ナウシカ


その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし。
失われた大地との絆を結び、ついに人々を清浄の地に導かん。

後に「火の七日間」と呼ばれた世界戦争により産業文明は崩壊し
「腐海」という猛毒の瘴気を発し、巨大で凶暴な蟲たちの住む菌類の森に蝕まれた未来の地球。
生き残った人々は腐海の侵食に怯え、細々と暮らしていた。

腐海の畔にある辺境の小国、風の谷。
族長ジルの娘である主人公ナウシカは、腐海の蟲たちと心が通じ合えるという不思議な力を持つ「風使い」の少女。
ある夜、谷に巨大な輸送機が墜落する。
その船には、世界制覇を狙うトルメキア王国が、南方の超大国である土鬼(ドルク)諸侯国連合帝国との戦争のために
工業国ペジテから略奪した古代生物兵器「巨神兵」の繭が積まれていた。
やがて巨神兵をめぐってトルメキアとペジテの三つ巴の戦いが勃発。ナウシカたち風の谷の民も戦乱に巻き込まれて行くのであった…

宮崎駿氏が連載した長編漫画と、それを原作としたジブリ系アニメ初期の大ヒット映画『風の谷のナウシカ』の主人公
(明確にジブリ作品とされていないのは、この作品がスタジオジブリが設立される前の作品であるため。
 宮崎駿監督作品として『ルパン三世 カリオストロの城』も同じ扱いとなっている)。
担当声優は 島本須美 女史。

「風使い」と呼ばれるだけあって、凧……というよりエンジン付きのグライダーであるメーヴェ(「カモメ」の意)で自在に飛行し、
王族教育の一環で教わったのかガンシップ(戦闘機)の操縦も堪能。
優しそうな風貌ながら、風の谷に度々立ち寄る辺境一の剣豪「ユパ・ミラルダ」に師事しており、剣を持たせてもかなり強い。
腐界に度々踏み入って菌類のサンプルを採取するなどの行き過ぎた「腐界遊び」は城オジ達にも心配されているが、
堅固な蟲の抜け殻といった谷にとっても有益な資源も見つけて来るため、渋々黙認されている状態である。

現在でも夏休みの時期になると頻繁に金曜ロードショーでお目にかかる鉄板タイトルで、
終盤の巨神兵が口からビームを発射するシーンはネット実況を行っている各所のサーバーダウンを引き起こすほどのヤマ場である。
なんどめだナウシカ。*1
なお、この映画は長期連載された漫画版ストーリーの序盤部分(コミックス全7巻分中、2巻の途中まで)を描いたものであり、
前述の土鬼帝国の名は一切登場しない。

漫画版では映画ではあまり深く語られなかったトルメキア皇女クシャナとナウシカの絆や、腐海や蟲達がこの世に生まれ出た意味、
未来世界に生きる人々の真実など非常に深く重いテーマに翻弄されるナウシカの葛藤を描いた物語になっており、
映画での「聡明でひたむきな姿のナウシカ」や「人間と大自然の共存をテーマとする幻想的で美しい物語」を期待して手に取った読者を、
漏れなくのドン底に叩き落としてくれる一大巨編となっている。
その余りに血生臭い展開(人間の首や手足が普通に飛ぶ、蟲に襲われてバラバラになる、粘菌に食われる、親兄弟の骨肉の争いetc…)や
呆気ない結末が賛否両論となっているが、決して綺麗ごとで終わらない、様々な問題を提起する非常に奥の深いストーリーである。
映画とはまた違った衝撃を与えてくれる事は間違いないので、ジブリファンを自負するなら必読。
ちなみに2003年10月に発売された「ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット・トルメキア戦役バージョン」は、
定期的に売り切れるため、今なお重版されているロングセラーな書物の一つでもある。


名前のモデルはギリシアのホメーロス作の叙事詩『オデュッセイア』に登場するスケリア島の王女ナウシカアー、
人物面でのモデルは平安時代後期の短編物語集『堤中納言物語』の一篇『虫愛づる姫君』。
ナウシカアーは漂着したオデュッセウスを助け身だしなみを整えてやり、ほのかな恋心を抑えて彼を再び旅路に送り出す役柄で、
『虫愛づる姫君』は貴族令嬢にも関わらず虫を飼い、子供らと戯れ、身なりを整えない変わり者でありながら、関わる人々を笑顔にする風変わりな姫で、
どちらも強い心を持った美しい姫君という点で、ナウシカ共通のモチーフとなっている。


「その人たちはなぜ気付かなかったのだろう…清浄と汚濁こそ生命だということを…」

+ ナウシカ人物考察(ネタバレ注意)
子供達に「姫姉様」と呼ばれ、明るく優しく人望があり頼りになる存在であるように描かれがちなナウシカであるが、
意外とブチ切れ易く、一度キレると途端に凶暴になり殺人にも全く躊躇が無くなる。
先述の通りユパ様仕込みの武芸にも秀で、トルメキア兵に父を殺され激昴した際には兵士を撲殺(漫画版では刺殺)している。
また塞ぎ込む時はとことん凹む弱々しさも持ち合わせており、時には自殺未遂までしてしまうメンヘラ少女でもある。

趣味は園芸(菌類オンリー)。ちなみにかなりの巨乳なのは有名な話。
宮崎作品で明確に巨乳として描かれているヒロインというのは結構珍しいのだが、これは死に行く者達を受け止め抱き包むためらしい。
ノーパンとも言われるがこれはタイツ(?)の色による誤解。漫画版では全裸も披露している。
また、前述のブチ切れてトルメキア兵を殺そうとしたシーンが、
「(アニメ版未登場の蟲を操る特殊部隊により)蟲を自身に纏わり付かせて汚されたため激昂」と、やや短絡的な動機になっている。*2

余談ながら、彼女の服に描かれている紋章が、
『ドラゴンクエスト』シリーズでお馴染みのロトの紋章のモチーフになっている事はファンの間では有名な話。

余談であるが、メディアアーティストの八谷和彦氏が中心となった団体が、メーヴェをモデルにした個人用ジェットグライダーを製作する、
「オープンスカイプロジェクト」という計画を立ち上げ、既に実機の試験飛行にも成功。
以後も改良を続けつつ、イベントでの展示飛行を度々披露している。
あくまでモデルとしただけでスタジオジブリと宮崎駿氏とは無関係との事だが、実際に空を行くメーヴェを見られるというのは、
実に夢が広がる話である。


MUGENにおけるナウシカ

Nemo氏が製作した手描きキャラと、その改変版が存在する。
なお版権の問題で削除される恐れがあるため、動画での使用には気を付ける事。

+ Nemo氏製作
  • Nemo氏製作
初代『サムライスピリッツ』のナコルルのドットを改変した物である。
DosMUGEN時代に製作されたキャラだが、最新版でWinMUGENに対応した。
現在出回っているものは殆どが最新版のVer 0.3なので面倒なコンバート作業は必要ないと思われる。
なお、現在はサイト閉鎖により入手しにくい。

弱中強パンチと弱強キックの変則5ボタン方式。立ち回りの操作感覚は『サムライスピリッツ』シリーズに近い。
またブロッキングが実装されており潜在的なポテンシャルは高い。
3回まで連続入力可能の必殺技「ピッケルハンマー」は、発生は非常に遅いがヒット時に弱攻撃に繋げる事が出来るコンボの要。
本編で激昴してトルメキア兵に殴りかかるシーンのボイスを使用しているため、
通常の声とのギャップでナウシカがまるであぶない人のような印象を受ける。
もう一つの対空必殺技の「メーヴェ強襲」は無敵時間があり一方的に潰されにくく、各種攻撃から繋がる優秀な技。
ハイパーコンボのシステムは少々特殊で、3ゲージ分溜めると画面に王蟲マークが表示(最大5個までストック可能)され、
そのマークを消費して技を発動する。つまり実質的に3ゲージ技×5が使える形となる
(ゲージが溜まり易いキャラなので感覚的には2ゲージ分程度の作業量で溜める事が出来るが、ラウンド間の持ち越しは出来ない)。
特筆すべきは王蟲を召喚するハイパーコンボ「古き友」で、画面いっぱいの大きさの王蟲が後方より突撃し、
クリーンヒットで約5割、ガードされても2割強を削り取って行く。汚いなさすが腐海きたない

デフォルトAIは未搭載。
ルビィ・ハートAI作製作でお馴染みのあかさた氏が自身のトーナメント動画用に簡易AIを作成していたが、公開はされなかった。

+ LJH氏(e510氏またはejanho氏)製作
  • LJH氏(e510氏またはejanho氏)製作
2014年に公開された改変版。
立ち強パンチから立ち強キックが繋がったり、ピッケルハンマーの発生が速くなっていたりと、オリジナル版よりもコンボを繋げ易い。
それを踏まえてか、ATKの初期値が75とかなり低めに設定されている。

非常に強力なAIがデフォルトで搭載されており、隙あらば強力なコンボを容赦なく叩き込んで来る。
前述の通りゲージが溜まり易いため、ぼんやりしていると劇中のトルメキア兵のごとくピッケルでどつき回された挙句、王蟲に轢き殺されてしまうだろう。
DLは下記の動画から

+ MariSoul401氏製作
  • MariSoul401氏製作
上記LJH氏のものの改変版。MUGEN1.0以降専用。
最新版は2019年4月11日更新版で、氏のDeviantArtにて公開されている。
ドットが描き足されており、アスベルがストライカーとして追加されているのが特徴。

出場大会

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*1
恐らく、ネットでナウシカの話題となると出てくるこの言葉。
これは元々、テレビ朝日のドラマ『TRICK』にて、主人公の山田奈緒子の母、山田里見が書道教室を営んでおり、
その際に生徒の子供達が書いた書の1つに「なんどめだ ナウシカ」と一瞬、表示されたのが始まり。
この頃から金曜ロードショーでは、『ナウシカ』を頻繁に放映していた(少なくとも年に一度は必ずやっている)事、
そしてこの言葉が出た回は丁度放送が延長してドラマ開始時間と一部被ってしまい、それを皮肉ったものとして、
ナウシカが終了した直後にこのドラマに変えるとタイミングよく画面にこの言葉が出るという仕掛けまでされていた。
その、あまりにもツボを突いた仕掛けが妙に共感を得てしまい、今ではナウシカやTRICKの話題でセットとして登場する言葉の一つとなった。
今ではこれから派生して、金曜ロードショーを初めとした地上派の映画番組で、
鉄板の映画タイトルの放送が再度(少なくとも3度以上)放送された際に「なんどめだ(映画タイトル)」と、
ネット上のお約束として使われる事もあったりする。
ちなみにある時期以降のジブリ重用を始めとする金ローの路線はさるお偉方の個人的意向が大いに関係していたらしく、
その人物が劇場映画界隈に移った途端全国の映画館でジブリ作品のリバイバル上映が決まったのは有名な笑い話である。

*2
序盤であるこの頃のエピソードではまだ感情のコントロールが出来ない、族長としての未熟さが描かれている。
(後半になるにつれて落ち着くを通り越して鬱になる訳だが)ユパ曰く「攻撃衝動にもえる王蟲のよう」。
また、この際殺そうとしたトルメキア兵は一人のみで、それも果たし合いによるものである。
ちなみに相手は全身甲冑で身を包んでおり、ナウシカは鎧の隙間(首の後ろの付け根)に剣をぶっ刺した。
その場は身を挺したユパの仲介によって引き分けとなったが、既に兵士は事切れていた模様。

尤も、腐海を飛んできた船は胞子を持ち込まぬよう、谷の外に降りるのが礼儀なのだが
トルメキアはそれを無視して直接畑に着陸した事(実際に胞子が持ち込まれて後で大騒ぎになり、一歩間違えば谷が滅びていた)、
風の谷と同じく味方であるペジテを滅ぼした事、ナウシカが弔ったペジテの姫の墓を暴いた事など、
度重なる暴挙を行った事も理由である。決してキレやすい若者ではない。その後も良く激昂しては人が死んでるけどね
また風の谷を含めた周辺諸国は有事の際に戦力を提供する代償としてトルメキアと一種の同盟を交わしており、
風の谷の長となるナウシカが(蟲や獣相手ではない対人戦闘を想定した)武芸に秀でている事にも説明がなされている。


最終更新:2024年02月01日 14:59