『バトルクロード』(Battle K-Road)は彩京が1994年に発売した対戦格闘ゲーム。
空手、ムエタイ、ボクシング、コマンドサンボ…。
各武術の達人達が繰り広げる夢の異種格闘技トーナメント、勃発!!
そして最後に待ち受ける格闘王としての試練。
地上最強を目指し、いま闘いのゴングが鳴る!!
ある一人の財界者の手によって創設された、究極の異種格闘技トーナメント”K-ROAD”。
そこでは、人間が素手で行えるすべての技が許可され、
莫大な優勝賞金とその名誉をめぐり、命を賭した真剣勝負が繰り広げられるという。
2年に一度開催されるこの大会に今年も世界中から自負する格闘家達が結集した!!
概要
格ゲーブーム全盛期に、シューティングゲームメーカーとして有名な
彩京がリリースした初の対戦格闘ゲーム
(ちなみに、同社のデビュー作であるSTG『戦国エース』の次に出してきたのが本作である)。
キャラクターイメージイラストは『
バーチャファイター』も担当した寺田克也氏。
*1
当時巷に溢れていた『
ストII』の亜種とは違い、リアルな技やダウン制などリアルさを重視した作りになっており、
必殺技も
飛び道具など派手なものは無く、
コマンドも全キャラ共通の簡略化されたものになっている。
しかしその独特のシステムや操作が万人受けしたとは言い難く、あまり注目されず消えて行ったタイトルの一つである。
「K-ROAD」のネーミングから分かる通り実在の立ち技格闘技イベント「K-1」がモチーフになっているが、
K-1の第1回大会(1993年4月)とバトルクロードの発売時期(1994年1月)から考えると、
世間一般にK-1ブームが起きる前に本作が企画・制作されたのは疑いようがなく、
また登場キャラクターのモデルのチョイスも、
佐竹雅昭や千代の富士、貴ノ花(当時)など一目瞭然の人物から、
アンディ・フグ(当時はまだそれほど有名ではなかった)やヴォルク・ハン、ディック・フライなど格闘技ファンがニヤリとする人物までおり、
彩京の製作スタッフにかなりの格闘技マニアがいた事は間違いないと思われる。
格ゲータイトルの中でも特徴の多い本作であるが、その中で最も特徴的な物はチャンピオン防衛戦という扱いで
CPU戦に2周目が存在する事だろう。
格闘ゲームで
2周目が存在するのはかなり特殊で狭義では本作以外には無く
(範囲を拡大するとプロレスゲーム時代の『
マッスルボマー』が該当するが)、シューティングを多数制作している彩京らしい作りと言える。
2周目と言っても戦うのは4戦だけだが、CPUの攻撃力と防御力が1周目から恐ろしく跳ね上がっており、
こちらの
1コンボで1割減るかどうかなのにCPUは
一撃で8~9割を持って行くのがざらで、
一発即死も珍しくない。
またその他の特徴的な仕様(後述)が全てCPU戦を難しくしており、2周クリアは格ゲーの中でも屈指の難易度を誇る。
キャラクター
キャラクターは14人+1匹。同キャラ対戦は出来ない。
「空手・サイボーグ・ボクシング・ムエタイ・相撲・コマンドサンボ・柔術」の7つの格闘スタイルからそれぞれ2人ずつ。
ただし、同じ
格闘スタイルのキャラは使用する技が一部例外を除いて全て同じであり、性能の差は殆ど無い。
また格闘スタイルによって頭部、腹部、脚部の防御力の差や気絶のしやすさ等の特性がある。
CPU戦の流れは、まず同門キャラクターと戦い「K-ROAD」の出場権を獲得、
その後本戦トーナメントで各格闘スタイル使いと戦い(一人のみ、順不同)、優勝すると乱入してきたクマちゃんと戦う。
クマちゃんを倒すとEDとなり、この時点でノーコンティニューの場合はその後「RETURN MATCH」の表示と共に2周目が始まる
(1回でもコンティニューをしていた場合は2周目には行かず、ED後に強制ゲームオーバー)。
2周目は対戦相手の順番が固定で「ボクサー→相撲→空手→クマ様」となり、自キャラが左の3キャラの時のみ同門キャラに変わる。
また、キャラクターによって出現する相手がある程度固定される。
ちなみに2周目をクリアしてもスタッフロールや一枚絵など特別なものは何も無い
(1周目開始→クリア→エンディング→2周目突入→クリア→「終」の文字だけが出ておしまい…という流れになる)。
システム
基本操作は8方向レバー+6ボタン(弱中強P・K)。
通常技はレバーを前に入れて出すと変化する。
屈む事は可能で一部の技をスカす事が出来るが、レバーを真下に入れなければ屈まないためガードが出来ない。
「↓↘→」でステップイン。ダッシュ動作は技、ジャンプや防御などの操作で
キャンセル可能。バックステップは無し。
投げはレバー前or後+中or強Pで掴み、その後各種操作で投げ動作に移る。掴まれた後はレバガチャ、ボタン連打で振りほどける。
また必殺技コマンドが全キャラ共通で
「強P(K)を押しっぱなしにして、『→』や『↓』などレバー入力と同時に離す」というもので、
このため必殺技が咄嗟に出せず、溜めを作る必要があるので強P・Kと必殺技が同時に使えない。
ちなみに必殺技の数も全キャラ同じ(10個)である。
なお、キャンセルは存在するものの一般的な概念のキャンセルではなく、
「ある通常技がある必殺技でキャンセルできても、違う必殺技ではキャンセルできない」
といった具合に、一部の技が特定の技でのみキャンセルできるという仕様になっている。
また
気絶も存在し、頭部への攻撃が最も気絶させやすく、脚部への攻撃が気絶させにくい。
全キャラで最も気絶しやすいサイボーグだと頭部への重い攻撃で一発、弱い攻撃でも数発で気絶する。
投げ、必殺技を含む全ての攻撃に対し耐性がつき、同じ技でも1発で与えられるダメージが徐々に減っていくようになっている。
よって効率よくダメージを奪うには攻撃パターンを散らし、全ての技をまんべんなく使っていく必要がある。
全ての技が上段攻撃と下段攻撃に分かれており、それぞれ上段・下段ガードと対応している。
たとえガード方向を間違えても、どちらかのガードをしていればダメージを50%軽減できる。
ただし、上段攻撃と言ってもいわゆる
中段の事で下段ガード出来ず(屈まないため上段攻撃をスカせない)、
また下段技が立ち状態からいきなり出せるためガードの見極めが非常に困難であり、
いくらダメージが軽減されるとは言え、接近戦では常に上下段
ニ択(投げを入れると三択)を迫られる事になる。
この辺りは3D格闘ゲームとよく似たシステムである。
一定以上のダメージを食らうとダウンし、仕切り直しとなる。ダウンによるデメリットは特に無し。
上記のダメージ耐性のため、一撃でダウンを奪えた技でも試合が進むと当ててもダウンしなかったりする。
確実に一撃でダウンを奪える技は投げのみである。
前述の通りCPU戦に2周目が存在し、2周目はCPUの攻撃力と防御力が異常に跳ね上がる。
一撃で8割持って行く恐るべき攻撃力で上下ニ択攻撃されるためダメージ50%軽減は何の意味も成さず、
驚異的な防御力+ダメージ耐性の前ではダメージが全く与えられない。
基本的に連続技が無く、単発ヒットでダメージを奪い合うこのゲームでこの攻撃・防御力の差は如何ともし難く、
更にCPUはこちらの上下段攻撃を的確にガードするため、まともに戦うと勝ち目は無い。
MUGENにおけるバトルクロード
原作再現のキャラは恐らく存在しない。
まあダウンする度に仕切り直しになったり、ボタン溜めで必殺技という仕様は再現しても面白いものではないだろう。
変わった所では
きらきらのアルカナとして
何故かボスのクマが登場。……「様」繋がりだろうか?
プレイヤーキャラではないが殆どの技が再現されており、プレイヤーキャラと同じように操作できる。
他にも3㌶氏の
リムルルのお供になっていたりと、外部出演ばかり。
とか言っていたら、The_None氏の手によりクマが作られた。後日、同氏によってウルフ教官も公開。
そして、2010年10月、ですからー氏によってアンソニー・ホークとT-8Pが公開された。
その後、11月~2011年1月にかけて他のキャラも続々と公開。
『
マッスルボマー』に続きバトルクロードも
一人でコンプリートしてしまった。
ですからー氏……一体何者なんだ……。
ただし、
見た目だけと言っているだけあり、何故か一部キャラは
こんな事になっているが。
全員3ボタン(一部は特殊攻撃ボタンも)の仕様となっており、
やたら
判定の強い技と、尋常ではなく繋がる空中コンボによりガン攻めができるキャラクター達である。
原作で
コンパチだったキャラも個性が与えられ、もはや新しい格ゲーが一つ出来たような印象。
全キャラに11段階調整可能なAIが標準搭載されており、各大会で活躍している。
*1
このイメージイラストは業者向けフライヤーの裏面、帯インストで見ることが可能。
ただし実際のグラフィックと見比べれば分かるが、見た目は大きく異なっている。
*2
しかも
勝利セリフがホモ臭いどころか、エンディングで
自分がホモである事をカミングアウトしている。
最終更新:2023年03月05日 01:35