ワンダ

「星よ…ボク達に力を貸して!」

種族 人間
クラス ユーシャ
使用武器 星の鍵(セイケン)
好きなもの カレーおまんじゅう

概要

THE KING OF FIGHTERS』などで知られるSNKプレイモアが2008年にニンテンドーDSで発売したRPG『キミの勇者』の主人公*1
巨像と戦ったりバケツをかぶせられたマリオを連れて行ったりはしない。そっちの方が知名度上だろうけど。
担当声優は同社制作のアドベンチャーゲーム『どきどき魔女神判』シリーズで主人公・西村アクジを演じた、オフィスCHK所属の尾崎未來女史。
『新星輝デュエル・マスターズ フラッシュ』の夢実テルや、『トリニティ・ユニバース』のカナタの声を演じた人というと分かる人には分かるだろうか。

+ 『キミの勇者』について知らない方のために解説
2006年にニンテンドーDSに参入したSNKプレイモアが、
『どきどき魔女神判!(旧題・どきどき魔女裁判)』『電子メイド手帳 恋のいろは(発売中止)』と同時期にDSでの製作を発表したタイトルの1つ。
それから長い時を経て、『どきどき魔女神判2』と同じ2008年に発売された。
ただ、キャラクターデザイン案の一部をPS2版の『ティンクルスタースプライツ』に流用しているので、
実際にはもっと早くから開発が進められていたと思われる。
プロデューサーは『どき魔女』と同じく松下佳靖氏、キャラクターデザインも同じく藤ノ宮深森氏が担当した。

「1日30分のRPG」をコンセプトとして作られており、ストーリーがアニメや漫画のような章仕立てで進んでいくが、
ドラゴンクエストIV』のように1章が長いわけではなく、
ストーリーをただ進めるだけならば本当に30分で1章が終わってしまうようなバランスになっている
(実際にはギルドなどの一部要素を攻略するのに時間をかければ1章が1時間ほどかかるが)。
このため、難易度も非常に低くライトゲーマー向けのRPGとされるが、王道ながらも丁寧に作られたストーリーや個性的なキャラクター、
ギルドの依頼をクリアすると手に入る使い道の無いアイテムや、宿屋で泊る時にその宿で出される料理の情報が出てくるといった、
妙な所に気合が入っているなどSFC時代のRPGを思わせるような要素も多く、レトロゲーマーでも楽しめるような作りになっているのが特徴。

また、戦闘はFFシリーズのようなサイドビューでターン制だが、DSの2画面を利用した縦に長い戦闘画面、
2Dドットグラフィックでしっかりと作られたキャラのアニメーション、一定確率で発動する「連携」やそれから派生する「上級星技」「覚醒星技」など、
戦闘のテンポの良さや演出面に力を入れていることを特徴としている。
覚醒星技は格ゲーで言う所の超必殺技のようなもので、キャラごとに専用のものが用意されている。
細かく描かれたドットによる演出は流石SNKプレイモアと言った所か。
なお、DSであるにもかかわらずタッチペンは一切必要としない。
これは「ピッタリだと思ったのは、あくまでも携帯性や2画面といった部分だった」、
「DSだからといってタッチペンを使わなくちゃいけないというわけではないだろう」というプロデューサーの判断によるもの。

一方で連携の確率が低く任意で発動することが出来ないことや、それに伴い覚醒星技がロマン技に近いものになっていること
(加えて威力自体もそれほど高くない)、
ギルドの依頼が一定期間一部の街でしか受けられないものがあるのに、それらについて何の説明もなく、1度取り逃したらもう1周するしかないこと、
ストーリーピースという選択肢によって手に入る1枚絵が変わるという要素があるのだが、
これも1周で一通りしか手に入らずもう1周しなければコンプリート出来ないこと、これらのように明らかに2周目を想定した作りなのに、
クリア後は隠しダンジョンに挑戦出来るだけでデータを引き継いで2周目に移れない(所謂「つよくてニューゲーム」が無い)など、
そういった点について作りがやや雑だと批判されることもある。

しかし、上記の点についてはストーリーの進行上やむを得ないもの(仲間から外れるメンバーなど)であったり、
ストーリーピースはクリア後の隠しダンジョンに関わってくる内容なので、一概にこれらの点で批判するわけにもいかない。
ストーリーなどとの整合性を取るか、ゲーム性を取るか。スタッフも悩んだ結果なのだろう。
ワンダは星鍵が壊れても普通に戦ってたし、ギルドの依頼でセラの人形が盗まれても演出では何事も無かったかのようにはめているって?忘れろ。

と、色々と惜しい所もある作品だがプレイヤーからの評価は高く、続編や他作品への外部出演を望む声も決して少なくはない。


キャラクター設定

+ 始めに、この世界での勇者についての解説
作品の舞台となる世界「ミディアリアス」は神によって創られた浮遊大陸。だが、ある時そこに魔王と呼ばれる邪悪な存在が現れた。
神と魔王による世界を賭けた戦い。しかし、神は魔物によって破壊された大陸の修復にも力を使い徐々に劣勢となっていった。
人々が絶望の淵に立たされたその時、ある1人の戦士が舞い降りる。人々はそれを神の使い、「勇者」と呼んだ。
その手には星の力を宿した聖なる武器「セイケン」を持ち、それが振るわれる度に大陸を包む闇は掻き消され、遂に魔王は封印された。
それから勇者は姿を消し、人々は天に帰った勇者を「星の勇者」と呼びならわし、勇者と共に戦った人々を「星の従者」と呼ぶようになった。
そして、いずれ来るであろう魔王の復活の時、再び勇者が現れるという勇者伝説が残ることになった。

物語の冒頭で従者の試験を受けていた名家の1人娘であり、魔法使いのティオ・リッヂモンドの前に突然現れた少年。
勇者の名を騙り従者を始末していた魔物の罠にティオがはまっていた所を救出。星鍵(セイケン)で魔物を消し去ったことから、
ティオは彼を勇者と確信するようになり行動を共にするようになる。

一人称は「ボク」で、心優しい少年であるが若干天然気味。加えてティオに対しては毒舌でよくからかう。
プロデューサーによると、これは彼女を信頼し友達だと思って心を許している証らしいが、実際の所はギルドのマスターを「おっさん」呼ばわりしたり、
エルフを「ヒキコモリ」とか言ったりして他に対しても結構口が悪い場面もある。二人称も基本的に「キミ」を使い相手の上下に関係無し。敬語も一切使わない。
青い短髪の髪(耳が隠れているが)、セーラー服のような上着にスパッツ、裸足の上にシューズ、
猫耳のような頭巾(「聞き耳ずきん」といい、被っていると動物と会話出来る)を被ったその姿は、天真爛漫な性格と相まって到底勇者とは思えない。
加えて中性的な顔立ちの上に服装が服装なので、女の子と間違われてもおかしくなさそうなもの*2だが、劇中では特に女と間違われる場面は無い。

そんなわけで劇中では行く先で勇者であることを信じてもらえず、ギルドの依頼では他にその依頼を受けたパーティからも舐められている。
…というか仲間になるキャラの中にも実力を示さない限り信じなかった奴がいるぐらいである。
それだけならまだいいが、パーティメンバー中では基本的に「勇者様」と呼ばれるにもかかわらず、ティオからは最初から「ワンダさん」とさん付けで呼ばれる。
その理由が「勇者らしくないから」。
いざ彼女が勇者という肩書を使ったら当の本人が間抜けな顔で困惑していたりする。扱い酷くないか。
さらに、ティオが町で情報収集している時に突然いなくなったり、森の中で1人謎の光と笑いながら戯れていたりと謎の行動も目立つ。

だがその力自体は本物で、星鍵から発揮される力で魔物を消し去ったり、
足に付けた「ウイングシューズ」の力で空を飛び回ったり、星獣を召喚したりと勇者としての力は十分に持っている。
これらを用いた戦闘能力も一般人から見れば遥かに上らしく、パーティメンバーの協力ありきとはいえ、
他の人ではどうにも出来なかった盗賊団を壊滅させたりしている。
そして、そういったことの積み重ねもあってか、周囲にも次第に勇者として信頼されるようになっていく。
魔王を倒した際には正式に勇者一行として出迎えられていた。

+ 終盤ネタバレ
その正体は、神が新たに遣わしたものの姿を消した新しい勇者の代わりとして、急遽作り上げられた存在である。
つまり、本物の勇者ではない。持っている道具も本物に準ずる力を宿しているが本物には敵わない。
たとえば星鍵は本来不滅の金属であるオリハルコンで作られているのだが、ワンダのそれは魔力を用いて同等の強度に強化しているに過ぎず、
力を酷使すれば故障し、本物の勇者が使う星鍵には簡単に折られてしまう。
また、劇中では年齢が明かされていないが、勇者達の世界の人々はこの世界よりも時間の尺度が長く、この世界で言う所の数千年以上生きる。
そのため、見た目は幼いがワンダも実は数百歳から数千歳という可能性もある
(といってもこちらの世界での話で元の世界では見た目相応の年齢なのだろう)。

+ 勇者伝説の真実
かつてミディアリアスは地上にある大地の1つだったが、ある時魔王と神が地上の覇権を賭けて争うことになる。
しかし、あっさりと魔物に地上は制圧されてしまい、残された大陸を魔物の手に渡すまいと、
神は既にロストテクノロジーとなった特殊なアーティファクトで大陸を浮かべた。これがミディアリアスである。

しかし、それでも魔族の手は伸びてきた。これに対し、神は別の世界から戦士を呼び出し捨て駒として魔物にぶつけた。
倒れた人々はミスリルの結晶に自分の力と記憶を封印し、それが星の記憶としてワンダ達に受け継がれることとなる。
そして、別世界から呼ばれた戦士の1人・神名が遂に魔王を封印したが、
それからは不自由な身でありながら、従者のドラゴンと共にその地で魔物を食い止めるため戦い続けることになる。
やがて魔王の復活が近くなり、神は神名の弟であるグレイを勇者としてこの世界に遣わした。
しかしグレイは命令に背き、姉の記憶が入ったミスリルの結晶を求めて単独で行動するのであった。

このため、ワンダが勇者として派遣されたのだが、道中で星鍵を酷使したためにヒビが入ってしまうなど明らかに間に合わせであり、
また自爆アイテムを持たされていたことからも、神は他の戦士と同様最初から捨て駒として扱うつもりだったようである。

ワンダ達が魔王を撃破した後、グレイは神の塔で神をも超える力を持つとされた禁断の兵器「プロキオン」を発見する。
人を命を何とも思わず、遂にはこんなものを持ち出してきた神に憤るグレイは、これを用いて世界を破壊することで神に復讐を企てるが、
そこにワンダ達が現れる。
ワンダ以外を金縛りにし、1対1で戦うグレイだが、その力の差は圧倒的で、本物の星鍵によってワンダの星鍵は砕かれてしまう。
しかし、その後パーティメンバーにグレイの星獣は倒され、さらにそこに現れた姉の姿にグレイは戦意喪失。
地上に向けて砲撃しようとするプロキオンを止めるため、グレイはワンダの持っていた自爆アイテムを持って突撃し、後に星鍵を残して消えてしまった。
そこに神が現れプロキオンを再起動。魔界へと繋がる門を、その周囲の人々ごと破壊しようとする。
ワンダはこれ以上の犠牲を出さないために、グレイの星鍵を手に取って神とプロキオンに立ち向かう。

激戦の末にプロキオンは撃破したものの、神を逃がしてしまったワンダ達。そこに旅の道中でアドバイスをくれた占い師が現れる。
彼の正体は上級神で、世界を私物化する神の悪事を暴くためワンダ達を利用していたのだという。
「証拠が無い」という理由で神を野放しにし1000年以上の間に多くの犠牲を出したことに怒り、上級神に暴力を振るうティオ。
上級神は渋々それを受け入れ、重要なことを伝えにきたと語る。
戦いによって大陸を浮かせる力が失われ、今は他の神が支えているが数年後には地上に落ちるということ。
そして、魔物に制圧された地上には魔王が封印されている間に魔王以上の力を持つ者がいること。
地上に落ちれば、一気に魔物に攻め込まれ、人々は全滅する…。

上級神はワンダ達だけを別の世界に逃がそうとするが、彼らはそれを拒否。
それならば被害を減らすため地上に降りて魔物を倒すように頼まれ、ワンダはそれを承諾。
付いていこうとするティオ達を振り切り、単身地上に向かうのだった。


MUGENにおけるワンダ

赤井まほを製作したway-oh氏によるものが公開されている。現在のverは1.01で、AIは搭載されていない。
スプライトは手描きで、枚数は非常に少ない(氏によると「どこぞのげんじんしんの方が多いかもしれない」との事)が、
ヒットエフェクトはくんしょうも氏の、ポートレイトは原作のものを使用しているが、それ以外のエフェクトやカットインなどは全て自作である。
なお、カットインは本来原作のものを使う予定であったが、見付からなかったため手描きになったとのこと。
ボイスも搭載されているのだが、音声が吸い出せない上にサウンドテストが無いため直接録音も難しく、
同じ声優でも『どき魔女』のアクジの声をやや高くなるよう加工したものや、原作のBGMが入った音声を使うなどしているので、
統一性が無くノイズも著しい。クリアな音声素材が欲しいそうな。

同氏製作のまほと同様のシステムが搭載されているが、二段ジャンプが可能で、
空中通常技の一部がジャンプキャンセルでき、ワイヤーの跳ね返り方が違うなど若干仕様が異なっている。
ワイヤー継続については「アシュラブレードやキミの勇者を意識した」そうなので、本来はこちらに搭載したかったシステムだと思われる。
また、ゲージを1本多く消費することで、必殺技からゲージ技にキャンセルすることが可能な「ファイナルインパクト」(スーパーキャンセル)や、
ガードキャンセルで投げを繰り出すことが可能であるなど、まほには無いシステムもある。

技は基本的に原作を意識しているようだが、
「原作を忠実に再現するとロック系乱舞ばかりになって格ゲーにしづらい」という配慮から、名前だけ同じで別の技というものが多い。
専用覚醒星技「エクナハルバード」もしっかり搭載。原作と違い連携無しでも出せる疑似全画面攻撃の3ゲージ技になっている。
発生が割と早い中段攻撃があったり、足払いから浮かせてエリアルに持っていくのが容易である(通常技の数が少ないのでバリエーションは限られるが)など、
まほに比べると攻めを意識した調整が見られる。
だが、通常技をガードされた時の硬直が長かったり、しかもそれが引き寄せるタイプの技であったりするため安直な攻めは出来ない。
しかも飛び道具が無く、等身が低い事に加え、星鍵が割と小さく描かれているため武器持ちなのにリーチがそれほど長くない。
星鍵に食らい判定が無いため、攻撃判定はそこそこ強く持続も長いが、隙も大きいのであまり振り回せるものではない。
必殺技も無敵技は一切無く、対空攻撃は普通に空中ガード可能なので、ヒットさせなければティッシュジャンプなのも相まって大きな隙を晒す。
ヒットさせかつゲージもあればそこから安定したダメージを奪えるのだが…。
こようにメインは接近戦だが迂闊には攻め込めないため、慎重な立ち回りが求められるキャラと言えよう。
技が豊富で飛び道具ばかりのためリーチもあり、ストライカー呼び出し時の無敵が強い同氏作のまほと比べると、お手軽というわけにはいかないようだ。
ちなみに、残念なことにまほとは違い特殊やられには一切対応していない。

2013年4月29日にカオス同盟氏によりAIが公開された。
相変わらず遠距離には弱いが、一度接近を許すと炎竜斬ループバグで一瞬で相手を倒すことが可能。
12Pに至っては狂上位付近の強さとなる。

出場大会



*1
初回特典の小冊子などでは主人公であると明記されており、話の核心に関わるという点では確かに主人公らしいのだが、
ストーリーは基本的にティオの視点で進められるため、彼が主人公という見方は微妙に怪しかったりする
(ちなみにティオは「もう1人の主人公」と紹介されている)。
他にも、
  • 最初はティオ1人だけで物語が開始、ワンダは第1話の途中で仲間になる。
  • 洞窟などダンジョンを移動する際のアイコンはティオのまま変更することが出来ない
  • ストーリー中の選択肢などで手に入る1枚絵「ストーリーピース」の説明もティオ視点。
など、ゲーム中ではどちらかと言うとティオがメインの主人公であり、ワンダがもう1人の主人公であるような表現をされている部分が多い。

*2
発表当初、彼は公式で性別が不明だった。書かれていないとかではなく不明。
その後性別について明確なアナウンスがなされていないので、現在も彼の性別については議論があったりする。
まあ劇中の描写を見る限りほぼ男で間違いないのだが。っていうかこれで女だったらティオちゃんが不憫すぎるだろ。
両性具有の可能性?聞こえんなあ~!
その結果「こんなかわいい子が女の子の訳ないだろう!」と、そっちの方向に暴走する方もいたりいなかったり。
一応言っておくと初期段階ではスパッツではなく短パンだったり、顔立ちなども少年っぽくちゃんと男として設定されていたようである。


最終更新:2019年10月29日 00:40