超反応

広義には、おおよそでは知覚不可能な事態にも一瞬で対処し得るとんでもない反応を指す言葉。
格ゲー界では、主に接近してきた相手に対して対空技やコマンド投げといった必殺技
又は超必殺技を使って迎撃する際の驚くほど素早い反応を指す。
また相手の超必殺技などに対し、瞬時に暗転返しや発生開始時に無敵のある技で反撃する事も「超反応」と言える。
しかし、用語として成立した経緯を踏まえると、この「広義の超反応」は拡大解釈による 誤用 であろう。
非常にあいまいな意味合いになってしまっていて、 個々人で受け取り方が大きく食い違う のは問題があると言わねばならない。
特に暗転返し等はゲームによっては必須テクニックとされる場合があり、一概に「超反応」に含めてしまう事は危険である。

狭義には、人操作の限界を超えた反応速度で敵の技に反応して迎撃するというAIの特性を言う。
初出は『龍虎の拳2』のアーケードモード。と言うか、格ゲー黎明期のゲームの高難易度は大抵これ。
当時の格ゲーのCPUには回転率を向上させインカムを上げるために、アルゴリズムの一部として「超反応」が設定されていた事が多かった。
だが「反応が過敏になる分、特定の行動に特定の行動を返す」という動作が多くなるため、一定のパターンにハメる事が容易になる等の弱点がある。
このため、当時は「CPUのパターン研究」が頻繁に行われていた。中には低難易度だと行動が不安定になって、逆に難易度が上がるゲームもあった。
そういった事から対義語となるのが「AI殺し」であり、超反応するならそれを逆手に取り、騙し討ちする戦法が有効な対抗策となる。

プレイヤー操作の場合「相手の接近を確認→コマンド入力→発動」といったラグが生じるため、ある程度の読みやパターン慣れが必要である。
だが、AIになると完全にプログラミングされているため先読みやコマンド入力といったものも必要なく、的確な状況で正確に迎撃してくる。
そのため人間ではほぼ不可能なタイミングで技を発動し、超反応を簡単に見せてくれるAIも結構存在する。
この点が「AIが人操作に比べて強い」とされる要素の一つと言われる。

ちなみに超反応とは関係ないが、コマンド入力が一瞬と言う事が間接的に影響して、
超高速レバガチャで一瞬にして気絶から回復したり、ボタン連打でダメージアップする「つかみ投げ」で5~10割とかいう現象も発生する。
また、AIのみ溜め技に溜めが必要ない」という特性が付いている事があったりもする。
有名なのはやはり初代『スト2』(特にSFC版高難易度)の歩きサマー即死ヨガ折檻だろう。
また、初代餓狼伝説のギース・ハワード当て身投げ「相手が打撃してきたら、超反応でコマンド投げを使って潰す」というAIの動作が、
あたかも「こちらの打撃を掴み取り、逆に投げ飛ばすという技」の様に見えるという誤解(少なくともギースをプレイヤーが操作できる初代の移植版はこのコマ投げ仕様しかなかった)なのだが
投げる際に「受け止めた」と見えるように一瞬動きが止まる事、当時としては珍しくジャンプしている(飛び蹴りしてきた)相手を投げられた事から「ギースはこちらの攻撃を受け止めて返す」というイメージが定着し、
以後の作品ではこっちの仕様で使えるようになって、対戦格闘ゲームの必殺技、駆け引きの概念に「当て身投げ」の存在を植え付けたという例もあったりする。


MUGENにおける超反応

現状で「強いAI」と言われるAIには必ずと言っていいほど搭載されている
(技術的には、何も考えずにAIを作ると超反応になるのが普通。超反応を避ける為には、反応速度を抑制する記述をわざわざ組み込まなくてはならない)。
相手が行動を起こしたのを確認してからこちらの行動を判断する、所謂「小足見てから昇竜余裕でした」を文面通りにAIに実行させるものであり、
使い方次第で容易に凶悪AIを作る事が可能。
オズワルドの「10・J・Q・K・A」や、ゲーニッツの「ЯМИДОКОКУ(やみどうこく)」などの超反応迎撃は動画でもよく見受けられる。

確かに強力な行動ではあるのだが、超反応故に無敵状態での接近や無敵が長い技の出がかりにも反応してしまい、
ゲージの無駄遣いやパターンにはまって負けてしまう、AI殺しに引っかかりやすいと言う欠点もある。
超反応出来るからといって、あらゆる敵に勝てる無敵の万能キャラにはならないのである(p2Nameも併用する事で、かなり近い形には行けるが)。
しかし、昨今のAIは作者の経験則から来るトリガー記述量の増加とそれに伴なう判断力の上昇から、
そういった行動に引っかからないものが多く、プレイヤー操作で挑むのは非常に苦しい。
さらにはHitdefAttrやmovecontactで相手の攻撃判定が出たフレームを学習し、
それより攻撃発生の早い技で潰すといった高度な事もやってのけるようになっている。

発生が早ければ無敵技である必要がない、高火力コンボに行きやすい、なんらかの理由で空振った場合も隙が小さいなどの利点も多いが、
無敵が付かない分リスクも多く、飛び道具と同時に来た場合当たってしまう事や、無敵技に逆に潰されてしまうなどの問題点もある。
昨今では使うAIが多くなっており、当初は記憶する技の数が少なく肝心な技の発生を覚えられないといった事があったり、
技の属性を覚えられず、当身がそのまま喰らう事や一部属性無敵を上手く使えなかったりしたのだが、
後に技属性も記憶するようになり、学習数も増加してきている。
平成㌢氏のAIに至っては80個(相手が二人の場合一人につき40個)といった脅威の数の学習装置が搭載されている。

また相手の超反応行動に対して、空キャンで無敵技を振るAIも存在する。
相手の無敵の長さによっては空キャンで出した無敵技も潰されてしまうが、
何もせずに潰されるよりは空キャン無敵技を振った方が得な事が多いので、リスクに対するリターンは単純な超反応よりも高め。

AI作者によって超反応を良しとしない考えの人もいれば、超反応含めてのAIと考える人もおり、
作られるAIも「人操作で可能な範囲で動くように作られたAI」「システム的な弱点を補う等の理由で、部分的に高精度の超反応を使用したAI」
「対人での「読み」の如く、低精度で超反応を仕掛けるAI」「常時、人の域を超越した動きをするAI」と様々であり、それぞれ用途がある。
そのため、超反応スイッチや最高レベルのみ超反応など難易度別に分けられているAIパッチも多く存在する。
レベル制AIでは、ほぼ標準装備と言っても過言ではないだろう。レベルが1~11まで存在し、最高の11のみ超反応、といった形が多い。
最近では超反応AIが多くのキャラに搭載されるようになってきたため、
「超反応による無敵対空技を誘うような動きをする」ような、対超反応用AIも出現するようになってきている。

当然の事であるが、前述のような例外はあれど「超反応ありAI」と「超反応なしAI」が戦うと、超反応で完封する一方的な展開になりやすい。
そもそも前提とする条件が違いすぎるので、これを元にキャラ性能を語ったりするのは避けよう
また動画作者も、無駄に荒れないようにするためにAIレベルとそれに伴う超反応の有無、
特に「読み」や「まぐれ当たり」とは言えないような露骨且つ高精度で超反応する場合は、はっきりと記しておいた方がいいだろう。
当然ながら、そのAIで強すぎたり弱すぎたりしないかという大会全体の調整もお忘れなく。

上記のように超反応ありとなしの差は大きく、原作に近い性能のキャラでもMUGENにおける凶~狂クラスのキャラに勝ってしまう事もある。
しかし、スーパーアーマーガードポイントを持つキャラクターは相手の超反応を予想した上で、特定の技を出すようなAIにしている事もある。
さらにはシステム上、ほとんどの超反応攻撃をガード・反撃させる事が可能なシリーズも存在する。
超反応AI同士の対戦はこういった事に留意し、納得した上で見るのが望ましいだろう。

参考動画

+ 別の意味での「超反応」
相手の行動に対して何かのアクションを起こす「超反応」が取りざたされる事が多いが、実は「アクションを起こさない超反応」というものも存在する。
AI戦で無敵技以外のカウンターヒットが少ない一因にもなっており、極端な例では
「相手が攻撃中またはinguarddistが成立中の時は、絶対に無敵技やガード以外の行動を起こさない」AIが存在する。
理不尽に思えるかも知れないが、昨今の強AIでは割と取られている手法である。
「対人用」と製作者が明言しているAIでは、このような仕様にはなっていないと考えていいだろう。

また投げ技ではp2statetype!=A、すなわち相手が空中にいない事が条件に組み込まれ、プレイヤー操作でありがちな、
「ジャンプ見てからコマ投げ余裕でした」という事態が絶対に起こらないようにしてある事も多い。
これが原因で、一部のゲームにみられる「投げすかりモーションがないため通常技が出る」という点が、
ジャンプに対して完全にスポイルされているケースもある。
一応、ジャンプ移行モーションは立ち状態として設定されている事が多いので、このタイミングで投げを使っている可能性もあるのだが、
AI対戦でよく見られるジャンプやバクステによる回避は、回避する側が超反応で回避している場合がほとんどである。

関連項目:必殺技  昇龍拳  小足見てから昇竜余裕でした  暗転返し

最終更新:2019年11月30日 14:42