前転キャンセル

ケン「させるか(ブン)おっ(ブン)させるk(ry」
エドモンド本田「そぉ~rハッハッハッ!、ふnハッハッハッ!」

前転キャンセルとは、『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』に存在するバグ。
「前キャン」「RC (Rolling Cancel)」「ロリキャン」などと通称されている。


概要

C・A・Nの各グルーヴを選択すると使える回り込み(通称「前転」)の出始め3F以内を必殺技キャンセルすると、
前転に存在する投げ以外への無敵27Fをキャンセルした必殺技にそのまま付加出来るという、とんでもないバグ。
このバグにより「何の変哲もない突進技が、飛び道具をすり抜ける」「リバーサルで出した超必殺技が、ただの必殺技で一方的に潰される」
といった「あ、ありのまま(ry」と言いたくなるような現象が起こる。

性質的にシンのバグ技「ムテキング」に近いものがあるが、あちらと違って慣れればそこまで高い難易度ではないというのが大問題。
このバグが発見された途端、「前転キャンセルをかけた隙の少ない技を連発する」というローリスクハイリターンな戦法を使うプレイヤーが急増。
闘劇'04(ヌキ対サワダ戦)では、通常では食らうはずのサガットのタイガーキャノンがベガの前キャンサイコクラッシャーを前にスカり、
バグが勝因になるという事態を晒してしまい、結果的に闘劇から削除される要因になってしまった。
『CVS2』というゲームでの当時の対戦環境を一気に衰退させてしまったバグとして、非常に悪名高い。
元々『CVS2』は、システムの関係上バランスとしては極めて良好で、辛いキャラでもグルーヴや相性を考えれば勝てる場合も多く、
当時人気を博していたCAPCOMとSNKの2大タイトルのコラボという事もあり、
ストリートファイターIII 3rd』に負けず劣らずの人気を誇っていたゲームであった。
しかしバグのイメージの悪さと理不尽さ、ウメハラ氏の背水の逆転劇などの動画効果もあり、
次第に『3rd』に人気を取られる形となってしまった。

開発側もこのバグには頭を抱えていたようで、後に発売されたXbox版・ニンテンドー ゲームキューブ版『EO』では修正されており、
前転キャンセル自体は可能だが、キャンセルすると無敵が終わるように変更されたため利点が無くなっている。
だがアーケード版では未だに問題無く使えるため、新規プレイヤー参入の高いハードルの一つの理由になってしまっている。
そういった経緯もあり、MUGENでは再現されていないキャラが多い。*1

現在では対策が練られ、読み合いの一つとして認識されている事が殆ど。
2019年以降は研究及びRC対策が進んだ結果、RCに昔ほどの絶対優位が無くなったという声、
更にRC無しだとKグルーヴ一強になるため「RC有りの方がバランスが保たれるのでは」との声が上がるようになっている(詳しくはKグルーヴの項を参照)。
それでも理不尽な行動である事に変わりはなく、そもそも極まったプレイヤー同士の対戦ならともかく、
カジュアルな対戦の場においてはRCで封殺される展開になりがちなため、このバグを嫌うプレイヤーは多い。
RCが、実際は有効に使えるキャラとそうでないキャラとの差、グルーヴ間の格差を拡大している要因である事は確かだろう。*2

前転キャンセルの入力方法

前転後3Fという非常に短い時間内にキャンセルする必要があるので、超人でも無い限り特殊な入力方法が必要。
というか、コマンド認識の関係上スクリューなどはどんなに頑張っても普通の入力では出せない。
一般的なコマンド、例としては波動拳コマンド(236P、数字はテンキー表記)の場合、
前転のコマンドは弱P+弱Kであるが、これを入力してから236Pを入力しても到底間に合わない。
そのため、前転する前に出来るだけコマンドを仕込んでおく必要がある。前転ボイスと共に必殺技が出たら成功。
しかしながら、23・弱P+弱K・6Pと入力すれば、前転後に6Pを入力するだけで必殺技が完成するので、
常人でも練習次第で十分安定して3F以内に入力出来るようになる。

同様に、タメ系コマンド(4タメ6P)なら1or4タメ5・弱P+弱K・6Pまたは1or4タメ123・弱P+弱K・6P、
連打系コマンド(P系ボタン5回入力)なら弱P・中P・強P・弱P+弱K・出したい強さのP、同時押し系コマンド(PPP)なら弱P+弱K・中P+大Pなど。
基本的に必殺技の入力が完成する直前で前転し、その後ほぼ最速で必殺技の入力を完成させるとRC必殺技となる。
これらを応用しても入力出来ないRC必殺技は、そもそも前転出来ない状態(例えば空中など)でしか出せない必殺技か、
前転の入力に必要なボタンを押しっぱなしにして放すコマンドの必殺技(PPP押し続けて放すなど)の他に、
下記の他の必殺技が被るという特殊な場合のみ。

前キャンの入力方法には、前転の入力部分が他の必殺技の完成に被ると、被った必殺技が暴発するという弱点がある。
例えば二階堂紅丸は「真空片手駒」(63214K)と「紅丸コレダー」(632146P)という必殺技を持っているが、
「紅丸コレダー」には通常では前キャンをかける事が不可能とされている。
何故ならRC「紅丸コレダー」の入力は63214・弱P+弱K・6Pとなるが、63214・弱P+弱Kと前転まで入力した時、
「真空片手駒」の63214Kコマンドが同時に完成してしまうため、前転よりも入力優先度が高い必殺技である「真空片手駒」が暴発してしまうからである
(格闘ゲームの入力優先度は特殊な場合を除き、超必殺技>必殺技>特殊技通常技となっている)。
しかし研究が進み、現在では被った必殺技の暴発無しにRC必殺技を出せるテクニックまで開発されている。

前転キャンセルと相性の良い技

  • ガードされても不利にならない技
    優秀な牽制手段。固めや牽制狩り、削りにも適する。
  • コマンド投げ
    暴れをそのまま吸えるため、特に起き攻めで強力。普通に使っても強い。外しても投げスカりモーションの長さ次第では反撃を食らわずに済むのも魅力。
  • 突進技
    飛び道具を抜けて攻撃したり、移動距離を利用して逃げ手段として活用したり。
  • 移動技
    逃げ手段として有効。リバーサルで出せば起き攻め回避にも。
  • 発生が遅い技
    普通に使うよりはローリスクに技が振れる。
  • 空中判定になる技
    空中投げを持たないキャラには完全無敵技として機能する。
  • 自キャラの上方向に攻撃判定が存在する技
    対空技として機能するようになる。
  • 連打入力系必殺技
    ランRC連打系必殺技というテクニックが使える。

前転キャンセルと相性の悪い技

  • 技後の隙が大きい技
    無敵が付いても隙が大きければ普通に反撃を貰う。安易には振れない。
  • 当て身投げ系の技
    当身が取れなくなってしまうため無意味。
    MUGENでは無敵(NotHitBy)と当て身投げ判定は(ReversalDef)は両立させ得るが、『CVS2』では出来ない。
  • スーパーコンボ(超必殺技)
    前キャン自体は出来るが、暗転中に無敵が切れるため意味が無い。

RC必殺技に対処する主な対策

  • 投げる
    投げ以外への無敵しか持たないのだから投げてしまえば良い。基本であり理想。当然、普通の投げでは空中判定になる技には無力。
  • しゃがみ技を当てて潰す
    前転の特徴として足元から無敵が消えていくため、そこにタイミング良く重ねられれば潰せる。
    相手の攻撃判定が高めでないと先にこちらの技が潰されるのが難点。
  • ジャンプ、バックステップで回避する
    無敵技だろうと、当たらなければどうという事は無い。
    特にRCコマ投げを起き上がりに完璧に重ねられると投げ抜けも暴れも出来ないため、
    投げ無敵を持つ技や1F以内に空中判定になる技を持たない一部のキャラはこうする他に対処法が無い。
  • 無敵技を合わせて潰すor回避する
    無敵技は基本的に隙が多いので、リスクと釣り合うかよく考える事。
    ただしブランカのRCサンダーは判定が強すぎるため、逆に負けてしまう事が多いので注意。
  • RC必殺技を後出しして潰すor回避する
    C、A、Nグルーヴ限定。目には目を、歯には歯を、RCにはRCを。
    同じRCならこちらが後に出せば相手の無敵が先に消えるのは当然。
  • ブロッキングする
    Pグルーヴ限定。無敵だろうが何だろうがブロを決めれば有利になる。ハイリスクハイリターン。
    前転をキャンセルしている分通常よりもタイミングが遅れる点や、投げには無力なのに注意。
  • ジャストディフェンスする
    Kグルーヴ限定。仕切り直せるが、硬直が少ない技や距離が離れる技には大きな効果は見込めない。
    こちらもタイミングや投げには要注意。
  • 避け動作で回避する
    Sグルーヴ限定。完璧なタイミングで連発すれば投げ以外に無敵となる。
  • ガードする
    確定反撃があるようなら最も安定。
    逆にこちらが不利になったり、削りダメージやガードクラッシュ目的や投げ技なら苦しくなる。


*1
皆無という訳ではなく、rei氏製作のバルログとtukemon氏製作のリュウが再現しているのが確認されている。
また、H"氏製作の不知火舞にDHQ氏のパッチを当てるとスイッチが追加される。
rei氏のバルログAIも設定次第で使用してくる。

実はMUGENで再現するのは極めて簡単で、無敵時間を設定するNotHitByは前転キャンセルをそのまま再現できるように作られている。
MUGENで前転キャンセルの再現を見かける事があっても、それは「本体のバグ」ではなく、
「キャラクタの設定ミス」か、あるいは「キャラクタを意図的にそう作った」という事である。
MUGENの標準的なキャラはほぼ全員が活用しているであろう「起き上がり時に自動的に設定される対打撃無敵・対投げ無敵時間付与」も、
内部処理としては前転バグでの無敵時間付与と全く同じ事をしている
(「ここで無敵時間を何フレーム与える」という処理をしてから、別の動作に移行しても無敵時間が消えずに残り続ける)。

*2
元々強いキャラであったブランカやベガ等一部の前キャン必殺技は、
引っ掛かれば色んな場所からオリコンまで確定してしまうので、非常に凶悪なものになってしまっている。
なお、ブランカのRC電撃はガード・JDされても有利で、ベガのRCニープレスやバニッシュは当たればオリコンから8割近くを持って行ける。


関連項目



最終更新:2023年02月15日 15:50