1995年に今は亡きデータイーストが製作したアーケード用武器格闘ゲーム。ST-V基板使用。
『
三国志演義』『
西遊記』
、R-18小説の『金瓶梅』と並ぶ中国四大奇書の一つ『水滸伝』を原作とした所謂「原作付きゲーム」ではあるが、
古典故に著作権が切れているのを良い事に大きな改変が見られる
*1。
別に原作の人気がゲーマー層に高いわけでもなく(そりゃまあ作品としての知名度は最高レベルではあるのだが)、
ゲーム性もかなり特殊であったため、はっきり言ってしまうとあまり人気は獲得できなかった。
それ故のテコ入れか、最初の家庭用移植の際にキャラや
システムの
ボイスはプロ声優で録音し直され、
さらにPS用移植版と、SS専用ながら二作目にあたる『水滸演武 風雲再起』では
『
ファイターズヒストリー』シリーズからゲストキャラを登場させている。
格闘ゲームのジャンルとしては一応
武器格闘&
コンボゲーの範疇に入るだろうか。
相手を打ち上げて叩き落して空中コンボ決めて吹っ飛ばして6~7割がザラだった。
そしてアーケードから家庭用版、風雲再起とバージョンが変わるにしたがいその傾向が一層強くなる。
特に『風雲再起』ではコンボが繋がり易くなる素手モードでは、コンボ数が数十に達する事が容易であり、
その様は
戦国陸上を彷彿とさせたり、
一人だけ別ゲー状態で抜け出ているキャラが居たりと、かなり
世紀末なゲームであった。
なお、『水滸伝』の舞台となる時代はちょうど12世紀が始まった所で、残念ながら「11世紀末」ではない。
「
北宋末期」ではあるのだが……。
キャラクター
『水滸演武』
呼延灼(スペシャルモード限定、CPU専用)
呼延灼はスペシャルモードで難易度を4以上にし、コンティニュー無しで勝ち進んだ場合のみ
対晁蓋戦前に登場するという
隠しキャラで、性能、行動ルーチンともにかなり特殊なものになっている。
具体的には「投げと
通常攻撃無効(奥義や武器飛ばし攻撃は有効)」「
残りタイムが25付近まで
遠征の疲れで攻撃してこない」
「残りタイムそれ以下で
即死攻撃を乱発」という、実質クリアできないとゲームオーバーにされる
ボーナスステージである。
溝口はスペシャルモードを選んでゲームを始め、タイトル画面で素早く ↑、↓、←、→、↓、↑、→、←、L2、R2 と入力すると
対人戦モードでのみ使用可能になる。
『水滸演武 風雲再起』
史進、林冲、扈三娘、戴宗、李逵、魯智深、公孫勝、武松、阮小二、阮小五、阮小七、晁蓋(最終ボス)、溝口誠、
柳英美
『風雲再起』では全キャラが全モードで使用可能。
システム
以下、便宜的に『水滸演武』を『1』、『水滸演武 風雲再起』を『2』と表す。
操作系は『1』『2』共に1レバー6ボタン。武器攻撃(もしくはパンチ)ボタンとキックボタン、弱中強の三段階。
本作では
必殺技を「奥義」と呼び、
超必殺技にあたるものとして「秘奥義」と「究極奥義」の二種類がある。
『1』の特殊操作
挑発 |
弱攻撃同時押し |
騙し気絶 |
中攻撃同時押し |
武器投げ |
強攻撃同時押し |
小ジャンプ |
ジャンプ後すぐに↓ |
ダッシュ |
→→ |
バックステップ |
←← |
バックダッシュ |
←←← |
特殊ガード |
(地上でののけぞり、ガード、起き上がりの最中に)↑↓↑↖← |
『2』の特殊操作
小ジャンプ |
弱攻撃同時押し |
武器置き・武器拾い |
中攻撃同時押し |
武器投げ |
強攻撃同時押し |
ダッシュ |
→→ |
バックステップ |
←← |
バックダッシュ |
←←← もしくは 小Kを押しながら←← |
空中ガード |
(空中で)←要素 |
特殊ガード |
(地上でののけぞり、ガード、起き上がりの最中に)↑↓↑↖← |
武器ゲージシステム
本シリーズには
パワーゲージは存在しないが、武器ゲージというものが存在する。
これは武器の耐久値を示しており、基本的に減少する一方でラウンドを跨いでも回復はしない。
このゲージが0を切ると武器が破壊され、その衝撃でキャラは
気絶してしまう。
- 敵の武器攻撃や必殺技をガードする
- 自分の武器攻撃をガードされる
- 武器攻撃同士がかち合う
武器を持っている限りはゲージの減少は避けられないので、消耗の度合いがひどくなってきたら、
投げつけたり、その場に置く(『2』のみ)などして気絶を回避するのも戦略である。
なお、武器ゲージがラウンドを跨いでも回復しないのと同様に、
破壊されたり投げつけたりして武器を失った状態も、ラウンドを跨いでもそのまま持ち越される。
『1』では幻術を武器にする公孫勝と
手のような形に変化する水塊を武器にする阮小二の二人に限り、武器投げが使用できない。
しかしその代わりにこの二人にだけ「武器を破壊され素手モードでいる間、徐々にゲージが回復していき、
満タンに戻ると再び武器が使用可能になる」という、まるで
スタンドゲージのような特徴が与えられている。
『2』では二人とも武器投げが可能になり、武器を破壊された時には以前同様に時間経過でゲージが回復するが、
自分から投げた時には回復しないという仕様になった。
晁蓋、溝口、英美の三名は武器を所有しない素手モード限定キャラで、初めから武器ゲージが空である。
特殊ガード
本シリーズの特殊性の最たるものにして、「超」がつくほどの重要システム。
入力に成功するとキャラの上に黄緑色のバリアのようなエフェクトが表示され、
「立ちガードのモーションで基本行動全般が不能だが、投げ技以外には無敵」という状態になる。
持続時間は『1』でも大振りな強
通常技を優に数回スカせる程度はあり、『2』ではさらに長い。
もちろんそのままでは投げられてしまうのだが、必殺技ならば出す事ができる。
さらに『2』の場合、(即座にというのは無理なようだが)Kボタン3つ同時押しで自由に行動が可能な状態にも移行できる。
そしてここが肝心なのだが、この時、無敵時間は
そっくりそのまま継続される。
『CVS2』の
前転キャンセルの無敵持続時間がうんと長くなったようなものと思って貰えば大体合っているだろう。
ただし、上の特殊操作の一覧に書いてある通り
喰らいキャンセルで出せるのが大きな違い。
このため、究極的な事を言うなら地上の相手へのコンボというものは事実上本シリーズには存在しないのである。
特殊ガードを確実かつ迅速に出せるようになる事、特殊ガードを使わせないよう常に空中コンボのみを狙う事、
敵の起き上がり後の特殊ガードを使っての暴れをしのげるようになる事、
本シリーズの対人戦ではこれらが非常に重要となる。
なお、特殊ガード中の相手にも投げ技は通用するわけだが、打撃無敵のまま小技連打とかが可能なので、
こちらも特殊ガードを使いでもしないと近づくのは容易ではない。
MUGENにおける水滸演武
本シリーズからのキャラの中では、以前から動画で見る機会はほとんど無いが扈三娘の存在は確認されていた。
そして2010年秋、ですからー氏により主人公的キャラである史進が、さらにmass氏によって阮小五が公開された。
どちらも
AIが標準搭載されているため、今後の活躍に期待したい。
さらに、ですからー氏が別次元の強さを持つ公孫勝を製作。狂レベルの大会に顔を出している。
続いて
アントニオ武松も登場。少しずつ梁山泊の好漢達が顔を揃え始めている。
また、とけい氏作の溝口誠は基本的に『FH』シリーズがベースではあるが、本シリーズでの技やボイスも搭載されている。
*1
本作では小柄な老人にされている公孫勝は原作ではむしろ大柄な男で老人でもないし、
家庭用機移植版の説明書で
「ホモっ気がある」など色々と書かれてしまった阮小五も原作ではそんな事は無い。
また扈三娘は梁山泊入りの際に王英という男の妻にされているのだが、一作目の本人のエンディングでの台詞によれば、
王英には付きまとわれているだけでどちらかと言えば迷惑がっており、まだ独身のまま、という設定に変更されているらしい。
まぁ『西遊記』の三蔵法師も夏目雅子女史が演じたドラマ版が大ヒット以降、日本では
女性キャラとして登場する事も多いし
(ただし、件のドラマではあくまでも「美青年」と言う扱いであって女性ではない。要は宝塚)。
最終更新:2023年10月14日 17:46