フランケンシュタイン


"It's Alive It's Alive!"

フランケンシュタインとはメアリー・ウォルストンクラフト・ゴドウィン(メアリー・シェリー)が
1818年3月11日に匿名で出版したゴシック小説『フランケンシュタイン』、あるいは同書の主人公であるスイス人科学者(を目指す学生)の名前である。

名前についてよく誤解されるが、「フランケンシュタイン」とは人造人間の名前ではなく、それを作った人(ヴィクター・フランケンシュタイン)の姓である
映画や漫画に登場する人造人間が「フランケンシュタイン(orフランケン)」と呼ばれる事が多いが、正確には「フランケンシュタインが作った怪物」である。
(まあX線撮影を「レントゲン」と呼ぶように、発見者・開発者の名前が物の通称に付くのはよくある事だが)。
このような呼ばれ方をするのは、フランケンシュタインが人造人間に名前を付けなかったので、固有の名前を持っていないからであり、
1823年に演劇になった際、配役表記で役名が必要になった際「------(役名):トーマス・クック(演者名)」という表記にされたほど。どう読むんだよ…
そしてこの時の演者トーマス・クックが1826年の舞台『怪物と魔術師(Le Monstre et le Magicien)』でまた人造人間役で出てきた際に、
博士の名が「フランケンシュタイン」ではなく「ザメティ」にされた事が混同の原因とする指摘もある。
29:30頃より『怪物と魔術師』の解説


原作ストーリーネタバレ

スイスのジュネーヴ(厳密には当時は連邦未加入のジュネーヴ共和国)の名家出身の青年、ヴィクター・フランケンシュタイン。
彼は15歳の時落雷のパワーを見たのをきっかけに科学者を志し、故郷を離れてドイツ・インゴルシュタットの大学で自然科学を学んでいた。
だが、ある時を境にヴィクターは、生命の謎を解き明かし自在に操ろうという野心に取り憑かれる。
そして、狂気すら孕んだ研究の末、『理想の人間』の設計図を完成させ、それが神に背く行為であると自覚しながらも計画を実行に移す。
自ら墓を暴き人間の死体を手に入れ、それを繋ぎ合わせる事で11月の侘しい夜に怪物の創造に成功した。
しかし、誕生した怪物は、優れた体力と人間の心、そして、知性を持ち合わせていたが筆舌に尽くし難いほど容貌が醜かった。
(現在はボリス・カーロフ演じた上記画像のイメージが強いが、
 原作小説の記述だとヴィクター自身は「四肢は均整がとれ、容貌も美しく造ってきたつもり」だったが、
生命活動を始めると「肌が黄色く筋肉や動脈が透けて見える」と人体模型のような容姿をしており、
髪や歯の美しさが却って不気味さを強調する結果となったと語っている)。
そのあまりのおぞましさにヴィクターは絶望し、怪物を残したまま鍵もかけずに部屋を出たので分別のつかない怪物は外に出て迷子になってしまう。
彼は強靭な肉体を与えられたがために野垂れ死ぬ事もなく獣のように生き延びるが、
そのうち知恵をつけ字が読めるように成り、偶然持っていたヴィクターの日記から「製作者が自分を嫌っていた事」を知って失意する。
孤独のなか自己の存在に悩む怪物は「親切にすれば受けいれてくれるのではないか?」と考え、
一時は山奥の村人に陰ながら善意の協力をしてみたりするも、結局醜さ故に人間達からは忌み嫌われ迫害され、
山を越えて遠く離れたヴィクターの実家近くへ辿り着き、そこで偶然ヴィクターの弟と遭遇しカッとなって彼を殺害してしまう。
その後ヴィクターと邂逅した怪物は交渉の末、自分の伴侶となり得る異性の怪物を一人造るように要求する。
怪物はこの願いを叶えてくれれば二度と人前に現れないと言われ、ヴィクターも一度は約束仕掛けるが、更なる怪物の増加の可能性と、
怪物同士の不和→ショックで暴走(これは映画『フランケンシュタインの花嫁』で実際に発生)を恐れたヴィクターはこれを拒否してしまう。
創造主たる人間に絶望した怪物は、復讐のためヴィクターの友人・妻を次々と殺害し、逃亡。
憎悪にかられるヴィクターは怪物を追跡するが、やがて北極に向かう船上で息を引き取る。
そして、創造主から名前すら与えられなかった怪物は、怒りや嘆きと共に氷の海に消えた。

(以上、wikipediaより転載、改変)


作品の影響

この作品は最初のSF小説と言われ、当時のゴシック・ロマン文学に多大な影響を与えた。
「歪んだ科学によって生み出された怪物の悲哀」や「一線を越えてしまった科学者の破滅」といった定石は、この作品で確立されたと言える。
メアリーは当時19歳(書き上げたのは21歳)という若さでこの作品を生み出したというから驚きである。
(着想は彼女が5歳の1803年に行われた死刑囚の死体を使った電気刺激の公開実験などについて談義していた事から来ている)。
また、生命倫理を冒して人間に類するモノを創り出す事への憧れと、その結果被造物に反逆されるのではないかと恐れる複雑な感情を、
SF作家のアイザック・アシモフは「フランケンシュタイン・コンプレックス」と名付け、それに基づき有名なロボット三原則を設定した。
また、彼は素人だったメアリーがこの作品で知名度を得て、作家であった夫のシェリーがマイナーに留まり評価されなかった事を嘆くなど、
本作に対抗心を持っていた。

また数多くの映画が製作されており、一番最初に映画化したのはかの発明王トーマス・エジソン。
そしてフランケンシュタインの名を最も有名にしたのは1931年に米国のユニヴァーサル社が制作した『フランケンシュタイン』で、
「頭が平ら」「厚い額」「顔に傷がある」「体に電極が刺さっている」「落雷の電力によって起動した」といった、
今日のイメージを定着させたのはこの作品である。
なお、この映画での人造人間の役名は「怪物(The Monster)」となっている。
名優ボリス・カーロフが演じたこのモンスター(上の画像)は、映画史上に残る人気キャラクターとなった。
その後もユニヴァーサル社は『フランケンシュタインの花嫁』や『フランケンシュタインの復活』などの続編を次々と制作する。
しかしシリーズが進むにつれ、人造人間の悲哀や怒りは消え、ただぎこちない動きで暴れ回る怪物、
という描かれ方をされていくのだが、この辺りはシリーズものの宿命であろう。
その後、メジャーからマイナーまで様々な映画会社からフランケンシュタイン映画が制作されていった。
日本でも『ゴジラ』シリーズでお馴染みの東宝株式会社による、フランケンシュタインの怪物(を基にした巨人や怪獣)が登場する映画として、
『フランケンシュタイン対地底怪獣』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』の2作が制作されている。


モデルにしたキャラクター

フランケンシュタインの怪物をモチーフとしたキャラクターは多くの作品に登場しており、
狼男吸血鬼と並べ世界三大怪物、ミイラ男を含めて四大怪物とする見解もある。

格闘ゲームにおいては、
カプコンの『ヴァンパイア』シリーズに登場するビクトル・フォン・ゲルデンハイムがフランケンシュタインをモチーフとしたキャラとして有名。
SNKの『THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR』でも、ハロウィンイベントで七枷社がフランケンの仮装をして登場している。

コナミのアクションゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズではシリーズ恒例のボスとして登場している。
原作小説が書かれた時代より数世紀前が舞台の作品も多いが、悪魔城は混沌の産物なので……
第1作『悪魔城ドラキュラ』ではせむし男(リメイク版などではのみ男)とコンビを組んでブロック4のボスを担当。
素早く動き回るせむし男に攻撃を当てても動きを止める事しか出来ず、本体のフランケンシュタインにダメージを与えなければ倒せないという、
厄介な特性を持ったボスだった。
第3作『悪魔城伝説』ではせむし男を連れずに単体のボスとして独立。壁を殴って天井のブロックを降らせたり、岩を投げ付けるパワー系キャラになった。
以降のシリーズでも薬品フラスコを投げ付けたり、手枷の鎖を鞭代わりに振り回すなど『悪魔城伝説』を踏襲したものが多いが、
月下の夜想曲』では巨大ハンマーを装備し、『ギャラリーオブラビリンス』では肘にマシンガンやミサイルを仕込むなど例外も多い。

トリオ・ザ・パンチ』や『チェルノブ』などでお馴染みのデータイーストからも、
STG『ザ・グレイトラグタイムショー』の遊園地ステージのボスとして巨大なフランケンが登場ししている。
大きくジャンプして飛び掛かってきたり鎖の付いた鉄球を振り下ろす攻撃の他、棺やお化けを召喚するなど、多彩な攻撃を仕掛けて来る。
倒すと外装が溶けて中身が露わになるのだが、お化け屋敷のアトラクションなので機械仕掛けのロボットとなっている。

ゲーム以外の創作物だと、『怪物くん』では気は優しくて力持ちだったり、『Fate』シリーズでは花嫁衣裳に身を包んだ少女の姿など
(「フランケンシュタイン」を名乗っているのは、創造者ヴィクター博士を自身の父として見ているために姓を借り受けているからで、
 花嫁衣裳という恰好から『フランケンシュタインの花嫁』の要素も取り入れられている)、
容姿や性格が原作のフランケンシュタインの怪物像とは異なる作品も存在する。
『鉄腕アトム』にもフランケン博士が作ったロボットとして登場し、原作と初代アニメ版ではまんま怪物の姿だった。
余談だが、『怪物くん』と『Fate』にはドラキュラ伯爵も登場し、前者は坊ちゃんに頭が上がらない教育係、後者は吸血鬼としての風評被害に悩んでいるなど、
こちらも従来の人物像とは一変して苦労人ポジションになっている。
ゲゲゲの鬼太郎』シリーズでも一般的なイメージのフランケンシュタインが良く登場するが、
中でも6期のバックベアード軍団の幹部として登場する「ヴィクター・フランケンシュタイン」は、
なんと自らの身体を直接改造しており、普段は小柄な少年だが、戦闘時には屈強な肉体の人造人間へと変身するという設定。
「フランケンシュタイン博士」でありながら「フランケンシュタインの怪物」でもあるという、一風変わったアレンジがなされている。
和田慎二氏の『わが友フランケンシュタイン』は、カーロフ版の怪物像を基に、彼を保護した気難しい令嬢に「サイラス」と名付けられた怪物の、
その後も続く放浪の日々を描く一話完結形式のヒューマンドラマとなっている。
物語の最後は何れもサイラスが姿を消し、残された登場人物が「わが友、サイラス・フランケンシュタイン」と彼の事を述懐して終わる。

ホラー以外では『鉄人28号』の不乱拳酒多飲(フランケンシュタイン)博士が蘇生させた死体「モンスター」はボリス・カーロフ版そっくりの容姿をしている。
珍しい所では『仮面ライダーストロンガー』の怪人「隊長ブランク」は子孫(花嫁を作ってもらったのか、博士の方なのかは不明)とされているが、
脳筋でストロンガーから「立派な先祖に似ず頭は良くない」と挑発されている。
前述通り、東宝でもフランケンシュタインを扱った怪獣映画が製作されている。

元ネタからの距離は少し遠ざかるが、フランキーフランケンロボなどメカ系改造人間や人造人間のモチーフとなる事も多い。
アニメ『アルジェントソーマ』では、撃退した謎の鉱物生命体(エイリアンと呼称される)の断片を歪に繋ぎ合わせて再生した実験体が、
継ぎ接ぎの怪物という事で「フランク」という仮名を付けられ、物語の中核にある存在として活躍している。

プロレス技の「フランケンシュタイナー」の名は、
初の使い手のスコット・スタイナーのニックネームが「フランケンシュタイン」であった事かららしい。


MUGENにおけるフランケンシュタイン

dxwho氏によって、『悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス』のスプライトを使用したフランケンが製作されていた。
現在は公開されておらず、正規入手は不可能な模様。
手から放電攻撃を行うのは原作通りだが、何故か肘に内蔵した銃ではなく両手持ちしたサブマシンガンをぶっぱなしたり、
ヴァンパイアハンターのサブウェポンであろう斧を投げつけたり、ナイフを振り回したり、爆弾を設置するなどフリーダムな改変が施されている。
移動が遅く、ジャンプもできないが攻撃は遠距離タイプのものが多くどれも強力。
更に、2匹の下僕がチョロチョロと動き回りながらオートで攻撃してくれるのも心強い。

+ 大会ネタバレ
夏向け恐キャラタッググランプリビクトル・フォン・ゲルデンハイムと「フランケン腐乱」コンビを組み出場。
優秀な遠距離支援でビクトルをカバーし見事優勝した。

Halloween向け恐キャラタッググランプリにも同タッグで出場、このタッグを目安に参加者が決められたにも拘らず、3位という好成績を残した。

出場大会



最終更新:2023年05月14日 00:54