モンスターボール


『キミに決めたっ!!』

任天堂の育成RPG『ポケットモンスター』シリーズに登場するアイテム。英名は「Poké Ball」。
赤と白の半球が組み合わさったソフトボール程度のボールであり、ポケモンを持ち運ぶために使う
(ただし、ゲーム内のフィールド上では他のアイテムのボールと同様、明らかに人間より一回り小さいサイズに描写されている)。
モチーフは『ウルトラセブン』に登場したカプセル怪獣や、子供の頃は夏になると誰もがやったであろう昆虫採集などから。
ゲーム作品だと『半熟英雄』のエッグモンスターがその先駆けと言える。

設定では、ポケモンは瀕死になると体を小さくして狭い所に隠れる本能を有しており、それを利用してポケモンを収納する。
ゲーム中でも、モンスターボールが発明される前は「ぼんぐり」という木の実
(『金・銀』で初登場。色によって様々な効果を持つボールの材料となる)でポケモンを捕獲していたと説明されており、
また、学者がこの習性を発見した際にも「誤って実験で衰弱してしまったオコリザルが、老眼鏡のケースに入った」とのことで、
このことからモンスターボールに限らず、カプセル状のものならばポケモンを収納することは一応は可能のようである
(上記のぼんぐりも最初は中身をくり抜いただけの物だった)。
「この世界にいる不思議な生物ポケットモンスター」という言葉があるようにポケモン世界には一応他の動物もいるらしく
(初期のポケモン図鑑で度々ネタにされていたインド象等)、
「ポケモン」の定義はこの習性を持っているかどうかであるようだ。

モンスターボールに収納された状態では、中のポケモンをデータとして転送することも可能である。
ただし手持ちには、6体までしか持ち運べない。
なお、収納中は身長や体重(質量)はもとより、匂いや磁力なども無視される。
そうでなければイワークレアコイルなどはとても持ち歩けない。
ただしアニメ版では、ほのおのうずを受けて熱せられたゴローニャを収納した際、その熱がボールにも伝わって火傷しそうになったり、
サトシのベトベトンがモンスターボール越しでも臭いと感じるほどの強烈な臭いを発している場面がある他、
ポケモンのように狭い所に隠れる本能があるはずのない、おにぎりを収納したこともあった。
漫画作品でもモンスターボール内でピカチュウを充電させておき、繰り出すと同時に10まんボルトを放つという描写があるが、
絶縁グローブをしていなければ帯電したボールを持っていられないと語られている。
また、伝説のポケモンなどが持つ規格外の力はボールに捕獲された時点で大幅に制限される。
そうでなければディアルガやパルキアなどはとても使役できない。
基本的にモンスターボール内は快適な環境に保たれているが、アニメ版のピカチュウなど外にいる方を好むポケモンもいる。
『スカーレット・バイオレット』では、登場キャラのスグリが伝説のポケモン「テラパゴス」をマスターボールで捕獲するが、
テラスタルバカことブライアの提案で、ひんし状態のテラパゴスをテラスタルさせたら暴走してしまい、
慌ててボールに戻すも暴走が止まらず、内側からマスターボールを破壊すると言う出来事が起きている。
その後は紆余曲折あり最終的に主人公がゲットするため、ボールを破壊された時点で所有権が失われるようだ。

ポケモンを捕獲済みのボールを投げると収納しているポケモンが閃光と共に出現する
(ちなみにこの後どうやって投げたボールを回収しているのかについては、シリーズ通じての謎と言われる)。
このときの閃光のエフェクトはボールの種類により異なり、第4世代以降では好みにカスタマイズすることもできる。

ゲームでは、ポケモンを捕獲するためのアイテムとして登場し、各地のフレンドリィショップで売っている。
広義にはポケモンを捕まえるボール全てを「モンスターボール」と呼ぶが、狭義にはゲーム中で最も安価に手に入る、
特殊な機能の無い赤と白のボールのみを指す。
より捕獲率の高い「スーパーボール」「ハイパーボール」や、特定のポケモンが捕まえやすい、時間が経つほど捕まえやすくなる、
捕まえた後になつきやすくなるなどの上位互換性能を持つボールがあるためゲーム後半では殆ど使用されないが、
第三世代以降はポケモンごとに捕獲に用いたボールの種類が記録されることもあって、捕獲に使用したモンスターボールの種類に拘るプレイヤーもいる。
なお、対戦で使われる伝説のポケモンなど卵孵化が出来ないポケモンの入っているボールは、
効率から「ダークボール」「タイマーボール」などの捕獲倍率が高いボールが使われ、
出会っても即逃げられる通称徘徊系と呼ばれる伝説のポケモンは必ず捕まえられる「マスターボール」であることが多い。
また狭義の「モンスターボール」は第5世代まではタマゴから孵ったポケモンが収められているボールとして固定であるため、
「アイテムとして所持や使用はしなくとも、やりこみでの対戦で一番見かけるボール」となっていた。
逆に言うと他の種類のボールだとタマゴから育てていないことが確定するため、
遺伝技を持っていないことが相手にバレてしまうというデメリットになってしまっていたが、
第6世代からは入っているボールも親ポケモンから遺伝するという生物としてはよく分からない仕様に変更されたため、
親ポケモンを捕まえる際のボールを単純な性能よりも先述の登場時のエフェクトがかっこよくておしゃれなボール、
通称「 オシャボ 」にすることに拘るトレーナーも増えた。

また、第4世代(DS時代)にできたポケモンのわざの「なげつける」で,
「ポケモンがモンスターボールをポケモンに投げる」ということができそうだが、使用しても失敗するだけとなっている。
『Pokemon Go』ではポケモンが直接ボールを投げるわけではないが、プレイヤーが野生ポケモンに投げて弾かれたボールを、
プレイヤーの相棒ポケモンが弾き返して野生ポケモンに当ててくれる「ボールアシスト」が発動することがある。

『LEGENDSアルセウス』では原始のモンスターボールが登場しているが、原材料のぼんぐりの特色が色濃く残っている。
「ポケモンの縮小はポケモン自体の能力」という説も同作で再び取り上げられているが、
まだボールの量産体制も確立していない時代が舞台のため一般大衆にボールが普及しておらず、
「現代との技術理解の差で縮小がモンスターボールの機能だと把握されてない」とも解釈できる描写となっている。
また、あくまで舞台であるヒスイにおける描写であり、カントーでは同時期に既にポケモンとの共存が進んでいる事が示唆されるなど、
現代以上に地方単位で技術やポケモンとの関係性に差があったことも留意を必要とする。

捕まえられるのは野生ポケモンのみであり、トレーナーが所持する(既にモンスターボールで捕まえられている)ポケモンに投げ付けても、
相手トレーナーに弾かれて「ひとのものをとったら どろぼう!」と怒られてしまう。
またアニメなどでは相手トレーナー不在の状態でも捕獲済みポケモンを他の人間が捕まえることはできず、
ポケモンやボールそのものにプロテクトがかかっているような描写がある。
ただし『ポケモンコロシアム』『ポケモンXD』では、敵トレーナーからポケモンを奪って捕獲する行為「スナッチ」が、
ゲームシステム上特例として認められている。
主人公が腕に装着している「スナッチマシン」を使うことで手に握った空のボールのプロテクトを外して「スナッチボール」を作り、
トレーナー所持のポケモンを野生ポケモンと同じ要領で捕獲することができる。
無論いつでも使っていいわけではなく、悪の組織の手で心を閉ざし戦闘兵器にされてしまった、
「ダークポケモン」を救出する場合以外には使えないようになっており、作中でも本来は違法なシステムであることが匂わされている。
またボールのプロテクト破りとしては、第6世代において悪の科学者の発明した強化スーツの機能の一つとして、
他人のポケモン入りのボールにコンピュータウィルスを注入することで中のポケモンを制御し、
さらにそのポケモン自身の力をも引き上げる「ボールジャック」の機能が登場している。
このスーツは本編クリア後のイベントで敵としてのみの登場であり扱いは大きくはないが、非常に恐ろしい機能である。

以上のような設定があるが、ゲーム本編ではあまり多くが語られないため、メディアごとに微妙に解釈や描写が異なる部分がある。
例えば分割線の中央にスイッチが付いているが、これが何なのかは実はゲーム中では明言されていない。
アニメではこのスイッチを押すとゴルフボール大から手のひら大にまで拡大する機能があり、
ポケモンをボールに戻すときはここから赤色の誘導ビームが発射される仕組みになっている。
漫画作品ではここが開閉スイッチとなっていて、破壊されるとボール自体を物理的に壊さない限り、
中のポケモンが出せなくなってしまうとされているものもある。
ポケモンのボールへの戻し方も光の玉になっていつのまにかボールに収まっていたり、
捕獲時と同じように投げ付ける場合などもあり、統一された設定は存在しないようだ。
また構造もこれといって統一されているわけではなく、アニメでは上半分と下半分は後ろ側のヒンジで繋がっているが、
漫画や一部のゲームでは真っ二つに割れてポケモンを捕獲したり、中のポケモンが出現するような演出となっていることがある。
+ 無粋に、ブラックに見ると
少なくともゲームでは、これまでに完全に敵対していた相手がこのボールの中に入った途端、
所有権を強制的に得られて、命令を全て忠実に聞くようになる。
そして捕まえる過程においても相手を瀕死にならない程度に痛め付けた方が捕獲しやすいため、嫌がっていると取れ
野生生物相手とはいえ明らかにヤバイ代物である。
流石に無条件で忠実になるのは問題があったのか、アニメを初めとした作品では闘いではなく、
はずみでボールに入ってしまった、もしくはボールの所持者であっても言うことを聞かないポケモンが出るなど、表現が変えられている。
逆に、様々な理由(救われた、実力を認めた、面白そうだから等)で相手を気に入って自らボールに入るポケモンもいる。
カスミのコダックわしにも分からん・・・・。
更にこの設定を逆手に取ってストーリーの中心に据えた作品もある。
また、第9世代の『スカーレット・バイオレット』では、オープンワールドというシステム面の都合もあるだろうが、
「捕まえた時点のレベル」がジムバッジの規定以下でない場合言う事を聞かない、と言う形で未熟なトレーナーには従わなくなっている。

なお、違うゲームになるが、この手のモンスターを仲間にする先人であるドラゴンクエスト5主人公の場合、劇中のモンスター爺さん曰く、
「不思議な目をした彼」が「憎しみではなく愛を以て戦う」ことで気持ちが通じたモンスターが自発的に仲間になるとされていた
(ただし「モンスターは自分より強い者しか尊敬しないので勝ってからでないと加入しない」そうである)。

このモンスターボールを模ったデザインはゲーム中でも「ポケモンに関わる物事」のシンボルとして随所に登場する。
前述のような利便性や現実と比べてほぼ唯一のオーバーテクノロジーであることから見ても、
このモンスターボールがあるからこそポケモンというゲームの世界観が成立していると言っても過言ではないのだ。


大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにおけるモンスターボール

初代からアイテム扱いで参戦。
近付いてAボタンで持ってもう一度Aを押すと投げることができ、これが相手に当たると若干のダメージを与える。
が、このアイテムの本領はその後で、投げて地面に落ちたモンスターボールからストライカーとしてポケモンが出てきて、何らかの技を使う。
出てくるポケモンの種類と効果は作品ごとにいろいろ違うが、原則的に以下のようなルールがある。
  • ボールを投げたキャラは出てきたポケモンの攻撃を受けない(例外:マルマインのだいばくはつ、ソーナンスのカウンターなど)
  • 出てきたポケモンは基本的に無敵で攻撃を当てられない(例外:ラッキーなど、攻撃を受けると吹っ飛ぶ物もいる)
  • 出てきたポケモンは一定時間で消滅する
ちなみに『X』以降では、似たような効果だがストライカーがポケモン以外で、拾うと自動で使用する「アシストフィギュア」なるアイテムも登場している。

ランダム性やバリエーションの多さが楽しいアイテムだが膨大な量のボールを一度にまとめて使用した場合、
異常な同時ヒットなどに本体の処理能力が付いて行けずフリーズすることもあったりした。
『DX』までは同時出現数に上限は無かったためこういう無茶もできた訳だが、
オンライン対戦対応の『X』以降では、フリーズ予防として画面内に3個までの上限が設けられている。

『for3DS/WiiU』からはマスターボールが登場し、伝説or準伝説のポケモンが当たり前のように出てくるが、
たまにモンスターボール同様、はねるしか使わないトサキントも出てくる。


MUGENにおけるモンスターボール

アラレちゃんナベアツ等の作者であるgoogoo64氏によるものが存在。何故作ったし
勿論ボール本体に戦闘能力は無いので、中からポケモンを召喚して攻撃させる技しかない。
ただ、その種類は半端ではなく、通常技と必殺技を合わせてなんとびっくり85種類
ピカチュウやプリンのような可愛いものから、レックウザやギラティナのようなヤバいものまで一通りいる。
技性能を覚えるだけでも一苦労なので、自分に合った技を使っていくのが一番良いだろう。

任天堂キャラのAIに定評のある五右衛門氏による外部AIも存在する。

出場大会



最終更新:2024年02月10日 19:51
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