ニセウルトラマン


その名の通り、あの正義のヒーロー・ウルトラマンニセモノで初登場は『ウルトラマン』第18話「遊星から来た兄弟」。
大まかな外見はウルトラマンそっくりだが顔つきは大きく異なっている。
また、上の画像をよく見るとわかるように身体の赤い模様が黒いラインで縁どられているのも本物と違う。
その正体は地球を侵略するために第8銀河系にある母星*1からやってきた宇宙人・ ザラブ星人

ニセモノヒーロー系として後の作品に与えた影響は大きく、
「偽物=悪役顔」という図式も様々な偽物系のキャラに受け継がれている。はその最たる例だろう。
あらゆるフィクションにおいてこの手の偽物が出てきた場合にありがちなこととして
「明らかに本物と違う外見なのに作中の人物は騙されている」というのがある。
これはもちろんニセウルトラマンの出てくる話でもそうであったのだが、
「劇中の人物たちも巨大で且つ激しく怪獣たちと格闘するウルトラマンを見ていても
その容姿をきちんと把握できているとは限らないから区別がつかなくてもおかしくない」

との意見も多い。確かにテレビ越しにじっくり見てるわけじゃないもんね。1回3分しか出てこないし。
そもそも本物だってこの時点で1回顔が変わってるし。 *2

ちなみに『空想科学読本』シリーズでの検証によれば、
“あのサイズの生物の顔を、現場にいる人間が判別することは難しい” のだそうだ。
(でかすぎて足元からでは判断できない。かといって高い所から顔を見ようとしても近い場所では危なくてそれどころじゃないし、
 安全な場所からでは遠すぎて判別不能)まあ科学的に正しいんじゃ仕方ないな。
とはいえ、安全な場所から顔をしっかりと見る方法があればやはり判別可能なのか、後年のニセメビウスは
GUYSの基地「フェニックスネスト」のモニターで見ていたサコミズ隊長に 「目つきが悪い」の一発で見破られていた
また、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でも光の国の看守も最初はウルトラマンと見間違えるものの
やはり同族である為か、直後に「誰だ貴様!」とあっさり偽物であることに気付いている。

+正体であるザラブ星人について
『ウルトラマン』第18話「遊星から来た兄弟」に登場した宇宙人。
身長は1.8から40メートル、体重は30から2万トン。
名前は「ブラザー」を逆さから読んだ事に由来。
劇中でも自身が“ザラブ”とは母星の言葉で“兄弟”を表すと語っている。
尤も、これは地球人を騙す為の方便かもしれないが。

ザラブ星人達は他の文明を滅ぼすことを目的として様々な星で暗躍している。
地球にくる以前にも、これまでにも多くの星を滅ぼしてきた。
武器は怪音波とそれを利用した催眠術、指先からのエネルギーバルカン、身体から放出する放射性ガス。
更に人間やウルトラマンなどほかの生命体に化けることもできる。
他に高い耐久性を持ち、逃れようともがけばより強力に締め上げる拘束用テープを持つ。
…しかしこのテープ、なぜか 人間の涙に弱い という性質がある(単に塩水に弱いのかもしれないが)。
設定上この時系列から数千~数万年以上未来の『ウルトラギャラクシー』の時代では涙が一滴着いただけで切れるなど
改良されているどころか劣化していた。少しはバルタン星人などの科学力を見習うべきである。
あるいはザラブ星にも不良品を売りつける悪徳業者がいるのだろうか?

初登場回では地球上に広まった放射性ガスをいとも簡単に取り除き、
更に軌道を間違えたという地球側の土星ロケットを地球に誘導したりと、
あたかも地球人に対して友好的であるかのような行動をとっていたが、実はそれらは全て地球人を欺くための演技。
(お気づきの人もいるだろうが、先述の放射性ガスも自分が出したものである)
フジ隊員に化けて暗躍し、更にハヤタ隊員を拘束してウルトラマンそっくりに姿を変え、
その姿で破壊活動を行うことでより人間からの信頼を失わせようとした。
しかし、ホシノ少年の涙でテープがちぎれ、ハヤタの救出に成功した為、ついに本物のウルトラマンが登場。
逃げようとしたところにスペシウム光線を浴びて変身が解け、なおも戦おうとしたが最後は呆気なく倒された。
後に第33話「禁じられた言葉」でもケムール人、バルタン星人(三代目)らと共に
メフィラス星人の配下として顔見せ程度に登場している(怪獣図鑑などでは 二代目 扱いされていることも)。

平成作品では映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に登場。
ガッツ星人、ナックル星人、テンペラー星人と宇宙人連合を組んで地球に襲来した。
こちらでもやはり変身能力を使っており、ヒビノ・ミライ(=ウルトラマンメビウス)と親交を深めた
ジングウジ・アヤに化けて、彼を欺き毒を飲ませた後、ニセメビウスに化けて神戸の街を破壊した。
(ニセメビウスは所々に黒いラインが入っているのを除けば結構本物に似ている)
歴代ザラブ星人で唯一にして初の光線技を披露するも、気力を振り絞って変身したメビウスと戦った末に、
怒りのメビュームシュートを受けて倒されたが、宇宙人連合の作戦である「メビウスの冷静さを失わせて
エネルギーを無駄遣いさせる」という目的自体は完遂した(自分が倒されることは想定外だったであろうが)。
神戸の人々やCREW GUYSの面々はメビウスと勘違いして動揺していたが、
サコミズ隊長にだけは前述の通り「目つきが悪い。真っ赤なニセモノだ」と見破られていた。
まぁ、初代の時とは違い、『メビウス』の時代はウルトラマンが来てから40年近く経ってるしね。

『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場したザラブ星人は
レイオニクスバトラーではないものの、変身能力を駆使してレイオニクスを騙し討ちにしては
バトルナイザーを奪って自分の顔を模した形のケースに収納していた。
ZAP SPACYのハルナ副長に化けて潜入したものの、クルーの1人に正体を見抜かれ
(実際は正体を見抜かれたと ザラブ星人が勘違いしてただけ
逃げ出そうとしたところで本物のハルナと遭遇し、その際本当に正体がばれた為、ニセウルトラマンに変身・巨大化した。
レイのゴモラと戦ったが、この時は既にあのタイラントすらも倒せるほどパワーアップしていた為
殆ど歯が立たず、最後は超振動波を喰らい、 腰を痛めて 退散した。
なお作中では変身ポーズや構えを間違える他、戦闘シーンでもゴモラの尻尾を頭上で受けとめようとして失敗する、
キックを浴びせて逆に自分が痛がる、スペシウム光線の構えをとったが出ないことに困惑する…などコミカルなキャラとして描かれている。
とはいえ、上述したケースの中にはかなりの数のバトルナイザーが入っており、変身能力を駆使しての騙し討ちとはいえ
相当の数のレイオニクスを倒したようであり、相手が悪かっただけで実力は決して低くなかった事が伺える。
もしくはギャグキャラ補正

また、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』にも登場。
『ゴーストリバース』にて封印を解かれ宇宙を漂っていたギガバトルナイザーを回収し、ニセウルトラマンに化けて看守を騙し
……きれず、あっさり見破られるも、ギガバトルナイザーの力で看守を蹴散らして
光の国の宇宙監獄からこの映画のラスボスであるウルトラマンベリアルを解放。
ベリアルに共に宇宙を支配しようと呼び掛けるものの、この手の展開のお約束で解放したベリアルに肩慣らし兼
ギガバトルナイザーが本物かどうかの確認のために攻撃を受け、一撃で倒された。
なお、同じ世界ではあるものの、『NEVER ENDING ODYSSEY』とは別個体のようでコミカルな言動は一切なかった。

映像作品では、基本的に姿をまねただけで能力までは使用できないというパターンが多いが、
ゲーム作品では見栄え的な理由からか、何らかの光線技を使えるようになっていることもある。
ワンダースワンカラー専用ソフト『ウルトラマン 光の国の使者』ではウルトラマンのスラッシュ光線、スペシウム光線に似た技を放てる。
ただし後者は本物と違っておよそ2キャラ分の距離までしか届かない
『大怪獣バトル』のゲーム版では「フェイクスペシウム光線」「フェイクウルトラ水流」などを使用する。

『ウルトラゾーン』では第2話・第6話で登場。前者はバカリズム氏、後者は関智一氏が声を担当している。
後者では番組丸々使ったドラマ『THE LOVE』で実質主役を果たしており、地球に不時着したザラブ星人が
未亡人の女性画家に助けられ、奇妙な共同生活をするというストーリーが展開されている。
なお、こちらでは声を担当した関智一氏が、ザラブ星人の人間体としても顔出し出演している。
(氏は以前にもOV『ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作』で星人の人間体役も務めている)

ウルトラマンX』では過去に多くの星を滅ぼした工作員の宇宙人として登場。声の担当は村上ヨウ。
化学工場を襲撃し、スパークドールズを実体化させたベムスターに漏れ出た有毒ガスを吸わせ、暴れさせていた。
一度はワタルとハヤトの追跡から逃れるも、再戦時はワタル、ハヤト、アスナの3人に格闘戦で追い詰められ巨大化。
踏みつぶそうとするがXioのマシンの攻撃を受け、ウルトライザーによる射撃でとどめを刺された。
ちなみに公式サイトでは口がどことなくベムスターの腹部に似ていると記述されている。

声は上に表記されたものとゲーム版『大怪獣バトル』を除けば『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』まで全て『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王や、
ロックマン』シリーズのワイリー博士、また『CVS2』の藤堂竜白を演じたこともある青野武氏が
2010年に闘病により降板するまで 初代から一貫して 演じている。
シリーズ休止期間や出番のない時期も長いとはいえ、ウルトラ戦士でさえしょっちゅう声が変わる中で延べ40年以上同じ声を保った宇宙人は非常に珍しい。
また、初代では 等身大の時のスーツアクター も担当した。
何故声優である青野氏がスーツアクターを務めたかというと、
番組の撮影に当たり「キャラの特徴を上手くつかみたい」と言って、自らザラブ星人のスーツに入ったという逸話がある。
後年氏がナレーションを担当する、過去のウルトラ怪獣・宇宙人を紹介する短時間の番組があったのだが、
ザラブ星人の回だけはまるで星人本人が喋っているようなナレーションになっていた。

全くの余談だが、円谷プロ公式のエイプリルフールネタでは「地球に行くとありがちなこと」として
「ニセウルトラマン系の星人に騙されがち」などと言っている。 お前が言うな

ザラブ星人以外の『ニセウルトラマン』としては、『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』に
サロメ星人が開発したロボット軍団「ニセウルトラ兄弟」の一体としてニセウルトラマン(SR=サロメロボ)が登場した。
こちらはニセウルトラセブン似のプロテクターを除けば本物との差異は無く、
本物同様の光線技も使用可能で、他の兄弟ロボットとの連携でウルトラマンゼロと激闘を繰り広げた。
ちなみにその中にゾフィーのロボットもいた。…劇中の活躍についてはお察し下さい。

+映像作品以外のザラブ星人
  • 『STORY 0』版
真船一雄による漫画『ウルトラマンSTORY 0』では 偽ゾフィー として登場。
巨大ロボ・アイアンロックス恐竜戦車などを操り、エースタロウの二人と戦った。
こちらでは、当初はほぼ完璧にゾフィーに化けていたのだが、
途中で気が高ぶったのかパワーアップなのかは不明だが映像作品でもお馴染みの姿に変化した。
ちなみに、単行本10巻の裏表紙には「 ゾフィーの裏切り――――!? 」という衝撃的な煽り文が踊っていたのだが、
その すぐ隣にやたら目の吊り上がったゾフィーが描かれている 時点で読者的には色々バレバレだった。
一方、実際に戦っていたエース&タロウは「何故だ兄さん!」だの、
「俺は戦う! たとえ相手がゾフィー、あなたでも……!!」だの「あれはもう俺達の知ってるゾフィーじゃない!!」だのと
お約束とは言え 本物が現れるまで全く正体に気付いていなかった 。兄さんは悲しいぞ! 特にエース!!
(エースの名誉のために書いておくと、タロウがまだ生まれる前、超人化した当初の光の国では暴走した者がおり、その者は成長した現在とは似ても似つかない、そう丁度ニセウルトラマンの顔をしていた。)

本物のゾフィーはどうしていたかというと、星間連合の罠を自力で突破し、ザラブ星人を瞬殺、
満身創痍だった二人を救出した上、ボーグ星人に変装していたドリューの正体にも一瞬戦っただけで
気付き始めていたという、おいしいところを全て持っていっている。まぁ、STORY0ならしょうがない。

  • 『超闘士激伝』版
コミックボンボンの漫画『ウルトラマン超闘士激伝』では、メフィラス大魔王の配下、「鋼魔四天王」の一人として登場。
メフィラス大魔王含めて5人で宇宙を掌握できるほどと称されるほどの実力者で、
ウルトラの星に直接奇襲を仕掛け、何と 一切変身せず 実力でウルトラ戦士達を圧倒した。
「弱い奴から数を減らしていくのが集団戦の常識」と戦意を喪失したタロウを真っ先に狙う辺りに狡猾さが見えるものの、
タロウのために生命を捨てて実力差を埋めて自分に致命傷を与えたジャックを血を吐きながら讃え、
侮っていたことを詫びて倒れるという武人っぷりを見せた。
その後の四天王だが、終盤になってウルトラマンが魔神シラリーコダラーに敗れた時に再登場を果たした。
既にドラゴンボール並のインフレが進んでいた中の復活に読者が驚く中、
やはり手も足も出なかったもののボロボロのウルトラマンを守りぬき、
実行したのはパワードだったとはいえ魔神の倒し方に気付くという頭脳派らしい活躍を見せた。

  • 『ロストヒーローズ2』
コンパチヒーローシリーズのロストヒーローズ2では、ウインドキューブにて仮面ライダーエターナルの策略で、
怪獣や怪人がガイアメモリを集めるために奔走しているため、ヒーロー側も対抗して集めている中で、
ネモに化けて味方が基地に保管していたガイアメモリを盗む事に成功する。
だがウルトラ少年に見つかってしまい、ヒーローにその事を告げられてしまい正体がバレて倒された。
なおバレた理由は変身していたのがネモにも関わらず「目つきが悪い」というもので、しかもババルウ星人なら見分けられなかったとダメだしまでされてしまった。


MUGENにおけるニセウルトラマン

muu氏によってワンダースワンソフト『光の国の使者』のドットを使用したものが制作・公開された。
なお、喰らい状態のスプライトがザラブ星人になっているが…安心してください、原作通りです。

しょせんニセモノと侮るなかれ、その性能は本家に勝るとも劣らない。
弾速に優れる飛び道具「フェイクウルトラ水流」、当て身技「混乱の誘発」、発生が速い「破壊怪音波」など技のバランスもよい。
とくに「破壊怪音波」は範囲がほぼ全画面をカバーするほど広いうえに隙も少ないので連発されると非常に厄介。

超必殺技は威力が高い「フェイクスペシウム光線」、
拘束テープを巻きつけて相手のゲージ量に応じてダメージが変わる「自滅作戦」などといったものがある。
また、ボイスも豊富でとにかくよく喋る。特殊イントロも多く用意されており、
宇宙人連合仲間は勿論、更にはこの人にも…

実はフェイクスペシウム光線は合計で2ヒットするのだが大きなラグがあるため、
AI戦だと1発目をガードしてもそのあと動いたために2発目があたってしまうという光景がしばしば見られる。

ちなみに本物のウルトラマンは這い寄る混沌氏製とmuu氏製の2体いるが、どちらとも割と互角の勝負を見せてくれる。
しかし、フェイクスペシウム光線は 8分の1の確率で不発 なので肝心なところで出せず、
ゲージを無駄遣いしたあげく大きな隙を晒して反撃を受けるなんてこともしばしば…。

「スペシウム光線! …あれ?出ないなぁ…」

出場大会

出演ストーリー



*1
なお、キングジョーの製造元であるペダン星も『セブン』劇中のナレーションで第8銀河系にあると言われている。
当時、『マン』と『セブン』が全く無関係の作品として作られていたからではあるが、
両作品がシリーズとして統合された現在、この設定がどうなっているのかは不明である。

*2
メタな話になるのだが、ウルトラマンの着ぐるみやマスクの造形は目立つところで2度モデルチェンジが行われており
ファンの間では第1話から第13話まで使用されたものが「Aタイプ」、第14話から第29話までのものが「Bタイプ」、
第30話以降のものが「Cタイプ」と呼ばれて区別されている。現在はCタイプの顔が主流となっているが、
映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではAタイプのマスク、
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』ではBタイプのマスクが再現された顔で登場している。
そして、実を言うとニセウルトラマンの着ぐるみはAタイプのボディを流用しており、顔も結構似ていたりするのだ。

…ただ、あくまでスーツメーションの問題であり、 “設定上はA~Cタイプいずれも同じに見えている” 為、
この突っ込みは成り立たないのだが。
まぁ、ウルトラマンも生き物である事から、「当初はハヤタ隊員を死なせてしまったショックで痩せこけてたが、
時間経過で心の傷も癒え、元の男前になった
」と解釈するファンも、いるとかいないとか。
ちなみに小説作品『ウルトラマンF』では登場人物によって「姿によって得意分野が異なるのではないか?」「地球人が日によって服装や雰囲気が変わるのと同じようなものだろう」の2説が語られている。ちなみに前者の提唱者は井手(本編のイデ隊員)。

余談だが、Aタイプの顔に妙にシワが目立つのは、口を動かすギミックを内蔵するためにラテックスを素材にしていたせいらしい。
口パクで喋らせることを想定していた他、NG脚本では口から 火を噴いたり
「シルバーヨード」なる 謎の液体を吐く 技の描写もあったとか。
今から考えるとそっちの方がよっぽどニセモノっぽく感じるのは、ヒロイックな必殺技として定着したスペシウム光線様々である。