「こんな私でも あなたのお役に 立てるのだったら
 生きて… 生きて… 生き抜いてみます!!」

年齢:14歳
出生地:近江/大江山
血液型:AB型
身長:153.5cm
体重:38kg

ハドソンの人気RPG『天外魔境』シリーズの登場人物。
1992年の二作目『天外魔境 卍MARU』の主人公パーティーの一人で、同作のヒロイン。
格闘ゲーム『天外魔境 真伝』、『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の他、
サターンボンバーマン』にもゲスト出演している。
CVは井上あずみ女史。

神秘的な雰囲気を漂わせる、儚げな美少女。
鳥や動物と心を通わせ、会話する能力を持つ。
その傍らには常に白い巨犬シロが影のように寄り添い、彼女の手足となっている。
ジパングの伝説の種族「火の一族」の血を引く女性・綾と鬼族の長・酒呑童子の間に生まれた娘。
ある、大和地方を治めるタイクーンの命により、
鬼族の住処である大江山に鬼討伐隊が差し向けられる。
大江山に住む鬼族はほぼ皆殺しにされ、綾と酒呑童子も命を落としたが、
たまたま比えい山にお使いに出ていた絹はただ一人生き残る。
その後、絹は比えい山に両親の墓を立て、
その墓前で「自分は決して誰も傷つけない」という誓いを立てる。

そして、その誓いの証として「純潔の鎖」という特殊な数珠で自らの両手を封じる。
このため、直接攻撃や攻撃系の術を使うことが出来ず、シロが代わりに戦ってくれる。
あるイベント後は戦う決意をし、戦闘行為が可能になる。
しかし攻撃アイテムや特定の乗り物に乗った時専用の攻撃コマンドは、それ以前でも使用可能。
また、ある人物に恋をして、女として成長した時初めて使えるようになる術も存在する。

母の血筋で代々受け継ぐ予知能力を持っており、
どんな残酷な結末が行く先に待ち受けているか知っていても、
仲間に告げることなく一人で背負い込んでしまう。
その心には自分の運命に対する諦観が根強く植えつけられている。
カブキ団十郎が主人公の外伝作品『風雲カブキ伝』にもゲスト出演しており、
本編では想像もつかなかった意外と腹黒い社交的な一面を覗かせる。


+ 重大ネタバレ
「なぜ 私が 絹という名前か わかる?
 鬼が怒る と書いて 鬼怒(きぬ)!!
 それが 私の 本当の名前!!
 私の体に眠る 鬼の力…
 今まで 誰にも見せた事が 無かったけど…
 もう ゆるせない!!
 私を 怒らせた 自分の愚かさを
 呪いながら 死んでいきなさい!!!!」

旅の途中、絹は死んだはずの母親が根の一族に捕らえられているのを見て、
黙って1人でパーティーから抜け出し、敵の手中に落ちてしまう。
卍丸達は白銀城へ乗り込み、死闘の末に囚われのふたりを助け出そうとするが、突然、綾は卍丸達を氷漬けにしてしまう。
なんとその正体は、白銀城の城主にして大江山を攻め滅ぼした根の一族の将軍・吹雪御前だったのだ。
両親を殺し、さらに母の顔の生皮を剥いで化け、心を弄ぶという卑劣な行為に、絹は怒りを爆発させる。
純潔の鎖を引き千切り、鬼の力を解放した絹は、吹雪御前を圧倒的な力で一方的にいたぶり、惨殺する。
その恐ろしい姿は、まさに鬼そのものであった。

やがて、平静を取り戻した絹は生きる希望を何もかも失った挙句、醜い鬼の姿まで晒したことで絶望し、死を選ぶ。
7つの聖剣の最後の1本を卍丸たちに渡し、外へ瞬間移動させ、崩れ落ちる城に一人で残る絹。


「手間のかかるお嬢ちゃんだぜ。鬼でも人でもいいじゃねえかよ。
 しょうがねえ、ちょっくら行ってくっか!
 女ひとりのために命を捨てるとは俺にふさわしい死に方だぜ!ハッハッハ!!」

「カブキひとりにまかせるのは心配じゃ。わしも行ってくるわ。
 卍丸、おまえはここに残れ。聖剣はおまえにしか使えねえ。
 おまえはもう一人前だ!きっとひとりでやり遂げられる!!
 大丈夫、絹は、わしの命にかえても助けだすわい!」

命を顧みず、崩壊する城へ向かって駆け出す仲間達。
その場に一人残され、立ちつくす卍丸。
その時、聖剣「蛇光院松虫」が卍丸に語りかける。

「絹の魂を抱き止められるのはおまえだけだということが、まだわからぬのか?
 卍丸!! 絹を助けてくれ!! 火の勇者として生まれた、同じ女として頼む!!」

そして、卍丸が取った行動は……

この後の展開は、『天外魔境II』最高にしてRPG史上に残る名場面として絶大な人気を誇っている。
グロ注意

しかし、鬼怒覚醒シーンはあまりにも凄惨すぎるため、移植作品では表現が自主規制される問題の場面でもある。
吹雪御前役の山田栄子女史の身震いするような迫真の演技のせいもあって、当時トラウマになった人も少なくない。右は比較版。

パチスロでも鬼怒は顕在。

アイマスで再現

+ 関連用語・詳細解説
  • シロ
綾に拾われ絹と共に綾の乳で育てられた、絹にとっては兄弟のような存在で、両親の死後、絹の唯一の心の支えといえる。
火の一族である綾の乳を飲んで育ったためか、ただの犬とは明らかに違う戦闘力を持つ。
誰かさんと違って、そんじょそこらの根の一族なら本当に一撃で倒せるほど強い。
普通にゲームを進めていると、仲間になった時点で極楽より強かったりする。
なんなんだこの犬。
絹のマイナス特性にプレイヤーが慣れるまでの救済措置として設定されただけに、
オートで敵を攻撃したり、敵の攻撃対象になったり、倒されても戦闘終了後に全回復したりととても頼りになるが、
絹がパーティーにいなかったり、戦闘不能になったりするとまったく動かなくなる。

後にとある事情でパーティーからいなくなってしまうが、
その後も絹の予言どおり、二度に渡り、卍丸達を助けてくれる。
最後の最後まで仲間達の役に立った名犬。
作中の人物の言葉を借りると、「犬にしとくのは惜しい、根性のあるいい奴」。

ちなみに、シロが離脱するイベントのある国は本作で最も精神的にキツいエピソードのあるトラウマ地帯。
→参考
つくづくトラウマと縁の深い娘である。

絹の母親で、京の名家・池田家の末娘。
絹がそのまま大人になったようにそっくりな顔立ちをしている。
五人姉妹の中で唯一、主人のお気に入りであった予知能力を持つ巫女から生まれた腹違いの子であったため、
周囲からは疎んじられていた。
これを不憫に思った池田氏は周りからの薦めに従い金沢の田舎へ嫁入りさせようとしたのだが、
輿入れの途中で鬼族に襲撃され、囚われの身となってしまう……というのが表向きの話で、
実際は酒呑童子と恋仲にあった綾が、彼と一緒になるために自ら持ちかけた狂言誘拐であった。
火の一族の女性はやることが大胆なのである。
彼女が大江山にやってきてからは近隣の村と鬼族の関係がよくなり、
人々は感謝を込めて村の名前に綾の名前をとって改名した。
鬼達もそれを我が事のように喜んだという。

大江山に攻め込んできた吹雪御前の手によって殺害される。
表向きには酒呑童子と刺し違えて死んだ、と公表されており、
かわいそうな池田氏は後悔と自責と失意のあまり病床に伏せってしまった。

  • 酒呑童子
絹の父親で、大江山の鬼族の長。
桝田省治脚本だからといっても『俺の屍を超えてゆけ』とは無関係である。
絹によれば「すご~く怖そうな顔だけど、ホントはと~っても優しい」らしい。
人さらいなどの悪評については「言わぬが花」と決して真実を口外しなかった。
綾と共に吹雪御前の率いる軍勢に破れ、殺害された。

  • 鬼族
人間や火の一族より高い身体能力を持つ種族。
天外魔境ZIRIA』の悪路(あくろう)王、鬼道仙(ムテキオー)、マサカドもこの種族。
「鬼道」という独自の特殊な術を持つ。その多くは体力を消費するため、体力の低い女性である絹には扱いにくい。
多くは人から恐れられているが、人間とそう変わらず、基本的に人間に対して積極的に危害を加えるような邪悪なものではない。
綾と酒呑童子の結婚後は特に温和になり、村人に優れた鍛冶の技術を提供するなどして交流を深めていた。
だが、吹雪御前ら根の一族に攻め込まれ、壊滅寸前に追い込まれる。

  • 鬼怒
絹の本当の名前にして、酒呑童子直伝の鬼族究極奥義。
鬼気により触れることなく相手を八つ裂きにする強大な技だが、体力を大きく消耗する。
鬼族と火の一族の混血である絹は、実は火の勇者の中で最も高い戦闘能力を秘めている。
それを見抜いた敵から「どうしてお前たちの中で一番戦闘力のある者が戦わないのだ」とナメプだと思われる場面も。
実際、仲間四人の素手状態の攻撃力を比較した場合、なんと卍丸、カブキをも上回り、極楽に次ぐ2位。
もっとも、装備に恵まれないため、前衛としては活躍できないが。

ちなみに、絹・鬼怒の名前の由来は、温泉などで有名な鬼怒川。
鬼怒川は、かつては穏やかで白糸のような清流から絹(衣)川と呼ばれていたが、
たびたび氾濫して鬼が怒るかのような荒れ狂う激流になることから今の名になったらしい。
ただし、これは複数ある説の内の一つで、他にもいくつも説が存在する。
天外の絹・鬼怒に関しては上の説から取られている。

また、絹が「純潔の鎖」を切って吹雪御前の返り血を浴び、白い服が真っ赤に染まるシーンは、
破瓜のメタファーである。
変わり果てた自分の姿に怯える姿は、少女から女へと変わることへの不安をイメージしている。
そんな絹を優しく、力強く抱きとめ、支えてあげる卍丸もまた同様に大人の男として成長したということである。

  • 吹雪御前
安芸の国を支配する根の一族の将軍。
千年前の火と根の戦いで鬼族が根の国から盗み出した、ある物を奪い返すため、
タイクーンの遣わした鬼討伐隊の指揮官を装って大江山に攻め入り、鬼族を虐殺した。
その際、殺した鬼族の肉を食らったり、殺した人間の顔の皮を剥いでその者に化け、
騙し討ちすることを得意とするなど、狡猾で残忍な女。
実は、卍丸の父親を氷漬けにして殺した張本人でもある。
鬼怒の力の前に完全に戦意を喪失し、自分が氷漬けにした卍丸に必死で命乞いをするが、
それを許さない絹の手であえなく殺される。
なお、エンディングでは他の生き返って欲しい者達と一緒に何故か生き返っている。
多分「絹が鬼怒になって惨殺した」ことに罪悪感を感じたからではないか、というのが有力。
本性を知り惨殺された事実を知ったまま生きるんじゃ、どっちが苦痛か分からんが

IIの序章として描かれた小説『天外魔境I・II架話 髑髏譚 -SKULL TALE』ではなんとヒロインとして登場。
その出自、邪神斎の息子の幻王丸とのロマンス、卍丸の父親への愛憎、そして大江山での虐殺など、物語の重大な役割を担っている。

名前の元ネタは伊吹童子(酒呑童子の幼名)+ 鈴鹿御前 と思われる。

+ 裏話
絹のCVはプロの声優ではなく、『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』などのジブリアニメでお馴染みの歌手、井上あずみ女史である。
これは当初ナウシカなどを演じた島本須美女史にする案もあったが、
島本女史が過去に演じたキャラのイメージに頼ることになってしまうことを忌避したのと、
プロの声優特有の「存在感」の無い声を脚本の桝田省治氏が求めていて、『ナウシカ』と『トトロ』の歌を聴いて「こういう声がいい」と注文したため。

……なのだが。

当の桝田はその時のことを全く憶えておらず、後日できあがったデモテープを聴いて、

桝田「ありえん(笑) ちょっとsYレにならんしょコレは…
広井「おまえが決めたんだろうが!」

※半分脚色です

実は井上女史は歌う時と普段とでは発声方法が違っており、歌う時だけに出るあの透明感のある優しい声とは違った、
とても健康そうな、どちらかというと頼りがいのある、つまり絹のイメージとは対照的な声だったのだ。
でも、憶えてなくったって自分が選んで決まっちゃったんだからしょうがない。

しかし、そこで終わらないのが桝田省治という人であった。

「演技ができないのなら役と同じ状態に追い込めばいいじゃない(意訳)」

それから、井上女史の録音は午前中で終わる予定が、監督の桝田氏が一つもOKを出さないために午後2時になっても終わらず、
他の声優がどんどんやって来て、ついには吹雪御前役の山田栄子女史が逆に鬼怒状態になるという惨状で、
結局その日の最後に録音するということになってしまった。
その後6時間ほど、井上氏は部屋の隅で録音を終えて帰っていく声優達を見ながら、ずっと1人で食事もせずに練習していたという。

そう、絹のあの今にも消え入りそうなか細い声は演技ではなく、本当にそういう声しか出せない精神状態だったのだ。
もちろん、鬼怒のシーンは同様に、井上女史のプライドを傷付けるような酷いことを言って怒らせてから録っている。
桝田氏自身が「きっと井上あずみさんは僕を嫌いだと思う」と語っているほど。

なんとも酷い話だが、桝田氏の創作に対して一切妥協しない姿勢が、
『天外魔境II』を屈指の名作と評価されるゲームにまで仕上げたのは間違いないだろう。
創作に妥協しない人が自分で声優を選んだことを忘れちゃダメだろ

とりあえずエンディングの絹の晴れやかに笑う声を聴くに、
その後ちゃんと桝田監督から何らかのアフターケアはあったようなのでご安心を。
その後の関連作品でも絹役として出演しつづけているので、嫌な思い出しかなかったというわけではないであろう。

ちなみに井上女史は『天外魔境 風雲カブキ伝』に登場する妖精ピエロの声も担当した。
ここで初めて歌手としての仕事をしている。

なお、桝田氏が製作に関わっていない『風雲カブキ伝』では、ヒロイン(CV:牧瀬里穂)の演技が大変なことになっているのだが、それはまた別のお話。


『天外魔境 真伝』での性能での性能

『真伝』では原作通り両手を縛っていて素手なので、通常攻撃のリーチが短く、攻撃力も低い。
武器投げ攻撃がオーラを放つものになっており、連発が可能。
術が主体のキャラクターでゲージの溜まりが早く、相手の術を一定時間封じる「母忘」、
攻撃力を半減させる「月読」、移動速度を低下させる「泥虫」など補助的な術を多数持っており、
相手や状況に応じた戦いが出来る。
特に、「式神」にはバグを利用したテクニックがあり、最弱クラスの絹には必須の技である。
シロの「ローリングアタック」は当てにくいものの、絹には貴重なフルヒット高火力技。
隙をついて何とか決めていきたい所。
オプションであるシロには専用のライフが設定されており、攻撃を数回受けると倒されてしまい、
そのラウンドでは動かせなくなってしまうが、
次のラウンドでは開始時に絹がちゃんとシロを「富士」の術で回復させる。それを戦闘中に使えよ
シロが倒された状態でのみ、「鬼怒」を思わせるコンビネーション技が使用できるようになる。
ただし、別にシロが死んだわけではないためか「鬼怒」のような圧倒的な威力はない。

+ 勝利メッセージ
卍丸
どんなに 小さな油断でも
命を落とす結果に 変わりはないの

極楽
極楽さん、お千代さんが悲しむ事は
どうか、なさらないで下さいね

綱手
力だけでは、戦いに勝てないわ
信じあえる仲間と知力よね、シロ

大蛇丸
華麗 優雅 優美 そして、優しさ
そんなの戦いに、役立たないわ!

八雲
美しい舞いだったわね、シロ
機会があったらまた見たいわ

自来也
ありがとう、やっぱり最後に
信じられるのは シロだけね!

カブキ
カブキさんは、あいかわらず
派手さだけは、日本一ですわ!

対絹
キツネさん、今度イタズラしたら
ゆるしませんからね! ねぇ シロ

マントー
マントーさんも、相変わらず
お元気そうで何よりでした……

対カラクリ兵
どんなに強力な相手でも
シロは、あたしを守ってくれる!

邪神斎
邪悪な心!悪魔の誘い!
そんなものに 私は負けないわ!

対ルシフェラー
たとえ、魔王が出て来たって、
私たちは負けないわ、ねっ シロ!

+ その他の作品
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』
『サターンボンバーマン』


MUGENにおける絹


R-R氏製作のアレンジ仕様が存在していた。現在はサイト閉鎖により入手不可。
シロだけでなく、何故か天狗もオプションとしてついている。
ほぼ完成形だが、KOボイスAIが入っていない。
入手困難かつAIが未搭載なこともあり、現在動画で見かけることはほぼ無い。

また、2012年には飄雪蒼狼氏(Snowwolf氏)から新たな絹が公開された。
「kinu_EX」とあるように、原作崩壊の魔改造仕様となっている。


「卍丸!! 私 あなたに出会えたおかげで
 今まで 生きて来られたの!
 そして これからも 生きて行けるわ!
 『運命なんて クソッ食らえ』よ!
 ね? そうでしょ? 卍丸!」



出場大会



最終更新:2023年02月05日 11:44