イーノック





「大丈夫だ、

     問題ない。」

イグニッション・エンターテイメント・リミテッドのアクションゲーム『El Shaddai -エルシャダイ-』の主人公。
タイトルはヘブライ語で「」を著すエルと「全能・満たすもの」を意味するとされるシャダイを組み合わせた「全能の神」の意。
CV 三木眞一郎 氏が担当した。

+ イーノックとは
副題(ASCENSION OF THE METATRON)が日本語訳すると『メタトロンの昇天』であったり、
72通りの名前をもつ設定、その中の「イーノック」という名から、ユダヤ教の聖典である旧約聖書の『創世記』や、
偽典でエチオピア正教の正典『エノク書』に登場するエノクのことであると思われる(エノク=Enochを英語読みするとイーノック)。

エノク書によれば、天使ミカエルがエノクの体に香油を塗り、
神がその肉体を「炎」に、臓物を「」に、骨を「残り火」にして、人間エノクは天使メタトロンとなったという。
メタトロンは「天使の王」「小YHVH」「神の代理人」他72~76の異名を持つ強大な天使で、
ミカエルとガブリエルが敵わなかった魔術師をたった一人でいとも簡単に打ちのめした他、
モーセがエジプトを脱出する時に海を割り、炎でエジプト軍を足止めしたのもメタトロンであるとされる。
反面、極めて残虐かつ冷酷な側面をもっており、モーセにエジプト軍を皆殺しにしろと命じたり、
メタトロン自身が大勢の人間を串刺しにしたという話も残っている。

この辺のエピソードから天使の中でも特に冷酷な性格付け等がサブカルチャーでは主流だったりする。
真・女神転生』シリーズでもよく「鋼の肌を持った最強クラスの天使」として登場している。
ちなみに弟の天使サンダルフォンがおり、エリヤという預言者から天使になったのだが、
別にエノクの頃から実の弟だった訳ではない。
というか、エリヤはエノクよりも新しい時代(紀元前9世紀)の人物なので、
エノクが実在していたとしても、人間だった頃はお互いに面識が無いはずである。

天界の書記官を務める人間。
未熟な存在である人間を監視するためのグリゴリ天使団が長く監視を続ける内に、
人間の持つ自由奔放さや生命力、感情に憧れて堕天使と化して人間と関わりを持ってしまったため、
進化の道を誤ったと見なされた人類と堕天使達を一掃するべく、神々は大洪水を引き起こそうとするが、
これに異を唱えたイーノックはその粛正を食い止めるため、グリゴリの天使を捕縛する旅に出る。

+ 設定の詳細
身長180cm、体重85kg、血液型A型。
髪の毛の色は蜂蜜色、瞳の色はターコイズブルー。一人称は「私」、二人称は「あなた」。

インタビューでは敬語を使って話すこともあるが、やはり口数は少ない。
というか、ゲーム中では台詞がPVで使われたもの以外全く無い(漫画『エクソダス』や小説では割と喋っている)。
神が「一番穢れ無き人間」と認めた者で、実直で真面目な性格。しかし話は聞かない。
信仰心にも篤いのだが、度が過ぎて浮世離れしていたようで地上ではあまりモテなかったらしい。
一応、『原作小説』では想い人がいたことになっているし
(天界に召しあげられる前に家族には別れを告げたが、想い人には悲しませたくないと告げなかった)、
旅が終わった後、ある女性との間に「メトセラ」(彼の声も三木眞一郎氏が担当)という子供も生まれている。

服は天界で書記官として働いている時はミカエルから貰ったローブ姿で、神の文字を見通すための片眼鏡をかけている。
旅で着ているものは光が集まって形作る白い羽のような鎧と、ルシフェルからプレゼントされたEDWINのジーンズ*1
OPの通称「そんな装備」の鎧は地上に降りた後に自分で調達したものらしい。
また、ある条件を満たすと上までデニムで戦える(絶対に壊れないので無敵という何かおかしい理屈付き)。

ルシフェル曰く、彼が生きていた時代には下着というものがまだ無いらしいので、ルシフェル同様はいていない
OPの鎧の下には股間部分に布を巻いていたが、下はこれ一枚だけのようなので下着とはまた別物だろう。
はいているジーンズは34インチとその体格に合わせてかなり大きい。

書記官ながら意外と屈強でかなりの身体能力を持つが、これについては、
地上にいた頃は農夫で誰よりも過酷な作業をしていたために日常的に鍛えられていたことと、
その上にウリエルからさらなる力と知恵を授かったためらしい。
また『エルシャダイ』においては、作中で「地上に降りた彼の戦い方が全ての格闘技の原型になった」という設定もある。
更にとあるステージでは事前に簡単な説明を聞かされただけで高度なバイクの運転技術を見せている。書記、官…?
しかも『原作小説』では何の説明もされてないのに飛行艇(ヘリコプター)の操縦までしていた。

書記官の活動は天界と人間を繋ぐ翻訳家のようなものらしく、前任の書記官も人間だった
(天に呼ばれた人間は「シャダラー」と呼ばれ、イーノックで二人目)。
非常に長い期間行っているようで、ゲーム冒頭では数百年に亘って書かれた天界の記録が山のように積まれている。
これら全てを紙とペンだけで処理したのだから驚かざるを得ない
ルシフェル曰く「パソコンでデータ管理する方が便利だし、漫画みたいな形にするのも面白いし問題ない」ようだが、
イーノックに一番合った方式を選んだ結果、結局この形に落ち着いたようだ。

身体年齢は28歳だが、そもそも天界には地上と同じ時間の概念は存在せず、
地上でもルシフェルの力により不老となっているので実年齢は不明
(実際、劇中では旅の始まりからタワーの発見まで365年もの歳月がかかっている)。

上記のように彼の台詞として有名な「大丈夫だ、問題ない」はどうも口癖のようで、
敵に鎧を全て破壊され、更に一撃食らった際の臨死状態からボタン連打で復帰する度に言うので、
プレイヤースキルによっては何度も聞くことになる。
流石に短時間で何度も臨死状態になるのは大丈夫では無いようだが

好きな言葉は「すべては神の名の元に」で趣味は夢を見ること。
ちなみに夢を見るというのは人のみの特権で精神が肉体から離れる時でもあるため、天使との交流には結構重要なことでもある。

素手の状態ではウリエルから教わった格闘技のような攻撃ができる。また標準で二段ジャンプが可能。
素手状態から堕天使を攻撃し、気絶させることで彼らが持ち出した武器を奪い、使用することが出来る。
武器を奪った場合、その武器に対応したアクションを繰り出すことができるようになる。
+ 『エルシャダイ』における武器「神の叡智」
アーチ
最初に遭遇する武器で、全てを切り裂く力を持つ。
名前の通り、弓矢のようなアーチ状の形をした武器だが、矢を飛ばして使うのではなく、弧状に出現する刃を使って戦う。
バランスがよく使いやすい武器で、敵を空中に打ち上げての空中コンボ等が可能。
地上での攻撃範囲もそこそこ広いため、複数の敵を巻き込んで攻撃もできる。
またアーチを装備している間は前方に素早く上昇しつつ移動する「エアリープ」、
空中でアーチに掴まって滑空し滞空時間を延ばす「アーチグライド」が可能。
PV公開当初から紹介されている武器で、本作を代表する武器と言える。
紹介動画のルシフェルの台詞「神はこれをつまようじに使っていると噂を聞いたことがある」と、
その後公開された動画のブーストスキルのカッコよさから「スタイリッシュ爪楊枝」と呼ばれている。
ガーレ
ドーナツ状のコントローラーと、スレイブと呼ばれるビットのようなパーツがセットになった、
遠距離攻撃が主軸となる武器。離れた所にいる相手を一方的に攻撃できるという利点がある。
ガード崩し攻撃を放つとスレイブが軌跡を描きながら飛んで行き、弾幕のような攻撃で敵を攻撃する。
一方で若干攻撃力が低めで、ガード性能も他の武器に劣る、ガード崩し攻撃などを連発すると、
すぐに穢れが溜まってしまうなどの弱点もある。
装備中は攻撃判定をまとって前方に突進する「ゲイルタックル」が使用できる。
このゲイルタックル、空中でも使用できるため空中ダッシュとして高速移動に使うことも可能。
紹介動画でのルシフェルの「びゅーん」やファンネルのような形状がネタにされる。
防御形態の形状から「スタイリッシュ歯茎」と呼ばれたり。
神が武器以外にどう使っているのかは設定資料集でも「誰も知らない」となっているように、永遠の謎。
ベイル
発売前の存在の判明は2番目だが、ゲーム中では最後に発見する武器。
普段は盾状だが、攻撃時はナックルのような形状に変化し、両腕に装備される。
機動力やリーチに劣るが、破壊力とガード性能では圧倒的な性能を持った武器。
またこのベイルでしか壊せない障害物も存在する。
「ヘビーブロウ」の後にボタンを連打することで左右の拳で連続して殴り付ける「ラッシュブロウ」が繰り出せ、
相手を追い詰めて使えば一気に大ダメージを与えられる。
装備中にはガードしたまま移動する「プログレスフォート」が使用可能。
独特の変形をするがアーチの伸縮みたいに有機変形をしているのではなく、
ルシフェルの解説によれば「折り紙のように畳んでいるだけ」とのこと。
この点から「スタイリッシュ折り紙」とも呼ばれる。
また、設定資料集には「神はデザートスプーンとして活用しているらしい」という衝撃の事実が載せられた。

3種類の武器にはじゃんけんのような三すくみがあり、
アーチはベイルに(素早い近接攻撃)、ベイルはガーレに(プログレスフォート)、
ガーレはアーチに(遠距離攻撃)対して強いという特徴がある。
敵の種類や状態に合わせて持ち替えることで有利に戦うことができる。

また、全ての武器は使い続けると「穢れ」が溜まって黒ずんでいき、
完全に穢れると攻撃エフェクトが敵のものと同様赤くなってその本来の力を発揮できなくなり、攻撃力等の性能が下がってしまう。
これを元に戻すには「浄化」アクションを行う必要があり、この「浄化」をどのタイミングで行うかが重要なポイントとなる。
相手が持っている武器を奪った場合、イーノックは武器を奪ってすぐに浄化してから装備する(この間は無敵状態になる)ので、
次々と相手を気絶させて武装解除させ、武器を持ち変え続けるプレイも有効と言える。

神の叡智についてルシフェルが解説する公式PVがそれぞれの武器に存在。
見れば神の叡智が人智では決して成し得ない物と理解できるであろう。

戦闘を繰り返して闘気が高まることで炎のようなオーラが出現し、
このオーラを纏っている時にR1とL1を押すとオーバーブーストが発動。
壊された鎧が全快し、イーノックの背後にウリエルが一定時間出現。
イーノックが攻撃すると一緒に攻撃してくれるようになり、攻撃力がアップする。
またこの状態で再度R1とL1を押すと、武器ごとの強力な攻撃・ブーストスキルが発動してオーバーブーストは終了する。


ルシフェル「そんな装備で大丈夫か?」
イーノック「大丈夫だ、問題ない」

+ ルシフェル
イーノックをサポートする、天界で一・二を争う大天使。
20代後半から30代前半程度の男性の姿で、立てた黒髪に黒い服と赤い目が特徴。
シャツのボタンを一部しか止めておらずややだらしない格好で、
イーノックと同じくEDWINのジーンズをはいているが下着ははいてない
天界ではあまりにも異質な姿のため、設定資料集の小説にてエゼキエルに呆れられている。
身長185cm、体重65kgだが、肉体を持ち合わせているわけではないので以上は仮の姿にすぎない。
時間を自由に行き来する能力を持ち、指を鳴らすだけで時間を自在に操作することができる。
ゲーム中もミスして落下するとこの能力で助けてくれたり、ポーズ操作で指を鳴らしたり、道中での解説をしたり。
ちなみに左利きだが、物を持つのは右手。常に左手で指を鳴らしている。

時間を自由に行き来する能力は上記以外の用途でも使っており、
イーノックとルシフェルが履いているEDWINのジーンズや、持っている携帯電話、ビニール傘など、
様々なものを現代から旧約聖書の時代に持ち帰っている。
実体を持たないためイーノックら人間側から彼に干渉することはできないが、
ルシフェル自身からは意識すればこの世のものに触れることもできるらしく、
イーノックを担いだり、傘を持ったり、漫画雑誌を手に取ったり、
会議中の部屋に入ってペットボトルを逆さまにするイタズラをしたりしている。

個人的にイーノックのことを気に入っているため、彼には協力的で全面的にサポートしてくれる。
また、ゲーム中にもルシフェルが出現し、その際は近くでセーブを行うことができるセーブポイント扱いとなっている。

発売日前に話題になったPVの内容の殆どは彼の喋りであり、下手すると主人公のイーノックよりも目立っている。
さらに公式ページのキャラクター紹介ページを開くと、記念日には特別なメッセージが流れるなどのお遊び要素が存在していた。
所謂メタ的な存在のキャラクターであり、ゲーム中にプレイヤーに対して語りかけてくることもある。
序盤の節目で「早ければ7時間ぐらいでクリアできるんじゃないかな」と露骨にプレイ時間の話をする等、
色々とフリーダムである。
現実世界でのコラボは「彼自らが直接コラボする店に出向いて交渉を行っている」という設定。
ただし、姿が人間には見えないため実際にはコラボの内容を担当者の耳に囁いているようだ。

ちなみに、アークエンジェルのミカエルとは双子の兄弟。
ミカエルは彼のような姿を見せることは無く、肖像画でも顔を見せていないが、設定資料の小説などでは瓜二つだと描かれている。
なお、PVなどで人気の「神は言っている。ここで死ぬ運命ではないと…」という声も、ミカエルのもの。
その後、なんと竹安氏の公式ページにてミカエルがブログを開設した。金髪で金色の目だが確かにルシフェルと同じ顔をしている。
「地上界に全てを正しく伝えるために始めた」とのことで、コンビニが大好きらしい。兄弟揃ってはっちゃけ過ぎである。

名前から考えてルシフェルこそ真の黒幕なんじゃないか?とは発売前の視聴者間の噂。
+ 実際どうだったのかというと…(ネタバレ)
劇中では語られないが、設定資料集によるとグリゴリの天使達の堕天は、
999995回行われているがその都度ルシフェルの手によって時間が巻き戻され失敗に終わっている
しかし、あるとき時間を巻き戻すことに退屈を覚えた彼は、神と相談して今回は少しだけ時を進めてみることを決定。
が、そこに今までになかったあるイレギュラー要素が介入したことが原因で7名の堕天を完全なものとしてしまう。
このイレギュラー要素が神の仕業だと思った彼は不機嫌になり、時を戻そうとしなかった。
この点においてある意味彼が黒幕的存在であるというのは間違ってはいない
また、初期設定ではルシファー」という名前で敵に回る予定でもあったようだ

実際のゲーム中では時々神から疑われていると思しき描写を見せつつも、
結局最後までイーノックを裏切ることなく付き添った。
しかし、後に関連小説『ギデオン』にてルシフェルそっくりの男「フォース」が登場、
さらに『AMON』や小説版では衝撃の事実が明かされた。詳しくは後述。

彼の声は情報公開が遅かったために色々物議を醸したが、竹内良太氏が演じている。
氏は当時はどちらかというとナレーション等をメインの仕事としていたのが、アニメ・ゲーム声優に詳しい人でもピンとこなかった原因である。
余談だが竹内氏は当時持ち役に恵まれず本作のオーディションに落ちたら引退しようと考えていた。
そして結果はご存知の通りルシフェル役に選ばれた事で見事にブレイクを果たしたのである。

ルシフェルの台詞の通り72通りの名前を持っているが、
これは地上に降りた後堕天使の追跡から身を隠しながらタワーを探すために名前を次々と変えていった結果。
冒頭では長い旅の中で人々やアークエンジェルから様々な名前で呼ばれる彼を見ることができる。

また、ゲーム発売から1年後に出された『エルシャダイ原作小説』や、外伝作品『AMON』においては、
ゲーム版では語られなかった物語の決着とルシフェルが堕天に至る経緯が語られている。
+ 『エルシャダイ原作小説』ネタバレ
戦いの結果、サリエル・エゼキエルの捕縛にはゲーム中で成功している。
また、水のネフィリムに呑まれたアラキエルもネフィリムを倒せば浄化は可能と判明した。
しかし、火のネフィリムに呑まれたバラケル、ダークアルマロスに砕かれたアザゼル、
死の際にベリアルに冥界へ連れて行かれたアルマロス、行方不明のセムヤザは捕縛できなかった。
タワーの機能はイーノックによって停止、最後に残った水のネフィリム(アラキエル)を浄化すれば全てに決着が付くと思った矢先に、
イーノックの前にセムヤザが出現。彼はネザー形態となってタワーと同化していたのだ。
さらに、堕天の黒幕……彼らに力を与えた冥王ベリアルとセムヤザとの対決に至る。

そして一度は死亡するイーノックだが、ここで今まで死の度にルシフェルが時を戻して救ってくれたことを知る。
その結果、巻き戻された様々な可能性の記憶を手にして覚醒・復活し、
異次元獣であり世界の礎である「セタ」を操る力と物質を構成する能力を手にしたイーノックは、
ベリアルを封印しセムヤザや捕縛できなかった堕天使の魂を解放・捕縛することに成功。
堕天使全ての捕縛とタワーの完全破壊、ベリアルの封印という成果により、イーノックは地上で人として暮らせるという報酬を得る。

それから60年後、家族を持ったイーノックのもとに再びルシフェルが現れる。
しかし、イーノックはその時既に神から直接命を受けていた。
このことからルシフェルは「神が自分を裏切りイーノックを右腕に据えた」と感じ、世界を変えるため堕天。
人間となった彼はイーノックと共に神と戦うことを決意する。

かつて捕縛した堕天使を仲間にしたイーノックとルシフェルはセムヤザを開放し、神に反逆するため天界へと向かう。
そこでイーノックが知らされたことは……。
+ 『エルシャダイ』世界の真実
実は“この世界”の前に「ジュリア」を礎とする世界を神は作ろうとしたが、その世界の創造には失敗してしまう。
新たな世界の礎に「セタ」「リュタ」のうち天動界のセタを選び、
イーノックの子であるメトセラとジュリアの魂・イシュタールを世界の行く末を見届ける役目として送り込んだ。
つまり『エルシャダイ』の世界は旧約聖書で語られていた天動説を元にしている。
選ばれなかった地動界の礎・リュタはセタの世界の地下に押し込められ「ベリアル」と名を変え、
セタの世界を破壊し自分がそれに取って代わることを決意した。
そのためベリアルは魂を自分の配下にしようとイシュタールに惹かれたセムヤザに協力した。
これがグリゴリ天使団の堕天の真相である。

神は天使が監視する今の世界の在り方に限界があると思い、
そして最初の友・ルシフェルが世界の再構築を望むならばそれもよしと考えた。
だが、それには条件があった。理想を夢見るもの(ルシフェル)に試練を与え、それに打ち勝たせなければならない。
イーノックがルシフェルを討伐し、それによってルシフェルがどう出るかで世界は決まる。
必要なのは言葉による理解ではなく、自分の意思で気付くこと。答えを与えられるのでなく、自分で理想のために選ぶこと。
イーノックとルシフェルが激突し、その時に出るエネルギーが世界を破壊し新たな世界の希望となるのだ。

全ての天使が斃れた中、イーノックは全ての堕天使を倒してルシフェルとの対決に挑む。
世界の礎であるセタの力を扱うイーノックに対抗するため、
ルシフェルはかつて封印されたもう一つの世界の礎リュタ、つまりベリアルと融合した。
同等の力を得た二人の激しい対決の末、ルシフェルに砕かれたイーノックは72の希望の破片「メタトロン」に変化。
その力はルシフェルに風穴を開け、彼の理想の存在である女神イゾメロンを引きちぎり、世界を滅ぼした。

世界も神も何もかもが無くなって数百億年。安定した宇宙で神は再び世界を作った。
リュタを基礎に作り上げられた太陽の周りを公転し、自らも自転する水の星・地球。
つまり「現在の地動説の世界」が作られたのである。

ルシフェルは神が世界の始まりに「光」を定義してミカエルを作った際に、
自然に発生した「影」であり、神の意識を越えてできた存在であった。
彼の定義をするために神は彼を時空にさまよわせ、天使団を構成し、
彼の抑止力となり世界を新たに作るための存在として「メタトロン」……イーノックを選んだのだ。
新たに天使を作ると言う神に対し、ルシフェルは全ての天使の新たな役割を神と相談して考え、
全ての天使とイーノックの定義が終了すると、夢を見ながら宇宙をさまよいイゾメロンを探しに向かった。
以降、彼自身の物語は『AMON』に続くこととなる。

全部ゲーム本編でやれよとか言ってはいけない。

+ 『AMON』ネタバレ
竹安氏原案・大竹康師氏著の小説『AMON』ではルシフェルが登場するが、
『原作小説』終盤で神との抗争に敗れ堕天した結果、悪魔「デビル」を名乗っている
当初、イグニッション公式は「竹安氏の小説作品はエルシャダイとは関連していない」と回答していたが、
ミカエルのブログによって公式に関連が発表され、デビルは『エルシャダイ』のルシフェル本人であることが判明した
なお、彼が堕天した後は時間を行き来する役割は弟のミカエルに与えられ、
作中でもミカエルが(名前と姿は表されていないが)時間を操る描写を見せている。

堕天した後は非常に虚無的で、自分に付き従った堕天使達に関しても全く興味関心を示さず無気力状態になっている。
アスタロトやベルゼブブという部下を得て神に再び立ち向かうための勢力を作るため、
強い力を持つ悪魔を集めようとしている一方、デビル自身の関心は専ら『原作小説』において、
神に引き裂かれた自分の分身であるオッドアイの女神・イゾメロンにのみ向いている。
どうやら太陽系内の別の星(火星?)を拠点としている模様。

ちなみに携帯電話は現在も所持しているが、なんとこれでツイッターをやっている
しかもタイムラインに表示されるのは悪魔達の呟き。内容も随分とフランクである。
この他、PVでのアモンとの掛け合いがあまりにもシュールなため「冥界コント」呼ばわりされている。


こんなネタ扱いで大丈夫か?

さて、上記のPVだが、
  • 時系列に20倍近い誤差があるなど、意味不明なまま進むルシフェルの語り。
  • タイトル画面のコーラスが「トリビア」と聞こえる空耳(その後コーラスがはっきりしたものに変わったがそれにも空耳が存在)
  • 前述のやりとりの直後に、古臭い鎧姿で堕天使信奉者(マーター)の群れに颯爽と飛び込んでいくも、
    速攻で鎧と剣を破壊されて瞬殺されるイーノック。
    • 彼が死ぬ直前にヤケにいい声で響く「神は言っている。ここで死ぬ運命ではないと…」という声
      と左上に表示されるコンティニューメニュー
  • タイムリープでタイトル画面突喊直前まで時間が巻き戻り
    繰り返されるルシフェルの「そんな装備で大丈夫か?」との問いに「一番いいのを頼む」と返すイーノック。
    • そして下半身はEDWINのジーンズ、上半身は素肌にトイレットペーパー軽鎧という、
      ファッションセンス的な意味で難易度の高すぎる「一番イーノック」状態に。
    • 後になって、イーノックが最初に着込んだ鎧は、「イーノックの出身地の村に伝わる伝説の鎧」であったと判明。
      「(村に伝わる伝説の鎧だから)大丈夫だ、問題ない」と意気揚々と向かうも、神の武器に敵う筈もなかった……という悲しい裏話が判明した。
  • 露出度は高くなっている筈だが何故か防御力と機動力は上がっているらしく、
    先程フルボッコにされたマーター達を圧倒するイーノック。というか、どや顔で敵の攻撃を避けられるようになっただけ
    ちなみに剣は結局折れる
  • 再び響く「神は言っている。全てを救えと…」という声。
    ここでゲーム画面に移るのだが背景が暗いことや当時作り込みがまだ甘かったことのせいでチープに見える。
    しかもよく見ると右上にマウスカーソルがある。
    • ムービーだと綺麗でかっこいいアーチ浄化シーンだが、
      上記の通りゲーム画面だとチープに見え、コメントで「理想」と「現実」という扱いを受けたり
  • 以上、ここまでBGMが空耳の宝庫。「焼き芋いらんか」「ブルーベリー」「買うのだたい焼き」など。
  • PVの終盤に出てくる堕天使の一人「エゼキエル」。家族愛に惹かれ堕天したなどのシリアスな設定があるのだが、
    台詞のイントネーションがおかしい。「弟の仇をトルノデス!
  • 結局PVの最後でゲームオーバーになったらしく、遠回しにプレイヤーに助けを求めるルシフェル。
    やっぱり話を聞かなかったのが敗因らしく、完全にアホの子扱いされている
といった展開から(ネタ的な意味で)各方面から俄に注目を集める。これがE3でPVが公開された2010年の6月頃。

そして2010年9月中旬の東京ゲームショウ2010出品によるフューチャー賞受賞もあって更なる注目を集め、
当時はニコニコ動画において関連動画がランキングを賑わせ、
イーノックやルシフェルの台詞を改変したコメントが各所の掲示板や無関係の動画でも大量に書き込まれていた。

2010年のネット流行語大賞にはイカ娘の口調などと共に、
「そんな装備で大丈夫か?」がノミネートされ、見事一位に入賞してしまう始末
おまけにこのやりとりは公式で狙ってやったという主旨の発言があったりしてもう何が何やら…。
それと、エルシャダイのニコニコミュニティがそれこそ桁違いなレベルで拡大成長している。もうすぐ廃レベルだと…。
そして発売直前から放送されているCMでも当然のごとくフィーチャーされるに至った。
それにしてもこの公式、ノリノリである。

制作が無名メーカーだが『デビル・メイ・クライ』や『大神』のスタッフが中心。
インド資本として初のゲーム業界参入となった。しかし残念なことに自社開発部門は閉鎖してしまった。合掌。

「テレビや映画の次は何か、を考えたんだが… これからはゲームだよ」

発売前にもかかわらずオンリーイベントが開催されたり、同人ゲームが作られている。
2010年11月3日に頒布された『エルシャダッシュ』は、東方やうみねこといった強敵とも張り合うぐらいの人気を誇った。

発売日の2011年4月28日にはJR秋葉原駅前で大々的な発売記念イベントを行っており、
「一番いい装備」のコンパニオンが特設ブースで『エルシャダイ』の広告を配り、
エルシャダイモデルジーンズ、チャリティTシャツなどの再販売が行われた。
「店頭で流すBGMをエルシャダイの音MAD作品にしていた店があった」等の報告もあり、その異常な話題性の高さが窺える。

…さて、ここまで話題になった作品なのに、発売後は評判を全然耳にしなかったから結局どういうゲームだったか知らない…という人もいるであろう。
結論から言うと、大爆死はしたがクソゲーではない。クソゲーではないが、だからこそ今に至るまで語り草になるほどではなかったのである。
詳細は こちら

また、イーノックの顔がPV中のムービーとゲーム画面とで別人のごとく異なっているのもしばしばネタにされる。
ムービーではページ中段の画像のように色白で唇がやや厚く濃い色で滑らかな顔立ち、
黒眉で濃い瞳の日本人的な顔で西村博之似
ゲーム中では冒頭画像のような色黒でややゴツゴツした顔立ち、唇の色は薄く眉毛も髪の毛と同じ金色で碧眼の洋風な顔になっている。
ファンからは前者は「ひろゆき」、後者は「ゴリノック」と呼ばれる。
PV中でのドヤ顔のイメージが強すぎるせいか、イーノックといえば前者をイメージする人が多い(MUGEN入りしてるのも前者)が、
ページ冒頭のイラストを始め各種イラストではどちらかというと後者の顔の方が多い。またアートワークスにて竹安氏は、
「ネット上でよく指摘されるが豊かな表情を作るためキャラの顔はあえて固定していない」と発言している。
実際はムービー部分は外注だったので、単にコンセンサスが取れてなかったと言ってしまえばそれだけであるが…。
漫画版のCMや設定資料集のCMでは後者の見た目(というか「そんな装備」着用の実際のゲーム画面)で新録ボイスが使われたのだが、
この新録ボイスが見た目のイメージに合った野性味あふれる野太い声だったこともあり、「誰ノック」と呼ばれている。

そして2018年3月31日(ゲーム発売から7年後)。
なんと上記PV含む高画質静止画などがフリー素材として配布された。
商用利用についても使用用途の連絡をすれば基本可能とのこと(商品としての再配布は不可)。


いや、MUGEN入りは断れないよ。夫氏は絶対だからね。

ネタに敏感な夫氏早速このゲームに飛びついた
搭載されている技は以下の通り。
  • 頭を分離させて相手を上から押し潰す『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「ゲッター」』
  • ゆっくりの如く台詞を吹き出す『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「ゆっくりの技ですよね?」』
  • 左右に分裂し、両側から相手を押し潰す『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「二拝二拍一拝」」
  • 自身の最下部を相手に向かって射出する『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「ウィスピーウッズも使ってたよね?」』
  • 相手を吸い込む投げ技『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「アビスゲート」』
  • アザゼルを召喚し、眼から光波を出して攻撃する『グレゴリの統率者「アザゼル」』
やけに長いが『堕天使達の~』、『グレゴリの~』まで含めて正式名称である。
ちなみに『堕天使達の盗んでいった知恵のひとつ「ウィスピーウッズも使ってたよね?」』は、
元ネタと異なり足元しか発射出来ない。
そもそもあの技を使っていたのはツインウッズだけど
また『グレゴリの統率者「アザゼル」』は元々設定的に敵なので味方や自分にも光波が当たる。
しかもハイパーアーマーがあるので自分だけHPがゴリゴリと削られる。
更に特殊システム「ルシフェルフェイス」を搭載しており、画面の左上(2P側なら右上)でルシフェルがPVで披露した数々の台詞を喋ってくれる
「口パクだが大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」

この他に、PVでの復活シーンの再現かリザレクションも搭載されている。
イーノックのHPが0になるとどこからともなくヤケにいい声で「神は言っている。ここで死ぬ運命ではないと…」という謎の声が響き、
ライフが完全回復。妨害などは不可能のようだが、復活を繰り返す度に復活率が半減するのでいつかは倒せる。
また一回目の時点で復活率は75%なので、運が悪いと一回もリザレクションできずに死ぬ。
死ぬ際は演出時のボイスが「神は言っている。ここで死ぬ運命…」になっている。やっぱりヤケにいい声である。
LIFE720、DEF72(実質ライフは 518 *n)とのことなので、復活されてもあまりキツくはないかもしれない。

その後の更新で最大ゲージ数が72になり、1ゲージ技としてエゼキエルとアーチが追加。
エゼキエルは威力518でガード不能、ただし自分も喰らう(自分のHPが実質518なので喰らうと当然…)。
アーチは画面上部に1200F滞空し、1F1ダメージ与える設置技。ちびキャラでない限りろくに移動もできなくなる。
触れると一瞬で浄化…されないぞルシフェル。
更に11Pカラーで一番いい装備になり、防御力が3倍&ゲージが自動上昇するが復活不可能になる。
12Pだと一番いい装備よりいい装備になり、防御力3倍に加えゲージの自動上昇速度が高速化(短いイントロでも開始までに約25ゲージ溜まる)、
加えてリザレクション率が減らなくなるので、運が良ければ無限に復活することさえ可能。運が悪いと?ああ、駄目だったよ。

今後の動画での活躍?そうだな、次はこの項目を見ている動画製作者にも付き合って貰うよ。

ルシフェル「イーノック、そんな装備で大丈夫か?」
イーノック「一番いいのを頼む」


ちなみにルシフェルも影縫氏によって作られており、現在ははいうぇい氏によって代理公開されている。
高カラーほど即死耐性が高くなり死ににくくなる。だが、元が上記のイーノック改変なので姿は…お察しください。
この他にも、『エルシャダイ』のステージがitanori氏によって作られている。

出場大会

+ 一覧
シングル
タッグ
チーム
その他
おまけパートに登場
更新停止中
凍結
削除済み

出演ストーリー



*1
紀元前が舞台の筈なのに、何故ジーンズがあるのか?という疑問は誰もが感じると思うが、
これは、時間を操れるルシフェルが様々な時代を巡る中で2010年にも立ち寄り、
その時代にて購入したEDWINのジーンズを「スタイリッシュでありながらも丈夫で動きやすい優れた衣服」だと判断して、
紀元前に持ち帰ってイーノックにプレゼントしたためであると解説されている。
なお、ルシフェルが履いている物もEDWINのジーンズ。

この二人のジーンズは2010年12月21日より本作とのコラボ企画として、
EDWINから「イーノックモデル」「ルシフェルモデル」の二種類が発売。
発売前には「原宿店にルシフェルが来店した」という目撃情報がページに載せられた。
両モデルとも発売後あっさり完売してしまい、2011年4月22日に再版されたがそれでもあっさり完売してしまうほどの人気であった。
なお、ゲーム中の最強装備であるデニムジャケットも2011年5月28日に発売された。


最終更新:2023年04月27日 14:41