ファミコン用ソフト『MOTHER』およびスーパーファミコン用ソフト『MOTHER2 ギーグの逆襲』の
ラスボス。
海外版では前者は「Giegue」、後者は「Giygas」と表記される。
それぞれの作品で姿形も境遇もかなり違うため、同名の別人と考えた方がよさそうである。
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『MOTHER』のギーグ
「あなただけ、一人だけなら助けてあげてもよい。
私と共にマザーシップに乗りなさい」
『MOTHER』のギーグはグレイタイプの宇宙人に動物の耳と尻尾が生えていて、奇妙な形のカプセルの中に入っているという姿。
ホーリーローリーマウンテンの頂上に停めてある「マザーシップ」の中にいる。
地球侵略に現れた宇宙人で、動物を狂わせたり、機械を暴走させたり、人間拉致など各種の宇宙人的侵略活動を展開した。
侵略は順調に進んでおり、もう少しと言う所で因縁深い主人公とその仲間達と対峙する事になる。
ラスボスではあるが、通常の方法では絶対に倒す事が出来ないため、イベントバトルの側面が強い。
攻撃方法は全体攻撃である「こうげきの しょうたいが つかめない」の1種類だけであるが、
サイコシールド+ガードで威力を4分の1まで減らせるためさほど脅威ではない。
しかしHP常時全回復と特殊な効果を持つPSIの効果が掻き消されるため、攻撃は何をしても無駄。
途切れ途切れのメッセージを飛ばしながら正体不明の攻撃をしてくる間、主人公達にできる事は耐える事だけである。
じゃあどうやって倒すのか?答えは今までの冒険で集めてきたメロディを「うたう」事。
ギーグのメッセージが終わると戦闘コマンドに「♪うたう」というコマンドが追加される。
あからさまに焦り、苦しみ出すギーグの妨害に負けず、歌を歌い切るとギーグは退散していく。
「歌は力なり」…どこかで誰かが言ってたこの言葉を思い出す。
この時に歌われる歌「EIGHT MELODIES(エイトメロディーズ)」はゲーム音楽屈指の名曲として名高い。
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子守歌の真実 |
一般的には「幼い頃の思い出に絆され帰っていった」と言われているがどうやらそうではない様である。
海外版の『EarthBound Beginnings』ではマリーの台詞が変更されており…
Oh ! Giegue !
(おお!ギーグ!)
I loved him...
(私は彼を愛していました…)
I loved him, as if he was my own child...
(まるで自分の子供のように彼を愛しました)
He was always wagging his tail, just like a pup...
(彼はちょうど子犬のように、常にしっぽを振っていました…)
EXCEPT for when I tried to SING him lullabies...
(私が彼に子守り歌を歌おうとしたとき以外は…)
変更部分(太字)を見る限り、彼はこの歌を好んでいなかった事が分かる。
そもそも日本語版でも子守歌を好んでいたという表記はどこにもなく、歌を聞いている時は純粋に苦しんでいる。
ではこの歌は普通の歌ではなく、何か未知の力を持った歌なのだろうか…?
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戦闘中の
BGMはビープ音が鳴り続けるというもので非常に恐怖感を煽られる。
しかしこの演出があってこそ子守唄の美しさが引立つだろう。
侵略の意図はいまいち不明だったが、小説版では「早くに母を亡くし、母親欲しさに女性を集めていた」という設定が付いていた。
「◆ちからだけじゃ やつらにはかてねぇ。
◆でもおれたちはかならずへいわをとりもどせる。しんじてるぜ。」
また、本作におけるギーグの見た目は『ポケットモンスター』の
ミュウツーに酷似しているが、
杉森建氏がTwitterで「企画者が何をモデルにしたかは今となっては定かでない」と語っている事から、偶然の一致なのかもしれない。
『MOTHER2』のギーグ
……ウレシイ……カナシイ…
ネスサン……トモダチ…
◆…もうギーグさまは、いやギーグはあくのけしん…なんかじゃないんだ。
◆ギーグじしんにもコントロールできない「あく」そのもの…
◆じゃあくなちからそのものになってしまったんだ。
『2』のギーグも宇宙人であり、『MOTHER』と同様に地球を滅ぼそうとしていた模様(こちらとの関連性は不明)。
だが、コンピューター「ちえのリンゴ」の予言で
ネスが自分を滅ぼす存在であると言われ、彼の抹殺を企み現代に侵攻してきた。
その後ギーグは過去の世界から手下を送っている事が判明し、ネス達はタイムマシンでギーグを倒すために過去へ遡り戦う事になる
(なお、このタイムマシンは生物を過去へ送る事は出来ないため、ネスと仲間は魂をロボットの中に入れて最終決戦へと赴く事になる)。
『2』のギーグは「あくまのマシン」と呼ばれる機械でなんとか力を制御しているが、
もはや自分の力を操る事は出来ず、自分の人格すら破壊されてしまっている。
最終決戦時には悪の化身ではなく「自分自身にも制御できない邪悪な力そのもの」と化している。
◆ギーグはもうかんがえることすらできないし
◆じぶんがなにをしているのかも、もうわからないんだ。
◆ギーグはじぶんのちからのあまりのつよさでじぶんのじんかくさえはかいしてしまったのさ。
◆とんでもないちからのおおばかやろうさ!ギーグは!
第一形態は巨大なネスの顔。
「
じゅうそうびポーキー」と共に登場し、必殺PK(PKキアイ)を連発してくる。
この形態のギーグは無敵状態で、こちらの攻撃を全て跳ね返してくるため、ポーキーを集中攻撃する事になる。
ポーキーに一定ダメージを与えると「あくまのマシン」のスイッチを切って逃亡し、ギーグが第二形態となって攻撃が通るようになる。
あくまのマシンを解除した第二形態のギーグはもはや人格が崩壊しているからなのか、
「ネスサン…ネスサン…」「キモチイイ…」などと狂気に満ちたセリフを発し、
背景がギーグに尽くされるという外見と不気味なBGMが相乗効果となり、トラウマになりそうなくらい怖い。
そして、さらに一定ダメージを与えると最終形態に移行する。
最終形態は通常の攻撃で倒す事は不可能であり、仲間の一人ポーラの「いのる」を連発する事でしか倒す手段は無い。
といっても、タチの悪い事に攻撃で倒せないというのは実際に知らされる事は無く、
第一形態・第二形態は通常攻撃で倒す上に不死身の最終形態相手でもダメージを与えている表記は出てくるため、
攻略本等で予備知識を得ずに普通に進めていくと、無限の体力を持つギーグを延々と殴り続ける羽目になる。
一応「いのる」を使えばよい、というヒントも出てくるが、
それはポーキーの
「テレパシーでもなんでも使えるもんなら助けをよんでみればいいさ。」の一言だけである。
「そういえばポーラは冒険中、いのりを挙げてテレパシーを使ってたなあ…→いのるを使えばいいのか!」
という推理ができた人はどれほどいたのだろう。
しかもこの「いのる」のコマンド、通常は「
MPいらずの規模の小さいパルプンテ」とでも言える
ぶっちゃけ使わないコマンドのため、
存在自体を忘れ去っていた人も多いだろう。
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実は |
GBA版では毒状態にすればいのる無しでも倒す事は可能。
だが、これはバグによるものであり、本来は想定されていない事であるため倒しても経験値は得られず、
倒すと最終決戦の舞台に何故かネスの家族がいるという画面が映し出され、
その後は何事もなかったかのようにエンディングが始まるため、あまりにも唐突で非常に不気味である。
この他にも最終決戦の舞台から元の時代に帰れるなど、GBA版にはゲームの展開をぶち壊しにするようなバグがある。
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第二形態以降のギーグは「正体のつかめない攻撃」を繰り出してくる。
その効果はランダムで、その内直接ダメージを与えるのが手堅い威力(体力の5分の1くらい)の全体攻撃(PKフリーズと同様の硬直効果付き)や、
PKサンダーと同等のランダム複数回攻撃である。
しかし、攻撃力だけならむしろ道中で出会う雑魚敵の方が問題で、
といった全員のレベルがカンストしてても下手をすれば全滅という異常な強さの連中が待ち受けており、
こいつら3体が同時に襲い掛かってきた時には全滅覚悟で挑まなくてはならない。
更にギーグに対抗するためにレベル上げをしようとすると、
上記の3体の他に重要な回復アイテム(この時点で買い物しに戻る事は不可能)を奪い取る「タコ・ソ・ノモノ」に出くわしたりする。
こいつらの影響もありギーグの攻撃自体は非常に緩やかに感じられる。
ギーグの攻撃で問題となるのは「全体にPKフラッシュと同等の効果を引き起こす」効果の方である。
この状態異常というのが、ドラクエで例えるなら「マヌーサ、メダパニ、ザラキ、麻痺攻撃のどれかをランダムで味方全員に発動させる」
と言うような厄介な代物で、不意に回復要員が即死したりと心臓にあまりよろしくない。
それに前述の地味に痛い全体攻撃が加わるため、圧倒的力を持つラスボスというより、
「もう戦いたくない」というような気持ちにさせる。非常に嫌らしいボスとなっている。
ここまで見た目・精神状態・戦い方全てに突き抜けた狂気性が感じられるボスも中々いないであろう。
「ギーグ」という名前自体も、嫌な響きの音「ガギグゲゴ」の組み合わせという事で付けられているそうである。
さらに「いのり」続けると時にこれまで出会い、別れを繰り返してきた人々の祈りが伝わり、
その想いによりギーグにダメージを与えていく王道ながらも感動のシーンが続き、
「ほとんどの主要人物が出たし、そろそろ倒せそう…」とプレイヤーが思う頃に、
「ポーラの呼びかけは、闇の中に吸い込まれていった。」と物凄い絶望感を与えてくれる事もあり、
多くのプレイヤーにトラウマを残したボスの一人である。
実は相手を混乱させる「ブレインショック」系が非常に効きやすいので、混乱させれば戦いが有利になる。
また、しょうたいのつかめない攻撃は味方のPKとほぼ同一の効果なので対策は容易(ただししょうたいがつかめないためサイコシールドでは防げない)。
ちなみに、『ほぼ日刊イトイ新聞』によれば『2』のギーグの台詞は、
「糸井重里氏が口で言ったものをプログラマーが一文字一文字入力していく」という方法を取ったらしい。
しかも部屋にいるのは糸井氏とプログラマーの二人だけ。新手のホラーか?
プログラマーの人は泣きそうになったとかなんとか(そりゃそうだろうなぁ……)。
また、ギーグを形作っている一部である糸井氏の幼少時のトラウマとして、
映画館で間違ってみてしまった映画のレイプシーンが語られている。
その際むんずと鷲掴みにされ、ボールのように歪んだ胸が糸井少年の脳を直撃したという。
あのギーグの造形やセリフには、犯罪とエロティシズムが隣り合わせになった時の恐ろしさ、
愛すべき生モノっぽい部分が表現されているという事らしい。
他にも、ギーグのグラフィックは一見すると人の叫び顔のように見えるが、
黒い部分に注目してみると人間の胎児の形が浮かび上がってくる。
ラストバトルの部屋もまた内臓っぽい有機的な外見であり、これを子宮等に見立てる見方も一部には存在している。
…まあ、結局何を言っても作中のギーグは謎を多く残したまま倒されてしまうのだが、
漫画『MOTHER2 ギーグの逆襲 ネスの冒険記』ではネスが生身のままで理性を持ったギーグと戦う場面が描かれており、ギーグのデザインも異なっている。
作中の描写からすると、このギーグは5年前にニンテンという少年に退治されたギーグと同一のようである。
巧みな話術と幻術でネス達の情に訴えかけ戦意を削ぐなど、ゲームとは別の意味で精神攻撃に長けた様子を見せる。
「そう、次元の間で拾ったのだ。彼の精神はワタシを受け入れ、考えを理解してきている。彼はワタシが救世主だと知っている。
おまえたちはワタシが地球を乗っ取ると言うが…、乗っ取っているのは人類ではないのか。
考えるのだ。この古代の地球は恐竜たちに乗っ取られてはいない。あるがままの正常な地球ではないか。
だが、おまえたち人類は、地球を病に追いやり、しゃぶりつくそうとしている。
おまえたち人類は、地球にとって体をむしばむ、ばい菌なのだ。ワタシはそれを見過ごせない。
健康にもどしてやろうとしているのだ。正義の医者とすら言える。
有史以来幾多の生物が誕生したが、人類というやつは小利口すぎたのだ。ワタシはそれをもっとバカにもどしてやる。
そうすればこのマザー・アースも、むしばまれないのだ。
もちろんおまえたちは別だ。そのパワーを封じこむのは、あまりにもおしい。
ワタシがほかの星へ行く時、一緒に働いてもらおう……どうだ、いい取り引きだろう。
このポーキーはそうしたいと言っているぞ。」
小説版ではポーキーと合体。巨大な脂肪の塊となってネス達に襲い掛かり、ネスの手によって葬られると言う物になっている。
ギーグが葬られた後、世界が新しく書き換えられ、ポーキーはネスの兄として復活する形となった。
ポーキー自身はひねくれた性格であったが、世界が書き換えられた事によって性格も全く逆に変わり、爽やかで弟妹想いな好青年になっている。
◆けっけっけっ!ネス、エサになれよ…ギーグの!
MUGENにおけるギーグ
fhqwhgads7氏によるものと、The_none氏によるものが存在する。
どちらも『MOTHER2』でのギーグの姿であり、とてもデカい。
「ギーグからのこうげきのしょうたいがつかめない!」といった原作におけるメッセージを反映してか、
凶悪キャラのような正体の分からない攻撃をする。
性能は
AI殺しが非常に多く、
ストーリーモードのようにプレイヤー操作前提で撃破するためのキャラクターだと思われる。
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The_none氏製作 |
原作のギーグを完全再現したというわけではなく、
『HλLF LIFE』のヘッドクラブが飛んできたり、 メタルギアソリッドのザ・ソロー戦のように、
攻撃を受ける際に叫び声が入ったりと、原作とは特に関係ない演出も多い。
また、『 エターナルチャンピオンズ』の オーバーキルを 無条件で使う事がある。
一応レバガチャやボタン操作で脱出できるが、失敗すると 即死。 絶命奥義も真っ青である。
この他にも精神的ブラクラ系統の画像が戦闘中にいきなり表示されたり、
海外ゲーム『Waxworks』のグロテスクな主人公死亡シーンが相手をK.O.した後の画面に出たりと、
ブラクラ画像が各所にサブリミナルのごとく仕込まれているなど、
精神に悪影響を及ぼす可能性があるので心臓の悪い人にはあまりお勧めできない。
ここを読んで嫌な予感がした人は、mcmか何かで一度SFFを覗いておいた方がいいかもしれない(ただしショックを受けても保障はしない)。
なお、この直接的な表現はMUGENオリジナルであり原作にこのような描写は無い。
LIFEの初期値が2000でATK・DEFは100という、数値だけ見れば多少タフなだけのキャラだが、
常に画面内をゆっくりと動き回っている(しかも本体がどこにいるのかよく分からない)ので、攻撃を当てる事は難しい。
おまけに ライフバーを隠してくる(ギーグの相手側のライフは上に数値で表示される)ため、
どこまでギーグの体力が減ったのかが分かりにくいという、RPGならではの仕様になっている。
1ラウンド取られると「 You're already dead.(訳: お前はもう死んでいる)」や「 Behind you.(訳:お前の後ろだ)」等と、
不気味な台詞(これらの台詞は 原作には無い。元ネタはEversion)と共に、原作同様2段階目の姿を取る。
2段階目は画面全体に喰らい判定が広がったようで、実は変わっていない。
さらにこの2段階目をK.O.すると、画面を砂嵐状態にしたり、テレビを消したかのような演出が入ったりして画面が止まる。
…が、ボタンを押せばきちんとゲームは進行するので 八百長紛いの事をしているわけではないので安心しよう。
The_none氏は普段はこんなホラーキャラなど作らず、 こいつや こいつなどのネタキャラを多数製作している方である(氏の ご乱心に近い)。
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fhqwhgads7氏製作 |
こちらもライフバーを隠し、背景も自分自身で覆い隠してしまう。
また設定で変更可能だが、1ラウンドを取得すると2ラウンド目はストーリーモードが開始する。
このストーリーモードは凶キャラ程度ではKOする事ができない、論外キャラに近い扱いになっている。
が、きちんとした手段をとる事で通常のキャラでも最後まで追い込める仕様になっている。
具体的に言うと原作の様にやればいい。
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攻略方法 |
原作では「いのる」を使うのだが、MUGENのキャラにそんな都合の良い行動はまず無い。
そこで祈る時の姿勢、 つまりしゃがみ続ければ良い。
しゃがみ続ける事により、徐々に形態を変化させていく。
ただし最後は…原作の展開を知っていて、英語が分かる人ならば何をやればいいか分かるはず。
もちろん、しゃがみ続けている最中も攻撃してくるのでちゃんと避けないといけない。
回復手段を持つキャラや、 膨大なLIFEのキャラ、 避け行動の性能が良いキャラを使うと良いだろう。
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なおこちらはThe_none氏のものと違い、グロい表現などは全く無いが、
ポケモンフラッシュ満載なので別の意味で注意が必要である。
また、最新版では球体のようなものになっており、全くスタイルが異なる(旧版も公開中)。
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余談ではあるが、双方のギーグにタッグを組ませると双方共通のガード破り性能の高さに加え、
The_none氏側の妨害技やゲージ回収効率とfhqwhgads7氏側の強力無比なゲージ技が噛み合い非常に撃破が困難となる。
また、ラストバトルの部屋をモチーフにした
ステージ「Terror of Giygas」が存在。
リミックス版の「イナクナリナサイ」もBGMとして付属しており、ギーグ専用ステージとしてもオススメ。
出場大会
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そもそも『MOTHER』の世界と『MOTHER2』の世界はパラレルワールドである。
ちなみに『MOTHER3』の世界は共通する人物が登場する事から、『2』と同一という説と、作品内で認識されたパラレルワールドの二つの説がある
(本作では物語に関わる重要な人物だけではなく、『3』が64からGBAに変更された際に削られた最初の章に『2』の主人公であるネスが登場する予定であった)。
最終更新:2021年05月29日 11:18