パワーウェイブ


"Rock you!!"

テリー・ボガードが使う必殺技の一つ。パワーウェーイ(0w0)ではない。
気を纏った拳を地面に叩き付け、地を走る気の塊を相手に向けて放つ飛び道具

元ネタは『仮面ライダーストロンガー』(1975年)の「エレクトロファイヤー」であるとも言われているが、
ストロンガー以前から「忍法・火走りの術」(爆炎龍の元ネタ)と言うものが存在する。
ゲームに限ってもデス=アダーがベルトスクロールアクション時代(1989年)から使っている。
まぁいずれも「気」ではないが(ストロンガー:電気、火走りの術:火(油を染み込ませた縄)、デス=アダー:衝撃波)。

リュウ波動拳の様に空中を飛ぶスタイルと、テリーのパワーウェイブの様に地を這う(走る)スタイルの二種が「飛び道具」と呼ばれる必殺技の主な種類となる。
より細分化すると、空を飛ぶスタイルには射角が仰角を向いている「先読み対空」タイプ、打点が高い「ジャンプ防止」タイプ等様々なものがある。

SNK格ゲーの場合、割とこの地を這う飛び道具を使うキャラクターが多く(ギース・ハワード草薙京etc.)、同社格ゲーの特徴の一つとも言える。
その軌道の低さ故、空中を飛ぶ飛び道具と相殺しない場合があったり、ジャンプはもちろん、一部の通常技でさえもかわせるという特徴がある。
ただしジョー東のハリケーンアッパーのように、技によってはこれに当てはまらない場合もある
(そもそもハリケーンアッパーは弾の大きさだけなら覇王翔吼拳並みにデカい)。
また、これらは見た目的に下段ガードでないと防げないと思われがちだが、『餓狼』や『THE KING OF FIGHTERS』では上段ガードでも防げるものとなっている
(逆に『龍虎の拳』では上段ガード不可。ギースが『龍虎2』に出演した際も烈風拳がこの仕様だった)。

また、『ロックマンエグゼ6』にも同名のプログラムアドバンスがあり、この技のリスペクトだと思われる。


詳細

初代『餓狼伝説』では数本の気の柱が連なって移動し、『餓狼2』以降は一塊の気が地面を走るようになった。
例外として、『KOF'96』から『'98』(の表)の様にせり上がる様に気が滑走し、途中で消失するタイプもある。
技を放つモーションが「拳を振り上げる→半屈みで拳を地面に叩き付ける→起き上がる」
という手順で行われる為、波動拳の様に立ったまま放つタイプと比べると動作が大きい。
その為、飛び道具の撃ち合いになると競り負ける事もしばしば。
なお、前述の技の態様から「ぷ.山.」というAAがある。半濁点をテリーの頭として考えると分かりやすい。

ヴォルフガング・クラウザーの額の傷はジェフのパワーウェイブを受けたことによるもの」という公式設定がある。
詳細は彼の項目にて。


派生技

ラウンドウェイブ

初出は『RB』。パワーウェイブの様に地を走らず、その場に気の塊を発生させる必殺技(『RB』だけは少しの距離だけ走る)。
パワーウェイブよりも出が遅いが、『餓狼』シリーズなら別のラインにも判定があったり
KOF』シリーズならこの技をキャンセルして別の必殺技を出せる
(『CVS1』で、裏モードテリーの使うパワーウェイブは、性能はラウンドウェイブに近い。
 悪咲3号氏の『CVS2』テリーではラウンドウェイブとして追加されている)。

パワーゲイザー


初出は『餓狼2』。パワーウェイブより更に気の放出を高め、巨大な間欠泉の様に放つ超必殺技
その形状からタイミング次第では対空ともなり、作品によっては無敵時間があるので割り込みやリバーサルにも使える。
技を放つ際のモーションがパワーウェイブ以上に大振り(初期の『KOF』は例外)なため、超必殺技の暗転処理が無いゲームでは連続技に組み込む事が出来ないが、
暗転があるゲームではその時間内で大振りなモーションをカバーでき、連続技に組み込む事が出来る。
この技の強化版として、3連続でパワーゲイザーを放つ「トリプルゲイザー」があり、こちらは主に潜在能力やMAX超必殺技として扱われる
(『SVC CHAOS』や『CVS』ではその中間の「ツインゲイザー」が存在する)。

なお、例えば日本では大塚食品が販売するミネラルウォーター「クリスタルガイザー」がそうであるように、
間欠泉を意味する英単語「GEYSER」の英語発音に近いカタカナ読みは「ガイザー」なので、
厳密には「ゲイザー」は誤った読み方と言わざるを得ないのだが、特に問題なく浸透しているためそのままとなっている。
現在ではあちこちで「ゲイザー」が間欠泉の意味で使われているくらいであり、
特にゲーム分野においてはキャラクターが地面に手を当てることで何かを吹き出して攻撃する技が、
「○○ゲイザー」といった具合にファン間で通称されることも珍しくないほど(例:親父ゲイザー南斗ゲイザー)。

他にゲイザーと言うと「凝視する/注視する/見つめる」といった意味を持つ単語「gaze」を行う者「gazer」の方も広く使われており、
監視役・警官という意味だったり、視線攻撃を繰り出す奴の名前に使われている。
また「スターゲイザー(stargazer)」と言うと「星をみるひと」、すなわち天文学者や宇宙に夢を望む人といった意味になり、
その名を関したモビルスーツが登場する『ガンダム』シリーズの外伝作なんかもある。
ついでに、『星のカービィ』シリーズに登場するコピー能力「ヨーヨー」で使用可能な技の一つ「ゲイザースパイラル」は、
海外版では「Gazer Spiral」と訳されているのだが、技の内容を見るに「Geyser Spiral」とするのが正確だろう(「gaze=見つめる」要素が無いし)。

ハイアングルゲイザー

初出は『KOF'97』。ショルダータックル→ジャンピングアッパーからパワーゲイザーを叩き込む超必殺技。
MAX版は最後のパワーゲイザーが複数連なったものになる。
こう書くとパワーゲイザーより威力がありそうだが、最後のゲイザーの威力が通常より落ちているため、
実際は通常のゲイザーとダメージはあまり変わらない。
『'97』では画面端に相手を追い詰めた状態でこの技を決めると最後のゲイザーが空振りするが、
『'98』以降はこのようなことは無くなった(ただしMAX版はそれでも全段ヒットしない)。
本来この技は『KOF』と『RBDM』のみの技であるが、MUGENではアレンジとして本来使えないバージョンにも付け加えられている場合がある。
(悪咲3号氏のCVS2仕様やGM氏のMOW仕様など)
余談だがこの技、搭載年の手持ち必殺技ラインナップと動作の流れのせいで既存モーションのつぎはぎだけで作られた物だと誤解されがちだが、
跳び上がり切るまでの動作は全て固有モーションとなっているので誤解の無いよう(技後半はパワーダンク→ゲイザーの流用)。
ただし『RBDM』だと前半もパワーチャージからパワーダンクの膝蹴りと完全に流用であるが…まあ家庭用のオマケ要素なんでご勘弁を。
ちなみに『KOF'96』の時点でも没技として内部に残されており
この時は固有モーションがなく最初もタックルではなくただのダッシュであった。
つまり『'97』でわざわざ固有モーションが描き下ろされたのだ(パワーチャージも同時に実装したにも拘らず)。
…と考えるとさすがSNKの顔役らしい優遇と言えるだろうか。


余談

『MOW』で「バスターウルフ」を会得するまで、テリーの超必殺技は上記のようなゲイザー系のものばかりだった。
尤も、バスターウルフも原理はパワーゲイザーと同じであり、地面に拳を叩き付け噴出させるか、相手に拳を叩き付け直接ぶち込むかの違いではあるが。
技の内容的にはゲイザー系の派生なのだろうが、基本的に「ゲイザー系=気柱系の技」という認識が大勢を締めているので、そう呼ばれる事はまず無い。
実際、『RB2』辺り('98年頃)での実装案として「ゴッドゲイザー」なる仮名があったことが判明しており(元『餓狼』スタッフの小田氏のツイートによる)、
これがそのまま採用されていたらゲイザー一辺倒な印象は今なお続いていた事だろう…。正直改名して正解である。

ちなみに気柱系の技もSNKが元祖であり、黎明期においてはゲイザーの他にスクリューアッパー・レイジングストームなどもそれに分類されていた。
これは回り込みや2ライン等の回避手段に富むゲームの多いSNKと
基本的にジャンプ以外に回避手段の無いゲームの多いカプコンとの傾向の違いから当然の結果と言える。
縦に長い飛び道具はジャンプで回避し辛いため実装されることが無かったのだと思われる。
代わりにカプコンでは上下に撃ち分ける「タイガーショット」や
ボタンで軌道が変化する「ソルスマッシャー」等のジャンプ防止としての飛び道具が発展していった。
この違いは二社間のゲーム性の違いにも大きく影響し、特に『KOF』は多彩なジャンプと強力なジャンプ攻撃を持つキャラの多いバッタゲーに、
ストリートファイター』は逆に地上での牽制戦から相手プレイヤーの隙(ゲーム的な硬直ではない)を窺い、
意表を突いて飛び込むのが主となる刺し合いゲーの方面に発展していった。

+ うっおおーっ!!パワーゲイザーッ!!!!
コミックボンボンで連載されていた細井雄二先生の『餓狼伝説』(通称:ボンガロ)では、「パワーウェーブ」と表記されている。
作中ではダック・キングマイケル・マックスに一発ずつ使用。マックスに一流のディフェンスで無効化されて以降は使っておらず、
リーチの差で不利だったビリー・カーン戦でもパワーウェーブではなく石を投げての目潰しという暴挙に出ている。
また「パワーウェーブアラウンド」「パワーゲイザースペシャル」なる技が存在している。
これらはボンガロのオリジナル技であり、原作のゲームには存在しない。
……が、このパワーウェーブアラウンド、ラウンドウェイブにそっくりな技なのだが、実はラウンドウェイブより登場が早い。
SNKから追加予定の技を聞いていたのか、それともSNKが漫画から逆輸入したのかは今なお闇に包まれている。
また、デラックスボンボンで連載されていた石川賢先生の『餓狼伝説 戦慄の魔王街』ではパワーゲイザーを直に脳天に叩き込むという暴挙に出ている。
これもパワーダンクにそっくりだが『餓狼3』以前の漫画である。経緯が(あるのかどうかも)謎に包まれているのも同様である。


"Livewire!! Go bang!!" *1


関連項目



*1
「Livewire」(ライブワイアー)とは「ギンギンだぜ!」とかそんな意味(旧SNKのMOW公式サイトQ&Aより)。
ちなみに『スーパーマン』にも同名のヴィラン(悪役)が存在する。


最終更新:2023年05月09日 21:15
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