻撃呪文「マダンテ」を覚える事が出来る。

上記の『スライム冒険記』の主人公、「スラきち」は「仲間モンスターとして勇者に同行していた」という設定で
連載当初から同族はもちろん、魔物の中でも上位の強さであり「しゃくねつ」も使用可能、更には勇者の装備を纏うこともできる。

主人公の座を射止めた『スラもり』シリーズでは仲間モンスターの時のように呪文は唱えられないが、
身体を伸ばした反動で高速で体当たりする「スラ・ストライク」という技を持つ。
あまりに強力な技のため、使える者は限られているらしい。のちに『VIII』や『バトルロード』にも輸入されている。

アーケードカードゲーム『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』においては全体的に「すばやさ」以外の能力は低めだが、
会心の一撃が出やすい「スラ・ストライク」、
相手の命中率を下げる効果のある全体攻撃「ミラクルフラッシュ」と技の使い勝手がよく、使える部類に入るモンスターである。
また、合体モンスターの素材にもなっており、スライムベス、メタルスライムと組むとキングスライム、
ももんじゃ、プロトキラーと組むと勇車スラリンガルに変化する。

モンスター物語ではスライムは大きな湖の中で誕生した単細胞生物で、湖から東西南北に分かれて旅立ったスライムが様々なスライムに変化している。
育成型万歩計『ドラゴンクエスト あるくんです』ではこうした環境適応による変化が再現されている。
何故かドラゴンに進化したりするが

大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』では、DLCキャラクターとして参戦した勇者のアピールや勝利ポーズの他、
同じくして配信されたステージ「天空の祭壇」に背景キャラとして登場している。


MUGENにおけるスラりん(スライム)


MUGENではsylphyne氏(しるひー氏)によるほぼ手描きキャラとして参戦。
モデルはピエールの下の奴らしい。緑色なのは恐らくそのため(キャラ付属リドミ参照)。
(ピエールとはドラゴンクエストのモンスター、スライムナイトの一匹目の名前。間違ってもブレイカーズアレでも
 ファイターズヒストリーコレでもない。また、任天堂集英社とも何の関係も無い)
ちなみに、sylphyne氏は他にも爆弾岩のロッキーDQIIの勇者3人組、ゴーレムのゴレムスも作っていたが、
現在は2016年11月のniftyのアットホームページ終了によるリンク切れでスラりん含め全て入手不可。


通常技では特殊な剣などの色々な武器を使いこなし、必殺技では「ニフラム」や「不気味な光」などの魔法及び特技を使用する。
お前、どこからそんな武器出してんだ?四次元ポケットでも持っているのか?・・・・すごいスライムだ。
超必殺技には、スライムナイトになったり、灼熱炎を吹いたり、スライム族の仲間を呼んだり出来る。
なお、通常の「スラりんモード」とは別に、スタートボタン同時押しでメタルスライムになる「メタりんモード」がある。
こちらはメラ系やすばやさを生かした体当たりを使える。

ちなみに息子君の「スクルト」に対応しており、一緒に防御力がアップするようになっている。
また、イントロと勝利演出にも息子君娘ちゃんが出て来る模様。

AIは当初未搭載だったが、AIの製作に定評のあるうp主による自作AIが搭載され、この大会に出場した。
また、marktwo氏によるAIパッチも公開されている。

出場大会

+ 一覧
シングル
タッグ
チーム
その他
削除済み

出演ストーリー



*1
では『VI』における最弱モンスターは何かというと、「ぶちスライム」である。やっぱりスライム系なんですね
見た目は黄色い身体に茶色の斑点がいくつかついており、普通のスライムより一回り大きいとされる。
スライムが自分より弱いモンスターを夢見て生まれた存在という有名な噂がある。
+ ぶちスライムの噂
元々は、ぶちスライムが夢の世界のみ、スライムが現実世界のみにしか登場しない事から、
「ぶちスライムは現実のスライムが夢見たスライムより弱いモンスター」であるという噂が流れていた。
しかし、上記への反論として「上位種のぶちスライムベスとぶちベホマラーは現実世界に出てくる」上に、
「ぶちスライムベスは普通のスライムベスとは比べ物にならないくらい強い」という事実が存在していた。

ところが、現実世界に登場する「ぶちスライムベス」の出現地域であるロンガデセオ周辺には、
何故かレベルが場違いに低い「スライム」も出現するため(※ただし敵グループ自体は別)、これを受けて、
「現実でぶちスライムベスにいじめられていたスライムが「あいつらなんか僕らより弱ければいいんだ!」と妄想した事で生まれた」
(=現実のぶちスライムベスの姿を元に夢で最弱ぶちスライムが生まれた)というもっともらしい考察もよく流れている。
例えるならジャイアンにいじめられたのび太が夢の中でジャイアンに仕返しするようなものである。
上記のいずれも公式に明言された訳ではないため実際の真相は明らかではないが、夢のある話である。

スーファミ版『Ⅵ』では仲間にならないモンスターだったが、漫画版では主人公ボッツの最初の仲間として登場。
「キズブチ」と名付けられ、最終決戦まで付いて行く事となる。
後に発売されたDS版ではその影響を受けてか、「ぶちすけ」という名前のぶちスライムを仲間にする事が出来る。
そのため彼を「キズブチ」に改名した人も多いとか。




最終更新:2023年11月27日 12:44