イザヤ・ブラッドレイ


アメリカのマーベルコミックに登場するヒーロー。アルファベット表記は「Isaiah Bradley」。狂乱の白髪鬼ではない。
初出は2003年の『Truth: Red, White & Black』と比較的最近である。
ヒーローネームは、「ブラック・キャプテンアメリカ」。理由は後述する。
彼自身が積極的に名乗ったわけではないので、ここでは本名で記述することにする。
『マーベル・シネマティック・ユニバース』の一作である『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』での日本語吹替は 宝亀克寿 氏が担当。

1942年当時、徴兵検査で合格しなかったスティーブ・ロジャースをひ弱な青年から超人兵士「キャプテンアメリカ」へと変えた
「スーパーソルジャー血清」を再現すべく、「プロジェクト・リバース」がアメリカ・イギリス・ドイツで行われていた。
アメリカでの研究の責任者ヨセフ・ラインシュタインは強靭な肉体を持つ黒人を対象に研究していたが、
膠着した戦況に暴走した軍部は博士の反対を押し切って、試作した血清をキャスカートの黒人兵士300人に強制投与。
結果ブラッドレイを含めた5人のみが超人兵士へと転じるも、残りは全員発狂して死亡するという大惨事になった。
その後、隠蔽のためにアメリカ軍の手によって被験者たちは基地ごと記録から抹消され、戦死扱いとなる。
しかしブラッドレイの妻に送られた夫の死体は、あろうことか白人の死体であった。
激怒し、夫の生死確認を軍部へと嘆願した彼女であったが、結果は門前払い。
夫の生存を信じ、彼女は独りで帰りを待ち続ける事を誓う。

ラインシュタイン博士も黒人が第二のキャプテンアメリカとなったことを妬む裏切り者の手により暗殺されてしまう。
もはや兵器として扱われ、5人の仲間たちも困難な任務や血清の副作用によって次々と倒れていく中、
ただ一人残ったブラッドレイはドイツでの研究を阻止すべく戦い続けていた。
ある日、彼は自分たちが達成したはずの任務を、白人が行っているコミックを発見する。
無論、言うまでもなく、それはキャプテンアメリカのコミックであった。

やがてドイツに亡命した超人血清開発者を暗殺する為、ブラッドレイは単独で敵陣奥深くへの潜入任務を与えられる。
彼は「せめて星条旗を纏って戦いたい」と要望を出し、軍上層部はこれを許可。
過酷な戦いの末に任務を達成した彼だが、そこでユダヤ人虐殺の現場に直面し、
ブラッドレイは、怪物と恐れられながらも彼らを助けだしシャワールームへ立てこもる。
……ガスが噴射された後、ただ一人生き延びたイザヤは、そのままドイツ軍の捕虜となってしまった。

後にレジスタンスによって救助されたが、軍法会議で「キャプテンアメリカのコスチュームを無断で着用した罪」を問われ、
最後には刑務所行きとなり20年近くもの間、独房に繋がれることに(勿論、余計なことを喋らせないためだろう)。
この獄中生活は、1960年にアイゼンハウアー大統領の手によって恩赦を受けるまで続くこととなる。
さらにこの無茶な実験の副作用によりブラッドレイの脳には重大な障害が残り、それにも苦しむこととなった。

以後は表舞台で活躍するわけではなく、裏社会で細々とヒーロー活動をしていくことになった。
「ブラック・キャプテンアメリカ」の名前も、華々しく活躍する本物に準えて周囲が呼んだものである
(戦時中でさえ、イザヤ達の活躍は「キャプテンアメリカの活躍」としてコミックで宣伝されていた)。
裏社会や黒人社会では相当な有名人だが、一般社会では殆ど話題にされることもなかった。
キャプテンアメリカも近年までその存在を知らなかった。
一方、黒人社会ではヒーローとして扱われており、マルコムX、モハメド・アリ、ネルソン・マンデラ、コリン・パウエルなど、
錚々たるメンバーと面識があるほどである。ストームの結婚式にも特別ゲストとしてやってきたことも。
イザヤは名前の通りユダヤ系の黒人というアメリカのマイノリティを象徴する複雑な背景を持つ人物である。
彼はまさに裏社会と抑圧された人々の歴史の中で活躍する、「アメリカの影」の象徴ともいえるだろう。

その経緯から、キャプテンアメリカに対してはかなり屈折した感情があったようだが、
アルツハイマーのような症状や痴呆症のような症状が治った後に、ようやく仲直りをすることができた。
取り戻されたボロボロの星条旗のスーツを纏い、肩を組んで笑顔で並ぶ二人のキャプテンアメリカの姿は、涙なしには見れない。
キャップも一概にちやほやされてきたわけでもなく、彼は彼でアメリカ社会の闇と戦い続け、一時は暗殺されるという事態に直面している。


ヒーローとしての能力は、スーパーパワーの由来が同じためキャプテンアメリカとほぼ同一。
超人的身体能力や老化の遅延、ほとんどの病気に対する耐性などの他、軍隊出身のため戦闘術の心得もある。
また「星条旗を模したスーツを着たい」という願いから、戦時中のキャップと同じ三角形の盾を主に使用する。

彼の孫にあたるイーライ・ブラッドレイもヒーロー「パトリオット」としてヤングアベンジャーズに参加している。
当初彼は「イザヤからの輸血を受けたことでスーパーパワーを得た」としていたが、実はこれは嘘で、
彼はスーパーパワーを持たない普通の人間であったため、非合法の超人化薬物を摂取することで超人の能力を得ていた。
これをチームメンバーに咎められた後、彼はすべてを告白してアベンジャーズを去るが、後に仲間のために人間のまま復帰。
キャプテンアメリカをかばったことにより瀕死の重傷を負うが、その際にイザヤから輸血を受けたことにより本当にスーパーパワーを得ることになった。
このパトリオットも初代キャプテンアメリカのレプリカモデルシールドを使う。


+ 実写(MCU)シリーズでの活躍
日本語名は「イザイア・ブラッドレー」として登場。
本作では原作と異なり痴呆症を発症するなどの副作用も無く、キャプテン・アメリカには劣るものの超人兵士の成功例となっており、
1950年代の朝鮮戦争時代から米軍超人兵士として活躍し、当時ウィンター・ソルジャーの義手を半壊させるほどの戦闘能力を持っていたという。
が、それだけに人種差別からくる非人道的な扱いに晒された事を忘れておらず、現在は孫と共に暮らす厭世的な初老の男となっている。

TVシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では、2代目キャプテン・アメリカの座とテロ集団フラッグ・スマッシャーズを巡る戦いの中で、
協力と助言を求めてきたファルコンことサムに「白人に魂を売った黒人」と罵声を浴びせて追い返しながらも、
次の来訪ではサムがキャプテンから盾を託されたことに同情し「黒人がキャプテン・アメリカを名乗ることの困難さ」についての助言を与えている。
その後、サムの尽力によってスミソニアン博物館のキャプテン・アメリカの展示ブースに彼自身の像と、
政府によって隠蔽されていた彼の来歴と超人兵士としての軍歴、活躍が記録された石碑が設けられ、
正式に「キャプテン・アメリカ」の一人として認められたことに感謝し、再起の道を歩き出すまでが描かれた。


MUGENにおけるイザヤ・ブラッドレイ

infinity mugen team所属のCormano氏とZVitor氏によるものが存在。β版であるが動作には支障は無い。
操作方法は『MVC』風で、格闘術と銃器で戦闘するスタイルとなっているが、盾を使った技も搭載予定だそうである。

白兵戦も遠距離戦もそこそこいけるが、山なりに手榴弾を投げる「Alcatraz Shell」が設置として機能するので、
それと、連射に派生できる飛び道具「Uzi Jail Cell」で固めていくとよい。
接近されても白兵戦である程度戦えるのが強みである。

出場大会



最終更新:2023年12月30日 11:35