バットマン


"I'm Batman"

アメリカのDCコミックの『バットマン』シリーズに登場するヒーロー。
初出は1939年と現役のアメコミヒーローの中ではスーパーマンに次いで古株。
犯罪都市ゴッサムシティの平和を守り続けているクライムファイター。
また、『ジャスティスリーグ』の誕生にも関わっており、主要メンバーの一人である。
黒尽くめな格好、高い知名度、犯罪者への容赦ない態度と暗い心中から「ダークヒーロー」の代名詞と言える男。

本名はブルース・ウェイン。
ゴッサムシティで一番の大企業、「ウェイン・エンタープライズ」社長の子供として産まれるが、
八歳の時に「奇傑ゾロ」(映画『ダークナイト』では、ヒーローという概念自体が存在しない世界という設定のため異なっている)を観た帰り道で
強盗に両親を殺されてしまう。そのことがトラウマとなり、あらゆる犯罪を撲滅するべく、
受け継いだ財産と鍛え上げた肉体(ゴッサムに戻るまでの十数年間自身を鍛えるために世界を回っていた)で
街に潜む闇を狩る闇の騎士(ダークナイト)、「バットマン」となった。

性格は非常に正義感が強く、妥協をしない。
映画やTVドラマ、アニメシリーズなどではまだ真っ当なヒーローとして描かれる事が多いが、
はっきり言って原作ではキチガイ一歩手前に描写されることも多く、
相手が犯罪者などの悪人とはいえ、敵がバットマンに怯える様子を見て喜んだり
犯罪者を殴る事に喜びを見出していたりとサディストに描かれることもある。
とくに、名作『ダークナイト・リターンズ』を手がけたフランク・ミラーの作品ではその傾向が顕著であり、
ある意味で狂人すれすれというバットマン像はミラーの影響が強いといえる。
とはいえ「ゴッサムで活動を始めたばかりのバットマン」等を描いたシリーズでは今でも正統派ヒーローである事が多く
どうやらゴッサムシティでの自警活動に対応していった結果、徐々に深みにはまっていったようだ。
現行の流れではそこまでヤバいことにはなっていないが、これまでも行き過ぎては反省して
真っ当な道に戻るということを何度か繰り返しているため、また過激な方向に進んでいく可能性は否定できない。

完全に個人営業のクライムファイターであるため警察との折り合いも良くないが、本人はやめるつもりは毛頭無い。
(大抵の作品では警察がバットシグナルを空に投射して助けを求めるなど、ある程度協力している場合もある)
ウェイン・エンタープライズ筆頭株主としての「ブルース・ウェイン」は慈善家のプレイボーイとして知られている。
尤もプレーボーイというのは世間を欺くために金持ちのボンボンを演じているだけであって実際には恋愛にも真剣な人物である。
だが、家族生活の経験が短かったためか他人に愛情を示すのが苦手な上、バットマンとしての活動を重視するため、
恋愛関係、友人関係問わず、あまり長続きしない。

ゴッサム市警本部長のジェームズ(ジム)・ゴードンとは数少ない警察関係者の親友。
彼はバットマンの正体は知らないが、もう一つの顔のブルース・ウェインとも仲が良い。実はシリーズ第1話「ケミカル・シンジケート事件」(Detective Comics #27(1939)収録)から既に登場しているという、バットマン史において最も息の長いサブキャラクターでもある。

若い頃は舞台役者だったり、軍医だったり、王室直属のスパイだったり、装備全般のメンテナンスもこなす等、
かなりのスペックを持つ執事、アルフレッド・ペニーワースには絶対の信頼を寄せている。
ちなみにこの執事、バットマンほど強くはないが、身代金目的で誘拐されそうになっても犯人を返り討ちにするほど強い。
いずこの世界も執事というものは高性能な物らしい。というか、高性能執事の元祖的な人物である。

ヒーローとしての能力は、極限まで鍛え上げた肉体と格闘技、非常に回転の速い上に犯罪に関することなら幅広く学び、
身に付けた頭脳、バットスーツを始めとする優れたアイテム、大企業の筆頭株主としての財力と情報力など、
普通の人間が手にすることの出来る力をどれも最高レベルで持っている ことであろう。
ただし、銃で親を殺されたことから「決して銃を使わず、敵も絶対に殺さない」という厳しいルールを自らに課しているため、
銃を初めとした殺人兵器の類は所持していない。逆に、所謂「超能力」の類は一切使用できず、耐性もない。
このため、ヒーローチーム『ジャスティスリーグ』などでは、どちらかというと頭脳や財政面でサポートすることが多い。

とは言うもののその身体能力は最早超人的なレベルで、分厚いレンガの壁をパンチで突き破ったり、
強化された肉体を持つ超人兵士であるキャプテンアメリカと互角以上に戦えるほど。
他にも「スーパーマンの動きが早すぎて一般人に姿が見えない」と言う演出が入った後に
バットマンは普通にスーパーマンの動きを目で追えていたり
同じくスーパーマン級の戦闘力を誇るグリーンランタンの一人をパンチ一発でノックアウトしたり、
またさらに同じくスーパーマンと同クラスの身体能力を持つ敵を合気術で投げ飛ばしたりと、
割と単なる生身の人間というには強すぎる感がある。
(このあたりはライターによる描写の違いということもあるが…。
 実際、中身はあくまでも普通の人間なだけあって防御力には難があり、やられる時は簡単にやられる時もある)

ヒーローとしての交友関係もジャスティスリーグに在籍しているため非常に広く、チームメイトも多い。
同じリーグのザターナや、フリーのジェイソン・ブラッドは弱点である神秘関係の情報を提供してくれるいいパートナー。
だが、あくまでも個人的動機で戦うダークヒーローであり、それに加えて上記の様に
人間関係の維持能力が 壊滅的なまでに無い ため、「仲間」は多くても「親友」は殆どいない。
それのせいで長いつきあいになるキャットウーマンも恋人と言うよりか、
どちらかというと腐れ縁である(スピンオフ作品によっては正式にくっ付いて子供まで儲けている場合もあるが…)。
唯一の例外が同じ創設メンバーのスーパーマンであり、互いの悩みを相談したりすることもある。
ただし、それぞれの掲げる「正義」が明らかに異なっているため、それが元で対立することも多い。
2人ともそのあたりはよくわかってるため、親友としてつきあっていけてるのかもしれない。
また、2人が衝突すると大抵はワンダーウーマンが割って入って緩衝材として機能するため、
余程のことがない限り対立がエスカレートすることはない。
(そのせいかバットマンの方も、スーパーマンほどではないがワンダーウーマンには心を許している)

また「恐怖」を武器とするバットマンと「恐怖に立ち向かう意思」を武器とするグリーンランタンの面々とは仲が悪い。
実際、ランタンの一人には「恐怖を感じない人間から見れば滑稽な仮装だろうさ!」と言われたり
バットマンも復活したランタンの一人を敵とみなして警戒したり、
ハルに対してほぼ一方的に苦手意識を持っていたりと、険悪とは言わないまでも相性が悪いようだ。
王道熱血漫画における嫌味な知性キャラのポジ=ランタンでのバットマン、
シリアスな漫画での青臭い熱血キャラのポジ=バットマンでのランタン、といったところだろうか?

+暗黒の騎士の暗黒面
バットマンは ジャスティスリーグの面々の弱点を研究し尽くしていたりする
これは万が一にでも彼らが裏切った際、暴走した際、自分の正義と対立した場合に備えたもので、
常にいかなる相手であっても信用しきれない、バットマンの狂気の一端であるともいえる。
ちなみに情報流失して仲間が多大な被害をうけてもなお、謝罪はしていない。

さらにその後、「アイデンティティ・クライシス」という事件の際、
とあるヒーローの正体を知って卑劣な凶行に及んだ(彼の妻を酷い目にあわせた)とあるヴィランに対して
ザターナが魔術を用いて、ヒーローの正体に関する記憶消去だけでなく邪悪な人格を変えてしまうための洗脳までも行おうとし、
ヒーローとしての倫理に反するとそれを止めようとしたバットマンの 記憶を消していた 事が判明したのである。
そして、それは彼女の独断ではなく、他のリーグのメンバーらの決断によるものでもあったため、
後に記憶を取り戻したバットマンは、これまで以上に仲間を信じられなくなっていたのである。
そもそも気難しいから説得を断念されたとも言えなくも無いけど。

そして完全に人間不信に陥ったバットマンは、最も信頼する相手であるナイトウイング(初代ロビン)にさえ、
「誰であろうと信じてはならない、たとえ 私であろうともだ 」なんて教えたりするようになってしまう。
そしてその挙句、 監視衛星を打ち上げてヒーローを監視 することさえ始めてしまう。
だが、後にその衛星は自我を持ち、何とヒーローの抹殺を目的として行動しだしたのだった。

その結果、ヒーローに死者が出てしまっても絶対に謝らないバットマンだったが、
この時期は殺人を犯させるレベルまでに洗脳されたスーパーマンがバットマンをガチで殺害しかけて
それに対してバットマンは「君のような力をもった存在が操られていたから、で済まされると思うのか」と言い放ち、
さらにワンダーウーマンが悪人を止めるためにやむを得なかったためとはいえ殺人を犯して責められたりと、
バットマンに限らずヒーロー全体に深刻な不和が広がっていたので、ある側面では仕方無いといえなくも無い。

これらの流れから始まった「インフィニットクライシス」という事件の中で、
改めて人との繋がりの価値を再認識していったバットマンは事件が終わった後、家族と共にゴッサムを離れ、
一年間世界中を巡り、自身を見つめ直したのだった(ロビンは先に帰ったけど)。
余談だが、監視衛星が自我を持って暴走したり、スーパーマンが洗脳されたり、
ワンダーウーマンが殺人を犯すよう仕向けられたのは「インフィニットクライシス」の悪役が黒幕だった。

このような、ある意味人間性を欠いた人格というか、「バットマンの正体はブルース・ウェイン」ではなく
バットマンがブルース・ウェインの素顔 」と言えるような状態の為、
アメコミ史上「最悪」のヴィランと名高いジョーカーすら、彼のことを「気狂い」扱いしている。
(彼曰く「蝙蝠の仮装をして玩具を投げて犯罪と戦う奴は気が狂ってる」とのこと。また、その狂いっぷりは自分以上とも評していた)
また他のヴィランも多くがその事を指摘しており、キャットウーマンそのほかとの恋愛が進展しないのもそのせい。
ペンギンなどは「お前は俺に嫉妬しているんだ。俺は素顔でも鳥人間だが、お前は仮面を被らなきゃいけない!」と言い放っている。

バットマン本人もこのことは十分に自覚しているようで、
彼が「決して銃を使わず、悪人を殺さない」という厳しいルールを自らに課しているのは、
パニッシャーとは異なり、自分自身の最後の人間性を守ろうとするためであると思われる。
そういった意味で、自らの怒りや狂気とも戦わなければならない彼は、文字通りの 「ダークヒーロー」 なのである。
また、上記の様にバットマンを気狂い扱いしているジョーカーもその一方で、
(作品にもよるが)かろうじて正気を保ち続けているバットマンを 心底羨んでいる

とは言うものの上記のルールを時と場合によっては、「銃を使わなければ問題ない」「殺しさえしなければなんでも良い」
もしくは「自分が直接手を下しさなければ悪人が死んでもお構いなし」という
ある意味でとんでもなく自分勝手な方向に捻じ曲げることもあるようで、
「一生涯に渡って刃物・銃・暴力行為に対して深刻なトラウマを発症する神経ガス」を使ったり、
無傷で犯人を確保する手段があるにも関わらず、あえて犯人の腰の骨をへし折り逮捕したり、
貧困故に止む無く犯罪に手を染めた、子供を持つ父親をジョーカーを釣る餌として見殺しにしかけたりと、
単純な人殺しよりはるかに悪質なんじゃないかと思わせる手段も散々使っている。
しかもバットマンが想定する対ギャング用の最終戦術は、よりにもよって 街のギャング同士を煽って対立を深め、
街中で戦争を起こさせてギャングを間引く という、読者から見ても「それはもう立派な殺人じゃないか!」とか
「ジョーカーでもやらないだろ!」とかツッコミたくなるような酷い代物だったりする。
もし実行すれば無辜の一般市民がまず間違いなくとばっちりを食うのは火を見るより明らかであり、
当のバットマンがそれに全く気付いていない、あるいは やむを得ないと割り切って目を背けている 可能性は極めて高い。
(まぁ、だからこそ最終手段なのだろうが、そうとは知らない身内の手でバットマンの意図しないところで
 実行されてしまい、大惨事となってしまった
冒頭で解説してあるようにその精神は既にキチガイ一歩手前と化しているため、
他にも犯罪者を痛めつける際には喜びを感じていたり(流石にその後に喜んではいけない、と自省したが)、
犯罪者が自分に恐怖する姿を見て「これだからやめられん」と内心で思ったりと、
最早発砲と殺人に手を染めずして一線を越えているんじゃないのかとか、
発砲と殺人のいずれか、あるいは両方に手を染めた方が精神面が却って安定するのでは、
と思いたくなるような描写も非常に多い。

こんな有様のせいか、近年では「犯罪を撲滅しようとするバットマンの存在こそが、犯罪を呼んでいる」という
テーマが掲げられることが多い。
(バットマンを倒したと誤解したリドラーが足を洗って真人間になろうとしたが、生存を知りまた悪事を犯し始めたり、
 バットマンを殺したと勘違いしたジョーカーがショックで 正気に戻ってしまった が、生存を以下略……等)

余談だが、銃を使わない、敵を殺さない、という姿勢は当時の制作サイドの執筆方針の移り変わり、
ロビンの登場、コミック・コードといった複数の要素がもたらしたもの、という面が強い。
実際、原作最初期でのバットマンは典型的な復讐型ヒーロー、「悪人の生命を絶対に尊重しない冷血漢」だったため、
拳銃を手に持ったカットも散見され、悪人を殺すこともあった。
ロビンが登場するまでは殺害方法がエスカレートするばかりで、
ロビン初登場エピソードでは、ある悪党を間接兼合法的に殺害(=死刑に)するため
その悪党が殺人事件を起こすように仕向けて実際に人を殺させ、その一部始終を撮影した写真を警察にプレゼント
というよりにもよってジョーカーも真っ青な超卑怯で腐れド外道極まりない手段を使っている。
が、バットマンの余りの冷血な姿勢に対して変だと思う読者は当時から存在し、
それを受けてか編集からもバットマンによる殺人への疑問の声は出ており、
そこからの作家陣の試行錯誤とロビンの存在に、後年制定されたコミック・コードなどが絡み合っていき、
バットマンは銃を使わなくなり、悪人を殺さなくなり、作風の方もかなり明るくなっていった。
そしてコミック・コードが瓦解して原作最初期のダークでシリアスな作風を取り戻した後も
『銃を使わず悪人を決して殺さないのがバットマン』という不文律が定着し、
現在の「自警団型ヒーローの元祖」たるバットマン像が成立したのである。

ところが…(後述)。

ファイナル・クライシスの際に、ダークサイドと刺し違えてブルース・ウェインは戦死。
現在では初代ロビンでありナイトウィングであったディック・グレイソンが二代目を務めている。
(一時期代理を務めたアズラエルを含めるなら三代目)
……ただ、読者全員の思ったとおり実は彼は生きていた。
ブルースの死体だと思われたのはダークサイドの作ったクローンであることが判明し、
本人は過去に飛ばされたことがレッドロビンの調査によって示唆されている。
そしてブルースは各々の時代でバットマンとして犯罪と戦いつつ、現代を目指していた。
現代に帰還後は「ゴッサムのバットマン」をディックに任せ、自身は主に世界で活動中。
その一環として「全世界の大都市でヒーローを一人勧誘し、バットマンにする」なんて事もしており、
+現在、東京ではこんなバットマンが活躍している。
現在、東京ではこんなバットマンが活躍している。
老いて前線を退いた伝説的ヒーロー「ミスター・アンノウン」。
その弟子として、実動員として活躍していた青年ジロー・オサム。
しかしミスター・アンノウンはロード・デス・マンによって暗殺されてしまう。
そして窮地に陥ったオサムを救ったのはロード・デス・マンの宿敵、バットマンであった。
やがてバットマン風のコスチュームを纏ったオサムは、バットマン・ジャパンとしての戦いを始める――……。

ちなみに丸っきりのネタではなく、かつて桑田次郎が連載していた日本版バットマンへのオマージュである。
彼自身のストーリー自体も、『バットマン・ビヨンド』の要素が盛り込まれている他、
加えてコスチュームのデザインにも日本風ヒーローの特徴が取り入れられ、
宿敵であるヴィランも、桑田版同様ロード・デス・マンこと「死神男」が登場しているなど、
決してパロディやネタなどではなく、「ガチ」のヒーロー、バットマンなのである。

当時、後述されるドラマ版のように明るい雰囲気だった原作版とは異なり、
バットマンを科学探偵としてクールでスタイリッシュに描いた桑田版はアメリカ本国でも話題となった。
近年では1話のみとはいえどもアニメも制作されるなど、DCによって公式認定されている。
このアニメ版も桑田次郎の生み出したヒーロー「8マン」のオマージュが盛り込まれており、
本作が現在でもカルト的な人気を獲得していることの証拠となっている。

桑田バットマンは長らく絶版であったが、2013年に小学館から再版されているので、興味のある人は是非手にとって見て欲しい。

また使用する格闘技は原作では空手・柔術・忍術・合気術の複合。
それらに加え、メインに使うことは少ないが バリツ (シャーロック・ホームズが一度死んだ後に生還した事になったのを理由付けるために会得していたという謎の 日本 武術)
にいたるまでの格闘技全般を高いレベルで身につけている。
映画『ダークナイト』ではキーシファイティングメソッド(実在する対多数を想定した格闘技)とされている。
格闘技の描写が適当なアメコミでは珍しく、バットマンは割と詳細な描写がされることが多く(おそらくフランク・ミラーの影響だと思われる)
打撃系の相手に苦戦するとタックルからのマウントに持ち込んで勝利したり、肩の筋に貫手を打ち込んで腕を使えなくしたり
ブルースが巻き藁に貫手を打つ訓練をしていたりと、随所にこだわりが見られる。

ちなみに科学的に正しいバットマンについての考察本『バットマンになる!』では、
多種多様な格闘技を始めとする技術を実用レベルで習得するのは無理がある為、
総合技術として 忍術を中心に学ぶのがもっとも効率が良い とされている。
まあそれでも身体能力の全盛期等を加味すると、現実的には十年以上訓練を積んでも数年の活動が関の山、という事だが……。

+パラレル未来図
引退したバットマンの復帰と戦いというイフの未来を描いた『ダークナイト・リターンズ』では、
あくまで個人的な正義を貫こうとした為、大局的な正義を重んじるスーパーマンと決定的に対立。
大量のクリプトナイトを用い、パワードスーツを着込み、一般には卑怯と言われるだろう作戦を立て、
スーパーマンと互角以上に渡り合い、自らの正義を貫こうとした。
それでも最終的には敵わず追い詰められるものの、 それすらも計算の内 であり、
伏兵として潜ませていたグリーンアロー(共産主義者であり、ソ連と戦ったスーパーマンを憎んでいた)に
クリプトナイトの矢による狙撃を行わせ、 スーパーマンを追いつめた
『ウォッチメン』同様に「ヒーロー」というものをシビアに、「ヒーロー」(の魂)に最大限の敬意を表しながら描いた
『ダークナイト・リターンズ』は、後述されるノーラン版『バットマン』を筆頭に多大な影響を及ぼし、
『ウォッチメン』と並んでアメコミ界を大きく変えた名作と評価されている。

続編である『ダークナイト・ストライクス・アゲイン』ではストレートな勧善懲悪路線を全うしつつも、
ヴィランによって築かれた体制に対して、ヒーローたちがテロリスト化して牙を剥く という衝撃の展開が敢然と描かれた。

また、別の未来の話を描いたアニメ『バットマン・ザ・フューチャー』では
自ら開発したパワードスーツを身に纏い年老いた体を誤魔化してヒーロー活動を続けていたが
ある誘拐事件を解決したときに、肉体の衰えから追い詰められてしまい、思わず銃を手にとってしまう。
辛くも発泡するのだけは避けたものの、その事にショックを受けたブルースは引退を決意し
ウェインエンタープライズの経営も他人に任せての隠遁生活を送るようになっていた。
しかし、テリー・マクギニスという高校生が偶然にもバットケイブを発見し、そこから半ばなし崩しに彼を後継者にする。
現役時代と同じように気難しい性格でテリーからの反発をうけながらも、彼を導こうとする姿が描かれている。
また、テリーが捕われた際には自ら旧式のアーマーで救出に向かうなど、行動力も決して失われてはいない。
本編中では度々テリーと類似点を指摘されたり、父子のようだと言われたり(テリーは犯罪者に実父を殺されている)しており、後に『Justice League Unlimited』でテリーの生物学上の父親がブルースという設定が加えられた。

他にも『キングダム・カム』という同じく未来世界の話では、
戦いで背骨を痛め年老いた自分の代わりに 大量のバットロボ で街の治安を守っている。
おかげでその世界のゴッサムはアメリカ一治安が良いらしいが……。
とは言え、他のメンバーや若手ヒーローはもっと迷惑な方法で治安を守っている(むしろ守りすぎている)場合もあるので、
その中ではかなりマシな方だったりする。

そして『バットマン:ザ・ラストエピソード』では、文字通りバットマンの最終回が描かれた。
其処では様々な形で訪れる彼の死が描かれており、それに直面したバットマンが自分の宿命に気付いていくというストーリー。
バットマンは犯罪との戦いで必ず死ぬ。絶対に妥協せず戦い続け、そして死ぬのだ。
逃れることはできない。平穏な余生などありえない。
何故なら彼は、いくら戦おうとも、決して両親を救うことはできず……だからこそ犯罪と戦い続ける事を誓ったのだから。
だから、バットマンは諦めない。いくら死のうとも、どんな人生であっても、彼は自らバットマンとなる事を選択する。
そしてバットマンとして戦い抜いた者に与えられる報酬は―― またバットマンになれること なのだ。

だが、どうか忘れないで欲しい。

彼はただの人間だ。幼い頃に両親を亡くすという悲劇に見舞われた、我々と同じ人間。
そんな彼が、悲劇を克服し、ただ己の意志と力で世界をより良く変えられると信じて立ち上がった。
だからこそ我々は彼を応援し、彼の存在に力をもらって、自分たちの現実に立ち向かう事ができる。
なぜなら、我々もまた彼と同じ、ただの人間なのだから。



――忘れないで欲しい。だからこそ、バットマンはヒーローなのだ。


映像作品では

歴史ある名ヒーローだけあって、その映像化作品も多岐に渡る。
比較的明るく、コメディー要素の多い実写TVドラマ版は日本でも吹き替え放映されるなどしたため有名であり、
バットマンのブランドがメジャーにのし上がる原動力にもなったので、バットマンの映像史を語る上で外すことのできない重要な位置に存在する。
(法律問題から、本国でもDVD化されていない、と言う非常に残念な事態が起きているが、映画版DVDは日本でも視聴可能)

ニコニコ的には90年代に製作されたカートゥーン『バットマン:ジ・アニメイテッドシリーズ』が最も一般には知られていると思われる。
これはヒーローでありながらダークなバットマンの雰囲気を巧に描いた傑作で、今も尚、多くのファンが存在している。
(日本では残念ながら吹替えされていないエピソードの存在に加え、まともな形でのソフト化がされていないが……)
その後、未来世界を描いた『バットマン・ザ・フューチャー』、設定を一新した『ザ・バットマン』、
シルバーエイジ(=明るく健全だった頃)への原典回帰的な『バットマン:ブレイブ&ボールド』などが製作されている。
『ブレイブ&ボールド』ではダークヒーローでありながらも純粋な善意で正義を実行しようとする正統派的な一面も盛り込まれた、
深みと明るさを両立させたバットマン像が描かれているので、興味が湧いた人はぜひ見てみよう。

なお、アニメの日本語版では90年代版を初めとして殆ど玄田哲章氏が声を務めており、
『スーパーマン』のゲスト出演時や『ジャスティス・リーグ』でも同様であった。
ただし、『ザ・バットマン』では加瀬康之氏、『ゴッサムナイト』の一部エピソードでは三木眞一郎氏が担当するなど、
例外も少なくない。
なお玄田氏は前者においては後述の『Mr.フリーズの逆襲』の吹き替えでも演じたMr.フリーズ役で出演している。

映画版に関しては、ティム・バートン監督による『バットマン』『バットマン・リターン』、
ジョイル・シュマッカー監督の『バットマン・フォーエバー』『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』、
そしてクリストファー・ノーラン監督の『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト』の六作が知られている。
ダークかつスタイリッシュなバートン版、シリアスでリアリティ溢れるノーラン版、
そして子供向けの明るいヒーロー物を目指したシュマッカー版と特徴も別れており、それぞれにファンも多い。

……まあ、シュマッカー版は、その、うん、ちょっと、アレだけど、ね?

「バットクレジットカード! お買い物には忘れずに!」

アレなシュマッカー版だけど、シュマッカー監督が60年代の明るいドラマでバットマンを知った世代で、
なおかつスポンサー側から「バートン版は暗すぎたから子供受けするものを」と要求されて作った事を鑑みれば、
作品のすべての責任を監督に負わせてしまうのはフェアな行為とはいえないだろう。
事実『フォーエバー』はヒットし、興行的成功を十分に収めている。
シュマッカー氏は『オペラ座の怪人』など素晴らしい映画を撮影した名監督であるし、
それに後に「面白がってもらおうとしたけど失敗した。申し訳ない」とコメントしている。
あと少なくとも Mr.フリーズを完全とはいかなくても救済できた 点は評価できると思います。
事実、Mr.フリーズを救済できたクリエイターは、2013年現在においても シュマッカー氏しかいない のだから。

+ ティム・バートン版 暗黒の騎士に関する補足
1989年、ティム・バートンは実写映画版で狂気を体現するジョーカーとの対比のために前述の不文律を見事に無視して、
バットモービルとバットウイングの兵装とはいえ銃も平気で使い、手当たり次第ではないが悪人を殺す時は一切躊躇わない。
ジョーカーやペンギン、キャットウーマンと同じく コウモリの格好をしたフリークス としての狂気に満ちたバットマン像を描いた。
(何の皮肉か、前述のジョーカーの指摘が完全に当てはまっている感じがしないわけでもない)。
同作と続編のリターンズは名作と名高い(というか文句なしに名作)が、バットマンが殺人に走る点だけは今も評価が分かれている。
とはいえ、その一方、 殺る気満々の凄みある笑み は他のバットマンには無い、極めて魅力的な要素でもある。
なんせホットトイズでも表情として採用されるほどで……っていうかマイケル・キートン怖すぎ。


ちなみにキートンは同作以前にティム・バートンが製作したホラーコメディ映画「ビートルジュース」で同名の主人公を怪演しており、
その時にバートンから演技力と演技の幅の広さを買われた縁でバットマンを演じることとなった。
ところが主演作の一つであったホームコメディ映画『ミスター・マム』での好演で出来上がった「コメディ映画の雄」というイメージが、
皮肉にも「ビートルジュース」での強烈過ぎる演技でより強固なものになっていたせいで主演が決まった当初は大ブーイングに曝されたのである。
が、実際に出来上がった同作における 殺人上等でガイキチを極めたバットマン を熱演し切ったことでブーイングを見事鎮圧してのけた。

加えて、ふだんはちゃらんぽらんなプレイボーイであるブルース・ウェインに前述の明るいイメージはぴったりであり、
後の作品ではブルースもシリアスな演技をしている事が多い為、この二面性を演じきった唯一の作品であるともいえる。
+バートン版バットマン 狂気と正義感で彩られた殺戮の軌跡
どんだけ殺していたかと言うと…。
第1作では、
  • 冒頭での路上強盗二人組の会話で、二人の強盗仲間を転落死に見せかけて殺害した可能性が示唆される。初っ端からこんな感じ。
  • ジョーカーの組織(かつてのボスや、他のギャング仲間を殺して乗っ取った)の傘下にあった製薬会社で製造されていた殺人化粧用品『スマイレックス』の増産を阻止するためにバットモービルで殴り込み、小型強力爆弾で製薬会社を爆破。もちろん中で働いていたジョーカーの部下たちは全員死亡。しかもこの時のモービルはバットマンが製薬会社の敷地内とはいえ、安全な外で遠隔操作していた。なんという外道。
  • ジョーカーの殺人パレードを食い止めるため、バットウイングで襲撃。スマイレックス入りの風船をまとめて空の彼方に放逐した後、ウイングに搭載されていた機銃とミサイルをジョーカーとその一味に向けて平然と発射。ジョーカーは無事だったがその場にいた部下たちは全員射殺・爆殺。
  • 時計塔でのジョーカーとの決戦直前、ジョーカーの部下の中でやたらガタイが良くて腕っぷしが強い奴を、頭部を時計塔の鐘にぶつけて、止めにそのまま階下へ投げ捨てて殺す。
  • ジョーカーが両親の仇であることに気づき、それを根拠に思いっきり"kill you!(殺す!)"と断言。激闘の末にその場から逃げようとしたジョーカーの足をワイヤーでガーゴイル像と結びつけ、転落死させる。
と、この時点で相当数の悪人を殺している。
更に続くリターンズでは、
  • ペンギンの部下たちをバットモービルを使ったひき逃げ戦法で次々と跳ね飛ばし(足を引っ掛けるための仕込み板で転倒させる、乗り上げた部下を急ブレーキで吹き飛ばす、といった間接的手法ではあるが傍目から見れば立派なひき逃げ行為)、バイク乗っている奴は新装備の柔らか素材で微妙な威力の弾を発射する仕込砲で狙い撃ってバイクから落とす(弾体は命中直後に粉々になり、悪党の方は目立った外傷は見られなかったが、胸部などの急所に直撃している)。どれも明確に殺した、と言う描写ではないが転倒時、何人かは明らかに後頭部を強打しており、死人が出ている可能性は高い。
  • 火炎放射攻撃してくる奴の内1名を、意図的にモービルの アフターバーナーで直火焼きにする 、という非常にエグい方法で惨殺。
  • 後日、懲りずに街を襲った悪党の内、やたらガタイが良くて頑丈な奴を、別の悪党から奪った 爆弾を括り付けてから満面の笑みで下水道へポイ捨て 。当たり前だが直後にその悪党は爆死している。
  • ペンギンとの決戦時、家族である本物のペンギンたちがミサイルで武装していることを利用して洗脳。更にコントロール装置をわざとペンギンに奪わせて本人にミサイルを発射させてアジトを吹き飛ばし、それと同時にモービルに搭載していた本物の蝙蝠で攪乱することで高所からアジト内のプールに落として致命傷を与える。
など、第1作ほどでないにしろ殺しまくっている。
もし第3作(後のフォーエバー)以降もティム・バートンが降板していなかったら、どんな惨劇が繰り広げられていたことか。
まあ、これは監督であるティム・バートンの演出であり、
流石に『フォーエバー』『&ロビン』『ビギンズ』『ダークナイト』では、そういった描写も形を潜めているが……。


ゲームでは

やはりこれも映像作品と同様、多くの作品が製作されている。
最も知られているのは恐らくFC版の『バットマン』と、SFC版『バットマン・リターン』であろう。
その他にもメガドライブ版、ゲームボーイ版、PCエンジン版と他機種で展開されており、主な
ゲーム化版権を取得していたサン電子の高い技術力もあってほとんどが高難易度ではあるものの、
極めて優れたアクションゲームとして認知されている。
……ただ、クソゲーも多いけどな

また近年では『バットマン:アーカムアサイラム』が、極めて高い評価を得ている。
完全に3D化された世界で、狂気のヴィランを相手取り、バットマンそのものとして戦いを挑む……

アメコミ諸作品がそうであるように例によって例の如く、日本での認知度は呆れるほどに低いのが難点だが、
キャラゲーとしての出来の良さに留まらず、アクションゲームとしても素晴らしい傑作であり、
なんとギネスによって『 世界で最も評価されたキャラクターゲーム 』の認定を得ている。

宿敵であるジョーカー(バットマン)が映画史に名を残したヴィランである一方、
バットマンはゲーム史上に残る活躍を魅せてくれた、文字通りのヒーローなのだ。

そして2011年11月、満を持して続編『アーカムシティ』が発売されている。
海外のとあるレビューサイトは高評価すると同時に 「バットマンになれ、それだけだ」 と、(満点でこそなかったが)詳細なレビューを放棄して手放しでべた褒めしていた。

『パズル&ドラゴンズ』にも『バットマン:アーカム・ビギンズ』とのコラボで出演している。
ジョーカーやベインダンジョンで登場するのに対し、彼はコラボ限定のガチャでの登場になっている。

『バットマン+バットラング(遠隔クロー)』、『バットマン+バットウィング』、『バットマン+Sグローブ』の3キャラに分かれており、それぞれサブ属性やスキルなどが違う。

2015年には、レゴブロックを題材とした『Lego Dimensions』という一大クロスオーバーTVゲームに出演している。
同じDCコミックのヒーロー達の他、『指輪物語』のガンダルフや『LEGO ムービー』のワイルドガール(Wyldstyle)、
『ドクター・フー』のドクター、『ザ・シンプソンズ』のホーマー・シンプソン、『ゴーストバスターズ』のピーター・ヴェンクマン博士、
『スクービー・ドゥー』のスクービー・ドゥー、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクなどと共演を果たしている。
主にガンダルフとワイルドガール、バットマンの3人組がメインとなり、様々な作品の世界を再現したステージを探索していく。
MUGEN入りしている悪役としてはジョーカーハーレクインベインレックス・ルーサーダーレクなどが登場している。


MUGENにおけるバットマン

DCコミックの顔の一人であるためか、さすがに多くのキャラクターがいる。
現在、わかっているだけで6人確認されている(全員海外)。

  • Acey氏製
格闘戦と多目的ブーメラン「バッタラン」を多用するスタイルとなっている。
また、冷凍爆弾やガス爆弾、瞬獄殺なども使用する。

  • Magus氏製
現在β版。
バッタランで戦うスタイルは同じだが、スーパーマンが相手の時のみ、 クリプトナイト製 のバッタランを投げられる。
なんという外道


  • SpiderBat氏製
Magus氏が製作したプログラムにSpiderBat氏のスプライトをかぶせたもの。
こちらもまだβ版である。

  • Alucard氏製
ほぼ完成しており、それほど強くはないがAIも搭載されている。
必殺技が充実しているのに加え、特殊カラーのバザロ(ビザロの世界の同一存在)モード、
クリプトナイトモード、潜入スーツモードで技が大きく異なり、実質上4人分のキャラクターである。

  • Duracelleur氏製
Alucard氏製を改変したもの。
基本的なシステムは6ボタン式のオリジナルシステムになっている。
新たな必殺技の搭載や演出の強化が行われており非常に見栄えが良い。
AIは搭載されていない。

  • ZET氏製
Alucard氏製の改変版。winmugen、新mugen共に使用可能。
技性能や勝利演出が変更されており、全体的に重量感のある動きをする。
カラーによって性能が変化する。1pが凶上位~狂下位、2pから4pが狂下位、5pが狂下位~狂中位、6pが狂上位。
デフォルトでAIが搭載されている。

出場大会


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