ソニックブーム


"Sonic Boom!"

ガイル及びナッシュが使う必殺技の1つ。ソニックブーンでは無い
前方に回転する刃状の飛び道具を発生させる。
コマンドは「←タメ→+パンチ」のタメ技

+ ソニックブームの元ネタ
元々ソニックブームとは、飛行機が音速を超えて飛行する際に、
機首および翼後縁付近で発生した衝撃波のエネルギーが地上に伝播し、断続的な音波として観測される現象の事である。
音とは、空気等の媒質中を伝わる振動であり、媒質の「硬さ」によって違いはあるが一定の速度で伝わる
(所謂「音速の5倍で泳ぐガマクジラは、音速の5倍で飛ぶウルトラマンの5倍の速さ」と『空想科学読本』に突っ込まれたのは、
 海水が空気より硬いからである)。
この速度を振動源が超える事により、進行方向に振動の波形が圧縮・増幅され、莫大なエネルギーを持つ波と化したものである。
その大きなエネルギーを持つ音波は、しばしば地上に窓ガラスが割れるなどの被害を与える場合がある
ガイルが同名の技を使うのも戦闘機を操る空軍少佐である事が影響していると思われる。
ただソニックブームと言う割には弱で撃つと前進歩きと同じ速度になるぐらい異様に弾速が遅いが、なに、気にすることはない

それもそのはずこの技は、実は開発段階では「ソニックブーム」ではなく「神砂嵐」という名称だったのだ。
元ネタは『ジョジョの奇妙な冒険第2部「戦闘潮流」に登場する柱の男・ワムウの同名の技から。
ただし、ワムウの神砂嵐が「竜巻を横にぶっ放して対象を粉砕する」技なのに対し、
ガイルのは「回転する円形の刃状の気弾を飛ばす」形であり、内容的にソニックブームとも神砂嵐とも異なる
(後の『V』でソリッドパンチャーを使用すると両手首にソニックブームをまとい、ワムウの神砂嵐っぽい見た目になってはいるが)。
ともあれガイルの使う「ソニックブーム」という名前の技は、本を正せば本来の意味でのソニックブームではないし、
そもそも本当のソニックブームを発生させているなら強過ぎるし、
人間の体じゃどう考えても不可能(飛び道具を出す事自体現実的に不可能というのはさておき)なので、
技の名前として使っているだけと考えるのが自然だろう。

上記の通り、ガイルのソニックブームは刃のようなものを飛ばす、いわば真空斬り・飛ぶ斬撃のような技となっているが、
実は日本のオタク業界では「真空チョップ」の名で知られ、波動拳の元ネタである「百歩神拳」や「かめはめ波」より歴史のある技である
(オタク業界に限らなければ古くから百歩神拳や不射之射、「遠当て」みたいな話はある)。
ゲームでも「真空波」の名で実装される事が多く、
確認できる範囲で同名の技が登場する最も古い例は『ファイナルファンタジーV』のエクスデスとなる。
尤も、元来の真空チョップはガイルやエクスデス等のとは違い、目に見えない速さ(≒超音速)で相手を切り裂くのが基本。
レイが使う南斗水鳥拳はこの代表例だろう。
ちなみに先述のワムウの神砂嵐も「両腕を高速回転させて『真空状態』を作り出す技」と作中で説明されている。
古くは妖怪・鎌鼬(かまいたち)の正体が、明治期以降は上記のような自然現象だと考えられた事もあった。

また1954年の漫画『赤胴鈴之助』の必殺技に「赤胴真空斬り」がある。
鈴之助が真空谷を吹き抜けるつむじ風が発生させる鎌鼬を元に会得した、
生身の素手で鎌鼬を生じさせるという飛鳥流の秘奥義であり、
まさにガイルのソニックブームそのもののトンデモ技なのだが、
真剣で斬り合っても流血沙汰にはならない当時の少年漫画的自主規制もあってか、
「手刀で生み出した旋風で群がる敵をなぎ倒す(斬らない)技」になっているという一周回ったガイルの御先祖様である。
もしこれが80年代以降の漫画だったなら容赦なくスパッと斬ってたろうな、多分……
ヨコハマタイヤのMUGENキャラ製作者もその通りの正に「必ず殺す技」なガイルのパロディイラストを投稿していたし

なお、真空谷みたいなネタは後年の作品でも使われており、
推理もので「凶器不明の斬殺魔の正体は、ビルの谷間に発生した「ビル風」だった」と言うオチがあったりもした。

以上よりガイルのソニックブームの製作上の経緯をまとめると、
  1. ガイルに真空波系の飛び道具必殺技を搭載
  2. 最初は「神砂嵐」と命名
  3. 本稼働時に「ソニックブーム」に改名
という流れだと推測するのが妥当だろうか。

波動拳と共に飛び道具の礎を築いた技であり、その存在は大きい。
その為、この系統の飛び道具を使うキャラの場合(特に形状が似ていると)、技の正式名称を言うより、
ソニック」「ソニブ」「強ソニ・弱ソニ」と置き換えられて呼ばれる場合もあるほどの浸透力を持つ。

波動拳と同様、格闘ゲームでもこの技を基にした飛び道具が数多く存在しており
後ろから一気に前というレバーの動きもあってかソニックブームと同じ様な形の事が多い。
同じ『ストリートファイター』シリーズに登場するディージェイの「エアスラッシャー」や、『KOF』のアッシュの「ヴァントーズ」等がある。
またレミーや『NBC』(&『KOFXI』)のロバートの様に「←タメ→+パンチ」で上段・「←タメ→+キック」で下段の飛び道具を出したり、
ジャンヌの様に剣からオーラを出したり、キャプテンキッドの様にサメの形をした気を出すパターンもある。

基本的に飛び道具を持つキャラは波動拳等のコマンド系、もしくはソニックブーム等のタメ系どちらかのみの場合がほとんどだが、
キャプテンキッドのようにパイレーツシップ・シャークナックルとコマンド・タメ両方の飛び道具を持つキャラもいたりする。とっておきだぜ~

ちなみに弾色は、『ストII』初代~『ターボ』までは黄色だったが、『スパII』以降は水色になっている。
また『ストV』『スト6』の黄緑色、『SVC』の濃い水色から青色にかけてのグラデなど一部の作品ではまた異なる色になっている場合もある。
『SVC』以外は中心に行くほど白くなるのは共通している。
後に『ストIV』のラスボスであるセスパクられたりした。
ただ、技のモーションが左手を内側から外側に振って衝撃波を出すというものであり、
どちらかと言えばソニックよりもレミーの「ヴェルテュの残光」に似ている。
ちなみにこれらの弾色は、セスのものはモノクロ、レミーのものは青緑色である。

なお、『ポケットモンスター』シリーズにも同名の技が存在する。
+ 『ポケモン』におけるソニックブーム
効果は相手に「必ず20のダメージを与える」というもの。
物語序盤ではどのポケモンもHPは40~60程度のため、所持ポケモンは重宝される。
タイプによるダメージの増減の影響を受けないのも大きい(無効はされるが)。

外伝作品の『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズの1作目では何故かダメージが55に固定されており、
序盤どころか後半に於いても使える技となっている。初期に必ず仲間になるコイルが覚えられるのも大きい。
特に、レベルが1になるダンジョンでは火力が低く、
「やつあたり」(かしこさが低いとダメージが大きく、初期は45。レベル1のダンジョンのポケモンを大抵一撃で倒せる)より威力が高い上に、
遠距離からでも当てられる上に命中率も非常に高いので原作以上に重宝されている。
しかし、逆に敵が使ってくる時はこちらにとっても非常に脅威。
特にシナリオクリア後のダンジョンではマルマインが必ず覚えている上に、レベル1ダンジョン中盤では必ず出てくる。
そのため、出会った直後にソニックを撃たれ、逃げようとしてまた撃たれてハイ死亡、なんて言う事も。
幸いマルマイン自体はかなりのなので、撃たれる前に倒せば莫大な経験値ももらえるがやはりリスクが大きい。
なお、同じ固定ダメージの「りゅうのいかり」は65と大差無い。
2作目以降は反省したのか、上記の固定ダメージはかなり抑えられている。

余談だが、『ポケモン』ではソニックブームとは別に前述の「しんくうは」も第4世代から登場している。
技の説明もソニックブームは「衝撃波」、しんくうはは「こぶしを ふって 真空の 波を まきおこす」と記述されており、
ガイルのソニックブームは後者の説明が当てはまる。
もう一つ余談として、『ハートゴールド・ソウルシルバー』のクチバジムリーダー・マチスの服装がまんまガイルである。
しかもマチスはアメリカが元ネタと思われる国の元軍人であり、作中で少佐と呼ばれていた。

他にもこの女戦士が同名の技を使うが、エフェクトが大分違ったりする。

ロックマンエグゼ』にも登場。バトルチップ「バリアブルソード」使用時に素早く「←B→B」と入力すると使える。
威力160で縦3マスに広がる衝撃波を3発発射する。中央列で放てば逃げ場は無い。
『3』の反則クラスの技であるエレメントソニックに比べると、コマンドが簡単な代わりに一発当てると無敵時間が発生するため3発連続では当てられない。
しかし、『2』ではプリズムを設置する事でソニックブームがプリズムを通過している間ずっとダメージを与え続ける強力な仕様がある。
プリズムを通過するのに6フレームかかるために160×6=960ダメージが入るのでTASご用達である。
『エグゼ』版ソニックの脅威


性能

リュウ波動拳に位置する飛び道具であり、「サマーソルトキック」と共に代表的なタメ技
ただしセスと『ストV』のナッシュのものは波動コマンド
勿論待ちガイルには欠かせない技である。
また事前に用意が必要なタメ技という事を考慮してか隙が非常に少ない技であり、
例えば波動拳との相打ちになった際はガイルの方が早く硬直が解け、
次の攻撃(遠立大Porレバー→大P=スピニングバックナックル)を先に仕掛ける事が出来たりする。
特に『ストII』時代によく見られ、「ソニック裏拳」と呼ばれた(逆に砲台勝負では溜め時間が必要な分、波動拳に負ける)。
それどころかシリーズによっては飛び道具として破格の密着ヒットで微有利、密着ガードで五分という無茶な性能となっている事すらある。
また前進できる特殊技「ニーバズーカ」で溜めたまま前進出来た事も。

初代『ストリートファイターII』では、この技とリバーススピンキックを組み合わせる事により、
禁断の真空投げハワード親子のアレとは全く異なる)が出来てしまう。

ガイル以外のキャラが使用するソニック系飛び道具も例に漏れず硬直が少なく、撃ってからの攻撃の先行がしやすい。
またゲームによっては、その硬直の短さ故、撃ってすぐにレバーを引きタメを作り、
硬直が解けると同時に再び飛び道具を撃ち出すという事も可能となり、俗に言われる「連射状態」を作り出す事も出来る


派生技

ソニックブレイク

ナッシュが使うスーパーコンボ。ソニックブームを連射する。
ZERO』シリーズではレベル毎に最大発射数が2~4発。
ZERO2』以前では1発当たりの威力は非常に大きかったが、『ZERO2 ALPHA』以降は威力が大幅に削減されてしまい使い道がなくなってしまった
MVC』シリーズでは画面いっぱいにこれでもかと言わんぐらい弾幕の如くソニックブームを大量に撒き散らす。憤怒のシュペルノーヴァもこれに似てなくもない
後に『ストIV』シリーズのガイルもEX必殺技版として本技を使う。
『ストV』でもVトリガーIの「ソリッドパンチャー」中に使用可能。
ナッシュ版と違い、単発での発動からPボタンを押して追加で発射するという形になっている。

ソニックブームタイフーン

ストEX』シリーズのみ使うガイルのスーパーコンボ。
初出の『EX2』では1ゲージ技で、真空波動拳のように多段ヒットするソニックブームの強化版。
技後の硬直が非常に短くガードされても反撃を受ける事が無いため、サマーやダブルサマーをガードされても、
スーパーキャンセル(SC)でこの技を出せば安全にフォローができる。
特にこのシリーズではワンチャンスで勝負が決まる事が多く、ガードキャンセルブロッキングといったシステムが存在しない事に加え、
こういった反確状況を例え1ゲージを無駄(SCするとケズリが無くなる)にしてでも相手に主導権を渡さない戦術が要求されるために、
攻防どちらでも使える優秀な技だった。
『EX2 PLUS』以降は3ゲージ技(メテオコンボ)に格上げされ、巨大な竜巻を起こして前方へ放つ飛び道具となっている。
判定の大きさや威力の大きさは絶大だが、その反面以前のように反確回避のために手軽に(3ゲージを無駄にしてまで)使う事ができなくなった。

ソニックハリケーン

『EX』シリーズ以外で使うガイルのスーパーコンボ。初出は家庭版『ZERO3』。
こちらは上記のタイフーンと異なり目の前に衝撃波を発生させる技で、どちらかと言えば春麗の気功掌に形態が似ている。
初出の『ZERO3』では停滞気味にゆっくり前進する仕様で、威力はショボくダウンも奪わずヒット後の状況も特に良くないイマイチな性能であったが、
それが『MVC2』に出ると相手を巻き込みながら切り裂き続ける飛び道具版真空竜巻といったド派手で強力な技に変貌。
以降は『CVS』や『SVC』、『スパIV』等でもこの仕様だが、流石にVSシリーズの仕様をほぼそのまま持ってきたのもあり、
LV3専用技やEXCEED、ウルトラコンボといった最上位レベルの技に格上げされている。
『ストV』ではVトリガーIの「ソリッドパンチャー」中に発動すると、「ソニックテンペスト」に変化し、性能が強化される。

ソニックブレイド

『ストV』で追加されたVスキル(中P中K同時押し)。
縦に腕をクロスさせ、その場に衝撃波を発生させる設置技。ただし設置時間はとても短い。
硬直が解けた直後にソニックブームを重ねると、多段ヒットする「ソニッククロス」に変化して飛んでいく。


MUGENにおけるソニックブーム

ガイルの生命線と言える技なので、当然ガイルやナッシュに搭載されている。
超必版では製作者によって異なる場合があり、多数は「ソニックハリケーン」であるが、
TESTP氏やor2=3氏のガイルには「ソニックブレイク」が搭載されていたり、
dragoon316氏やKAZ氏の世紀末ガイルには「ソニックブームタイフーン」が搭載されている。
特に後者はスーパーコンボ(1ゲージ)版とメテオコンボ(3ゲージ)版の両方が実装されている。

ガイルやナッシュ以外のキャラだと松梅魂氏のコイルがこの技を持っている。

なお、超音速で飛ぶラドンには本来の意味でのソニックブームが搭載されている。


最終更新:2023年08月25日 14:26