ジオング


「見えるぞ。私にも敵が見える!」

足が無いようだが」
「あんな物は飾りです、偉い人にはそれが解らんのです」

アニメ『機動戦士ガンダム』に登場した機動兵器にして、実質的な同作のラスボス
ジオン公国軍が開発した中でも、初の実戦型ニュータイプ用モビルスーツであり、
これまでのサイコミュを搭載したモビルアーマーのデータを元に建造されている。
ザクに変わる主力モビルスーツとして開発が目指され、「ジオン」の名を冠しているのはその為。
『SDガンダムフォース』等の派生作品でも、ラスボス格の強敵として出演する機会が多い。

指の5連装メガ粒子砲が主武装。サイコミュ兵器として前腕ごと機体から切り離し、
敵の予想外の方向から攻撃を行うオールレンジ攻撃が可能になっている。
また腰部に2つ、頭部にも1つメガ粒子砲を搭載しており計13門のメガ粒子砲攻撃は高い火力を誇っている。
その反面、当時は装置の小型化が進んでいなかったサイコミュとビーム兵器13門を稼動させる為の
大出力ジェネレーターを搭載しているせいで、脚のない状態でもガンダムのおよそ1.5倍のサイズ(脚付きだと約40m)に
なってしまい、他のMSの手持ち武器を使い回せず、かといって敗戦ムード濃厚で台所の苦しかったジオンに
通常の倍以上のサイズの携帯火器を用意する余裕も無かった為なのか、もっぱらそれだけで戦っていた。
また、ビグ・ザムのようにビームを無効化する装備をした機体が連邦軍にはいないと判断された為か、
内蔵型のミサイルや機銃等の実弾兵器も一切無い。
一応、完成していれば人型ということで無理やりMSに分類されているが、
巨体や(結果的にとはいえ)足のない外観、大型スラスターによる移動や固定武装の多さ、他MSの手持ち武器を使えないという特性などを考えると、
腕のついたモビルアーマー 」といったほうが認識としては正しい。
ジオン軍と当時のサンライズのアイデアには「腹部中央モジュールを残し頭部・胸部・腰部・腕部・脚部の7つに分離し攻撃する
というものがあったが、映像作品中では登場していない。*1
また頭部はコックピット兼脱出ポッドとしても設計されており、頭部のみの稼動も可能。
劇中でシャアが胸のコクピットに乗り込んだのに頭部を切り離して脱出した問題を「複座式」の一言で解決した。
これはニュータイプ以外でも操縦できるように頭部と胸部の二箇所にコクピットがある、という後付設定。
ジオングより先に登場したニュータイプ用モビルアーマー"ブラウ・ブロ"と同様の理由である。
このシャアの脱出の描写のためだけに新しく設定作っただろとか言わないであげて。

劇中では完成度80%の状態でシャア・アズナブルが搭乗して出撃した。
このページの冒頭に書かれているのはジオングを初めて見たシャアと整備兵のやり取り。
このシーン自体が有名な上、整備兵のセリフが非常に汎用性が高いため、マニアならずとも知っている人は多いだろう。
原文は上記の通りだが分かりやすさ重視で「足なんて飾りです」と覚えている人も多いと思われる。
後付でAMBAC(アンバック、Active Mass Balance Auto Control = 能動的質量移動による自動姿勢制御)なる設定が作られたせいで足は飾りではないということになってしまったということは禁句。
実際、一年戦争後のシャアのアクシズ時代を描いた作品で、同じ整備兵がシャアに「付けてみたら意外といい具合でした」と
自身の発言を訂正している。
尤も、当時のジオングはあらゆる挙動をスラスター噴射で強引に制御する構造になっており、AMBACが使われる余地はない。
そして足を付ければ当然脚部のスラスターを塞ぐため、スラスター制御をAMBACに置き換える大規模調整が発生する。
要は根本的に違う設計思想の機体になってしまうのだ。そう考えれば、整備兵の言葉は決して誤ったものではない。
しかし、ルウム戦役にて連邦の軍艦を悉く蹴り抜き、
ガンダムとの初邂逅時にザクマシンガンが効かないと見るやすかさず格闘戦に移行して蹴り飛ばし、
更には実の妹に銃を向けられた際にも妹の腕を蹴って拳銃を弾き飛ばした男に向かって、足を「飾り」と言い張る彼はいい度胸である。
そんな彼にある作品ではリオ・マリーニ曹長という名前が付けられた。

余談だが、『Gジェネ』シリーズでジオングとドム系のMSを設計すると、パーフェクトジオングになるのはもはやお約束。
何故かというと、元ネタの『プラモ狂四郎』ではドムの脚を改修して「足つきジオング」としていたため。
「パーフェクト」という名称も、元はパーフェクトガンダムに対抗して名付けたものである。
『Gジェネ』では、接近戦用にビームサーベルを持っていたが、
(『プラモ狂四郎』で剣を持っていたためと思われる。実体剣だったけど)
『魂』以降はサーベルを持たず、「キック」になっており、戦闘アニメはまんまライダーキックである。
ビグ・ザムやグレート・ジオングも「脚部クロー」があり、踏んだり蹴ったりする。ジオン というよりシャア はそんなに脚で蹴りたいのか。

アムロ搭乗のガンダムと死闘を繰り広げ、戦闘中にジオングは頭部以外全壊、ガンダムも頭部と左腕が吹っ飛んでいる。
最終的には自動操縦状態のガンダムが繰り出したビームライフルの一撃を受け、残った頭部も爆散した。
劇中では割とあっさりと流されたこのシーンだが、ファンの間では「ラスト・シューティング」として有名である。
しかし、シャアは無事に脱出しており、そのままアムロに生身の戦いを挑んでゆく。
また、撃たれると同時にジオング側もガンダムの右胸~右足部を撃ち抜いており、結果的には相打ちとなった。
ちなみに、一年戦争でシャアがMS搭乗中にノーマルスーツを着た数少ない戦いでもある。

ちなみに機体スペックのみを比較すれば、ガンダムを遥かに上回る性能を持ち「勝って当然」という見方もできる。
しかし、ジオングは理想的に機能が働けば予定の性能が出る程度には組みあがっていたとしても、
試験運転を全く行っていないため、どのような問題や故障が起こってもおかしくない状況であった。
さらにシャアは操縦テストや慣らし運転すら無く、果てには口頭説明だけの操作法での未完成機での参戦、
というより彼はこの時までモビルアーマーに乗ったことさえなく、サイコミュに触れたこともない。
その状態でいきなりガンダムと対峙という形だったため一概に有利とはいえない。
対してアムロはガンダムを長い間使い続けてもはや手足のような感触で乗り回しており、しかもサイコミュ搭載型MAとは三回も戦ってきている。手の内は知られていたのだ。
例えるなら、普通の格闘ゲーム上級者がとっつきにくいコンボゲーである『戦国BASARA X』のオクラの初使用で
ストIIの世界チャンピオンが使うリュウに挑むようなものである。いくらキャラ性能が違うとはいえ、これは無茶だ。
シャア自身にも使用経験のないサイコミュ兵器を使いこなしたいという焦りがあり、わざわざナレーターが解説している。
そのサイコミュ兵器もアムロには殆ど避けられ、密着されると攻撃できなくなるという弱点を突かれる始末。
(この事がシャアの印象に残ったのか、後の『Ζガンダム』ではキュベレイに密着してファンネルを避けようとしていた)
また、ア・バオア・クーに突入しようとする連邦軍の部隊を迎え撃つためにジオングを与えられたにもかかわらず、
ガンダムを見かけると他の連中など眼中にないといわんばかりに追い掛け回していたことから冷静さも失っていたと思われる。
これはア・バオア・クーでの戦いの前のララァの一件もあるため仕方ないのだが、彼と共に出撃した迎撃部隊や
ジオングを与えたキシリアにしてみれば、「敵のMS部隊や艦隊と戦ってたら『名高いエースパイロット&強力な新兵器』という
強力な味方が、いきなり持ち場を離れてどっかに行った」という何やってんのアンタ状態であり、
(ジオン軍でもその恐ろしさが伝わっていたガンダムを釘付けにしていたとも考えられるが)
キシリアもジオングが頭だけになってしまったのを確認したときは「赤い彗星も堕ちたものだな」と失望感漂う発言をしている。*2

ただこの状態でも、シャアはガンダムと戦闘前にMS18機・戦艦4隻を撃破しているあたり、
ジオングもシャアもそれぞれの能力が非常に高かったことが窺える。
むしろこんなに戦果挙げられるんだったらガンダムとぶつけないでそのままシャアが無双してたら
戦況はひっくり返せたんじゃないのか
とか、誤射して友軍のザク撃墜してなかったかとか言ってはいけない。コレ禁句。

上述のとおり、その全高は23mと大きく、完全に完成していれば39mを誇る超巨大モビルスーツとなる筈であった。
ただし、その為に機体の設計・建造に十分な時間が取れず、結果的に完成度80%での出撃を余儀なくされてしまった。
何故にジオングをここまで巨大なモビルスーツとして設計したのかは、長い間定かでは無かったが、
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』の短編において、
ウモン・サモンの駆る「機動戦士Bガンダム」の存在が大きく関わっていることが明らかとなったが、
この説は作中でもガセネタの可能性を示唆されており、真実かどうかは何とも言えない。
実際の理由は前述の通りサイコミュの小型化が進んでいなかったせいで、同じくサイコミュ搭載のブラウ・ブロは60m以上ある。
また、パロディ漫画『トニーたけざきのガンダム漫画』では、
シャアが口からでまかせで言ったガンダムの「ある特徴」を取り入れる為に完成が間に合わなかったということになっている。
無論、「ある特徴」も含めて、公式設定ではそんなことは一切ない。
また、同作に登場したシャア専用ボールには、ジオングのサイコミュ・ハンドが装備されている。

「あの『ダム』の形状、質量、そして中の秘密メカが……
  ガンダムの強さの源なのです!!」

「何を言ってるの――――― しっかりして兄さ―――ん」

(以上Wikipediaより引用・改変)

+ ガンダムvsシリーズにおいては

+ ガンダムトライエイジ

2D格闘ゲームでは『機動戦士ガンダム』や『ガンダム・ザ・バトルマスター』に登場。
『機動戦士ガンダム』ではCPU専用のラスボスとして登場。
続作の『EX-REVUE』では中ボス扱いだが、タイムリリースでプレイヤーも選択可能。
サイコミュ・ハンドは有線式ロケットパンチというような武器になっている。
『ガンダム・ザ・バトルマスター』では共通システムとして近距離武器攻撃(サーベル)が搭載されているが、
原作ではビームサーベルを持たないジオングとハイゴッグは、手からビームが出て相手を切り払うという描写になっている。
サーベルが共通のガード不能技になった「2」ではハイゴッグは「ハンドバーナー」という技名になっているが、ジオングは「手刀」。
あとキックも共通システムなので、足のないジオングは脚部のスラスター噴射口から炎を出してキック替わりにする。
有線式ロケットパンチも引き続き装備。防御手段は飛び道具を無効化するバリア。

なお、『EX-REVUE』までのジオングは接地していたが、『バトルマスター』ではホバー移動している。
あと『バトルマスター2』までは綴りが”ZIONG”だったが、北米版で”ZEONG”に変更された。
これは「ジオン」の綴り自体が”ZION”では「シオニストの国」を意味で不穏当だからと”ZEON”に変更されたため。
+ きゃははははっ!!いい獲物が見つかりました!!

その他、松浦まさふみの漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』にはグラン=ジオングという派生機も登場。
アンチファンネルシステムというIフィールドを発生させている相手を動けなくするという反則的な装置を搭載している他、
基本性能も連邦軍の最新鋭機であるZプルトニウスを凌駕していた。
ただし実際はクィン・マンサの発展機である。
なおこの作品は発表当時は比較的自由にガンダムを描けたということもあり、現在の設定と全く噛み合っておらず、
作者自身「これはガンダム世界と違うもの」とコメントしている。

+ ガンダムビルドファイターズでは


MUGENにおけるジオング

MUGENでは海外の「Gundam Mugen」のサイトで他のモビルスーツなどと共に公開されている。
製作者はビグ・ザムも制作しているtaurusac195氏。
スプライトは「EX-REVUE」のものでキックはないが、超必殺技の演出が『ガンダム・ザ・バトルマスター』のものになっている。
防御手段のバリアは、一定時間スーパーアーマー状態になりその間は被ダメージを1にするというもの。
目に見えるバリアは表示されていないのだが、コマンドファイルではbarrierと表記されていたので便宜上バリアとした。
AIが入っているがそれほど強くなく、ニコニコ動画ではあまり活躍の機会は無い。

出場大会

削除済み


*1
長谷川裕一の漫画『機動戦士Vガンダム外伝』に登場した、ザンスカール帝国がジオングのデータを基に開発した
ジョングというMSには一部それを再現したと思われる機能が搭載されており、パイロットのスケイルが持つ特異なNT能力
(NTの精神感応による「嘘」をつくことで相手を幻惑し、自分の位置を誤認させたり分身を生み出したりする能力)
も相まってウッソを大いに苦しめた。
同じく長谷川裕一の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』にも登場したが、
こちらでは分離攻撃なんて複数の敵を相手にしているのと同じだと言われて、あっさりとやられてしまった。

ゲーム『SD GUNDAM G-GENERATION』シリーズでも、
そのアイディアを再利用したオリジナルの派生機「グレート・ジオング」が登場している。
性能は「グレート」の名に恥じず、かなりの初期性能を誇り、武装のバランスも良い。
さらにIフィールドを持ち、空中適正Bも持つため飛行可能。まさにジオン脅威のメカニズム。
欠点は、移動力が低いことと、燃費が若干悪いこと。それと「魂」「ウォーズ」ではサイズが2Lだったため、
出撃枠やフィールドを2マス取ってしまう欠点があったが、「WORLD」ではサイズがLになったため、
出撃枠などは1マスで済むようになり、この欠点は改善されている。

余談だが、『ウォーズ』でのア・バオア・クー戦には敵増援で名無しのNT兵が乗ったグレート・ジオングが現れる。
しかも、この面では原作通りシャアは80%のジオングに乗って出撃している。
完成品どころか強化型があるんなら、なぜそっちをシャアに渡さなかった…。

*2
尤も、キシリアもア・バオア・クーの防衛を指揮していた実の兄のギレン総帥を
よりにもよって防衛戦の真っ最中に殺害し、司令部に相当な混乱を生じさせている。
ギレンが実の父親であるデギン公王をその直前に謀殺し、以前から仲の悪かったキシリアを
本気で怒らせてしまった為なので自業自得なのだが、リアルタイムで目まぐるしく状況の変わる戦場においては
致命傷ものの出来事であり、それまで守りに立っていながらも優勢だったジオン軍は一気に足並みが乱れ、
ア・バオア・クーは陥落してしまった。