中段


立ちガード可能・しゃがみガード不能の打撃技の総称。
「中段判定」「中段攻撃」「中段技」とも言う。

格闘ゲーム初心者にとっては、聞いただけでは意味が良く分からない単語の一つ。
別に真ん中の方を狙った攻撃、というわけではなく、簡単に言えば「しゃがみガードできない技」の事である。

2D格闘ゲームはしゃがみガードをしていると、相手の地上技(上段技)、しゃがみ技(下段技)を両方ガードできてしまう。
このためしゃがみガードが安定しがちな2D格闘では、相手のガードを崩す有効な手段の一つとなっている
(無論、通常のジャンプ攻撃でこれを崩すという手段もあるのだが、「ジャンプして攻撃」という流れは隙が大きい上、
 特に初期の作品では空中ガードができない(というか存在しない)ので攻撃側のリスクが大きく、あまり有効ではない。
 更にはしゃがみから撃てる対空技なんて言うのもある。
 そんなわけで、ガードを崩す有効手段はむしろ「投げ」である)。

ほぼ全てのジャンプ攻撃と、一部の地上攻撃がこの判定を持ち、
上空から落ちてくるような軌道も描く飛び道具などもこれに該当する場合が多い。
また、一般的に「中段技」と言う場合は地上技のみを指し、基本的にジャンプ攻撃は含まれない
もちろん例外もあるが、それについては後述。

地上攻撃の場合、最上段の画像のようにしゃがんだ相手の頭部に当たるよう、上から下へと振り下ろすような技が一般的である。
昔と比べれば減っているようだが、流石にローキック小足といった技が中段判定になっていると大変な事になる。

相手がしゃがんでいれば中段、立っていれば下段、動かないなら投げ…など、
行動の選択肢を突き付けて防御を揺さぶる択一攻撃を構成する重要な要素でもある。

小足などの標準的にキャラに搭載されている下段技は発生が総じて早く、
中段技もそうだとガードの揺さぶりがほぼ運ゲー化するからか、
2D格闘ゲームにおいて地上中段技の発生が10F以下である事は稀である(当然例外は存在する)。
振りかぶったり、一瞬浮いたりといった目で見えるレベルの予備動作がある場合が多い。

2D格闘では当初キャラごとに実装された「特殊技」もしくは「必殺技」としての位置付けが主流だったが、
サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』において全キャラ共通の中段技「不意打ち」が登場
(正確には小ジャンプしてから攻撃を繰り出すものだが、地上で入力するため中段技と呼ばれる)。
その他
のように、ゲームシステムとして中段技を取り入れるタイトルも見られるようになっていった。
多段技や派生技には途中で中段もしくは下段のどちらかが混じる事で、初段をガードされても崩せる可能性を持たせているものもある。
『月華第二幕』の「乱舞奥義」など乱舞系の技によく見られるが、当然これらはガードされても始動する事が前提。

また、ジャンプした直後に空中攻撃を繰り出す、所謂「昇り」も代表的な中段の一つと言える。
基本的には発生が早く攻撃判定が下方向に伸びる技を用いてジャンプの昇りで出してもしゃがんだ相手に当たるものを指し、
全キャラに決まるものから座高の高いキャラ限定なものまで様々である。
一般的な中段技は発生が遅いのに対し、昇りジャンプ攻撃はその性質から発生の早いものや動作が小さいものが多く、
非常に見切られにくいため重要な崩しの手段となっている場合が多い。
反面ジャンプ軌道がそのままのためガードされると隙も相応に大きい場合が多く、ものによってはヒットしても着地前に反撃を受ける事もある。
この辺はリスクとリターンが釣り合っていると言えなくもないが、後ろジャンプ中に昇り中段として機能するものは、
ヒット後のリターンが低い分確反などガード後のリスクも低いため厄介である(タムタムの昇りJ強斬りなど)。
KOF XI』 のように、一部の小ジャンプ昇り中段が強すぎた事がゲームバランスを悪化させる主要因となった例もある。
ヴァンパイア』シリーズなど空中で複数回攻撃が出せる場合には昇り中段→降りジャンプ攻撃と連続技になる事があり、
ガードされてもリスクが小さかったり、更にはそこから地上連続技に移行できる事もあるなど非常に強力な場合もある。
また、一部のゲームにはガード中の食らい判定が最初のガード段のもので固定されるという仕様があり
(例えば、最初に立ちガードをした後にしゃがみガードに切り替えても食らい判定の大きさは立ちガードの時のままになる)、
これを利用して本来昇り中段にならない空中技を昇り中段として機能させるテクニックも存在する(鴨音中段F式など)。
なお、「昇り○○」ではなく「低空○○」と呼ばれる場合は主に必殺技、特に空中で軌道を変える行動を指す場合が多い。
これは出した時点で既に通常のジャンプと異なる行動に移行しているためである
サウザーの「低空彷翔」や川澄舞の「低空弧月」、「昇り」と呼ばれるものの橘右京の「昇りツバメ」もこれに該当する)。

ちなみにごく稀ではあるが、作品によっては中段攻撃と言っても上記の意味ではなく、
文字通り「中段部分への攻撃」なものがあるので注意
共通システムでないキャラ固有の技名に中段と入っている場合についても同様である
山崎竜二の「蛇使い・中段」やビリー・カーンの「三節棍中段打ち」など)。

なお『鉄拳』を始めとする3D格闘ゲームでは、
  • 上段:屈んでいると当たらない攻撃
  • 中段:屈んでいても当たる攻撃、立ちガード可能でしゃがみガード可能なもの(特殊中段攻撃)と不可能なものに分かれる
  • 下段:立ちガード不能の攻撃、ジャンプに当たらない
と上記とはまた異なった分類がなされている。
これは軸移動などを用いての攻防を主眼として置いているためである。

また『東方萃夢想』『東方緋想天』『東方非想天則』の場合、
中段攻撃および下段攻撃が「立ち・しゃがみガードを間違えると霊力が削れ、それによって霊力が0になるとガードが強制解除される」という、
一般的な中段・下段の概念とはやや異なったものとなっている。
よってガードの上下を間違える事のリスクが小さく、他のゲームの中段技に比べて発生の早いものが多い。
ちなみに、これらのゲームには「立ちガードしゃがみガード共に霊力が削れる攻撃」(主に射撃)もあるため、
ガードを継続するかどうかも含めた駆け引きとなっている。
ガードの上下を間違えば一発でガードクラッシュ状態に陥るクラッシュ中段・クラッシュ下段というものも存在し、
こちらの方は発生の遅さなども含めて一般的な中段攻撃および下段攻撃の概念に近い。

上中下段の概念が存在しない対戦ゲームにおいても、
例えば『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズではゲストキャラのリュウの鎖骨割り(冒頭の画像)を始め、
一部キャラには「シールド削り値が高いが発生は遅め」という中段によるガード崩しに通ずる技が搭載されている。


中段技登場の経緯

対戦格闘というジャンルが確立した当初から 、
  • 上段:立ちガード・しゃがみガードともに可能
  • 下段:立ちガード不能・しゃがみガード可能
という概念が存在したが、これらはあくまで地上攻撃に対する分類で、
ジャンプ攻撃は単に「ジャンプ攻撃」「空中技」などと呼ばれていた。
しかし『スーパーストリートファイターIIX』において「立ちガード可能・しゃがみガード不能の地上技」が本格的に登場した時、
『バーチャファイター』などの3D格ゲーから名前を採り入れて「中段」という呼称が使われるようになった。
実はそれ以前に初代『ストリートファイター』*1や『龍虎の拳*2でも存在しており、
それらが中段技の元祖として捉えられている。

日本語的に考えて上段と中段が逆じゃないのか?と疑問に思う人も多いだろうが、
これも「当て身」などと同じく、用語として完全に定着してしまった今となっては修正するのは難しいだろう。*3

それまでの対戦格闘ゲームは相手がジャンプしない限りはしゃがみガードで全ての打撃をガードできた
加えて、伝統的に「起き攻めが強い=ダウンを取れる技が強い=下段技(足払い)が強い」という傾向があったため、
必然的にしゃがんでガードを固めると防御が安定しやすくなっていた。
無論、相手がジャンプしたらすぐさま立ちガードに切り替えればいいのである。

もちろん投げ技や低空ジャンプ攻撃などで崩す事はできるが、
しゃがみガードを継続しながら同時に攻撃の準備が可能なガイルを筆頭とする「タメキャラ」は、
そもそも接近する事が困難であり、ジャンプしても簡単に落とされ、ジャンプ直後に攻撃を当てても反撃を食らってしまう
(当時は空中ガードや回避動作など存在せず、ジャンプもゆるやかで軌道が大きいものが普通だった)。
ため、所謂待ちの戦法が常套手段となった。
この状態はキャラ相性によっては徹底されると対戦が成立しないほどの威力を振るい、
ザンギVSガイルのような「無理ゲー」と言われる惨劇を生みつつ、度々問題視されていた。

そこに一石を投じたのが1993年の3D格闘ゲーム『バーチャファイター』における「しゃがみガードができない攻撃の常態化」で、
その攻撃属性を持った技をキャラクターに満遍無く搭載する事により、
「しゃがみガードさえしていれば大体の攻撃を防げる」状態を排除した。

この作品以降の有名な3D格闘ゲームにおいては
「立ちガードが基本」という一つのフォーマットを作り出す事になる(『鉄拳』『ソウルキャリバー』『デッドオアアライブ』など)。

この攻撃属性は『バーチャファイター』における用語で「中段」「中段攻撃」と呼ばれていたが
それが2D格闘ゲームにおいては、おおまかに言って「発生の遅い(早い事もある)下段ガード崩しの特殊攻撃」を指すものとなる
(前述の通り、下段ガードできない地上攻撃自体は既に『龍虎の拳』で登場しているが、
 それはゲーム設計に大きく介入するほどのものではなかった)。


MUGENにおける中段事情

HitDefのGuardFlagパラメータをGuardFlag=HAもしくはGuardFlag=Hとする事で再現可能。
ちなみに前者だと空中ガード可能、後者は空中ガード不能となる。
……尤も、常識的な発生の中段技なら対空には使いづらいので空中ガード不能でもあまり意味は無いのだが。

そのためその気になれば下段並みの発生の中段も設定可能……なのだが、
そもそもの問題として、2D格闘ゲームにおける発生が10フレーム以下(およそ0.2秒弱)の中段技に常人が見てから対処するのは不可能と言っていい。
このような発生フレームの中段が許容されるのは前述したような昇り中段か、
あるいは世紀末スポーツアクションゲームもっと恐ろしい何かのような特殊なゲームぐらいのものである。
ましてガードされても反撃を受けにくい、あるいはコンボの始動技になりうるなどの性能を持つ場合、
よほど下段技の性能が悪くない限り20フレーム程度でもかなり有用な崩しとして機能する。
……が、そういった性能を持ちつつも、発生が10フレーム前後ないしそれ以下の中段技を持つキャラクターはMUGENには多数存在する
(勿論、その分下段技の性能やリターンを悪くするなどの方法で調整がなされている場合もある)。
このような中段技を持つキャラクターを対人戦で使用したり、キャラクターの性能をよく理解したAIを導入すると、
中下段の択が発生する間合いでは完全に運ゲーになる。
対人戦ならばともかくAIを積んだキャラクターにプレイヤー操作で挑んだ場合、
ガン逃げしながら間合いの外から攻撃する、ひたすら無敵技で拒否する、中下段両方の攻撃を取れる当身を振る、パターンにハメる、
ブロッキングで運ゲーに持ち込むなどといった、非常にしょっぱい戦い方に頼らざるを得なくなる事も少なくない。
MUGENである以上「そういうキャラだからこれ!!」という事もよくあるのだが、
そういうキャラを作るつもりでなければ、技の発生フレームやリスク、リターンの設定には気を付けよう。

+ 割と設定ミスしやすい技の一例
  • 地上中段
手描きキャラなどの場合、常識的な発生であってもモーションがコンパクトなのでまず見えないといった事がしばしば起こる。
SEボイスを早めに再生する事で改善される事が多い。
また、見栄えにこだわりすぎて視覚的エフェクトが派手だったりすると見えづらくなるケースも。
稀に、単に属性を間違えて普通の攻撃が中段や下段になっている場合もなくはない。テストプレイ時は2Pも操作するようにしよう。

  • 昇り中段
下方向に対して攻撃判定が大きい場合しゃがんだ相手に攻撃が当たりやすくなるため、意図しない形で有効な中段技ができる場合がある。
特にここからヒット確認超必が繋がったり似非空刃できたりするとリターンもよくなってしまうので厄介。
そのため空中弱攻撃などはよほどジャンプが早くない場合以外は打点を高めにするのが吉。
他にも発生を遅くする、ジャンプの初速を速くするといった処置を取る事で、
打点が多少低い技でもしゃがみに当たらないようにする事も可能なケースも。
……とはいえ大型キャラ相手の場合はどうあがいても昇りが成立したりするので、一定の相手以上は諦めるしかない。
ちなみに商用格ゲーにおいても、昇り中段を喰らいやすい事は上背のあるキャラの共通した弱点である。

  • 空中必殺技
上昇ベクトルをキャンセルする空中必殺技が中段判定の場合、昇りで出す事で凶悪な中段技と化す。
特に多いのが空中コンボの〆用に設計されたと思しき空中下降突進技が中段というケースで、
着地硬直が設定されていない場合は、更にすかし下段も加わるため、文字通り択の見えない無理ゲーと化す。
このような技を作るのなら場合は適当な着地硬直を設定した上で、
素直に上段判定にするか発生を中段技らしいものにするのが安全だろう。
高度制限の設定や小ジャンプや空中ダッシュからは出せないようにしたりするといった方法を併用するのも有効。
ちなみに、上段判定にした場合でも硬直の設定次第では昇り中段のフォローに使えたりするので注意。

  • 空中ダッシュ
空中ダッシュは上昇ベクトルが緩和されるため、直後に攻撃技を出す事ができるようになっていると、
ジャンプ直後の低空での空中ダッシュからの崩しが上述の空中必殺技のような事になる。
特にこちらは中段が当たるとそのまま地上での最大コンボが入ってしまう事が多く、
リターンが単発の空中必殺技とは比べものにならない。
空中ダッシュを搭載するならば空中必殺技と同様に使用できる高度に制限をかける、
出がかりを攻撃動作でキャンセル不能にするといった対策をするといいだろう。

  • バックステップ
MUGEN特有の問題。
MUGENデフォルトのcommon1.cnsに記載されているバックステップは、
Ctrl=1となるタイミングは非常に早いので任意の行動でキャンセル可能。
このため、ある程度リーチが長く発生の速い中段判定の空中技を持っているキャラならば、
バックステップ後に最速で使う事で昇り中段として機能させる事ができる。低空で後ろ方向に飛ぶため、反撃も受けづらい。
のけぞり時間やバックステップの軌道次第では着地後も更にコンボが入ったり、
ガードされても固め続行できるケースも少なくない。
なおこのバックステップ、Ctrl=1という事で何も出さないでいると空中ガードも可能
真っ当なキャラを作るのであれば、これを修正したキャラ固有のcommon1.cnsを用意した方がいいだろう。
ちなみにこれをベースにしてCtrlSetをそのままに無敵を追加しているキャラの場合、
発生が早い技でキャンセルすれば無敵技としても機能する。

+ 中下段択のテスト用記述の一例
[state -1, 下段技]
type = changestate
value = 下段技のステート番号、下段技が複数ある場合は最速で出せるものを選ぶ、ここでは屈弱Kの一般的なコマンドで記述してある
triggerall = statetype! = A;元々設定されているトリガー類は残す
triggerall = random <= 500;この行を追加する事で、択を迫らせる事ができる
triggerall = command = "holddown" || gametime%120 = 0;commandトリガーがある行にgametime%120=0を追加
trigger1 = command = "a" || gametime%120 = 0;120以外の値でもいいが、値は全て揃える事
trigger1 = ctrl

;中段技についても同様に記述する
[state -1, 中段技]
type = changestate
value = 中段技のステート番号
triggerall = statetype! = A
triggerall = random <= 500
trigger1 = command = "中段" || gametime%120 = 0;下段技の方の値と揃える、この場合は120で揃えてある
trigger1 = ctrl

;上り中段になりうる技があるときは、その分の記述も足しておく
;前ジャンプからしか出せない、小ジャンプからは出せないなどの条件がある場合は、
;40番ステート内も適宜書き換える必要がある。
[state -1, ジャンプ]
type = changestate
value = 40
triggerall = statetype! = A
triggerall = random <= 500
trigger1 = gametime%120 = 0;ジャンプにもgametime%120が必要
trigger1 = ctrl

[state -1, 上り中段]
type = changestate
value = 上り中段に使える技のステート番号
triggerall = statetype = A
;trigger1 = command = "上り中段";ジャンプ後最速で技が出るように、commandトリガーのある行はコメントアウトしておく
trigger1 = ctrl

これらの記述を-1ステート内に記述してVS MODEで起動すると、
下段技、中段技、最低空上り中段を繰り返すようになる。
実際に自分で択が成立する間合いに入ってみて、ガードできるかどうかを確認してみるとよい。
なお実戦では他の攻撃も絡んでくるため、中下段択がより見切りづらくなる事に注意。

現在ニコニコMUGENではAI同士の対戦が主流となっているが、
MUGENには相手の攻撃が上段か下段か中段かを判別するトリガーというものが存在しない。
AIの記述は通常は2D格闘のセオリー通りに
「相手が地上にいればしゃがみガード、ジャンプしたら立ちガード」
(EnemyNear,MoveType = A && EnemyNear,StateType = S,C でしゃがみ、EnemyNear,StateType = A で立つ)
という風にガードさせるのが基本だが、これだと中段技をことごとく食らってしまい、
逆に立ちガードを基本にすると、立った状態から下段攻撃を出す、所謂「立ち下段」に反応できなくなる。
中段技や立ち下段を的確にガードさせるにはいくつかの方法があるが、よく使われる方法は以下の通り。

  • 発生の遅い立ち攻撃に対して立ちガードさせる
中段攻撃は発生が遅いという事を利用してEnemy,Timeを使って相手の攻撃の発生を計り、
発生が一定F以上(おおむね12~18F)の立ち攻撃を立ちガードさせるという方法。
所謂しゃがみ→立ちとガードし、発生の早い下段と20F前後の中段を両方ガードするファジーガードの一種とも言える。
シンプルな方法だが判定F次第ではなかなか効果を発揮する。
とはいえ中段かどうか判定する基準Fの設定自体がかなり厄介なため完璧にガードさせるのはまず不可能。
特に現在では発生の遅い立ち下段も相当数存在するため、基準F次第では立ち下段を全くガードしなくなる事も。
対策としては発生の早い中段に関してはガード切替基準にRandomを入れて、どちらもほどほどにガードするようにするしかない。
また、途中でStateNoが変わる多段技などの場合も殆ど反応する事ができない。

Varを使って相手の出した中段技・下段技のステートを記憶させ、一度は食らっても次は食らわせないようにする方法。
応用すればガード不能攻撃にも対応できるが、最低一度は食らう必要がある上にシステム構築が少々面倒なのが欠点。
またタメで性質やステートが変わる技(北斗キャラのバニシングストライクやメルブラキャラのブローバックエッジなど)に対しては、
相手キャラの記述次第ではタメの有無を判断できずに誤作動してしまう事も。

早い話が最初から相手の中段技または立ち下段、あるいは両方を覚えておく方法。
一番安全な方法だが全てのキャラの中段・立ち下段を把握するのは難しい上に、
AIを作った時点より後に作られたキャラ、AIを作る時点で製作者が見落としていたキャラには対応できないため、やはり完璧とは言えない。
とはいえ「現在ニコMUGENで主流のキャラ」に絞ればほぼ全て把握する事も難しくないので、
平成㌢氏のAIやそれを参考にしたAIはかなりガードが硬くなっている。
ただし、ガード記述であってもP2Nameを使う事自体を邪道と考えて敬遠するAI製作者も少なからずいる。

  • 択自体を拒否してしまう
ガードではないが中段も下段も当たらなければ意味が無いとばかりに拒否する。
具体的にはジャンプやバックステップでの回避や無敵技や小技での反撃、当身ブロッキングなどで中下段を無効化するなど。
手軽ではあるがジャンプやバクステはややもするとパターンにハマる事も多く、
無敵技や当身は発動条件を工夫しておかないとただの超反応になる。
また、ブロッキングによる拒否はプレイヤー操作ならまだしも、
AIが使用する場合は下段を予め多くしておいて中段を振る、といった揺さぶりなどが基本的に意味を成さず、
そもそもMUGENでは対応する攻撃属性でさえあれば中段であろうと下段であろうと関係なくブロッキングが取れてしまう上に、
失敗時のリスクも一切存在しないため、攻撃する側にとっては完全に運任せになるので発動率によっては理不尽に映る。

これら全てを併用すればかなりの精度で中段や立ち下段、ガード不能攻撃を捌けるが、
それでも今の所これらを完璧に捌き切るAIを作る事は事実上不可能。
また実際に中下段の揺さぶりを100%読み切るなどという芸当は当然ながら人間操作では不可能なため、
よりリアルな動きを再現するために敢えて揺さぶりに対するガード精度を落とす処理をしているAIもある。
観戦している側も「ガードしないのはAIに問題があるから」と安易に考えず、
これもMUGENのAI対戦の駆け引きの一つであると認識しよう。
そして何より「単純な強さだけがMUGENの魅力ではない」のだから。


*1
実は、初代『ストリートファイター』の波動拳はなんとしゃがみガード不可(しゃがみガードポーズを取れない)であり、
『龍虎の拳』以前にこちらの方が先に地上で出せるしゃがみガード不可攻撃として存在していたのだ(打撃技ではないが)。
では何故認知されなかったのかと言うと、このゲームには「削りダメージでも仰け反り、更にスコアも増える」という仕様が存在していたから。
他にも対人戦でガードを固めるような状況がまず無い事も原因と思われる。
また、ラスボスサガットのハイキックはしゃがみガード不可である。密着しないとしゃがみに当たらないものの中段技の元祖であると言えるかもしれない。
波動拳もハイキックも見た目だけなら全く中段に見えないが

*2
『龍虎の拳』の中段は少し特殊で、当たる部位によってガードできるかどうか変わる。
具体的には、「ガードモーションではガード判定の枠を発生させ、そこで攻撃を受け止める事ができたらガード成功」という、
当て身投げのようなシステムだったのである。
そのため、同じ攻撃でもキャラによって中段になったりならなかったりする。
例えば、藤堂リョウには立ちAなどが中段になるが、体の大きいMr.BIGには、顔の下の方に当たるため中段にはならない。
これは藤堂の技が原因では無く、リョウとBIGのガード判定の違いによって生まれるもの。

このようなシステムであるため、立ちガードしている相手に、そのガード判定の外に当たるようにジャンプ攻撃を当てると、
ジャンプ攻撃を立ちガードできないという事態が実際に起こり得る。

*3
海外での中段は、OverHead(頭上から)とMID(特殊中段、特殊下段相当)とではっきり区別されている。
一般的なしゃがみガード不可能な中段攻撃はOverHeadという扱いなので、
頭上、もしくはダストアタックを含めるなら垂直攻撃(縦方向の攻撃)と覚え直してみるのもいいのではないだろうか。


最終更新:2023年12月23日 13:17
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