劉雲飛



「──蛟龍得雲雨、終非池中物也。
 我、今こそ闘うべき刻よ。」*1


           生年月日 : 開元二十八(740)年 十月三日
           出身地 : 長安
           身長 : 五尺八寸(約176cm)
           体重 : 十五貫目(約56kg)
           血ノ型 : A
           武器銘 : 天閃燕巧
           流派 : 天仙遁甲
+
好きなもの : 武侠の精神
嫌いなもの : 闇キ皇に憑かれた弱き己の心
コンプレックス : 償いきれぬ罪を犯してしまったこと
尊敬する人 : 千年前、我を失った自分を封じてくれた弟子たち
剣の道について : 贖罪が叶うときまで磨き続けるもの
特技 : 風を操れること
平和を感じるとき : 髭の手入れをしているとき
好みのタイプ : 千年前に死去した妻

サムライスピリッツ』のキャラクター。『零』にて初登場。名前は中国語読みで「りゅう ゆんふぇい」と読む。
キャラクターデザインは徳川慶寅兇國日輪守我旺と同じく和月伸宏氏が担当。
青竜刀(正確に言えば柳葉刀)と風を操る仙術を使いこなす、武侠の精神を重んじる老人。
名前は『三国志』の蜀の英雄、劉備玄徳・関羽雲長張飛翼徳から一文字ずつ取られている。
担当声優は 滝知史 氏(『零』~『零SP』)、『剣サム』では同作の十兵衛幻十郎ナレーションを務めている 大川透 氏。
名前は似てるが劉飛鈴と血の繋がりは無い。


設定

サムスピの時代から千年前の中国・唐帝国の時代を生きた人物。
多くの優れた弟子を持つ名の通った武人であったが、世を憂い誤った力を欲した心の隙を、
人間界に姿を現した絶大な力を持つ魔・闇キ皇( くらきすめらぎ )に取り憑かれ、
魔人と化した雲飛は妻を含む多くの人々を殺戮。中国全土を恐怖のどん底に陥れる
この災いは八人の弟子達が十日十晩戦い続け、疲弊した雲飛を巨大な岩の中に封印した事で一旦の終止符が打たれたものの、
闇キ皇の本体は既に彼の中には無く、雲飛は自らが犯した罪の償いと戒めとして、魂と肉体を岩の中に眠らせる。

それから千年が過ぎ、再び闇キ皇の気配が東方に現れる。
これを察知した雲飛は眠りから覚め、己の罪を贖うために倭国──日本へと旅立った。

+ 以下、ストーリーネタバレ注意
闇キ皇が新しい憑代として選んだ兇國日輪守我旺を破った雲飛は、
肉体を失い暴走した闇キ皇を自らの中に取り込み、命をかけて動きを封じる。
今が闇キ皇を滅ぼす最後の機会と見た雲飛は我旺を立ち上がらせ、自らの身と共に闇キ皇を討たせる。
ようやく心の平静を得た雲飛は、妻の魂に守られながら天に召されていった。
シリーズとしては珍しく各キャラのストーリーがパラレルでなく繋がっている『零サム』における裏主人公と言っても良いだろう。


『剣サム』のエンディングでは、現世と魔界を結ぶ門を封印するべく自らの魂を捧げ、
妻の魂と共に永遠に目覚める事無く、悠久の刻を彷徨い続ける事になった。
王虎のエンディングでは新王朝を以て中国統一を目指す王虎の要請を受け、
軍師として余生を費やす事になったという。

また、千年前に彼を封印した8人の弟子の内の2人が闇キ皇の力に魅入られて魔界に足を踏み入れ、
後に水邪炎邪となった事が明かされた。
このため雲飛のストーリーモードの中ボスはこの2人になっている。
「尊敬する人」に挙げている弟子の内にこのようなネタキャラ者が出たとは皮肉なものよのう…。

旧SNK時代の『サムスピ』シリーズと『零』を結ぶ、ストーリー上重要な役割を果たしているキャラクター。
アジア市場のニーズを考えて作られたキャラでもあるらしい。
開発段階でコンセプトが二転三転し、最初はジョン・フーンメイ・リーのように、
二種類の構えを切り替えて特殊な連携・派生技を繰り出すキャラになる予定だったが、
作業時間が足りなくなり、急遽キャラの方針そのものが大幅に変更される事態になったとの事。
彼だけ近距離・遠距離通常技が全く同じなのはこういった都合があったらしい。
こうして出来上がった雲飛は、『サムスピ』の中ではかなり規格外な特徴を持つ高性能おじいちゃんとなった。

ちなみに技名は『水滸伝』の一〇八の魔星中、天罡三十六星から取られており、
勝利デモでのセリフにも『三国志』や『論語』から引用された漢文が随所に使われている。
なお、『零』時代はキャラに合った渋いボイスだったのだが、『剣サム』での声変わりでほぼジョセフになったと評判である。
起用した声優は大物なのだが…。


性能

飛ぶ
今でこそ格ゲー界では特に珍しくもないが、地上での差し合いが主体である『サムスピ』ではかなりの特殊能力である。
雲飛と同じくして投入された水邪(厳密に言えば羅刹蒼月だが)も空中戦が主力のキャラではあるが、
水邪が「空中に浮く」のに対し、雲飛は「滑空する」ような飛び方をする。
空中投げも持っているため、空中戦性能は非常に高い。
また怒りゲージが全キャラ中最も溜まりにくく、その代わりに怒り状態の持続時間は群を抜いて最長。
瞑想による無のゲージ変換効率が最も高く設定されている。

雲飛を使う上で最も重要な技が移動技「天機七曜」。
「月」・「火」・「水」・「木」・「金」・「土」・「日」の7種類があり、「日」のみ真下に急降下して踏み付ける攻撃技。
「月」・「火」は地上入力技、その他は空中でのみ出せるようになっており、それぞれ異なる軌道を描く。
天機七曜から天機七曜に派生する事で自在に空中を飛び回れるが、
『零』では4回まで、『零SP』と『剣サム』では3回までという派生制限が設定されている。
ただしこの制限は「日」をヒットさせるとリセットされ、再び飛行が可能になる。
これに空中から突進する「天猛金翅」と、小さな竜巻の足場を作って小ジャンプする「天牢旋氣」などを交え、
縦横無尽に相手を翻弄しながら表裏下段投げのを迫ってダメージを奪うのが基本。
地上では前方に小さな竜巻を起こす射程の短い飛び道具「天威太保」、
ノーダメージ(『剣サム』では微ダメージ)だが相手の怒りゲージをゼロに戻す事が出来るコマンド投げ「天哭封羅」、
天哭封羅を当てる事で一度だけ出せる天威太保の強化版「天殺太歳」を持つ。
武器飛ばし技(超必殺技)は、自分の周囲に巨大な竜巻を起こす「天魁雲裏」。
主に先読み対空に使えるが、そもそも雲飛は怒りを全て境地ゲージに換えるのがセオリーなので滅多に使わない。

初登場の『零サム』では「天機七曜」と三角跳び、強力なジャンプ強斬りなどを使った逃げ戦法がやたらと強く
調整不足が見て取れる性能で最強クラス。
一旦逃げに回れば最強キャラのナデシコッすらも手玉に取れる。ついでに背後からの永久も存在した。
飛行の軌道が特殊なため、覚えるまではわからん殺しが相次ぐ初心者キラーでもある。
『零SP』では天機七曜の派生回数の減少、三角跳びの削除、ジャンプ強斬りの調整など、ほぼ全面的に弱体化。
しかし逃げの能力こそ大きく落ちたものの、多彩な選択肢やの能力など攻撃面はまだ十分強く、
同じく空中戦を得意とする水邪と共に上位に収まっている。
絶命奥義は相手の背後に回り、魂を抜き取って両断する「天罪喪門」(『剣サム』では秘奥義)。比較的グロくない。
『剣サム』では武器飛ばし技や武器破壊技がヒットする機会が多くなった事を考慮してか、
ほぼ全ての必殺技が素手状態でも使用出来るようになっている。
スピリッツは攻撃力とゲージ効率の低さを同時に補える天スピ、無の境地の爆発力に賭ける零スピ、
見切りと完全ガードで守りを強化出来る剣スピ、空中ガードで空中戦を磐石にする斬スピなどが好相性。
相手に合わせて使い分けられるようになればなお良い。
+ 参考動画
『零SP』の逃げ雲飛VSナデシコッ!(2:08~)


MUGENにおける劉雲飛

半蔵閑丸いろはなどを手掛けたPinko氏による雲飛が存在。
2019年12月のYahoo!ブログ終了以降は、hamer氏によって代理公開されている。
『天下一剣客伝』をベースに『零SP』の要素も加えたアレンジ仕様で、スピリッツセレクトは搭載されておらず、
前転・後転、飛び込み、避け、伏せ、下段避け、超斬り、ぬいぐるみ、連斬、秘奥義、怒り爆発、無の境地、一閃…
と、全スピリッツのシステムが一通り使える「武」スピリッツを持っている。
さらにファンには嬉しい絶命奥義を搭載。この絶命奥義ならお子さんにも安心して…は見せられないだろう。
素手状態や敗北時の武器飛びをしっかり再現している芸の細かさも見所。
これ以外にも基本システムや必殺技が非常に多彩なため、プレイヤー操作で使いこなすのは至難の業である。

また、オプションで斬撃ヒット時に舞う血飛沫の有無や、ゲージの表示位置も調整出来るようになっている。
ただし、『剣サム』ベースな分かなり攻撃力が抑えられているため、
『零』~『零SP』時代のサムスピ火力を味わいたいなら多少ATKを上げてやると良いだろう。
とはいえ原作よりも若干技が繋がりやすくなっているので、総合的な火力はそこまで低い訳ではない。
デフォルトでAIが搭載されている他、J・J氏、ホルン氏の外部AIも公開されている。






 「――広施方略、以観其変。

  兵法の心得なき者に天理は知れぬ」*2

出場大会

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*1
「蛟龍雲雨を得て、池中の物に終わらざるなり」と読む。
訳すと「蛟や竜が雲雨を得て天に昇るように、いつまでも池中に留まってはいないだろう」。
「雌伏する英雄や豪傑が時運を得て、たちまち実力を発揮する」という意味である。
出典は『三国志』の『呉書』から『周瑜伝』より。

*2
「広く方略を施し以つて其の変を観る」と読む。
訳すと「あらゆる問題について準備万端とした上で、敵方の出方をよく注意すべきである」。
出典は『三国志』卷五十八、呉書十三、『陸遜伝』第十三より。


最終更新:2023年09月11日 19:22