『闘姫伝承 ANGEL EYES』とは、1996年にテクモが発表したAC向け対戦格闘ゲーム。
海外版は無いため、国外では単に『Angel Eyes』と呼ばれているらしい。
1997年12月に追加要素を含んだプレイステーション版が発売された。
現在はPSゲームアーカイブスでの販売も行われている。
2022年10月20日には、Nintendo SwitchおよびPlay Station4のアーケードアーカイブス版が配信開始。
アーケード版を再現しているため追加要素は無し。
概要
8人の内1人だけが大天使になれる事となった天使達は、その1人を戦って決める事にした。
実体を持たなかったため地上の者に乗り移り大天使の座を賭けて戦うのである。
ただ、ギャルゲー層を狙い撃ちしたあざといゲームなのかというと、意見は分かれる。
本作の特徴として
ドット絵と3Dポリゴンキャラを2次元的に使ったキャラが混在するためで、
当時のローポリゴンキャラがドット絵キャラと戦う様子はシュールであり、格ゲーファン・ギャルゲーファン双方から
イロモノと断ぜられたためである。
なお、その3Dキャラ制作のノウハウは同社の3D対戦格闘『デッドオアアライブ』に受け継がれたと思われる。
ゲーム自体は空中移動に意欲的なシステムが多数盛り込まれており、操作性は良好でスピード感溢れる試合展開を楽しめる。
ただし、戦闘は空中
コンボ重視で、
コンボ数に応じて威力が増加する「逆補正」の存在により、
ほとんどのキャラでワンチャンス即死級の凶悪な連続技ができてしまうため、対戦ツールとしての評価はかなり低い。
その異常な攻撃力故にMUGENでも「原作再現が最も危険なゲーム」と揶揄される始末である。
とはいえ実際にはカプコンやSNKの主流派に押され基板はあまり出回らなかったので、
対戦格闘ブームの影に埋もれたマイナー格ゲーの一つとして消えていく事になったのだが。
CPUはそれほど強くないので、2P対戦でなければ爽快なプレイが楽しめる。
なお、一部にコアなファンを生んだのも事実であり、ファンの要望により後にPS版が発売されている。
こちらではアーケードモードとは別の個別ストーリーの追加や隠しボス、3Dキャラを2D化した隠しキャラなど新要素が盛り込まれた。
キャラクター
ディスプレイネームは各キャラクターのニックネームであり、
それとは別に本名が設定されているのだが、ゲーム中に本名は登場しない。
また、キャラクターの多くは「聖テーカン学園」「聖テーカン学園中等部」の生徒・教師という設定があるが、
テーカンとはテクモが1986年まで使用していた旧社名である。
最終ボスのANGELは色合いや雰囲気が微妙に『アルカナハート』の
ミルドレッドに似ている。…ローポリゴンの3Dだけど。
ANGEL(大天使、最終ボス) ※3Dキャラ
家庭用で追加された個別ストーリー専用キャラ。元キャラに似ているが性能は微妙に異なる。
ブラックライヤ、恋をしたレイカ(2D版)、ロボチビコ、ハイパーミステリアスパワー、アカネ、重傷ハイウェイスター
リナ2、マリー&パンダ
以下はストーリー以外の条件で出現する別バージョンキャラ。
キリコ(2D版)、リナ(2D版)、貧乏ちび子
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キャラクター本名一覧 |
RAIYA(ライヤ)=御鎚 雷弥(みかずち らいや)
REIKA(レイカ)=麗 華(れい ふぁん) ※繋げて日本語読みしたものがあだ名
CHIBIKO(ちび子)=矢追 知美(やおい ともみ)
MYSTERIOUS POWER(ミステリアスパワー)=谷 フジ子(たに ふじこ)
KIRIKO(キリコ)=霞 霧湖(かすみ きりこ)
HIGHWAY STAR(ハイウェイスター)=星 道子(ほし みちこ)
LINA(リナ)=本名不詳
MARIE&KING(マリー&キング)=有栖川 マリー(ありすがわ-)&キングゴルゴニア三世
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システム
レバー+4ボタン式。大と小2種類のキックとパンチに割り振られている。
操作性は良好で、ジャンプ中の移動システムに富み、移動面でのストレスはほとんど無い。
攻撃システムはコンボ重視で、連続技はワンチャンス=即死レベルという凶悪さを誇る。
これはひとえに「逆補正」と言われるコンボ
補正が主な原因で、
普通、コンボ補正と言えば「ヒット数に伴い攻撃力が減少する」という物なのだが、
『闘姫伝承』におけるそれは「ヒット数に伴い攻撃力が増加する」というとんでもない仕様。
ただでさえ
コンボが繋がりやすく攻撃力も高いのに、この仕様のために勝敗が一瞬で決してしまうのである。
だが、
各ゲームのキャラの強さでも語られている通り
ガードキャンセルにゲージを使用しないため、
安易に攻めると
ガーキャン→
コンボで大ダメージ(キャラによっては即死)を喰らってしまう。
攻めれば勝ちのゲームではなく、ハイスピードな展開の中でも熱い読み合いを強いられるゲームである。
一応、エモーションゲージ(パワーゲージ)を溜める事で使用できる「
感情超必殺技」があるが、
上記のように通常コンボの威力が高すぎるため重要視されない。
アクション
画面下のゲージ(感情ゲージ)が満タンの時に特定のコマンド。このゲーム唯一のゲージ消費行動。
空中でキックボタン2つ同時押し。相手に向かって高速で移動する。
空中でパンチボタン2つ同時押し。その場で一時停止し、投げ以外の攻撃を無効化する。ただし空中停止中は移動・攻撃ができない。
空中で最大4回までジャンプできる。
空中で左右にダッシュできる。下方向にも対応しており、↓↓で急降下する。
地上から↓↑で通常より高くジャンプする。大体2段ジャンプ程度の高さ。だがこのゲームでは影が薄い。
「ATTACK CHANCE」表示中に8+強攻撃で出せるのだが、威力が低い上にこれを出してしまうとそこでコンボ終了。
「ATTACK CHANCE」表示中は大抵ホーミングジャンプで追いかけて追撃が入るので、ぶっちゃけ封印行動。
ガード中に
必殺技コマンド入力でガードをキャンセルして必殺技が出せる。
全ての必殺技で出来る上にノーゲージで出せる。その代わり無敵が無い技に無敵が付加されるなどの恩恵は無い。
飛び道具に合わせて小攻撃。飛び道具を打ち消せる。
飛び道具に合わせて大攻撃。飛び道具を跳ね返せる。
しかしこの二つは闘姫自体あまり飛び道具が強くないので出番が少ない。
体力と防御力
体力は全員同じで139なのだが、防御力があり受けるダメージはキャラによって変わってくる。
例として
ライヤの「J小K→J大P→J大K→ライジング(小)→HJ→J小K→J大P→ライジング(小)」というレシピで受けるダメージは、
レイカ、リナはダメージ139、
ライヤ、マリー&キング、
ハイウェイスターは165、
ちび子、
ミステリアスパワー、
キリコは180となる。
逆補正
通常のコンボ補正とは逆に、ヒット数が増えると攻撃力が増加する狂ったシステム。
『闘姫伝承』自体はマイナーゲーなのだが、そのインパクトのせいか逆補正というシステムは有名である。
勘違いされがちだが、ヒット数が増えていけば増えていくほど攻撃力が上がっていくわけではない。
詳細は3ヒット目からその後は小攻撃にダメージが+2、大攻撃に+4されるという物である。
ただでさえこのゲームは一発一発の攻撃力が『
ストII』並に大きいのにさらに上乗せされ、
しかも追撃当たり前のコンボゲーだから即死コンボだらけという
世紀末なゲームと化してしまった。
縦キャン
大P大K同時押しによる特殊キャンセルの事。2004年に発見と稼動から随分後になってから発見された。
大P+大K入力をする事で、立ち・しゃがみ・レバー入れのそれぞれの大Pを相互にキャンセルできるようになるというもの。
同じように小P+小Kでもキャンセルして小Pを出す事が出来る。
チェーンコンボや連打キャンセル、目押しで通常技が繋がり、しかもそれで即死まで持っていけるため、一見すると地味で必要性が薄いテクニックに思える。
……が、空中でも同じ事が出来るので、ライヤ、ハイウェイスター、キリコあたりは、
ジャンプ→(大P+大K→レバー下大P+大K)×nと入力し、J大Pを連発で当てて即死というコンボが出来てしまう。
しかも上位キャラは有効利用できるキャラが多いのに対し、下位キャラは恩恵を受けられない場合が多く、結果として格差を広げるだけの発見になってしまった。
食らいモーションキャンセル
ヒット中にガード方向にレバーを入れておくと、何故か数
フレーム復帰まで早くなるという仕様。
トレーニングモードではヒット表示が出ているのにガードされていたりと、どちらかと言うとバグの可能性が高い。
食らい中にレバーを入れればいいのではなく、食らう前からレバーを入れておけば有効。
TASさんの闘姫伝承(以上の説明でも分からんという人向け)
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ちなみに、上記動画の5:25あたりから述べている通り、ハイジャンプから特定の操作を繰り返すと
ドゥエらせる事が可能。
MUGENにおける闘姫伝承
かつて一部キャラクターのみMUGEN入りしていたが、
他の女性キャラの格闘ゲームとの相乗効果により、
現在では全てのプレイヤーキャラクターが確認されている。
主に動画ではNHK氏のハイウェイスターを始めとして、ほとんどのキャラが登場しているが、
やはり良質なAIが無いキャラはあまり動画にお呼びがかからないのが現状のようだ。
最終更新:2022年10月20日 14:47