パックマン


マリオと並んで世界でも有数の知名度を誇る、ナムコのビデオゲーム『PAC-MAN』*1に登場するキャラクター。
黄色のボディにパイカットのような口が付いてるだけの極めてシンプルな造形である。
プレイヤーはパックマンを操作し、追跡してくるモンスター達に捕まらないように、
迷路の中に散らばった「ドット(エサ)」を食べ尽くす事でゲームクリアとなる。


ピークを迎えたインベーダーブームの影響により、ゲームセンターには戦争を題材としたシューティングゲームが多く出回るようになっていた。
開発スタッフはゲームセンターの雰囲気を、殺伐としたものから和やかな場所へと転換する事を一つの方向性として企画し、
女性やカップルをメインターゲットに絞った。
パックマンの生みの親である岩谷徹氏は、キャラクター造形に関して、
「女性をターゲットに、『食べる』をキーワードに開発した。パックマンは丸いピザの一片を取って思いついた」と発言している。

それまでに市場に出回っていたゲームとは異なり、無個性に近かったゲーム登場キャラクターに対して明確な性格付けを行い、
ゲームシステムの簡易化(使うのは4方向レバーのみ)、コーヒーブレイクの導入(長時間プレイによる緊張の緩和)など、
意欲的なアイディアが盛り込まれ大ヒット作となった。
またゲームを飽きさせない工夫は敵の動きでも見られ、これまでの敵は「自機に向かって誘導・追尾する」というのが常識だったが、
このゲームでは「自機とは関係ない場所を狙う・追尾するポイントをずらす」といった工夫により、
常に行動予測がし辛く、またパターン化になり辛いという事から、プレイする度に敵の動きが変化していくという点も人気を博す事となった。

その後も『パックランド』『パックマニア』など続編が多数製作され、ナムコを代表するキャラクターとして、同社の『リッジレーサー』シリーズの隠し機体や、
『スマッシュコート』シリーズの隠しキャラおよび自作用コートのオブジェとして登場したり、同社のゲームの主人公の帽子のデザインになっている他、
某アーケードゲーマーのパンツのデザインになったり、はたまた清涼飲料のイメージキャラクターに起用されるなど、ゲスト出演も多い。
そして、米国では国内を上回る人気を獲得し、アニメやCD、キャラクターグッズなど400種類以上のライセンス商品が発売されたという。
また、パックマン稼働当時の家庭用ゲーム機がそこまでメジャーではない時代においては、LSIゲームなどでも移植、
もしくは模倣品が出回るほど、そのゲーム性に優れていた事も特徴的である
(当時の世代の人なら、純粋なライセンス版パックマンよりも、
 その模倣版ながら独自のアレンジで大ヒットを記録したエポック社の『パクパクマン』の方が記憶に残っている人も多いだろう)。
上記のマリオとも『マリオカート アーケードグランプリ』において共闘を果たしている。

2013年にはパックマン30周年プロジェクトとして、フル3Dアニメ『パックワールド』が製作・放映。
ビジュアルが一新されている。担当声優は 寺崎裕香 女史。

+ 3Dのパックマン
である。
もちろん、普通にプレーするとこんな事にはならないので安心して欲しい。

ゲームの『パックワールド』ではアニメ版のビジュアルが元になっているのだが、こちらは海外向けにデザインされており、
ゴーストを一通り食べた後はゲップでゴーストの目玉を吐き出す。コレはゲームのみならずアニメでもやらかしていて、ちょっと下品。
すっげぇキモいデザインだな!
この作品ではイジケ状態でないゴースト達を脅かさずに食べられたり(イジケ状態にして食べた方が得点が高い)、
特殊なベリーを食べる事でゴーストを動けなくしたり直接攻撃を行えるようになる。

そして、パックマンは1980年に発売した業務用ゲーム機で「最も成功した業務用ゲーム機」として、『Guinness World Records』に認定されている。
また、1987年までに29万3822台を販売した実績が評価され、2006年度版のギネスブックから掲載されている。

(Wikipediaより一部引用)

2017年に公開されたショートアニメ『PAC-STORE』ではバーロー 高山みなみ 女史が担当。

+ 「ドットイート」と言うジャンルについて
上でも少し述べたが「ドット」(上では作品のノリからエサとしたが、正しい和訳は「点」)を「イート」(食べる)ゲームの事。
ただし、最初のドットイート作品はセガの『ヘッドオン』である。
尤も、ヘッドオンの登場キャラは敵味方共に自動車の為、「イート」とは言い難いが。
(ナムコもパックマンより後にドットならぬ「チェッカーフラッグ」(旗)を集める『ラリーX』と言うのを出している
 後のナムコ作品での残機UPターゲット「スペシャルフラッグ」初出の作品でもある(『ラリーX』では得点倍増ターゲットだったが))。
余談だが、かつてはセガのアーケード筐体を買うと、ヘッドオンを元とした『ドットリ君』と言う基板が付いてきたそうな
(当時は「電気用品安全法」により単体でゲームが出来ない(基板が付いていない)筐体は不良品扱いされて販売出来なかったため。
 一方でゲームセンターに即捨てられてしまう事が前提なので「とにかく安く」がモットーな基板である)。
そのためゲームセンターがセガ系筐体を買うのはドットリ君を買うのと同義なため、世界一売れたゲーム基板と冗談交じりで言われている。
特に人気があるゲームでもないが
(フリープレイ専用で営業使用は不可能なので、プレイ経験があるのはゲーセン関係者か個人でアーケード基板を買う様な人間ぐらいである)、
セガの「アストロシティ」筐体を模したアーケードゲーム集『アストロシティミニ』にもネタとして収録された。

更に余談だが、シューティングゲームにおいて攻撃を一切行わず、ひたすら回避だけに専念してゲームを進行させるプレイを、
トレジャーの『斑鳩』の「ドットイーター」と言う称号から「ドットイート」と呼ぶ事も。
ただし単に回避を徹底するだけのプレイなら「パシフィスト」(平和主義者。タイトー『ナイトストライカー』の「パシフィストボーナス」から)
の方が通りが良いが
(『斑鳩』の場合は「敵弾を吸収する」システムが採用されているため「ドットイート」という表現が成り立つ)。

+ 映画作品におけるパックマン
これだけ世界的な人気を獲得した事もあり、ついにはゲームから銀幕の世界へと進出した。

まずは2015年のアメリカ映画『ピクセル』。
この作品では、受け取った地球のゲームを曲解した地球外生命体が、尖兵として実体化させた存在という設定で登場した。
異常なまでの巨大な姿であらゆるものを四角いドット(ピクセル)へと分解し、食い尽くしていく様は正に絶望的な光景。

また、日本でも2016年末に公開された『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』にて登場。
佐野史郎氏演じる Dr.パックマン を名乗る黒幕に新型バグスターウイルスとして利用されてしまい、
今度も『ピクセル』よろしく巨大化して仮面ライダー達をも食い尽くそうとする。
ここでは 「ゴーストに弱い」 という元のゲームの仕様が反映され
仮面ライダーゴーストが弱点となり、戦いの決め手として活躍する事になった。

なお、『平成ジェネレーションズ』に登場したのはバンダイナムコグループという括りの中での融通が利いた面もあり、
その後のネットムービー『【裏技】仮面ライダーゲンム』では、
エグゼイドの強化形態・ パックアクションゲーマー として、今度はライダー側の力になっている。


格闘ゲームにおけるパックマン

格闘ゲームでは『ストリートファイター X 鉄拳』のPlay Station3/PS Vita版限定で参戦している。
身長不足を補うために木人を模した二足歩行ロボットに乗っているため、重量級キャラになっている。
公式でゲーマー設定のある吉光には好印象だったが、どうにも同時参戦のメガマンにインパクト負けしている気が……。

そして、2014年には『大乱闘スマッシュブラザーズfor3DS/WiiU』にゲスト参戦した。

これにより、任天堂カプコンセガ・ナムコの四大看板キャラが揃う事となった(残念ながらコナミは本作ではお休み)。
ゲーム内では記事冒頭のデザインで登場するが、ダッシュなどの一部の行動ではアーケードでの姿(ドットイート版)に変身する。
…正直食べたゴーストの目玉をゲップで吐き出すアニメ版のビジュアルじゃなくてよかったよ。
というか使えるのがアニメ版デザインだったらお蔵入りにしていたらしい

また、彼のホームステージとして、
『3DS』では初代パックマンのフィールドを模したステージ、
『WiiU』『SP』では強制横スクロールステージ「パックランド」が登場する。

性能面はざっくり言うと、中〜遠距離を中心に戦う飛び道具主体の超トリッキーキャラ
2つの設置技で相手を寄せ付けず、隙を見て強力な飛び道具を叩き込む戦法が強力。
手足や口を使い、果てには4色のモンスターズまで出現させる通常技自体は全体的に見るとあまり強力とは言えないが、そつが無く使いやすい。
必殺ワザはとにかくコミカルかつ強力で、わからん殺しに特化した性能。手慣れたパックマンと対峙した際には、
「崖を登って復帰したと思ったら、いつの間にか崖から落ちて死んでいた」
「避けた筈のリンゴが戻ってきて直撃し死んだ」
なんて事もよくある話。
バーストされない限りほぼ間違いなく戻って来られる異常な復帰力や、設置技による拒否性能、飛び道具の強さが評価される反面、
封印推奨とまで言われる掴み性能の低さ、バースト力不足、反射技を持つキャラに対する相性等が弱点として挙げられ、ランクはかなり下の方と言われている。
最大の難点は操作難度の高さ

『SP』では必殺ワザ関連の強力な固有テクニックが軒並み排除。
消火栓飛ばしに一役買っていたヘディング攻撃の上強が完全な対空攻撃のアッパーに変化したりと、
『for』時代に評価されていた自由度の高さが奪われ、発売前の試遊会イベントを体験したパックマン使い達は悲しみを背負った
…しかし、いざ発売されると評価は一転。前述の死に技と思われていたアッパー攻撃は長リーチ、拳無敵、ヒット後はコンボに繋げられたりと、
使い所を選べば光る渋い技であり、その他の各種近接性能、掴みも大幅強化。
そしてパックマン使い達の飽く無き研究心により新たなテクニックが続々と発見され、
近距離戦も遠距離戦も器用にこなせる強キャラの地位にまで登り詰める事となった。

+ 各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
  • フルーツターゲット(NB)
片手を上げてアーケードで出現するドット絵のボーナスアイテムを取り出し、再度入力する事で投げる。
もう一度Bを入力するまでの間にアイテムが変わっていき、それに応じて威力や吹っ飛ばし、飛ぶ軌道が異なってくる。
シールドで溜めを中断する事が可能。当たるとその場で消えるが、ボス・ギャラクシアン以降は貫通効果がある。
オレンジ以降は溜め時間が倍増。これは何気に原作を忠実に再現している。アイテム扱いなので、キャッチしてもう一度投げられる。
2回目以降はキャッチできなくなるが、空中で掴みボタンを押すアイテム離しだと何度でもキャッチ可能。
フルーツは場に1個しか出せないので、敵にキャッチされると立ち回りが途端に弱くなる点には気を付けよう。
なお、アイテム離しでぶつけてもフルーツ自体の威力は変わらない。
『SP』ではアイテム離しでも投擲扱いになり、溜めのキャンセル手段がいくつかに限られたりと自由度は減ったが、
フルーツの溜め時間がやや短縮された他、攻撃判定が強化された。
チェリー:すぐに投げられるためか、飛距離と威力は控えめ。
イチゴ:飛距離と威力が増したチェリーといった性能。小さく山なりに飛ぶため、復帰妨害に。
オレンジ :まっすぐ飛ぶ。当たるとやや水平気味に吹っ飛ばせる。
リンゴ:斜め下に投げ、何度も跳ねながら進む。真上方向への吹っ飛ばし力が高くバーストに一役買ってくれる。
メロン:ゆっくりと小さな山なりで進む。威力と判定に優れる。
ボス・ギャラクシアン:少しまっすぐ進んだ所で宙返り。多段ヒットが狙えるコンボ向けの性能。
ベル:大きく山なりに飛び、頂点に達した所で真下に落下。痺れ効果があるのでヒット後は各種スマッシュや横Bで撃墜を。カキ氷ではない
カギ:見てからの反応が困難な程のスピードで直線上に飛ぶ。威力も申し分なし。

  • パックンジャンプ(上B)
アーケードでの姿に変身し、『マッピー』に登場するトランポリンでジャンプ。
トランポリンはその場に留まり、対戦相手も含めて三回利用可能(青→黄→赤)。
黄色の時が最もジャンプ力が高く、赤色の時に乗ると跳ねずにしりもち落下となる。
踏むと強制的にジャンプさせる設置技としても機能し、とりあえず敷いておくだけでも相手の動きを大きく制限可能。
相手と密着して使えば発生1Fのガード・回避無効技に早変わり。
何気に凶悪。
SPではモーションはそのままに上記のガー不戦法が使用不可となった。
更にトランポリン自体に耐久力が追加され、攻撃を受けると威力に応じて色が1~2段階変化するように。
これを悪用するパックマン使いもいるため、一概に弱体化とは言えない独特な新仕様。

  • 消火栓(下B)
足元に消火栓を設置。
その後は上か左右に二回放水し、パックマンや相手を押し出す(ダメージは無い)。
水流は前述のフルーツの軌道にも大きな影響を与えるので使い手の応用力が試される。
消火栓に合計13%のダメージを加えると転がり、高威力の飛び道具へと変化。
相手も同様に消火栓を吹っ飛ばせるので注意。

  • パワーエサ(横B)
スティックで距離や軌道を調節した後にアーケードでの姿に変身し、その道に沿ってパワーエサを食べつつ突進。
パワーエサを食べると突進の威力と吹っ飛ばし力が上がる他、スーパーアーマーも付加される。
調節中に相手の攻撃がパワーエサにヒットした場合、行動が中断され、パワーエサは2%の回復アイテムとして残る。
相手の飛び道具と相殺させるなんて芸当も。
落とした後は拾って回復するも良し、たかが2%と割り切り相手に存在をちらつかせるも良し。
使用後はしりもち落下にならないため、パックンジャンプと組み合わせると驚異の復帰力を持つ。

パワーエサとスーパーエサを同時に食べて巨大化しながらアーケードでの姿になり、
一定時間アーケード版と同じ感覚でスティック操作する事になる。
相手に当たると得点表示のエフェクトと共に食べて攻撃する(相手は原作での食べられたイジケモンスターの姿になって吹っ飛ぶ)。
『SP』では画面上を高速で縦横無尽に駆け回るものに変更。スティック操作で移動方向を若干調整できる。

余談だが、『スマブラ』プレイヤーの間でパックマンは「金玉」というあんまりなあだ名で呼ばれている。確かに金色で丸いけどさぁ…。
何故か超合金のロボットとしてもフィギュア化されており、そのメタリックな質感はまさに金玉である。


MUGENにおけるパックマン

MUGENでは以下のパックマンが確認されている。
キャラ以外では、おつかい氏のリック・テイラーがドットイート版を召喚する他、
ナムコの波動に目覚めたあのキャラ必殺技に敵モンスター共々使われていたりする。

+ leonardo氏製作 『PAC-MAN』ベース
  • leonardo氏製作 『PAC-MANベース』
レオナルドと同じ作者が製作した、ドットイート版をベースに作られたパックマン。
ただし、このキャラは最新版MUGENで使おうとするとエラーが出て使えないので、キャラファイルを修正する必要がある。

+ 作者不明 『ハロー!パックマン』ベース
  • 作者不明 『ハロー!パックマン』ベース
SFCソフト『ハロー!パックマン』のスプライトを使用して製作されたパックマン。
詳細情報求む。

+ RoySquadRocks氏製作 スマブラ風
  • RoySquadRocks氏製作 スマブラ風
『大乱闘スマッシュブラザーズFor3DS/WiiU』で使用している必殺ワザが搭載されたパックマン。
フルーツや消火栓を用いたワザが忠実に再現されている他、
ドットイート版に変化しての攻撃や、超必殺技では同社の『ギャラガ』や『ディグダグ』のキャラを召喚する。
ボイスも『ハロー!パックマン』のものが搭載されている(といってもリアクションなどの掛け声のみだが)。

AIもデフォルトで搭載されており、defファイルを使い分ける事で強さが2段階に調整できる他、
WinMUGEN用か新MUGEN用かを選択する事も可能。必要に応じて使い分けられたし。
また、2021年1月24日にはホルン氏による外部AIが公開された。
こちらは恒例のコンボ・立ち回り・反応・ガードレベルに加え、喰らい抜けブロッキング頻度の設定が可能。
想定ランクは強~凶下位との事。
紹介動画(非最新版)

+ Chuchoryu氏製作 ストリートファイター X 鉄拳風
  • Chuchoryu氏製作 ストリートファイター X 鉄拳風
    
海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されていたが、現在は「MUGEN Database」において旧版のみ入手可。
上述の『ストリートファイター X 鉄拳』のパックマンを手描きドットで再現したもの。
カラーパレットも豊富に用意されており、12色のカラーバリエーションを持つ。
システムは『CVS』風で、チェーンコンボやブロッキング、EX技が使用可能。
ドットの完成度自体は高く、必殺技も一通り搭載されているのだが、残念ながら性能までは再現されておらず、
EX版の無敵およびアーマー付加や、タメる事での性能の変化等は一切存在しない。
そのため「パックダッシュ」が単に発生が遅いだけの死に技と化してしまっている。
また、飛び道具の「パックドットアタック」のモーションが何故か完全無敵だったりと、設定ミスと思しき部分も見受けられる。
AIは簡易的なものがデフォルトで搭載済み。

+ This Boy氏製作
  • This Boy氏製作
BanjoKazooieDuo927氏のスプライトを使用して作られたMUGEN1.0以降専用キャラ。
水道管の設置等、スマブラを再現したアクションが多い。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画(DLリンク有り)


パックマン無双(8:00~)

出場大会



*1
最初期は『PUCK-MAN』表記だった事もある。
現在の表記に変更されたのは「ヤバイ単語」を連想させてしまうからだろう。
というか、改造基板の中には実際に「ヤバイ単語」にされてしまったものも存在する。


最終更新:2022年08月29日 14:20