根性値

概要

ライフが減少するにつれて、受けるダメージ量が変化するシステム。「根性補正」とも。
格ゲーにおける歴史は意外に古く、ストII無印の時点ですでに実装されていたりする。
(ただし発動が残り体力が2割程度からなので単発火力の高いストIIでは発動前に倒されたり、発動しても耐えられないこともある。)
一般的には「キャラクターのライフの減少に比例して、防御力が上がる」事が多い。
キャラごとに補正が違う場合もあり、御津闇慈のような「防御力は低いが最高の根性値を持つ」といったキャラも。

また、琥珀メカヒスイなど「ライフが減ると防御力が下がる」キャラも一部存在する。
これは文字通り「マイナスの根性値」と言う意味で、「逆根性値」と呼ぶ場合がある。
その一方、サムライスピリッツジョジョの奇妙な冒険、初期のKOFでは「ライフが減ると自身の攻撃力が上がる」共通の補正が存在し、
これも時たま「逆根性値」と呼ばれることがあり、ややこしい。
この場合はどちらかと言うと、「逆境補正」と呼んだ方がしっくりくるだろう。


MUGENでの根性値

格闘ゲームにおいては結構重要なシステムなのだが……
MUGENには、防御力を増減する命令(DefenceMulSet)は食らい状態中にしか適応されないというバグがある。
要するに相手のコンボ1ヒット目は食らい状態ではないため、根性値が適用されないという厄介な話なのだ。
また、DefenceMulSetとは別枠のMUGENシステム上のダメージ補正を上書き・無効化してしまう(※後述)という問題もある。
このため、原作で根性値がある作品のキャラでも一部には実装されていなかったりする。

厳密にはダメージを受ける直前に「MoveType=H」である事が条件なので、ヒット→相手をロックして演出→ダメージというプロセスを踏む技(投げ技など)に対しては1ヒット目でも問題無く機能する。

初撃に対応する方法も、無いわけではない。
+ LifeAddを使った初撃対応例1
例えば「LifeAddで補正分を回復させる」といった手法が古くから確認されている。
(例:被ダメを40%にする「DefenceMulSet=0.4」の想定なら、100のダメージを受けたらLifeAddで60回復)
ただし、被ダメを取得するGetHitVar(damage)には 残Life以上のダメージ値を検知できない という致命的な欠陥がある。
結果、どうなるかというと、「 コンボもしくは多段ヒット技を当てない限り、ライフがギリギリ(1or2。計算式による)になるまで絶対に死ななくなる
決して不死身になるわけではないので、最終的には倒せるが、対戦カードによっては大変見苦しい事になる。
(例えば先の例に挙げた被ダメ40%のキャラが残Life40のところにダメージ100の単発飛び道具を当てたとして。
本来なら補正込み40ダメージのこの1発でダウンする所、さらに6発(小数点切捨ての場合)も当てなくてはならなくなる。
ちなみに、この条件で小数点切り上げなら単発100ダメージを何千発当てても倒せない。)
+ LifeAddを使った初撃対応例2
DefenceMulSetやGethitvar(Damage)の他には、「Lifeを変数で監視し、変数とLifeの差を取得する」という方法もある。
投げだろうとコンボ初撃だろうと被ダメを取得できるが、変数が被ダメで更新されるまでに1フレームの誤差が発生する。
よって回復方向で適用しようとすると、 「根性値無しで被弾するとやられてしまう」ような状況には適用できない
この為、Lifeを監視して被ダメを取得する場合は必然的に「Defenceを高く設定し、LifeAddで差分調整」という手法になる。
例えば「Life半分以下でダメージ50%カット」想定の場合、[Data]のDefenceを2倍に増やしておき、
「Life半分超過で被弾した時は、受けたダメージと同じ値をマイナス反転してLifeAdd指定」という形になる。
バトルメイジ(アラド戦記)のオーラシールドや水チェイサーは、この方法で再現されている。
また、相手が敵Defenceを参照するスイッチを持っている場合、誤動作させてしまう危険がある点にも注意。
ついでに割合ダメージなどを食らった際にとてつもないダメージを食らうことがあるので、その手のキャラ相手の場合は要注意。
例えば補正無視で5割のダメージを与える攻撃を食らった場合、内部処理で2倍で食らうため即死する。
Defenceを10倍にして、LifeAddで約10倍のダメージで処理などという場合は相手の小パン一発で死にかねない。
+ LifeAddを使った初撃対応例3
ではどうするのが最適解に近いかとなると、
「Defenceを最大補正込みの高い値に設定し、初撃はLifeAddで差分調整」
「2発目以降はDefenceMulSet」の合わせ技であろうか。
界隈での有名どころでは、アオバ辺りがこの方式で初撃根性値を実装している。
なお、TargetLifeAddは相手のステートを奪ってから使う事が多い為、これによるダメージを想定している記述は[statedef -2]の領域に置く必要がある。
[statedef -2]以外の領域だと、ステートを奪われている間は機能しないので、 投げ技想定の記述を組み上げても正常に動作しない。
記述を組み上げたら、それを置く領域もちゃんと確認しておこう。こんな初歩的なポカをやらかすのは筆者だけであってほしいが

また、fall.defence_upで設定されたダウン補正やmugen.cfgで規定された超必補正(superpauseを行うと相手側の防御力が一時的に上昇する)はdefenceMulSetを使用すると上書き・無効化されてしまう。
そのため、根性値を実装しているキャラが超必殺技をくらうと通常のキャラよりダメージが増えてしまうことがある。
しかも追撃可能な超必殺技の場合、追撃部分にもこの補正がかかってしまう。
さらにこれらの補正は 何度でも上乗せされる ため、超必から超必に繋げて、さらに超必で〆るようなコンボになると、ダメージの差が物凄い事になってしまう。
これらのMUGENシステム上のダメージ補正値を検知するトリガーが存在しない事も、問題の解決を難しくしている。
一応、コンボ中のsuperpause回数を検知してdefenceMulSetに反映する、という手もあるのだが、
superpauseのp2defmulパラメータがmugen.cfgの補正より優先されるため、必ずしもsuperpause補正が想定した値であるとは限らない。

superpauseのp2defmulパラメータを1にしておけば、根性値持ちのキャラに想定外の大ダメージが出るのは防げるが、
元々p2defmulが指定されていないキャラクターにこの記述を追加するとダメージが跳ね上がる(defencemulsetによる補正がない場合1.5倍になる)ので、
自分で追加するときは超必殺技用のステートにあるhitdefやtargetlifeaddの値も書き換える必要がある。


防御力を変動させる代わりに、「相手の体力が減れば減るほど自分の攻撃力が下がる」といった形で
根性値を再現していることがたびたびある。この再現方法も「逆根性値」と呼ばれ、更にややこしい事態に。
DefenceMulSetが上記のバグや仕様により扱い辛いためであろうか、
下手したら根性値よりもこっちの「逆根性値」を搭載したキャラの方が多いかもしれない。
また、両方の再現方法を搭載してスイッチで選択できるようにしているキャラも居る。

なお、MUGEN版「逆根性値」を持ったキャラが最初から「根性値」を持っているキャラと戦うと、
相手と自分で二重(二倍ではない)に根性値が適応され悲惨な事となる。
さらに自動回復まで持っているようなキャラと戦うと、「何発殴っても倒れねえ!むしろ減らねえ! 」
みたいな切ない状況になったりもするので注意が必要。
製作者によっては、根性値の設定されたキャラクターをname指定やauthornameなどで対処して、
上記のような弊害を防いでいることもある。
とはいえ、もはや数え切れないほどのMUGENキャラが存在する昨今。コンプゲーや大会など、対戦相手を限定できる状況でもなければ有効な手段とは言えない。

※参考データ(原作)

CAPCOM VS. SNK2』の最小ダメージ倍率:75%
GUILTY GEAR XX』の最小ダメージ倍率:35.7%~39.9%
THE KING OF FIGHTERS XI』の最小ダメージ倍率:50%
Eternal Fighter Zero』の最小ダメージ倍率:50%
MELTY BLOOD Act Cadenza』の最小ダメージ倍率:67.8%~94.8%
東方緋想天』の最小ダメージ倍率:70%
東方萃夢想』の最小ダメージ倍率:75%


関連項目:安い  補正


最終更新:2017年07月27日 13:54