X-MEN CHILDREN OF THE ATOM




概要

当時テレビ東京系で放送されていたテレビアニメ『X-MEN』の冠スポンサーであったカプコンが、タイアップの一貫として1994年12月にアーケードで発売した。

善悪入り乱れたミュータント(例外あり)*1のどれかを選び、それぞれの目的のために勝ち抜いていくストーリー。
当時の格闘ゲームにしては珍しく、対CPU戦では同キャラ対戦が一切発生しない(対人戦では可能)。
ラウンド開始直前に動く事ができ、またラウンドを終えると倒れたキャラクターが起き上がり、双方の体力ゲージが満タンに戻って次のラウンドが開始される。
これらの要素は、後の『VS.』シリーズや『ヴァンパイア』『スターグラディエイター』『ジョジョの奇妙な冒険』に引き継がれた。

タイアップしていたアニメ『X-MEN』では番組の最後に、
本作での対戦動画を見ながら ビーストが実況、プロフェッサーXが解説する「X-FIGHT」というミニコーナーがあり、
その週のエピソードを踏まえた楽屋オチギャグなども連発されていた。

(以上、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より一部加筆、改訂)

通称は『初代』『XCOTA』『COTA』など。

原作であるアメコミの『X-MEN』は北米では歴史と人気を兼ね備えた超有名作品であり、
それを原作とした本作は北米では凄まじいヒットとなった一方、映画が放映された『スーパーマン』、
アメリカ製TVドラマが放送された『バットマン』『ワンダーウーマン』『超人ハルク』以外のアメコミヒーローに馴染みが薄い日本では、
製作側が狙ったほどの人気は獲得出来なかった
(当時の日本で『スパイダーマン』と言ったら東映版の事である。ファンタスティックフォー』?『宇宙忍者ゴームズ』なら知ってるけど)。

続編『MARVEL SUPER HEROES』では斬新過ぎた点はマイルドにし、自由過ぎた部分には制限を加える方向の変更が多く施された
際限定だった空中コンボがエリアルレイブとしてどこでも可能になったという部分もあるが)。
その結果か国内人気はかなり上がったらしいのだが、前作から無くなった要素も多く、本作のファンからするとゲーム性の違いに戸惑う事にもなった。

余談だが、1992年にはコナミがベルトスクロールアクション版『X-MEN』をアーケードで発売している。
しかし本作より2年前と言う事は、それこそ日本での知名度は0に等しいも同然の時期であり、そのためかヒットはしなかった。
それ以前に、(大型筐体なのも災いしてか)日本では出回りが悪過ぎて見かけた事さえなかった人も多かったようだが。
ただしアメリカではそれなりにヒットしたらしく、2010年にはPS3とXBOX360に移植された(日本未発売)。
あとコナミに『Xメン』の商標権を取られてしまった結果、日本でも英語表記で売り出す事になったとか
他にはデータイーストの『キャプテンアメリカジ・アベンジャーズ』でクイックシルバーが一瞬だけ登場。
ぶっちゃけヴィラン(悪役)の方が目立っていた(ただしセンチネルジャイアントロボ名義)。
クイックシルバーもヒーローと言い切れるかは疑問だが


キャラクター

  • ヒーロー
  • ヴィラン
  • ボスキャラクター
    • ジャガーノートは家庭用では対戦モードのみ使用可、マグニートーは日本ではAC・家庭用共に使用不可・海外PS/PC版のみ使用可

TASさんによる永久コンボ集(ただし全員ではない) セガサターン版コンボムービー


システム

通常技
従来の格闘ゲームと同じく「ボタン一発で出る技」の総称。全技キャンセルが掛かり、しかも空キャンセル可能。
これまでの作品では必殺技かそれ以上という位置付けだった飛び道具系通常技が多数登場した。
ストリートファイター』『ヴァンパイア』両シリーズで既にお馴染みのパンチ・キックそれぞれ弱中強の6ボタン式。
チェーンコンボが採用されているが『ヴァンパイア』のように一律でなく、キャラによって繋がり方が全く異なる上に、
同じキャラでも地上、ジャンプ中、スーパージャンプ中でまた異なるため慣れを要する。
+ その一例
  • ウルヴァリン
    地上:K→P
    ジャンプ:K→P
    Sジャンプ:弱K→弱P→中K→中P→強K→強P
  • コロッサス
    地上:弱→中 or 強
    ジャンプ:K→P
    Sジャンプ:K→P
  • 豪鬼
    立:弱P→弱K→中P→中K→強P→強K
    屈:弱K→弱P→中K→中P→強K→強P
    ジャンプ:弱P→弱K→中P→中K→強P→強K
    Sジャンプ:弱P→弱K→中P→中K→強P→強K
豪鬼のみ立ちとしゃがみでキャンセル方向が変わり、この影響で、
立P→同じ強さの屈K→同じ強さの立P→同じ強さの屈K→…と延々キャンセルし続ける事が出来る。
ダウン喰らい時の判定の大きいキャラに対し、これを利用した永久連続技がある。
必殺技
従来の格闘ゲームと同じく「ゲージを必要としないコマンド技」の総称。
入力の面で「コマンドがシンプル」「タメコマンドが存在しない」といった特徴がある。
ハイパーX
Xパワーゲージが満タンになると使用出来る超必殺技ガードキャンセル可能。コマンドは全キャラ共通で「↓↘→+PPP」。
ただし通常の使用キャラクターではない豪鬼、ジャガーノート、マグニートーらのコマンドは異なる。
また複数のハイパーXを持つキャラの場合も2つ目の技の方のコマンドは統一されていない。
Xパワー
パワーゲージを必要とする各キャラ固有の能力。ちなみに本作では阿修羅閃空はXパワーという扱い。
キャラクター特性
パワーゲージが無くとも発揮出来る各キャラ固有の能力。三角飛び二段ジャンプなどがそれ。
スーパージャンプ
「↓↑」と入力すると出せるハイジャンプ。通常技をキャンセル可能。
方向キーで左右には任意に移動可能で(必殺技のコマンド入力がジャンプ軌道に影響してしまうという事でもある)、
着地までに何度も技を出せる。
本作の「自由すぎた部分」の一つで、Sジャンプを活用した実に多彩な空中連続技(永久コンボ・即死コンボ含む)が存在する。
投げ抜け・投げ返し
投げ技に対抗するテクニックで、キャラごとに投げ抜けか投げ返しのどちらかを持つ。パワーゲージを必要とする。
投げ返しキャラ同士だと時に「投げ→投げ返し→投げ返し返し」というカシカシ合戦の如き様相を呈する事も。
オートマチックモード
自動で攻撃をガードしてくれる「オートガード」搭載の初心者向けモード。
キャラクターセレクト時に従来通りの「マニュアルモード」との選択が可能。
ただし、通常攻撃をガードしても体力が削られる、必殺技の弱・中・強の使い分けが出来ない等のデメリットも存在する。

個性を持たせたキャラごとの通常技チェーン、技の種類や相手の体重によって吹っ飛び方が異なるというベクトル理論、
スーパーアーマーや移動起き上がり、コンボ補正、常に喰らい判定がある事で成立した空中コンボなどの新しい概念が特徴。
キャラ挙動などのプレイ感覚は後の『VS.』シリーズよりも機敏、かつ自由度が高い。
しかしそのため永久コンボ・即死コンボが大量に存在した事は、
アーケードの対戦ツールとしてはやはりマイナスと言わなくてはならないだろう
(とは言ってもこのシリーズ、『UMVC3』までの全作品を見ても永久コンボが無い作品というのは遂に無かったが…)。

また、特殊な能力を持つミュータントがメインだからなのか全体的に派手で、
中でもコマンド不要のワンボタンで目からビームを撃ちまくるサイクロップスやセンチネルは当時のプレイヤー達に大きな衝撃を与えた。
総じて本作は斬新・独特な点が多く、そしてキャラの行動の自由度が(結果から言えば過剰なほどに)高い。
空中通常技が1度のジャンプで複数回出せるのも本作が初出であり、ヒットストップが攻撃側にほぼ掛からないため展開もスピーディーで、
さらにゲーム設定“ターボ”状態でのウルヴァリンや豪鬼の前ダッシュは常人では見切れないほどの速さであった。
また当時の格ゲーでは珍しく物凄いコンボ補正が掛かり、例えば「中パンチ→強パンチ」のコンボが単発強パンチより威力が低いという珍現象も起きた。

隠しキャラ

特定の条件を満たす事で豪鬼が乱入してくる他、隠しコマンドによってプレイヤーの使用も可能。
しかしこのコマンドが曲者で、基板のバージョンや1P側か2P側かにより入力方法が違うためプレイヤー達の混乱を招いた。
またタイミングがシビアで失敗しやすかったため、後述のVer2.00以降では豪鬼を使おうとしてシルバーサムライに化ける事が多く、
中にはいつの間にかシルバーサムライが持ちキャラになっていたという人が出るほどであった。
今は亡きゲーメスト誌でも“豪鬼を出すのに失敗した人の為に”シルバーサムライ講座が企画された程である。

なお、この豪鬼はMARVEL側に無断で勝手に出してしまったことが後に暴露されている。
西谷亮「豪鬼はやらかしですw 勝手にやりましたw」
その後も懲りずにMARVELの許可を得ずに入れてしまったキャラが登場するのだが、それはまた別の話。

バグ

最初に稼働した基板(Ver.1.00)にはバグが多く、
  • ダッシュ弱攻撃だけで殆どのキャラが永パ可能
  • 死体殴りで気絶値が加算され、下手すれば次のラウンド開始直後に小パン一発で気絶
  • アイスマンのハイパーXを適当なタイミングで放つだけで99Hitを超える
などがあったために、短期間でVer.2.00にアップデートされたが、その後にバランスをさらに調整したVer.2.10が発売されている
(しかしVer.2.10でも永パは多々残っている)。
さらにその後、主に海外向けにVer.3.00が作られ、セガサターン版はこれを基に移植したようだ。

しかし、このセガサターン版も当時は拡張RAMという選択肢が無かった事から、
容量削減のために大幅に演出やキャラのモーションが削られており(コロッサスの屈強Pがアニメ2枚で表現されていたり等)、
AC版では不可能なコンボ(中攻撃→中攻撃・強攻撃→強攻撃)が散見されるなど、
こちらもAC版のどのバージョンとも異なる内容になっていた。
またロード時間も標準で高速ドライブを備えたセガサターンにしては長く、総じて移植度の評価は低い。
ただしジャガーノートが対戦に限り使用可能(マグニートーは不可)。

海外限定でプレイステーション版も発売されているが、こちらはSS版以上にアニメが削られている。
同時期に海外PC版も発売され、これらではジャガーノートとマグニートーが対戦に限り使用可能になった。


*1
  • スパイラル=サイボーグ
  • センチネル=ロボット
  • ジャガーノート=魔神サイトラックの宝石によってパワーを得た人間
と、実はヴィラン側の半数はミュータントでは無い。

また、マーベルユニバースにおける「ミュータント」というのは「超人」「超能力者」全般を示す言葉では無く、
「特殊な遺伝子によって先天的に超能力を持って生まれてきた人達」という定義がある。
たとえ超人的な能力を持ったヒーローであっても、超人化計画によって人体強化された者放射能を浴びた蜘蛛に噛まれた者
軍の実験施設に入り込んで大量のガンマ線を浴びてしまった者宇宙飛行の実験で大量の宇宙線を浴びてしまった者など、
後天的に超能力を得た者は「ミュータント」では無い。
やけに放射線被曝ネタが多いが、アメコミ作品発表当時はそういう時代だったという事で……

あと、当然だが豪鬼は人間。
人間が超人と戦えちゃっていいのか、という疑問もあるが、
マーベルユニバースでは鍛えた格闘家がスーパーヒーローをやっているとか悪のニンジャ軍団という例もあり、
とりあえず東洋の神秘で謎の超パワーというのもお約束なので、実はあちらから見ればそう違和感は無い客演だったりする。
超人扱いするとしても「修行の果てに殺意の波動に目覚めた」という理由なので、上述の通り「ミュータント」には分類されない。


最終更新:2023年06月13日 00:14