SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS



概要

2003年7月にMVSにて稼動したSNKプレイモアの2D対戦格闘ゲーム。
最強ファイターズ』や『CAPCOM VS. SNK』と同様、カプコンとのクロスオーバー企画の一つ。
ROM容量は693Mbit。
専用設計されたカセットの無い一枚基板*1のものと、後にリリースされた通常のMVSカートリッジ版がある。

SNK作品とCAPCOM作品から各18名、計36名のキャラクターが出演。
グラフィックは基本的に『THE KING OF FIGHTERS』シリーズの流用であり、
新規ドット描き下ろしの対象は主に同作に出ていないSNK側キャラクターと、CAPCOM側のキャラクター全てとなっている。

CAPCOM VS. SNK2』のヒットを受け、今度はSNKプレイモア主導のVS.タイトルとして期待を持たれたタイトルであった。
しかし、全体的な雰囲気の暗さや演出(ヒット音etc)の質、スコアシステムの不在、基本システムから来る一部キャラクターの性能の破綻や相性の悪さ、
両社のゲームシステムやキャラクターメイキングにおける方向性の相違など(例…ボタン数の関係、飛び込みと対空両者の力関係の相違etc)の関係上、
元来連続技を積極的に狙っていくよりも一発一発をじっくりと当てていく性質のカプコンキャラクターがを除き割を喰う形になっている
(なお『CAPCOM VS. SNK2』では同様の理由で逆にSNKキャラの多くが割を喰っている)事や、
クリア条件がシビアすぎて通常プレイではまず真のEDに到達できないという難易度の高さ、バグや無茶苦茶なコンボなど、
対戦ツールとしても一人用で楽しむにしても、どうにも粗が目立ちすぎるきらいがあった。

ただし、「ポリサム」こと『侍魂』出身の色、久々の復活となったゲーニッツ、マーズピープルやロックマンゼロなどのアクション出身者や、
映画を基にした洗脳ケンといったマニアックなキャラクター、さらにチョイや幻十郎、アースクェイクやヒューゴーなど、人選は『CVS』とは一味違っている。
『KOF』ドット譲りで生まれ変わったCAPCOMサイドのキャラクターや、新規SNKキャラクターのグラフィックの美麗さが際立っている
(特にデミトリは、CAPCOMでは延々と初出である『ヴァンパイア』のドットを継ぎ足しながら様々な作品に出していたのに対し、
 『KOF』ドットで緻密に描き込まれて生まれ変わった『SVC』版は各種演出を含めてかなり細かく作られている)。
デミトリのミッドナイトブリスによるゲーニッツのブリス姿が、ニコMUGENで一つのムーブメントを巻き起こしたのも有名。
また、(原作との多少の言動の違和感もあるものの)全キャラに対戦前の掛け合いが用意されている事、
前述の真のEDも確かに到達条件こそ厳しいものの、『CVS2』と違って専用イラストが豊富な個別エンディングがキャラクターごとに用意されている事、
カプコン側の一部のキャラクターの場合EDが分岐したりと洒落たギミックがある事など、初代SNK譲りの力の入った演出面は評価に値するだろう。
また、前述の暗い雰囲気はスタッフの意図によるものであり、
大会・お祭りという雰囲気がある『CVS』とは異なり、緊張感のある死合・真剣勝負の雰囲気を好む人もいる。

SNKプレイモアとカプコンの社風の相違が窺えるという点においては、大いに意義があった作品であると言える。

一部のシステムは『NEOGEO BATTLE COLISEUM』に継承されている。
ステージBGMについては『KOF2001』『2002』からややクオリティが戻っていた。

+ 余談だが
「Station Obsolete」というステージは『KOF98』の作業場(USA YARD)ステージが荒廃したような情景である。
核戦争後などを意識していたかのようにも見えるが、真相は不明。

なお、100in1などの基板に『SVC CHAOS PLUS』のような本作のバージョンアップ版らしきタイトルが入っている事があるが、
これは隠しキャラやボス専用キャラを最初から使えるようにハックされた 海賊版 であり、公式のものではない。


登場キャラクター

SNK

  • 初期キャラクター
本気になったMr.カラテ(家庭用版のみ、隠しコマンドで使用可能)、アテナ(一部の家庭用版のみ使用可能)

CAPCOM

  • 初期キャラクター
  • 隠しコマンドで使用可能なキャラクター
  • ボス・シークレットボス
真・豪鬼(家庭用版のみ、隠しコマンドで使用可能)、レッドアリーマー(一部の家庭用版のみ使用可能)


システム

A(弱P)・B(弱K)・C(強P)・D(強K)の4ボタンで操作する。

グルーヴパワーゲージ

所謂パワーゲージに相当し、3本までストック可能
(厳密には3本ストックした瞬間にゲージが特殊な状態に以降。後述)。

ガード硬直中に強P+強Kで発動。ゲージを1本消費
硬直キャンセルして、相手を吹き飛ばす打撃技を繰り出す。
ダメージは僅かで、この攻撃ではKOできない。
  • ガードキャンセルフロントステップ(GCFS)
ガード硬直中に→→、またはガード硬直中に弱K+強Pで発動。
前者はゲージを0.25本、後者はゲージを0.5本消費
硬直をキャンセルして、相手の攻撃をかいくぐるステップを繰り出す。相手の後ろには回り込まない。
移動モーション中はいつでも通常技以上の技で自由にキャンセルできる

動作中は完全無敵であり、回避からのコンボでゲージ回収が可能
ゲージ消費量が格安で簡単に割り込めるためコマンド投げ持ちのキャラは簡単に切り返しでき、
安易な固めは無敵付加の割り込み小足からフルコン直行というかなり壊れた性能

『SVC』を廃れさせた原因の一つ。

  • MAXIMUM(MAX)
ゲージが3本ストックされると「MAXIMUM」と表示され、
タイマーがゼロになるまではゲージの消費が一切無くなる
ただし、MAXIMUM発動中はゲージ残量の代わりにタイマーの残時間を消費する。
MAXIMUMが終了するとゲージのストックは2本に戻る
さらにこの状態中は特殊技、必殺技、超必殺技の基本威力が25%低下する
  • どこでもキャンセル(マルチキャンセル)
MAXIMUM発動中、タイマーの残時間を消費する事で、通常技や必殺技を自由にキャンセルできる

その他

  • EXCEED
体力が半分以下になると使用可能になる、非常に強力な必殺技。
ゲージなどの消費は一切無いが、1試合に1回しか使用できない
弱P+弱K、または強P+強Kで発動。技の内容はそれぞれ異なる。
投げ失敗ポーズが出た場合、ゲージが減少する
投げられた側は同じコマンドを入力する事で投げ抜けできる。
  • ダウン回避
ダウンする直前に弱P+弱Kで発動。その場で素早く起き上がる。
  • タメ入力の仕様
本作では他作品と異なり、タメ入力の際に最初に入れた方向以外の入力を受け付けない
例えばガイルの「ソニックブーム」は4タメ6入力だが、しゃがんでから1方向でタメてもソニックは出ない。
このため、後ろ・下両方向のタメを満たすには、レバーニュートラルからいきなり1方向でタメる必要がある。
その代わりタメに必要な時間が総じて短い傾向にあり、1コンボ中にタメ技を複数回出す事すら可能である。
また、CAPCOMキャラクターに見られる三角タメコマンド(1319+ボタン)の最初の入力が
1方向(斜め後ろ)ではなく2方向(下)扱いで受け付けるため、他作品より入力が容易である。

超必殺技&EXCEEDまとめ
SNK編
カプコン編


*1
一般的には「MV-0基板」と呼ばれている。
同年に稼働を開始した『THE KING OF FIGHTERS 2003』や『メタルスラッグ5』の初期版にもこの基板が使われていた。


最終更新:2023年04月08日 10:00
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