弾き

月華の剣士』で採用されている先行入力型の反撃システム。
ここでは弾きの前身となる『サムライスピリッツ』のシステム「弾き返し」も併せて解説する。


サムライスピリッツの「弾き返し」

『真サムライスピリッツ』で初登場。
システム名称は真サムでは「受け返し」、斬サム~天サムは「当て身」だったが、零サム以降「弾き返し」となり、
現在はまとめて「弾き返し」や「弾き」と呼ぶのが一般的。
真サムではジャストディフェンスなどと同じ直前ガード、以降はコマンド入力による当て身技の一種
(斬:←↙↓↘→、天~零SP:↓↙←→+D、剣:↓↘→+E)で、素手時の「真剣白刃取り」の武器ありバージョンのような位置付け。

初期は非常に入力のタイミングと使いどころが難しいシステムだったが、天サム以降は実戦でも十分狙えるように調整され、
差し合いのアクセントとして機能するようになった。
成功すると文字通り相手の武器を弾き返し、強制的に有利フレームを発生させる
硬直時間は作品や取った技の強さによって異なるが、長い場合は強斬りや武器飛ばし必殺技による反撃が確定する。
演出的には『月華の剣士』の弾きと全く同じと言って良い。
また、天サム以降は強斬りやダッシュ攻撃を弾くと相手の武器を弾き飛ばして素手状態にし、状況で優位に立てる
武器攻撃をガードされたときの硬直(通称「弾かれモーション」)をキャンセルして出すことができるため、
あえて隙の大きい技をガードさせて反撃を釣るといった使い方も可能。

ただし万能な当て身ではなく、まずコマンド入力が必要で、失敗すると大きな隙が生まれてしまうという点が大きなネック。
また、基本的に取れるのは斬り技のみで、素手攻撃や蹴り、打点が低い技やジャンプ攻撃は不可
(着地寸前に発生したジャンプ斬りは地上判定とみなされ弾ける)。
必殺技や武器飛ばし技も弾けるものと弾けないものがあり飛び道具なども弾くことはできないと制約が多い。
微妙に使い勝手が悪いのは、通常技による地上での差し合いがメインのサムスピのゲーム性に合わせているという面もあるが、
柳生十兵衛のような当て身キャラの優位性を保つため、という理由が大きいと思われる
(月華も含め、反撃システムの汎用性が高い作品では当て身技の存在価値が低いことが多い)。

総じて成功させるのが非常に難しい分、それに見合ったリターンや爽快感を得られるハイリスクハイリターンなシステムで、
月華の剣士の弾きはほぼサムスピの弾きを手軽に使えるようにしたものと考えて良い。
あくまでサムスピというゲームの「軸」ではなく、サブシステムのひとつといった位置付けになっているが、
ブロッキングジャストディフェンスが登場する遥か以前からこうした概念を持っていたという点は見逃せないだろう。

その他、詳しい仕様の変遷などはサムライスピリッツの項を参照。


月華の剣士の「弾き」

Dボタンで発動。 残像を伴って身を引く動作を行う。
この間に打撃判定の攻撃を受けると相手の武器を弾き上げ、一定時間行動不能に陥らせる。
成功時に硬直させる時間はかなり長く、ほとんどの技で追撃することが可能。
ただし弾ける時間は出掛かりの一瞬しかなく(空中時8F、屈み時12F、立ち時20F)、残りのモーションはただの隙。
そのため失敗すると無条件で反撃を受けてしまう。
決まれば強力無比な反撃手段になるが、その分的確な読みが求められるハイリスクハイリターンなシステムである。
また飛び道具や投げ技に対しては全くの無力。

ブロッキングジャストディフェンスリコイルガードなどと似ているが、
厳密には全キャラ共通の当て身技と言った方が正しく、かなりの違いがある。
主な違いは以下の通り。
  • レバー操作で出すのではなく、専用のボタンが割り振られている。
  • 相手の攻撃の種類によって弾く動作の硬直時間が若干変わる。 つまり有利フレームは多少変化する。
  • 成功時は相手の状態にかかわらず、安定して有利フレームを生み出せる
  • 成功時の有利フレームが非常に長いため、ガードキャンセルなどの複雑な操作が不要で、出が遅い技も簡単に当てられる
  • ボタンを押した時点で専用のモーションが出るため、失敗時の隙が非常に大きい
  • 無敵や削り無効、体力・ゲージ回復といった特殊効果が一切ない
  • 飛び道具を取れない
仕様的に「弾き」に一番近い防御システムは、2D格闘ではなく
3D格闘ゲームの『ソウルエッジ』『ソウルキャリバー』の「ガードインパクト」や
『DEAD OR ALIVE』の「ホールド」と言えばわかる人もいるだろうか。
詳しい比較はブロッキングの項を参照。


『一幕』 の弾き

D+レバー操作による 「上段弾き」 「下段弾き」 「上段必殺技弾き」 「下段必殺技弾き」 の4種類。
上段・下段はそれぞれ立ちガード・しゃがみガードで防げる技に有効。
必殺技はレバー前要素 (右向き時ならそれぞれ右・右下) と同時入力で弾ける。
ただし一部の奥義・超奥義・潜在奥義・乱舞奥義は弾けない。
なお本作では武器持ち状態・素手状態が分かれており、相手が素手だった場合はよろつく動作に変わる。
これは蹴りで攻撃してきた場合も同様で、武器持ってても素手の通常技が出る場合もそうなる。

『二幕』 の弾き

「上段弾き」 「下段弾き」 「空中弾き」 の3種類となり、必殺技はモーションの出掛かり (キャラが白く光る瞬間)
のみでしか弾けないようになったが、レバー入力の有無は関係なくなった。
空中弾き失敗時は着地後の硬直が長くなる。
また上段・下段弾き成功時にDボタンを押すだけで出る、専用の反撃技が用意されている。
さらにガード時に412+Dで剣質ゲージを消費して出す 「ガードキャンセル弾き」 も追加された。
(正確にはガードした攻撃を弾き、弾き成功後は相手を浮かせる)
これは弾かれモーションが出ると不可能なため、これが出ない剣質「技」が「力」より不利になりやすい一端になっている。

MUGENでの弾き

『月華』 を象徴する重要システムなため、ほとんどの『月華』キャラに搭載されている。
『二幕』仕様のものが多いが、有利フレームが短くなっていたり、弾き可能な時間が変わっていたり、
失敗時の隙が変化していたりすることも多く、必ずしも原作と全く同じではない。
一部の 『NEOGEO BATTLE COLISEUM』 仕様のキャラは弾きボタンが独立していないため、
必殺技扱いになっていたりする。
またMUGENでは攻撃の強弱やパンチ・キックなどの違いを判別するのが難しいため、
相手の攻撃の種類にかかわらず弾き動作の硬直時間は同じになっている。

動画観戦・製作の際の注意

『月華の剣士』は弾きを主軸に置いた調整が行われており、技の性能が全体的に低い傾向にあるため、
MUGENでも『月華』キャラを有効に動かそうとすると弾きに頼らざるを得ない場面が多い。
AIによっては超反応で使用するため、接近戦メインのキャラに対してほぼ無敵のような状態になってしまうこともあり、
ニコニコ動画内で視聴者が『月華』キャラを批判する光景がしばしば見られる。
人操作ではリスクの高い弾きだが、AI(特に超反応AI)ではほとんどリスクが無いため、尚更である。
しかし、弾きのみならずブロッキングやシールド、アドバンシングガード等、
様々な特殊防御システムが混在するMUGENでは、これも数ある特殊システムの一つにすぎない。
弾きによって『月華』キャラが無敵に見えるのならば、それは「弾きが悪い」のではなく「キャラの調整が悪い」のである。
(たとえば、並キャラクラスの大会にブロッキング率とAIMAXの全開アレックスが混ざっていれば、同様に批判対象となるだろう)
また昨今のコンボゲーの風潮により一試合の手数が非常に増えている。それはつまり、弾きを行う側もそれだけ相手の打撃を弾く機会が増えるという事である。
例えば弾きの確率がたった10%程度(10発に対して一回)であっても、相手の弱連打やバッタ行為には高確率で弾きやガードキャンセル弾きが反応する。これは他のシステムでも同様であるだろう
ただ、弾きは他と違い相手を強制的にスタン状態にしてしまうので、前述の作品の防御システムに比べてかなり高性能に写ってしまうのかもしれない。
特に月下は永パに近い連続技が非常に多彩なため、棒立ちから北斗ばりのフルコンボを叩きこまれると確かに印象は悪くなるだろう。
そんな弾きだが確率を上げすぎると、今度は届かないフェイントに簡単に釣られたり、弾けぬステートに無節操に反応したりと一方的に自滅するので意外と穴も多い。
対戦動画を上げる際は、攻撃性能、防御性能だけにとらわれず、キャラクターの総合的な性能や相性などを考えて調整を行うと良い。
無論、敢えて無調整で出すのもそれはそれで選択肢の一つであるが。

また、MUGENは多くの格闘ゲームが共存している性質上、その全てのシステムを把握している動画視聴者はそう多くない。
もちろん、その動画視聴者全員に、全てのシステムを完全に把握せよと言う要求は無意味である。
動画製作者は、弾きなどの理不尽に『見える』システムやマイナーなシステムに関しては投コメで解説すると良いだろう。
そして言うまでも無いが、システムを知らない視聴者も、批判コメントで動画を荒らして良いと言う訳ではない。
理不尽でつまらないと思ったら黙って視聴終了するのがお約束である。

なお、Ildanaf氏製作の月華キャラの場合、ガードキャンセル弾きの仕様が原作とは異なる。
ゲージが1本しかない原作では、1ゲージ消費のガードキャンセルを出した時点でゲージが空になってしまい、
体力が点滅していない限りは超奥義などに繋げることはできない。
また成功時は相手を空中に浮かせるため、追撃に使える技も限られてくる。
しかし氏のキャラは通常3本までゲージをストックでき、成功時に相手が浮かず地上で仰け反るため、
ガードキャンセルからフルコンボで大ダメージということが可能になってしまう。
この問題は弾き使用率を下げることはもちろんだが、スタートボタンを押しながら選択することで使える裏モード
(原作同様ゲージストック可能数が1本になり、体力点滅で超奥義のゲージ消費がゼロ、潜在奥義・乱舞奥義は1ゲージ消費になる。通称「Bタイプ」)
にすることで抑えることができる。
動画で氏の月華キャラを使う場合も、これらのことをよく理解した上で、なるべく理不尽感が出ない設定を心がけてほしい。

なお、弾きが成功した際に「後の先」と表示されるが、これは単にカウンターヒットが決まったことを示すものであり、
他作品で言うところの 「Counter」 などと全く同じもの。*1
「相手の攻撃に合わせる」という性質上、弾き成功時に必ず表示されるが、それ以外でも普通に出る。
たまに「相手の攻撃を弾くのが『後の先』という動作」というように解釈しているコメントも見受けられるが、
それは誤りなので注意しよう。



*1 元は剣術などの武道で使われる用語。
正確には「相手が動こうとする瞬間を捉えて先手を取る」のが後の先で、カウンターは 「対の先」 と呼ぶのが正しい。
相手の動き出しを攻撃するという意味では『月華』の「後の先」も間違いという訳ではない。
むしろ格ゲーのカウンターがカウンターではないのだが、モーションが全て決まってしまっている以上、「それを避けて適切な攻撃」
という再現ができないので仕方がない。
そういう意味では初期『KOF』の「避け」から派生する「カウンター攻撃」が最も本来のカウンターに近い。

関連項目: 特殊システム一覧

最終更新:2015年09月27日 08:27