ブランディア

『ブランディア』(Blandia)とは、1992年にアルュメからリリースされたAC向け対戦格闘ゲーム。
1986年にタイトーが出したアクションゲーム『黄金の城』の続編にあたる。
なお某宅配買取サービスとは一切関係無い。あっちは「Brandear」である。
「brand」は「焼き印」、転じて「銘柄」なのに対し、「bland」は「つまらないもの」って意味だけど…

+ 前作『黄金の城』について
1986年にタイトーからリリースされたAC向け横スクロールアクション&格闘ゲーム。開発はセタが手掛けている(所謂外注作品)。
「黄金の城」とはラスボスであるギルダスの居城の名で、そこに囚われているマイトレーヤ姫救出が目的。

剣・盾・鎧を装備した戦士ガリアノスを操り城内を進んでいき、計17人の敵とそれぞれ1対1の対戦形式で戦う。
操作は1レバー3ボタン。
レバー左右で前後の移動、ジャンプは無く上下は盾での上・中・下段の防御の切り替え、3つのボタンはそれぞれ上・中・下段攻撃。

各部位に攻撃を受けると鎧が剥がれ、鎧が無い部位に攻撃を受けるとゲームオーバーとなる。
「妨害をかいくぐりフィールドを進んで行き、敵の元へ辿り着くと1対1の戦闘になる」
「ジャンプが無く間合いの調整と攻撃の高さが戦闘の要」と言う点は『カラテカ』に近いものがある。

当時としてはキャラクターが大きかった。
姫を助ける事以上に、途中で登場する敵の女剣士イレーネを剥く事(特におっぱい)に最も情熱が注がれたゲーム、
というのは余談である。

日本国内版と輸出版があるが、国内版でもテキストはデモから試合前・後の掛け合いまで 全て英語 である。
家庭用としてFM TOWNSやPC-9801などのwin95普及以前の独自仕様PCに移植された。
移植版ではテキストは日本語になっている。
余談だが、98版ではED絵だけ思いっきり描き直され、まるで別キャラ状態になっている。
また、ゲーム機とのハード性能が根本的に違うPC98で、この様なアーケードからの移植は希であり、
対戦格闘ゲームの移植は後にも先にもこれだけである。
特に注目もされず忘れ去られた存在だったが、2023年にアーケードアーカイブスで配信された。


概要

  • ストーリー
我々の知り得ぬ遥か昔、黄金を巡っての争いが絶
えなかった時代に、 一人の「王」を自称する男が
現れた。
彼は邪悪な魔力と剣を用いて、全世界を侵略し、
黄金を我がものとしていた。
彼のおよそ人間とは思えぬ行動に、世界各地から
自らを最強と名乗る戦士たちが立ち上がろうとし
ていた。
以上は国内アーケード版のインストラクションカードから。改行位置含め原文ママ。
ゲーム内のオープニングデモではもう少し詳細な事が語られている。
+ 左はアーケード版の英語テキスト、右は移植版の日本語テキスト。
左はアーケード版の英語テキスト、右は移植版の日本語テキスト。
どちらも原文ママで内容はほぼ同じ。なお英文の中のCACHはEACHの誤字の可能性が高い。
アーケード版 移植版
IT WAS LONG LONG AGO,
AN UNIMAGINABLE TIME PAST.
SHORTLY AFTER PEOPLE
DISCOVERED COPPER, THERE WERE
CONTINUOUS BATTLES OVER GOLD
IN VARIOUS REGIONS.
MAN OF POWER WHO WERE SUPPOSED
TO PROTECT THE PEOPLE
AND PROMOTE THE PROSPERITY
OF THE TOWN BATTLED
CACH OTHER FOR GOLD,
AND ALL THE PEOPLE
WHERE ENSNARED IN WAR.

AMIDST THE FURY,
A MAN CALLING HIMSELF "KING"
APPEARED AMONG THEM.
HE COMMANDED THE AUTHORITIES
TO TURN OVER ALL GOLD TO HIM.
NATURALLY, THOSE IN POWER
REFUSED.
AND ALL THE TOWNS OPPOSING
THE KING WERE DESTROYED
BY THE KING'S MAGIC.

SOME PEOPLE ENGAGED THE KING
IN MAN-TO-MAN COMBAT TO SAVE
THEIR TOWNS.
BUT ALL CHALLENGERS PERISHED
IN A SEA OF BLOOD BEFORE THIS
SWORDSMAN KING, WHO CLAIMED
TO BE THE STRONGEST MAN ALIVE.

PEOPLE FEARED HIM, CALLING HIM
"THE MAD GOLD KING."

ALL THE GODS PAY HEAD TO THESE
EARTHLY EVENTS AND SELECTED
SIX STRONG MAN, ONE EACH FROM
SIX TOWNS IN POSSESSION
OF A HOLY SHRINE.
THE GODS DECIDED TO CHOOSE
ONE OF THE SIX WITH WHOM
THEY WOULD ENDOW THE POWER
TO VANQUISH THE MAD GOLD KING.

FROM NOW ON, IT IS UP TO YOU
TO CREATE THE STORY.
それは、想像を絶する程、
遥か昔の出来事。

金属の発見は
人間に”剣”をもたらした。
やがて最も価値のある金属
”黄金”を巡って
各地で争いが起こった。
人々や都市を争いから
守るべき権力者ですら、
人々から、黄金を搾取していた。
全ての人々は、大きな戦争の
渦に巻き込まれていった。

激動のさなか、
自ら”王”を名乗る者が
どこからともなく現れた。
王は周囲の権力者を打ち倒し、
全ての黄金を
彼の城に集めさせた。
やがて、それらは他を圧倒する
強大な”魔力”となった。
全ての都市を、支配下に治めた王は
恐るべき魔法の力によって、
破壊の限りを尽くした。

一握りの戦士達は、
その都市の生存を賭けた
1対1の闘いを、王に強要された。
しかし、いずれの挑戦者も
世界最強と主張する
”剣聖王”の前では、
血の海の中に、死に逝くのみだった
人々は彼を”狂った黄金王”
と呼び、恐れた。

全ての神々は、
これらの地上の出来事の解決に
知恵を絞った。
そして聖なる神殿を持つ
6つの都市から、
それぞれ強力な人間を選んだ。
神々は6人を戦わせ
勝ち残った最後の1人に、
狂った黄金王を打ち破る力を
与える事に決めた。

さあ、6人の中の1人を選べ!
狂った黄金王を打ち倒す、
君だけのストーリーを創り出せ!

この設定を知らないと何が何だかサッパリだが、戦闘の合間に登場する六人の男女が
ここで語られている神々で、それぞれが自分の推している戦士の勝敗に一喜一憂している。


剣と魔法の正統派なファンタジー世界を舞台にした対戦格闘ゲーム。
いわゆる武器格闘ゲームの部類に入り、全員が武装をしている。
サムライスピリッツ』の様な「武器を失ない素手になる」という要素は無く「鎧を失う」という特徴があり、
これは前述の前作である『黄金の城』からの継承要素の一つ。詳しくは後述。

グラフィックは当時としてはそれなりだが、モーションパターンは少ない。
またサウンド面も良くはなく、やたらと眠くなりそうなBGMが延々と流れ続け「あれ?壊れてるのかな?」と少し心配になる。


キャラクター

『黄金の城』の登場キャラと同名のキャラ(ガリアノス=プレイヤー、ディオクレス=敵キャラ、ギルダス=ラスボス)がいるが、
同一人物なのかなど詳しい設定は不明*1
イリアナについては新声社のギャルズアイランド2で「前作のイレーネにも匹敵するスピード」と別人らしき書き方をされている。

名前の後のキャラ説明は稼動当時にインストに書いてあった公式のものである。……これでいいのか?
  • 使用可能キャラクター
ガリアノス(GURIANOS) :正義大好き。
ディオクレス(DIOKLES) :ニヒルな戦う男。
イリアナ(IREANA) :気分屋の女戦士。食べたい時食べて戦いたい時戦う。
マクギル(MCGILL) :自信家。たしかに強いが少々バカ。
レツ・ゼン(RETSU-ZEN) :完全に開き直っている。コワイモノなし。
ジュレーン(JURANE) :お上品で、その反面性格がキツイ。
  • CPU専用キャラクター
ローナ(LAUNA) (中ボス1)
ゼルダス(XELDUS) (中ボス2)
イマジオ(IMAGEO) (中ボス3)
ギルダス(GILDUS) (最終ボス)

ガリアノスとディオクレスはリュウケンのような頭部描き換えによるコンパチキャラ。
また頭部のみならずニュートラルポーズ全体が違うがゼルダスとギルダスもコンパチキャラである。
同キャラ対戦は対人戦では不可能だが、対COM戦では最後に最終ボスのギルダスが
敗北後に魔法でプレイヤーと同キャラに変身するという形で同キャラ戦が用意されている
(ちなみに前作『黄金の城』のギルダスは敗北後骸骨剣士ガイウスとなって襲ってきた)。

ローナは低身長で 上半身裸 のロリ(orショタ)キャラ(恐らく悪魔っ子)、
イマジオはぴったりした服にハイレグパンツっぽい格好の女性亜人(両生類から進化した種族、ジュレーンも同族)の魔法使いであり、
両者ともコアな人気がある。

システム

操作系はレバー+3ボタン。ボタンは上・中・下段攻撃に対応している(中段と言っても屈ガード不能なわけではない)。

必殺技には全キャラ共通で←タメ→+攻撃ボタンのコマンドのチャージ攻撃(突進技)がある。
この技のみ上・中・下ボタンのどれでも出るが、どのボタンで出しても見た目は全く同じである。
その他のシステムとしては攻撃の相殺や空中ガードなどがあり、どちらも格ゲー初となる。

スライディング系の技がやたらと高速で、特に中ボスのローナが多用するものは
発生を見たらすでに当たっているほどのスピードである。

「鎧」

恐らく本作の最大の特徴点。
プレイヤーキャラではマクギルジュレーン、敵専用キャラではローナイマジオ
この4名以外の全キャラが鎧を身に着けている。

鎧が有れば斬撃に対してはノーダメージ、それ以外の盾や足での打撃や魔法などの攻撃に対してもダメージが軽減される。
しかし斬撃を同じ部位に2回食らうとその部位の鎧は剥がれてしまい、
そこからは攻撃の種類を問わず、再び同じ部位に食らってしまうと大きなダメージを受けるようになる。
なお、投げ技のダメージは鎧の有無に影響されない。
鎧は頭部・胴部・大腿部の三箇所に分かれていて、ちゃんと部位別に剥がれていく。
これには姿勢や位置関係の要素があり、例えば立っていれば胴部に受ける中段の攻撃でも、しゃがんでいれば頭部に受ける事になる。

ちなみにほとんどの鎧着用キャラは、それを全て剥がすと下着だけと言って良いほどの姿になる。
レツ・ゼンのみ例外でただ上半身裸になるのみだが、男性キャラなのでどうでもいい事である。
と言うか多分女戦士イリアナ以外はどうでもいいと言うのが大方のプレイヤーの認識である。
黄金の鎧を身に着けた姿で現れるラスボスの剣士を黒いビキニパンツ一丁に剥けるゲームなぞ本作ぐらいだろう。
そんな事が出来て誰が得をするのかと言う話は別として…。


MUGENにおけるブランディア

MUGENではガリアノスディオクレスイリアナマクギルジュレーン
ローナゼルダスイマジオギルダスが製作されている。レツ・ゼン以外の全員が揃っている。
また、ステージは海外の製作者がいくつか作っている。
ちなみに『黄金の城』のイレーネもキャラが存在したが、現在は入手不可。


*1
本作のチラシに「5年前にギルダスはガリアノスに一度倒されたが復活した」という内容の説明があり、それが『黄金の城』の出来事と考えられる。
が、オープニングデモで語られる内容を始めゲーム内にはそれを感じさせる部分がロクに無い。前作で助けた姫はどこに行ったんだろう……。

+ チラシのストーリー
魔性の戦士ギルダスが倒され、ユーラシア大陸に平和がもどって5年・・・・・・。 
人々は魔に閉ざされていた闇の時代を忘れ、平和で平凡な日々をつづけていた・・・・・・。 

ユーラシア大陸の内国に、一人の偉大な剣士がいた。その剣士こそ5年前の悪夢から大陸を救った男「ガリアノス」であった。 
ある日、彼は、通りすがりの戦士の男から、よからぬ噂を耳にした。あの、ギルダスが再び復活したというのだ。
真実をたしかめるため、彼は再び黄金の城へ向かった。

こちらでは神々がどうこうという話が書かれておらず、結局舞台設定の全容を把握できない。


最終更新:2023年11月16日 15:13
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