レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ




概要

2002年6月に稼動開始したNEOGEO用対戦格闘ゲーム。
販売はエヴォガエンターテイメント*1、プレイモア。開発はノイズファクトリー。ROM容量は705Mbit。
SNK倒産後にNEOGEOの権利を獲得したプレイモアが始めて直接関わったゲームである。

2002年9月26日にNEOGEO家庭用ロムが発売されているが、数が少なくレアソフトになっている。
なお、このNEOGEOロム版が唯一の家庭用移植である。

二人一組の交代制タッグチームによる正統派対戦格闘ゲーム。
対戦形式は1対1だが、途中いつでも控えのキャラクターと交代できる。
双方のキャラクターは別々の体力ゲージを持ち、相手側二人の体力をゼロにすれば勝利となる。
控えに回ったキャラクターは、ゲージ技扱いの二人協力攻撃以外の行動はとれないが、徐々に体力が回復する。

当初は続編の途絶えていた『ダブルドラゴン』シリーズの新作として企画されたが、版権の獲得に失敗し、
その名残としてオマージュ的な内容を盛り込んで開発された。当然ながらストーリーは全く異なるオリジナルである。
なお、『ダブルドラゴン』を開発したテクノスジャパンは1995年に倒産しており、版権はアトラスの子会社であるミリオンを経て、
現在はアークシステムワークスが『ダブルドラゴン』シリーズの版権保有者となっている。


ストーリー

サンシャインシティ───そこは暴力によって支配された街。如何なる公権力も介入できないこの街を、謎の教団が支配しようとしていた。
その教団は黒龍を崇拝しており、教祖は「地球上の人間を抹殺せよ」という神託を受けたと信じ込んでいるというまさに狂人の集団であった。
教団の教祖を名乗る男は、その昔「龍髄拳」(りゅうずいけん)の道場の門下生であったが、
その野心ゆえにリー老師によって追放され、その際に自分を追放したリー老師への復讐を誓い、黒龍に関する古文書を持ち去っていた。
男の老師に対する怒りと狂気は黒龍の力を成長させる糧となり、それに伴って男の力も日に日に増大し、ついには公権力に屈しない強大な組織を作り上げたのだ。
今や街の人々の生死は、完全に教団に握られてしまっていた。しかも、教団は神託を実行する準備にとりかかろうとしている・・・。
この時、ルイス兄弟は、これが“黒龍力”を手に入れた者の仕業であることを感じ取っていた。彼らの中の“龍力”が、闘いの時が訪れたことを察知したのである。
そう、最強のドラゴンを決める闘い(レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ)が、始まろうとしていたのだ!

かつて、リー老師とその他のドラゴンの封印者たちは、最強のドラゴンの実現を試みており、そのために新しい継承者を必要としていた。
そんな時、老師が出会ったのが、ジミーとビリーの兄弟だった。
“龍力”継承者としての可能性を見いだされた兄弟は、ジミーが赤龍、ビリーが青龍の使い手となるべく鍛錬を積んだ。
しかし、途中で仲間のマリアの死という悲劇が起き、彼女の死を契機に2人は老師のもとを去り、別の道を歩み始めた。
リー老師は、“龍力”をコントロールする訓練を十分に積まないまま自分のもとを出ていった兄弟の身を案じていた。
なぜなら、継承した“龍力”はあまりに強大で危険なものであり、己の力で制御できなければ、自ら“龍力”に呑み込まれて滅びてしまうからだ。
やがて、ジミーとビリーもこの事実を知り、それぞれ別々の方法で“龍力”に関する情報収集とその制御の方法を探り始めた。
一方、リー老師は孫娘のリンを白龍の使い手として育て、ルイス兄弟に対して犯した過ちを正そうとした。
が、そこにかつて破門にした教祖が、“黒龍力”を手に入れて現れ、時を同じくして老師も世を去ってしまった。
リー老師の死は、一つの龍が倒れ、別の“龍力”が台頭したことを告げていたのだ。
そして、祖父であるリー老師の死に直面したリンは、“龍力”継承者の証である「内なるエネルギー」を解放し、
それを感じ取ったルイス兄弟は、最強のドラゴンを決める闘いのために街へ戻る決心をしたのであった。


キャラクター

ジミーとビリーの名前は『ダブルドラゴン』の主人公兄弟のオマージュ(ウィリアムの英語圏での愛称はビリー)。
中ボスのアブボもアボボのオマージュだろう。

それぞれ正式なタッグパートナーが設定されているが、キャラ選択自体は自由に行える。

  • 使用可能キャラクター(正式タッグは-で繋げて表記)
  • CPU専用キャラクター
アブボ・ラオ(中ボス、隠しコマンドで使用可能)、ヨハン(レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ)(最終ボス)

なお、ジミー、リン、Mr.ジョーンズ、エリアスの4人は同じくノイズファクトリーが開発した『新・豪血寺一族 闘婚』にて、
隠し使用キャラクターとしてゲスト出演した。
ノイズファクトリーは、アトラスで豪血寺シリーズに関わっていた関西営業所メンバーが中心となって起業した会社であり、その縁もあってのことである。


システム

A(弱P)、B(弱K)、C(強P)、D(強K)の4ボタンで操作する。

2人1組の交代制タッグチームバトルで、キャラクターはそれぞれ別々の体力ゲージを持つ。
対戦は1vs1で行われるが、いつでもタッグパートナーと交代できる。
控えに回ったキャラクターは徐々に体力が回復するメリットがある。
試合中のキャラクターが倒された場合は強制的に控えのキャラクターが飛び出してそのまま続行となる。
相手タッグチーム2人の体力ゲージを0にすれば勝利。

パワーゲージ

通常は3本まで溜められる。サレンダー(後述)を併用することで最大5本まで増やすことができる。

超必殺技

各キャラクターに1種類ずつ用意されており、弱でパワーゲージを1本、強で2本消費する。

攻撃避け

弱P+弱K同時押しで発動。
入力から終わり際まで打撃無敵。
モーションの長さはキャラクターによって異なる(半数以上は31F。最も長いのはリンで41F、最も短いのはカンで26F)。

前転

6+弱P+弱Kで発動。
打撃無敵で前進する。ただし、終わり際の7Fは無防備。
モーションの長さはキャラクターによって異なる(半数以上は30F。最も長いのはエリアスで33F、最も短いのはソニアで27F)。

後転

4+弱P+弱Kで発動。
打撃無敵で後退する。ただし、終わり際の7Fは無防備。
モーションの長さはキャラクターによって異なる(半数以上は33F。最も長いのはエリアスで36F、最も短いのはソニアで27F)。

コンビネーション攻撃

強P+強K同時押しで発動。
発生のやや遅い始動技(ファーストインパクト)がヒットすると画面に表示されるボタンを順番に押せば
確定の連続技が出る(ボタンはパワーゲージの上に表示される)。
ファーストインパクトがヒットした直後に追加入力8で空中コンビネーションに変化。

ガードキャンセル

ガード硬直中に強P+強K同時押しで発動。
発生はやや遅いが、発生の瞬間または直後(アニーのみ発生の直前)まで長い打撃無敵がある。

パートナーチェンジ

弱K+強P同時押しで発動。
現在試合中のキャラクターと控えのキャラクターを交代させる。
交代時、控えのキャラクターが後方から高速で走ってきて相手を攻撃する。

デュプレックス

236+弱K+強Pで発動。ゲージを消費するタッグパートナーとの協力攻撃。
パワーゲージが1本以上ある時のみ使用可能で、発動時の突進攻撃が当たればそのままロックして連続攻撃になる。
攻撃後に控えキャラクターが飛び出すので、ゲージをもう1本使って追加コマンドを入力すれば二人同時攻撃が発動する。
2人同時攻撃は、正式パートナーとのタッグ時のみ専用演出になる
(MUGENでは、各キャラが正式パートナーをストライカーに使った専用演出の超必殺技として再現していることが多い)。

サレンダー

サレンダーするなら→→A!!
弱P+弱K+強P+強K同時押しで発動。
試合中のキャラクターを故意に敗北させ、残りの体力を控えのキャラクターに譲る。
その際、パワーゲージが2本増加する。

ステージ端の壁

ステージ端の壁にダウン状態の相手をぶつけると判定を残したまま跳ね返るので追撃が可能。
また、壁が壊れるとステージが広がる。広がった後の壁には同様の効果は無い。


MUGENにおけるレイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ

キャラこそ全員揃っていたが公開停止なども複数あり、AIの数も余り多くなかった。
しかし、2009年に入ってからRYO2005氏が多くのレイドラキャラの製作を手掛けるようになり、
許可も取れることから職人によるAIの製作も盛んに行われ、現在ではAIもほぼ全員に存在する。
中でもガチの強さと「地味」という二次創作ネタを併せ持つヨハンの人気は高く、
トーナメント・ストーリー問わず活躍が目覚しい。もう地味じゃないんじゃ……は禁句。
また、リン・ベーカーさん姉妹のメインキャラであるアリス・キャロルプパ・サルゲイロはニコニコMUGEN黎明期から出番があり、人気も高い。
今までほとんど出てこなかった男性陣も最近では多くの動画で見られるようになり、どのキャラも原作の知名度が嘘みたいな人気っぷりである。
レイドラオールスターでタッグトーナメント


*1
日本では全くと言っていいほど無名の存在であるが、海外のwikipedia等で、その遍歴を見ることができる。
エヴォガ・エンターテイメントことEVOGA社(EVOlution GAmes)は、メキシコのビデオゲーム製作会社である。
1999年に設立され、当時のSNK本社のある江坂付近にもオフィスがあったという。
しかし本作の発表後は資金難に陥り、2004年に倒産したとされる。
『ダブルドラゴン』の続編として企画した経緯は同社のもので、ノイズファクトリーへ開発資金を提供していたとされる。
だが、本作がそれほどヒットしなかったことや、自社制作のMVS用プラットフォーム「クリスタルシステム」なるものを開発中とされていたものの
(本作でプレイモアと関わっているため、正規のライセンス商品だった可能性もある)、
発売には至らなかったことなどが、倒産に繋がったと見られる。


最終更新:2024年03月05日 23:47
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