超人学園ゴウカイザー


テクノスジャパンが1995年10月に発表した格闘ゲームである。プラットフォームはNEOGEO・MVS。ROM容量は186Mbit。
北米版タイトルは『Voltage Fighter Gowcaizer』。
名前の響きが似ているが、言うまでもなく海賊戦隊とは無関係。

なお、同年の12月にテクノスジャパンは倒産となっており、本作がテクノスジャパンの最後の作である。*1

概要

タイトルに「超人学園」とある通り、登場キャラクターは超人的な者ばかり。
そして学園モノの要素を持っており、物語の舞台は国立ベルナール学園という超巨大なマンモス校である。
キャラクターの多くが何らかの形でここに在籍しているが、
ゲーム中では学園らしい風景がほとんど出てこないため、プレイしていても分かりづらい。

餓狼伝説』のアニメ化作品(テレビ用2本、劇場用1本)のキャラクターデザインや作画監督・総監督として、
既に格ゲーマーにも馴染みの深かった著名アニメーター、大張正己氏が全キャラクターのデザイン、
そして登場キャラクターの一人、ブライダーの声までもを担当した事が当時話題となった。
デモ画面やシャイアステージの背景のやたら本格的なアニメーションに、その力量が遺憾なく発揮されている。
+ デザインと遜色のないデモ映像
しかし、残念ながら肝心の戦闘中のキャラグラフィックは当時の基準で言ってもドットアニメーションの枚数が少なく、
キャラクターも動きが固いため、あまり出来のよいものではない。
…と言うか『ストリートファイターZERO』や『餓狼伝説3』と同じ年の発表である事を考えると、
それらと比較してはっきりとショボいと言ってしまってもそれほど嘘にはならないだろう。

なお、その後の本作のOVA化でも大張氏は監督・原案・総作画監督・キャラクターデザインの四役を兼任しており、
氏がホームのアニメでその力を存分に発揮した結果、とてつもなくエロい作品に仕上がった。

1997年にプレイステーションに一応移植されているが、上述の通りテクノスジャパンはその頃は既に亡く、
発売はアーバンプラントという会社からである。
同じテクノスジャパンの『ダブルドラゴン』の移植も手掛けた会社で、先に出したそちらはそこそこの移植度であったにも拘らず、
この『ゴウカイザー』のPS移植版はと言うと、本当に一応と太字で強調しておきたくなるほどコレジャナイ度が高い。
  • 一部の必殺技が無くなった。
  • トレースシステム(詳しくは後述)が無くなった。
  • 同キャラ対戦ができなくなった。
  • キャラ固有エンディングが無くなった。
その他、グラフィックの劣化、狂った当たり判定などなど…。
当然ながら削除する一方なわけではなく、ラフ画などを閲覧できるデータバンクや、
3Dステージモードという独自のモードの追加などがなされてはいる。
だが、その3Dステージモードの内容たるや「何がしたいんだ?」と首を傾げたくなるようなものであった。
+ 百聞は一見にしかず、言葉で説明するより見てもらう方が早いだろう。
ご覧の通り、まるで書割と紙人形である。
アングルは固定ではなくキャラクターの位置により変わる。
実の所、プレイステーションというハードは3Dに特化した設計であり、
2Dに関しての機能はほとんどと言っていいほど設計には組み込まれていないという、当時としては極めて珍しいハードであった。
そのため、ポリゴンの一枚板に「ドットアニメーションのテクスチャ」を貼る事で「疑似スプライト」とし、
「ポリゴンなのに2D風」という画面を作るというのはごくごく当然の方法で、
おそらくは移植作品を含めてプレイステーションの2D格闘ゲームは例外なくこの「疑似スプライト」「疑似BG」を使っており、
やろうと思えば同じ事が可能なはずである。
ただ、普通やろうとは思わないだろうが。

なお、PS移植版の『ダブルドラゴン』にも似たようなモードが実はあるのだが、
こちらはカメラアングルがプレイヤーの任意なため、勝手に上の画像のような角度になってしまう事は無い。
また、肝心の移植度において本作より遥かにマシだった事もあってか、
「なくていいけど、あっても困らない」という感じで、よくも悪くもさほど話題にはされなかったようだ。


システム

対戦形式はオーソドックスな1対1。
操作系もネオジオ格闘でよく見られる1レバー・4ボタン制(A=弱P B=弱K C=強P D=強K)である。
龍虎の拳』シリーズのような画面の拡大縮小を取り入れており、戦闘フィールドは広い。

超必殺技はあるがパワーゲージはなく、使用条件は体力ゲージが一定量を下回る事である。
ゲージが点滅し始めるのがその合図。要するに『餓狼伝説2』とほぼ同じである。
一部のキャラクターには「自分の方だけが体力ゲージが点滅している」という条件下でのみ使用可能となる、特殊な超必殺技がある。

トレースシステム

デモ画面でも大きく前面に押し出されている、本作の要と言えるシステム。
最終ボスの王牙以外の全キャラクターに「トレース可能な技」が一つずつ設定されており、
対戦後、勝者は敗者のトレース可能技を修得する事ができる(敢えて修得しないという事も可能)。
その後は「自前の必殺技+トレース必殺技」という性能で戦う事になるため、自キャラの弱点を補う必殺技を憶えたり、
またCPU戦は次に誰と戦うかを選択できるので、現在習得している技と相性のいい敵を選択したりと、
いろいろ戦略が考えられるようになっている。*2
…だが、正直色んな意味でそこまでのレベルに仕上がっているとは言い難い。

なお、勝ち抜く度に倒した相手の技をトレースするか否かの選択が挿入されるのだが、
これは所謂「上書き保存」の仕様になっており、新しい技を修得するとそれまでの技は使えなくなる。
そのため、強力な技に間違えて使えない技を上書きしないように気を付けなくてはならない
(ただし設定によって、「同時に複数の技が憶えられ、戦闘前にその中から任意のものを一つ選択する」とする事も可能)。

なお、同キャラ対戦後に自分自身の技をトレースした場合、
他人が使用するのとは名前も性能も違う「トレース技」と呼ばれる専用のものになる。


キャラクター

本作の登場キャラクターの大半は変身能力を持っている。
ただし『豪血寺一族』などのそれと違ってゲームバランスには一切影響せず、ゲーム性の面では変身するキャラクターとしないキャラクターに何も違いは無い。
そもそも変身キャラは試合開始前に変身してしまい、試合終了まで変身が解ける事も無い。

以下のキャラクター一覧は変身後の名前をメインとし、変身前の名前は括弧書きで付記してある
(ただし宇宙人であるシャイアに限り、変身前の名前は地球人としての偽名である)。
  • プレイヤーキャラクター
ゴウカイザー(凱座勇人)、キャプテン・アトランティス(ランディ・リッグス)、かりん(孫華鈴)、不動丸(不動鸞峰)、
マリオン、シャイア(菱崎シャイア)、バトルマスター神龍(凱座轟一郎)、紫紅京介
ヘルスティンガー(カッシュ・ギュースタン)、ブライダー(立花一輝)
  • ボスキャラクター(ネオジオCD版のみ、隠しコマンドで使用可能)
中ボス:プラトニックツインズ(朝比奈亮&朝比奈鈴)
最終ボス:絶対神王牙(王崎冰)

同じテクノスジャパン制作の『ダブルドラゴン』同様、非常に豪華な声優陣が起用されている。


MUGENにおける超人学園ゴウカイザー

キャラクターがMUGENの標準のレベルより大分大きく描画されているためか、あまり人気は高くないようだ。
しかし確認できているだけでゴウカイザー、キャプテン、かりん、シャイア、京介、ブライダー、プラトニックツインズ、王牙が製作されている。

特にですからー氏製のキャプテン・アトランティスは異常なまでに濃ゆいキャラクター性が注目され、徐々に人気を獲得しているようだ。
出典元作品は知らないけどキャプテンなら知っている、なんて人も結構いると思われる。


*1
厳密には倒産直前に同社の看板タイトルであった『熱血高校ドッヂボール部』のNEOGEO版となる、
くにおの熱血闘球伝説』が最終タイトルとなるのだが、先行して発売された海外版のみで、
国内発売直前で倒産となったため、カウントはされなかった。

*2
余談だが、「倒した相手の必殺技を貰って自分の物にする」というシステムを格ゲーで初めて実装した作品は本作ではなく、
その1年前に北米で稼働した『Blood Storm』(日本未発売)である。
そのためか、海外版のデモでは「新機能 トレースシステム」と表示される部分が、登場キャラのバストアップのCGに差し替えられている。


最終更新:2024年03月18日 09:46