ギャン

マスターグレードキット箱絵より。フェンシングさーす!

「ウラガン!あの壷をキシリア様に届けてくれよ!

                              あれは……… 良いものだぁ!!」

1979年のロボットアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、ジオン公国軍のモビルスーツ。形式番号はYMS-15。
名前が似てるけど恐竜型ロボットとは無関係。
元々はジオン公国突撃機動軍大佐であるマ・クベ大佐の専用機として開発された機体という設定で
作中でもマ・クベがそう発言しており、TV版放送直後に刊行された書籍にもそう記載されているが、
放送終了後の1981年に刊行された書籍『ガンダムセンチュリー』にて、ゲルググと同時期に次期主力量産機の座を争う形で開発、
選考に落ちた機体で、ロールアウトされた試作機が彼に当てられたと記載され、公式設定もそれに合わせる形で変更された。
また当時は宇宙・大気圏共に飛行可能という設定も有していた。

劇中ではテキサスコロニーにてガンダムと激突し、様々な戦略を用いて翻弄したが、死闘の末に撃破された。
上記の台詞はその時のパイロット、マ・クベの遺言。
貢物にと入手した白磁の壷*1が余程お気に入りだったらしいが、今際の際にまで壷と上司の心配をする姿は忠臣と呼ぶにも
少々偏執的だったため、マ・クベ=壷の人というネタイメージがすっかり定着してしまう結果にもなっている。
パズルゲーム『ぷよぷよ』とコラボレーションした時は、隠しキャラとして壷が擬人化された。
ちなみに壷のその後であるが、前後してウラガンが搭乗していた戦艦が沈んでしまったため キリシア様には届かなかった。

いずれにしろ、パイロットより参謀のほうに適性がある*2と思われるマ・クベ大佐が、
ニュータイプであり天才的なパイロットとして成長していたアムロの乗るガンダムに対し、
策を講じた上でも負けたとはいえ中々良い勝負をしていた辺り、ギャンの性能の良さが伺える。

特徴的な菱形の頭部に刺突剣型の大型ビームサーベル(ビームランス)と盾を携えた、騎士を思わせるデザインが非常に印象的。
盾にはニードルミサイルと浮遊機雷「ハイドボンブ」を内蔵、これらで弾幕を張ることができるが
あくまで牽制程度であり、機体性能としては徹底して白兵戦闘に特化している。
そんなものを内蔵していたら盾としての用を成さないのは明らかだと思われるが、
「そもそも盾というよりも、盾の形をした携行ミサイルランチャーなのではないか」とも言われている。
ちなみに盾に武器を内蔵するのはその後の時代でも色々と出てきたりするので意外と有効なのかもしれない。
言われてみれば確かに、コックピットに近いボディ本体に爆弾仕込むよりはマシのような気もする。
いくらロボットだからって、体に爆弾仕込むのってやばくね? と言うのはギャンから続く宇宙世紀の常識なのか、
ビームを内蔵した機体は数あれど、ミサイルを内蔵したMSは殆どなかったりする。
(大概、ミサイルランチャーを背負ったり外付けしたりしている)
宇宙世紀以外には割といるが(コイツの場合は、そもそも装甲がものごっつ分厚い)。
まぁ現在では(製作会社は同じだが世界は完全に別物な)『重戦機エルガイム』の設定を導入して、
2液反応型の誘爆しない爆薬(使う時にに混ぜて使用する爆薬で、混ぜない限り爆発しない)だから大丈夫、と言う設定の様だが。
…とここまで書いてきたが、派生機にして(一応)制式仕様であるギャン・エーオースでは シールドミサイルは無くなっており、単なる丸い盾を装備している
流石に作中世界でも「盾に爆発物いっぱいってどーよ?」という懸念はあった、のかもしれない。

主力の座はゲルググに譲ったもののその白兵戦能力の高さを評価され、
後にゲルググとギャンの長所を合わせた「ガルバルディα」の開発に至っている。
そして一年戦争後、ガルバルディαを接収した連邦軍は発展型である「ガルバルディβ」を開発し、運用した。
この騎士型MSの系譜はアクシズにも脈々と受け継がれ「R・ジャジャ」「ガズアル」「ガズエル」などを生み出してもいる。

岡崎優の漫画版ではマ・クベはギャンには搭乗せず、モビルアーマー・ゾックに搭乗してガンダムに挑んだ。
劇場版でもギャンは未登場であり、マ・クベ自身も出番を大幅に削られてしまっている。
代わりにギャンがばら撒いたハイドボンブだけがテキサスコロニーに登場している。
主力機の座を明け渡しただけでなく、本体よりも浮遊機雷を採られた訳である。不遇すぎる。

ただ、劇場版の流れを引き継いでいる漫画『C.D.A. 若き彗星の肖像』ではちゃんとマ・クベの乗機として登場。
マ・クベも劇場版で問題行動をあまりとらなかったためか、敗戦が濃厚となったア・バオア・クーから
ドズルの妻子を連れて撤退するためにTV版では犬猿の仲だったシャアと共に出撃する
(しかも、シャアの提案を「貴様の意見であるのが癪」と言いながらしっかり聞き入れている)という、中々良い扱いで登場した。
……うん、その戦闘で死んだけどさ。

TVアニメ版をベースにした漫画作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でもマ・クベの乗機として登場。
オデッサ戦に敗北したジオン軍の撤退する時間を稼ぐため、グフ隊と共に連邦軍に切り込む。
上の台詞と共に多数のモビルスーツを撃破した後、連邦軍の水上艦艇を道連れに自爆するという壮絶な最期を遂げた。
お前のような文官がいるかどっかの技官も大概であるが。
本作品のマ・クベは単なる骨董マニアから地球文化への造詣が深い文化人へと設定変更されており、
オデッサ戦に敗北した際は手持ちの弾道ミサイルを全て発射して主要都市を焼き払えという密命を受けていたが、
(戦争とは関連がない場所の都市文化をも撃滅させる)この作戦を独断で握りつぶして出撃した。
下の台詞はウラガンにその密命の存在を指摘された際のもの。
つまり、文化人としての自らの矜持と、戦闘敗北に対する自らの責任の取り方と、優秀な技量を持つ一パイロットという、
3つの側面を絶妙にブレンドさせて放った独白であり、散り際のシーンも相まって非常にカッコいい。
同じ場面で、作戦失敗を悟るや末端の兵士を見捨ててさっさと撤退したアニメ版とは大違いである。
なお、最期の言葉は漫画版も同じ「あの壷を~」だが、戦死の状況と前述の設定変更もあって、
アニメ版とは大きく印象の異なる台詞となっている。

「ジオニズムの理想なぞ、私にとって、白磁の名品一個にも値しないのだよ」

その後、同作の番外編『アムロ0082』では、戦後も生き延びたウラガン率いるジオン残党により
オリジナル設計図すらない状況で復元されたギャンもどきが駆り出され、アムロ抹殺を敢行するも、設計図すらなかったので自壊。
それを見ていたウラガンは、マ・クベの亡霊から「私の顔に泥を塗った」と呪いの言葉を浴び、卒倒してしまった。

ちなみにマ・クベの声優といえば初代でマのCVを担当した塩沢兼人氏という人がほぼ全数であると思うが、
氏の没後、劇場版を再編集したDVD版からは二代目として田中正彦氏がマ・クベの声をあてている。
現在のゲーム作品の新録も主に田中氏が引き受けているが、製作チームの意向によっては塩沢氏のライブラリ出演や
音声が不要な範囲でのキャラクター起用を行うケースも多く、時期の経った現在でもマ・クベ役に後任が居る事を知らない人は多い。

+ 各種ゲーム作品におけるギャン、並びにマ・クベの扱い

+ SDガンダムシリーズでは

+ 『ガンダムビルドファイターズ』では

「ジオンのMSは、やはり連邦を圧倒している。
  この差がある限りジオン公国は不滅だ」

「しかし、量産はさせるな。
  マ・クベの名はギャンと共に記憶されるべきだ!!」


MUGENにおけるギャン

+ taurusac氏製 『機動戦士ガンダム EX-REVUE』
+ mass氏製 『機動戦士ガンダム EX-REVUE』
+ 中山氏製 『SDガンダム Gジェネレーション』

出場大会

削除済み大会


*1
北宋期に作られたものだと作中で語られているが、MUGENではその北宋時代の人と対戦できる。まさに夢の対決である。
負けたら貪官汚吏扱いされて殺されちゃいそうだが

*2
が、戦略シミュレーションゲーム『ギレンの野望』シリーズではパイロットとしての実力もあるという解釈らしく(というか設定上文官という味付けができないため)、
マ・クベはニュータイプでないものの各作品のエースパイロットにも匹敵する高い格闘能力と指揮能力が設定されている。
当然ながらギャンとの相性は抜群で、作品によっては専用機補正も相まって接近戦では驚異的な実力を発揮する。
指揮能力も高いので無人ギャンも高い性能を発揮し、白兵戦闘では無類の強さを誇るという一年戦争さながらの有視界部隊になる。
…というか、ゲームのシステム上そこまでマの格闘能力を高めないとアムロに善戦できない(しかもアムロがニュータイプに覚醒する前のごく一時期のみ)という意味もあるのだが。
一方で魅力・射撃が低いうえに初期の階級がやや低いため司令官としては扱い辛く、
指揮だけは非常に高いためゲーム中では自ら出撃して前線で活躍していることの方が多い。
…だが耐久(防御力)・反応(回避力)友に低いため、機体の性能差があるといざ格闘にもつれこもうにもその前に撃ち落されることもある。

なお、有名な「ジオンはあと10年は戦える」という台詞であるが、その後のジオンは内紛が原因で2ヶ月も経たずに敗北した。
一方ジオン残党はデラーズ・フリート(UC80年代前半)、ハマーン派ネオジオン(UC80年代後半)、シャア派ネオジオン(UC90年代)、
「袖付き」(UC90年代終盤)、火星独立ジオン軍(UC110年代)、ズィー・ジオン(UC200年代)と
10年どころか実に100年以上に渡って戦い続けている。
特にゲリラ勢力そのもののデラーズ・フリートの資金・資源の出所がよくわからないため、これらジオン残党が長続きしたのはマ・クベが送った資源などがジオン本国ではなくこちらに流されたためだ、という非公式考察が成されている。
「袖付き」のMSは旧型機も多いので、10年以上経って流石に物資そのものは底を尽きたとも思われるが、
結果そこまで繋ぐことが出来たのはマ・クベの齎した功績による物である事は間違いないだろう。
……それだけ長い間、地球圏に禍根の種を残し続けたという事でもあるが。悪役冥利に尽きるとも言えるかもしれない。

*3
ギャンを設計・開発したツィマッド社によるMSは、ザク(MS-05、MS-06)を送り出したジオニック社によるものと比べてやや独特である事から来た言葉。
ざっと挙げても
  • スピードを出し過ぎると空中分解する代わり、旧ザクと同時期という開発時期を考えれば破格の機動性能を誇るヅダ
  • 量産されたものとしては初のホバー機動可能なMSドム
    • なぜかそのドムを宇宙用にしたら高い評価を受け、結果的に宇宙軍の主力MSにまでなったリック・ドム
  • ギャン(前述)
…と、いわゆる 「欠点はないが利点もない」ザクⅡやジムのような機体がない
ジオニック社やMIP社(水陸両用MSのメーカー)と比べて主力MSに恵まれないのはこの辺りが影響しているのだろう。
とはいえそれはつまり「ツィマッドのMSは利点・欠点がはっきりしている」と言い換える事もできるため、前述のサザキ一家のような根強いファンが存在するのも事実であるし、ゲーム作品では時と場合とプレイヤーによっては一芸特化のツィマッドMSが選ばれることも多い。

あくまでも兵器に過ぎない作中世界視点と、いちキャラクターとして評価されるメタ的視点の世界との違いがギャンやヅダを人気MSに押し上げた・・・というのは言い過ぎだろうか?