SFXVI


T.SOENO氏が、シャープのパーソナルワークステーション「X68000」シリーズで開発、
配布されたフリーソフトのプラグイン式2D対戦格闘ゲームツール。
エス・エフ・エクシヴィ」と読み、X68000シリーズに、MC68000を16MHzで駆動させる
「XVI(エクシヴィ)」と呼ばれるモデルがあり、そこから取られた名である。
MUGENが登場する前に開発された(おそらくは)世界初の国産フリーエントリー2D格闘ゲームツールである。
(尚、MUGENは海外産であるので、開発者などの関係は一切無い)


その構造やプラグインの方式もMUGENとよく似ており、草の根通信(インターネット以前のパソコン通信)で
キャラクターデータ、ステージデータ、システムデータ等が配布されていた。
この当時、今のような2D格闘ゲームをPCでやるというのは非常に困難であり、
それだけの処理が出来るPCはシャープの「X68000」、富士通の「FM-TOWNS」くらいなものであった。

T.SOENO氏は、最小限の構成でサンプルキャラとシステムを配布した所、X68000ユーザーの間で一気に広まり、
当時の2D格ゲーの移植、アレンジキャラ、オリジナルキャラなど、確認が取れる範囲でも300体以上のキャラクターが製作、配布された。
それに、X68000でフリーのドット製作ソフトや音声加工ソフトが出回っていた事もあり、それがキャラ製作に加速をつけた。
また、このシステムの基本は1ラウンドにつき3回までスーパーコンボ(超必殺技)が使える「Sパワーストック」、
飛び道具は連発すると「飛び道具ゲージ」がゼロになり、それによってある程度回復するまでは飛び道具が
撃てないという仕様となっているが、当時の格ゲーの最新システム(パワー溜め、チェーンコンボ、
アドバンシングガード等)が、キャラのスクリプトサイドで簡単に装備・制御出来る事、またそれを
相手のキャラのステータスにも干渉しやすい作りであった事(挑発をすれば相手のパワーゲージを
減らす事が出来る等)、やりようによってはシューティングゲームや対戦型落ち物パズルゲーム、
もはや対戦格闘の要素が一つもないアドベンチャーゲームでも作れるといった、非常に汎用性と
拡張性に富んだシステムであった事も、支持された要因だろう。
MUGENも最新のシステムに対応できる柔軟性を兼ね備えているので、これらを通してみると、
優れた2D対戦格闘ゲームツールというのは「余計な物は足さず、シンプルで拡張性に富んだもの」がやはり、
作り手としてもベストなスタイルなのだろう。 


なお、当時はエミュレーターなどが未発達であったこともあり、NEOGEOCDからのキャラ移植の際には、
ゲームCD内に収められたバラバラにパーツ分けされているキャラデータをあたかもパズルのように組み上げた上で、
X68000の画面サイズ、アスペクト比に合わせて縮小、全スプライトのドット修正をするなど、
開発環境の充実している現在では想像もできないような手間がかかっていた。
SFXVIのコミュニティが盛んであった「がらくた工房」「MAILBOX」などの草の根ネットには、
開発者やプレイヤー達が集まり、共同でのゲーム毎の仕様統一や、キャラ制作者が独自に開発したライブラリ
(SFXVIのキャラプログラムはC言語で組まれている)や画像の相互提供などが行われており、
匿名で活動することのできない草の根ネット故の長所が活かされたコミュニティが構築されていた。
また、コミケットへの参加や、有志によるディスクマガジンの定期発行など、当時の時代に合ったファン活動も多く行われていた。


ちなみにMUGENにおいても、この『SFXVIで』製作されたキャラクターが移植、活躍している。
移植キャラとしては磯野波平ギース・ボヒョー・ハワードMR.BATERマジンガーZ獅堂光などが存在する。


当時としてはMUGENと同じような夢の競演、対決が実現する2D格闘ゲームツールとして、X68000の一時代を築いたソフトである。
古株のゲーマーの中には、中古のX68000の宣伝用として、秋葉原のソフマップの店頭でデモが流されていたのを
見たことがある人もいるであろう。

なお今現在においてでも、X68000エミュレータ「EX-68K」等でキャラを製作している人達もいたりと
格闘ツールとしてはマイナーながらに息の長い物になっている。


関連項目:KnuckleFighter-X Goluah!!