通常技

コマンド入力を必要としない、格闘ゲームにおいて最も基本となる技。「基本技」とも呼ぶ。
大きく分けて
  1. 立ち
  2. しゃがみ(屈み)
  3. 空中(ジャンプ)
の3種類があり、それぞれの状態でボタンを押すだけで出る

通常技のバリエーションは作品によって様々だが、カプコン系の作品ではパンチ・キックにそれぞれ弱・中・強、
SNK系の作品ではパンチ・キックにそれぞれ弱・強となっていることが多い(小・中・大とも呼ぶ)。
ほとんどの作品では、それぞれ別のボタンが割り当てられているが、同時押しによって出し分けるという方式が取られる場合もある。
稀にボタンを押す強さ(圧力)押している時間の長さ押す速さで振り分けが行われている場合もある
(特にスーパーファミコン世代まではボタン数の関係からこうなる事が多く、ストIIの移植以後に専用の6ボタンコントローラーが発売される事になった。
 また、アーケード基板でも当時の規格では4ボタンまでしか対応しておらず、追加ボタン用の専用ケーブルが必要だった)
が、直感的な使い分けが難しいため好評だったとは言い辛い。
作品やキャラによっては相手との距離によって性能が変化したり(主に遠・近距離立ち通常技)、
ジャンプ方向で空中通常技が変化(前方・垂直・後方)することもある。
微妙な所だが、通常投げは特殊技に分類されるか、「通常投げ」という独立した要素として扱われることが多い。

基本的に通常技は、必殺技特殊技と違って技の名は付かず、出し方や出すボタンで呼ばれる事が多い。
しかし初期のタイトルやゲームによってはこれらの通常技全てに技名が振られているケースもある。
中にはそれら通常技に奇妙なネーミングを付けたり、語呂合わせだったりと、芸が細かいものもある。
KOF』シリーズでは『'99』まではあれだけの人数のキャラの通常技全てに名前が付けられていた。

表記としてはその箇体で割り当てられているボタン名を使うもの、テンキーを使うものなど、様々な形式が併用されているが、
「遠立強P」「屈弱K」「J(ジャンプ)中K」のように技の種類で表すことが多い。
上記の様に、ゲームによっては全ての通常技に名前が付いている場合もあるが、
技名で呼称すると煩雑な事もあり一般的に説明する際には、技名を用いられる事は無い。

ボタン1つで出るという性質上、必殺技などに比べてローリスク・ローリターンなものが多いが、それゆえに立ち回りにおいて非常に重要な役割を果たす。
崩し易さとゲーム性によるが、基本的にキャンセルで出せるものを除いて
しゃがみ状態に限らず足元を攻撃する通常技は基本的に下段判定(逆に言うと屈小Pなどは上段である事も多い)、
空中通常技や頭上から叩きつける通常技は基本的に中段判定となる場合が多く、
特にしゃがみ強キック(大足)にあたる技にはヒットすればダウンを奪える「足払い」系の攻撃が割り当てられる傾向にある。
この大足に限っては隙が大きいがダウンを奪えるという点で、ハイリスクハイリターンと言える。

また、通常技の一部~半分程度はキャンセルがかかるように設定されており、連続技の始動として極めて重要。
いくら強力な連続技を持っていても、始動技の性能が低ければ効果的に使うことはできない。
基本的に通常技から連続技にできるのは必殺技や超必殺技、場合によっては特殊技に限られるが、
ヴァンパイア』シリーズの「チェーンコンボ」、『餓狼伝説』シリーズの「コンビネーション」、
ストリートファイター』シリーズの「オリジナルコンボ」や「ターゲットコンボ」のように、
特定の条件付きで通常技から通常技(または派生専用技)に繋がったり、連打キャンセルや目押しのような例外もある。

他にも判定の強い技を差し合いや対空に使ったり、めくりや低空中段・下段などのから攻めの起点を作ったり、
発生の速い小技(主に小足、つまりしゃがみ弱キック)などを置いて相手の攻撃を防いだり(所謂「暴れ」)と
使用方法は多岐に渡り、地味ではあるが必殺技よりもキャラクターの性能に影響する度合が高い場合も珍しくない。
「初歩も極めれば奥義に至る」という訳である。

基本的にガードすればダメージを受けないが、一部通常技をガードしても削りダメージを受ける作品もある。
剣質「力」選択時に通常攻撃に削りが付く『月華の剣士』シリーズや、素手だと防御時に削りダメージを受ける『サムライスピリッツ』シリーズのように、
状況によって通常技に削りダメージのある作品や、
一部のキャラのみ通常技で削り可能な『アカツキ電光戦記』、
一部のキャラのみ通常技の防御時に削りダメージを受ける『ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル』のように、
キャラ限定で通常技に削りダメージのある作品もある。

もちろんどんな技を通常技に設定するかは作り手の自由なので、必ずしもパンチやキックである必要さえ無く、
通常技が必殺技よりも強力な『サムライスピリッツ』シリーズ、通常技に飛び道具が多数含まれる『東方Project』作品などのように、
特徴的な通常技がそのゲームを象徴する要素となっていることもある。

ちなみに、簡易的な操作を目指して作られた対戦アクション『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでは、
上述のような用途別ボタンは無く、一つのボタンのみで通常技を扱う仕組みになっている。
代わりにレバー(スティック)のはじき加減で技の強弱が変わる仕組みを取っており(特殊技に近い形)、
一般的な格闘ゲームの通常技に近い物はレバー操作を使用しない弱攻撃のみ。
ただし格闘ゲーム出身のリュウケン三島一八は、原作再現で通常ワザにも押す時間の長さによる、独自の技変化が採用されている。


斬鉄閃




 「おりゃぁ!!」

そんな中で、よく「格闘ゲーム史上最も有名な通常技」と言われるのがこれ。
ぶっちゃけ覇王丸が大上段から思い切り袈裟に刀を振り下ろすだけの「遠距離立ち強斬り」なのだが、
初代サムスピにおける怒り・瀕死という条件が重なれば一撃4~5割という戦慄の威力と、
リアルなSEエフェクトと共に相手を一刀両断にかっさばく圧倒的なインパクトと爽快感から、
必殺技や超必殺技以上に覇王丸というキャラの、ひいては『サムライスピリッツ』というゲームの象徴となった技である。

基本的には発生が遅く、硬直が長く、判定もあまり強くはないが、リーチがあり当たれば大ダメージの典型的な一撃技で
ガードさせれば反撃は受けにくいので、他の技で牽制しながら先端差し込みを狙うという使い方になる。


最終更新:2023年08月06日 12:58