ぶっぱ

「ぶっぱなし」の略。
格闘ゲームにおいて、相手の隙を確認したりコンボに組み込んだりすることなく、必殺技(特に超必殺技)を単発で出すこと。
狭義では何の脈絡も必然性も無いような状況で(主に中遠距離の間合で)唐突に必殺技や超必殺技を出すことを指し、
多くの場合「適当に出す」「あてずっぽう」「やぶれかぶれ」のようなやや否定的なニュアンスを含ませて使われる。

相手が出した牽制技の出掛かりや硬直中に運良く噛み合う、前歩きやダッシュやジャンプなどで間合を詰めようとした瞬間に当たる、
何らかの技を出そうとしてコマンドを入力していたときに当たる…といった、相手の意表を突くことを期待した行動なので、
発生が早く判定が強いor無敵がある技や、リーチが長い技or移動距離が長い突進技などがぶっぱに向いている。
上手く当たればカウンターヒットからコンボに行けたり、コンボ補正が掛からないために一発で大ダメージを負わせたりとリターンは大きい。
……が、そうしたぶっぱ向けの技は往々にして直撃しなければ反撃確定だったり、
攻撃判定が出る前に潰されやすかったりすることがほとんどなので、往々にしてリスキーな行動である。
逆に低リスクでぶっぱなせるような技は、大抵リターンも低いか、そうでなければ「壊れ技」と言われるような技である。

類義語に「暴れ」があり、主に近距離の間合において発生の早い投げや小技、無敵技などで切り返しを狙うことを指すが、ぶっぱとは区別される。
中でも小技(特に小足)を連打することは「擦り」と呼ばれる。
起き上がりやダウン回避後最速で無敵技などを出すことは「リバーサル」と呼ばれるが、こちらはぶっぱの一種とみなされることもある。

ぶっぱと一口に言っても、本当に適当に出していたりヤケクソで出していることもあれば、他の技を出すはずが間違えて出ることもある。
また、相手の行動を先読みして技を合わせたり、相手の動きを見てから迎撃したり、隙に反撃を差し込んだり、
ガードされても反撃を受けにくい先端当てを狙って出す場合などは当然狭義での「ぶっぱ」ではない。
……のだが、その意図は出した当人か、駆け引きをよく理解している人にしか分からない。
「当たれば先読み、外せばぶっぱ」という格言(?)の通り、ぶっぱに明確な定義や基準などがある訳ではない。

確定状況で出すわけ訳ではない上に多くの場合リスキーな賭けになるので、
初心者的な行動、あるいは読み合いの拒否として嫌われがちだが、ぶっぱに対処できないうちはぶっぱを批判できない。
また、ある程度状況を把握した上で適度に技をぶっぱなすことで「いつ技が飛んでくるか分からない」と相手に警戒させ、
結果として牽制技を振りにくくしたりリズムを崩すといった効果もある(特に理詰めで立ち回りを組み立てる相手には有効)ため、
一概に初心者じみた行動という訳でもない
(実際、ゲーメストライターだったキャサ夫氏は『バーチャファイター』において「女性プレイヤーによるぶっぱサマソが苦手」と書いていた)。
真偽は定かではないが、格ゲー界のカリスマ?の一人「ウメハラ」こと梅原大吾氏はぶっぱに対する反応で相手の性格を読み取っている…
との噂があったり、常人には理解できないような第六感を働かせて的確にぶっぱを当ててくるプレイヤーもいたりと、
使う人が使えばぶっぱも立派な立ち回りの選択肢なのである。


主なぶっぱ向き(というか壊れ技気味)の技

ヴォルカニックヴァイパー
判定、無敵時間などが非常に優秀で、最強の昇龍とさえ呼ばれる高性能技。

南斗獄屠拳
相手にもよるが直ガしないと反確が無い。

空中版ハイパーバイパー
発生が異常に早い上にガードさせれば反確皆無、相手のアシストも巻き込める。

秘孔・刹活孔
リスクほぼ0、リターン絶大の完全出し得技。
北斗勢にあまりに有名になりすぎて、ゲージのあるトキには迂闊に起き攻めや固めを仕掛けないことがセオリーになるほど。

ガトリングフリーザー
リターン絶大で反確無し、狂ったゲージ溜め能力のおかげで牽制にすら使える超必。

ワルツ・ワーズ・ワイト
これだけ出してれば勝てる

バニシングラッシュ
これだけ出してれば勝てる

参考動画。ぶっぱは美学、ぶっぱ狩りも美学


MUGENにおけるぶっぱ

様々なゲームのキャラが使用可能なMUGENでは、各ゲームの原作以上にぶっぱが強い。
と言うのも、キャラが多いためにどんな相手がどのような技を持っているのかを全て覚えるのはまず無理な上、
バランスもへったくれもないMUGENではかなり壊れた性能の技が普通に存在するからである。

AIの試合では、相手が攻撃状態に入ったらすかさず反応して無敵技などを叩き込む光景がよく見られるが、
この場合はぶっぱではなく超反応と呼ぶ。
一見すると違いが分かり辛いが、何回やっても同じパターンで対処してきたりするため容易に判別可能。
シングル戦の場合は超反応でなくとも、AIは基本的に相手の動きを認識してから自らの行動を決めるため、
昨今のインフレしたAI戦では厳密な意味での「ぶっぱ」はほとんど無いと言っても良いだろう。
ただし、対人戦を想定したAIや、キャラの性能にものを言わせて大雑把に動いているAIなどは、ぶっぱを多用してくることもある。
このような行動はガードの甘いAIには非常に効果的なものの、人操作やガードの固いAI、スピードキャラ相手だと隙を晒す原因にしかならず、
さらに技によっては原作では有り得ないような反確を取られてしまったりするので、やはりやり過ぎは考え物という結果になっている。
もっとも、技自体がローリスクハイリターンの反則性能なキャラもゴロゴロいるのだが…。

一方でタッグ戦であれば場を混乱させるのに有効なケースも多く(特に攻撃範囲の広い技)、
一部のタッグAIにはひたすらぶっぱを繰り返すルーチンが組み込まれていたりすることもある。
このような行動は、相方のゲージ効率がいい場合や特定ルール下で猛威を振るうこともしばしば。


関連項目



最終更新:2022年12月17日 02:00