「貫け、奴よりも早く!」
担当声優は
神奈延年
氏。
「シャドウミラー」がいた次元は度重なる大きな戦争を乗り越え、人類が一丸となった世界である。
各国が連合した世界政府の統治の元で平和な世が続いたが、その反面として政治的な腐敗の進行、
技術の発展の停滞などと言った問題も抱えていた。
シャドウミラー隊長のヴィンデル・マウザー大佐(通称 「ワカメ」)はそうした問題を腐敗と捉え、
平和こそ腐敗を生み出した元凶であるとし 「永遠の闘争こそ文明を発展させる」という思想のもとに反乱を起こす
(これには度重なる軍縮などにより、彼ら軍人の立場が弱くなったという事情もあった)。
だが、 ゲシュペンストMk-IIIを隊長機とした部隊の活躍により、その反乱は失敗に終わってしまう。
ヴィンデル達は開発中の「空間跳躍装置(『OG』では システムXN)」を使って次元跳躍し、
ゲーム内の通常世界(シャドウミラー側から見れば平行世界)へ逃亡。
そこで各地の軍事組織にスパイを送り込んで戦力を蓄え、元の世界へ戻り反撃に転ずる予定だった。
アクセル・アルマーはシャドウミラーの特殊任務実行部隊の隊長。
元々は冷静で他の事柄に興味を見せない男だったが、次元跳躍した際に記憶喪失になる。
記憶喪失の間は楽天家であり、女性と見れば声をかける軟派な性格であった。口癖は「~なんだな、これが」。
おちゃらけてバカな言動をしたかと思えば時に鋭い洞察力を見せる両面性から人気が高く、
この記憶喪失時のアクセルを指して、ファンからは「アホセル」という愛称で呼ばれている。
「タップさん、ライトさん、がんばってねぇん」
「気持ち悪い」
「地獄に落ちろ」
「ひでえ」
しばらくはロンド・ベルと共に謎の機体を操って戦っていたが、敵側にヴィンデルが操るツヴァイザーゲインが現れたのを見て、
記憶と「本来の任務はロンド・ベルへのスパイ活動」だった事を思い出す。
だが、本来の任務と自らの危険を顧みずに仲間を助け出そうとする「甘さ」を受け入れた事に苦悩する。
「こんな馬鹿馬鹿しい理論を……俺もそうだと思っている?
くそ、記憶が戻りきっていないのか?俺はそんな甘い男ではなかったはずだ!」
そして、ヴィンデルがロンド・ベルを陥れるために出現した際、「武装解除に応じなければ機体を自爆させる」と脅す。
この自爆装置は特別製で、至近距離なら ナデシコもディストーションフィールドごと撃沈できる威力を持つものであった。
しかし、 デューク・フリードの、
「…闘争が生むものだと…!? 生まれるものと、失われるもの…それは等価値ではない…!」
という言葉の後、「……その通りだ」と、ツヴァイザーゲインに取り付き自爆装置を作動させた。
自爆後、脱出ポッドを恋人でシャドウミラーの科学者である レモン・ブロウニングに回収され助けられる。
その後ジャブローの医務室で意識を取り戻し、彼女の手引きで修理された機体で脱出。
ロンド・ベルに戻り、シャドウミラーの過去を告白して正式に復帰する。
そして最終決戦でラミアを倒し、ヴィンデルによる地球への アクシズ落としを阻止するため、
ツヴァイザーゲインを次元転移弾として爆破し、その衝撃の中に巻き込まれていったのであった…。
……まぁ、生きてたんだけど。
『A』で女主人公のラミア・ラヴレスを選んだ時は、記憶を失わずに冷静な性格のままシャドウミラーの部隊長として登場する。
人造人間であるラミアを「人形」と見下すも、「敗者には死を」などの信念を意固地なまでに貫く様を、
「それこそが人形のようなものだ」とラミアから指摘される。
人形に人形であると切り返された事を嗤い、最終決戦で倒された時には、
「自分は望んで人形になった。なら、人形のお前は何になる事を望む?」
との言葉を残して戦死した。
『スーパーロボット大戦OG2』に登場した時は、ATXチーム隊長 キョウスケ・ナンブを激しく敵視する。
これはシャドウミラー側の世界のキョウスケ(通称「ベーオウルフ」)との因縁があったため。 *1
「あちら(シャドウミラー側の世界)とこちら(『OG』の世界)とでは別人」だと分かっていながら、
キョウスケとアルトアイゼンを倒す事に執念を見せる事に関しては、
『OG2』から「帰還後に倒せるようにしておくための予行演習及びその後のこちらの世界の制圧の脅威となるため」と明言されているが、
あまり分かりやすいタイミングで暴露されなかったためか、誤解が多い。
というか、誤解云々以前に結局他者から見れば八つ当たりにしか見えず、
一度アルトを撃破した際にわざわざ アリエイル参戦を見越してアルトの四肢を千切って持って帰るなど、
予行演習にしては陰湿過ぎる行動を取っているため、上記の発言も単に八つ当たりしたいのを理論武装しただけと受け取れる。
『OG2』でのアクセルはライバル時の冷酷な隊長であり続け、闘争に殉じ、言う事を聞かないWシリーズを徹底的に嫌う自己中心的な性格とされ、
主人公としての彼のファンからは反感を買う事になった。
…それどころか、キョウスケ関連の行動は 命令違反の事が多かったので「俺は望んで人形になった!」という発言も説得力が無くなり、
悪役版アクセルのファンからも反感を買う始末だった。
これを考慮した わけじゃないらしいのだが、『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS』(通称『OGs』)では、
闘争に殉じようとしながらも、(Wシリーズを含めた)身内には意外と優しく、アルトの四肢をもいだのもアインスト化していないか確認するためだったり、
最期も「望んでヴィンデル達の人形になった」と嘯いた旧作とは違い、
「人形になりたかった(なれなかった)」と吐露するなど、それまでのアクセルとは大幅に異なる性格となった。
なお、寺田P曰く「本来『OG2』からアクセルの性格を弄る予定は無かったが、 (『OG2』には多忙で不参加だった)生みの親である森住Pがアクセル周りの設定を書き直した」との事。えぇ…?
+
|
『OG2』ではキョウスケ達に敗れそのまま舞台を降りるのだが… |
『OG外伝』では大破したソウルゲインと共に息絶えようとしていた所を アルフィミィに助けられ、
彼女と共にアインストの変種を狩る第三勢力として放浪するという微妙な立場に変わっている。
その影響か、『無限のフロンティアEXCEED』においても、アルフィミィと一緒に2人1組のユニットとして客演。
記憶を失って所謂アホセル状態となり、護身用として持っていたらしい仕込みトンファー「ミズチブレード」を得物に生身で大暴れしている。
具体的にはソウルゲインやヴァイサーガの技を生身で繰り出す。 ウロコ砲とか。
まあ元々格闘技能は高そうだし、アルフィミィの補助とかもありそうだが。
これだけ見ると、盛大にキャラが崩壊しているような気がするが、
「小牟ちゃん、沙夜ちゃん、がんばってねぇん」
「気持ち悪い」
「地獄に落ちろ」
「ひでえ」
……うん、気のせいだな。
実際の所、アクセルは『OG』シリーズの番外編のコミカライズ『OGクロニクル』でも『EXCEED』以前から生身で大暴れしていた。
ナイフ一本で機動兵器(既にパイロットが乗り込んで離陸中)を強奪してみたり、 そのままノーロープバンジーやって無傷でソウルゲインに乗り込んだり。
そもそも『A』の主人公には、空手の達人と コロニー格闘技チャンピオンの喧嘩を仲裁しようとして失敗し、
双方の攻撃を同時に喰らうというイベントが男女問わずにあるのだが、ラミアが人造人間故の耐久力でその場を乗り切ったのに対し、
アクセルは生身の体で、しかも記憶を失った状態にもかかわらず、純粋な技量だけで上手くダメージを逃がしていた。
その他にもアムロやブライトが信頼を寄せるほどの諜報活動の技能も持っているとか、
ラミアの特殊技能「強化人間」と対となるように「ニュータイプ」だったりするなど、下手をすると最近の大げさな設定を背負っている主人公達よりも、
よっぽど人間の枠からはみ出したスペックを持っている(ただしニュータイプ・強化人間設定はGBA版のみで、PSP版では削除された)。
なお、『EXCEED』ではEDで記憶を取り戻すが、その際は『OGs』の性格に戻っており、『A』後半の性格にはならなかった
(終盤の記憶を取り戻しかけたアクセルが『A』後半の状態なのでは、という声もあるが、
『A』と『OG』とでは辿った経緯も性格も別のために異なると思われる)。
逆に、『OGs』の性格に戻ってしまったばっかりに「我ながらおかしなしゃべり方をしていたものだ」と自己ツッコミし、
初対面時に口説いてしまった 息子の嫁とあるキャラから「ちょっと不埒でしたね」と言われると、
「ぐっ…言うな」と呻いてしまう事となった。気持ちは分からなくもない。
『第2次スーパーロボット大戦OG』でも引き続き登場。
最近の作品では養成不可能技能となったアタッカーを持っており、
さらに専用機のソウルゲインの相変わらず自重していない高性能ぶりのため単体最強クラスのキャラとなっている。
ただし精神コマンドに少々癖があり、SPの消費が多めと欠点もあるが。
『OG』におけるライバルのキョウスケが統率と合体攻撃、愛情補正など味方と組んで真価を発揮するタイプになっているので対照的な性能と言える。
ちなみに、今作では以前は乗れなかったヴァイサーガなどのシャドウミラー系機体(アンジュルグ除く)に乗り換え可能となった。
まぁソウルゲインが強いので、戦力的に乗り換える必要は皆無なのだが。
また、『第3次α』の主人公である トウマの格闘技の師匠役を引き受けている。
文句を言いながらもしっかり引き受け細かく指導する辺り、人が良いというか面倒見が良いというか……。
ツンデレ言うな
『スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ』でも登場。
本来お尋ね者であるはずのクロガネ所属だが、軍のトップが「使えるものは何でも使う」というスタンスのためほかのクロガネクルーと共に序盤から正式に自軍入り。
参戦が早くなった影響からかソウルゲイン共々若干ステータスが下げられたが、それでもアタッカーによる高火力は健在で総合的には自軍トップクラスの実力を持つ。
ちなみに本作でアルフィミィとの間の補正が恋愛へと変わった。(アクセルのほうからは一貫して「友情」なので別にロリコンというわけではない…はず)
|
アニメではなんと、ゲームで交戦しなかったあちら側のキョウスケとの対決が1話で挿入されている。
今回のこちら側のキョウスケに拘る理由が「あちら側で急に変貌したから、こちらでも変貌するのではないかという危惧」からなのだが、
それが大いに納得できるレベルの化物具合をあちら側のキョウスケが見せてくれるため、とんでもなく説得力がある。
ゲーム同様、敵として主人公部隊と対立するが、最後の敵もあちら側のキョウスケであったため、
最終回ではそれを倒すためにこちら側のキョウスケと共闘するという、裏主人公と言っても過言ではない扱いを受けた。
最終話タイトルもOG版アクセルの決め台詞「貫け、奴よりも速く」だし
余談になるが、「 イングラム」「 クォヴレー」「 ナンブ」を筆頭に、
バンプレストオリジナルキャラの名前には銃器メーカーの名称が使われる事が多々あるのだが、アクセルの「アルマー」をはじめとして、
レモン「ブロウニング」、ラミア「ラブレス」、エキドナ「イーサッキ」など、シャドウミラーのキャラクターはナイフメーカーで統一されている。
緑ワカメは例外…だが、ビクトリノックス社の製品に「モーゼル(マウザー)ナイフ」があったりする。
アルマーナイフ社というメーカーは、元米国特殊部隊出身という異色の経歴を持つ中国系米国人アル・マー氏が、ガーバーナイフ社から独立後に設立。
天性のデザインセンスと特殊部隊時代の経験を活かした実用的なミリタリーナイフを数多く製作した。
米国企業ながら多くのモデルを日本の岐阜県関市(刀鍛冶の伝統が残り「刃物のまち」として知られる)で製造していたのも特徴的。
「特殊部隊の切り込み隊長」であるアクセルにぴったりの苗字と言えるかもしれない。
更に余談だが、今でこそ色々と因縁が設定されている「二人のブロウニング」だが、
『A』の時点では 「特に何も考えずに付けた」らしい。 シナリオライター…。
|