形意拳


概要

「シンイーケン」と読む。2000年に台湾企業IGSが発表した格闘ゲームである。
『形意拳』は日本を含む漢字圏でのタイトルで、英語圏では『Martial Masters』。
自社のROMカセット式汎用アーケード基板「PGM」にてリリース、ROM容量は624Mbit。
ベルトアクションの『三國戦記』や『西游釋厄傳』も「PGM(Polygame Master)」にてリリースされている。
2023年4月には、本作を含むIGSのアーケードゲームを複数収録した『IGS Classic Arcade Collection』がNintendo Switchにて配信。
残念ながら日本語に対応しておらず、当時の珍妙な翻訳(通称「IGS語」)は堪能出来ないが、手軽に楽しむ事が可能となった。
なお、初期版(1.00)と最終版(1.04)が存在するが、Switch移植版は後者の内容となっている。
初期版との違いは超必殺技のダメージが大幅に下げられており、コンボ主体のダメージが大きいなど各種調整が入っている点。

実在の武術家、黄飛鴻(1847-1924)を主人公にしたツイ・ハークによる人気映画シリーズ、
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の影響を強く受けている作品。
あくまで影響されているだけで、許諾などは得ていないようだ。
しかも形意拳は心意六合拳の流れを組む武術なのに対し、黄飛鴻の使う洪家拳は南派少林拳の系列である
(ドランケンマスターの酔拳も洪家拳の一種。恐らくモンクも少林拳だろう)。

なお形意拳には十二形拳、洪家拳も五行拳という象形拳(動物の型)がある
(形意拳にも五行拳があるが、こちらは五行説(木火土金水)の方)。
本作に象形拳が多いのはそれが理由であろう。

グラフィックは日本で言うカプコンっぽいアニメ調なもの。
一部のキャラニュートラルポーズのアニメーションがやたらヌルヌルな動きなのだが、
全体的に見ればそう突出して高いレベルの動きというわけではない。

システム

操作系はレバー1本とABCD(弱P、弱K、強P、強K)の4ボタン。
投げ技の入力がADまたはBD同時押し、挑発(全キャラ攻撃判定付き)がCD同時押しという辺りはちょっと変わっている。

CPU戦は一般的な1対1で2本先取(設定により3本先取への変更可能)だが、
対人戦では『KOF』と同様の3対3のチームバトルとなる。同じキャラを3人選ぶことも可能だが、強制的に3本先取に固定される。
勝った方は最後に使用していたキャラでCPU戦を引き継ぐ。また、両チームが同時に全滅した場合は乱入された側を勝者として扱う

日本産ゲームの海外輸出時にもよくあった事だが、言語面でのローカライズが拙く、
勝利セリフや操作説明のシステムの名称・説明文などが少々おかしい。

モード限定だが中々の世紀末っぷりである。

デモで説明されるシステム名と説明

  • 不意打ち
    • 敵のしゃがみ防御不可能↓+AB
  • 後へ回避しながらの不意打ち
    • 敵のしゃがみ防御不可能←+AB
  • 覚醒
    • はめ状態からの脱出C+D+ゲージ1回分
  • ダウン回避
    • 倒れる瞬間にA+B
  • 分身攻撃
    • ↓↘→B+Cまたは↓↙←B+C
  • 投げ技
    • 近距離でA+DまたはB+D
  • 追撃
    • ↓+A~Dまたは↑+A~D
  • 起き上がり回避
    • ダウンから起きる時にレバーを←または→
  • バックにまわりこみ
    • 近距離で←↙↓↘→+AB
  • 投げの抜け方
    • A+DまたはB+D
以上、原文ママ。
「覚醒」の説明文の「はめ状態」というのは永久コンボとかでなく、ガードの状態を意味する。つまりただのガードキャンセル
「分身攻撃」は本作のかなり独特な要素で、まるで『ジョジョの奇妙な冒険』のタンデムアタックのように
自分と分身で同時に攻撃をしかけるというもの。ただし分身の行動はあらかじめ決まっている。
「追撃」はダウン追撃のことを指す。


登場キャラクター

本名 / 英字表記で記載。日本語版では一貫して英字で表記される。
エンディングでは「語り」とか「弟」とか中途半端に日本語が混じっているが

原作(?)の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』を知らないゲーマーに理解しやすくするためか、
はたまた許諾を得ていないためなのか、ほとんどの英字表記は本名とは異なる名称で表示されている。
「MASTER HUANG」は「黄師父」といった感じの意味で、「SCORPION」は白少廷が使うさそり拳を示している。
しかし「靈兒 → REIKA」や「十三姨 → SAOJIN」はそのまんまだったりするからややこしい。

キャラクターカラーはA、B、C、D、A+B、C+D、A+C、B+Dの8色だが、さらにA+DやB+Cが選べるキャラもいる。
基本的にAカラーでデフォルトカラーとなるのだが、何故かLOTUS MASTERはB+Dカラーに、
DRUNK MASTERとRED SNAKEはB+Cカラーに本来の配色が置かれている。

  • 通常キャラクター
  • 隠しキャラクター(初稼働から20日経過後、そこから合計で100クレジット投入されると使用可能になる)
  • CPU専用キャラクター

ちなみに真白蓮教主の英字表記の綴りは「TRUE LOTUS MASTER」が正しいと思われるのだが、
ゲーム画面ではエンディングを除いて一貫して「TURE LOTUS MASTER」と書かれているので、ここではTUREとしておく。


MUGENにおける形意拳

原作再現度はまちまちながらも全員が揃っており、
特に構えや動きが強烈なインパクトを持つスコーピオンは、ニコMUGENでも注目され始めている。

なお、妙に横長に見えるのは元のゲームの解像度が正方形2つ分(448x224)のため。xscale=0.7142857にすれば正しい比率が得られる。
カプコンのCPS基板のゲーム(384x224)のドット修正比率が0.833…なのと比べると随分横長なドット絵である。


最終更新:2024年01月18日 14:43