アイスクライマー


1985年1月30日に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ用のアクションゲームの名前だが、
その主人公2人組の総称としても使われる。

青い服の「ポポ(男)」と赤い服(とは言うものの、実際はピンク色)の「ナナ(女)」*1を操作して雪山を登るゲーム。
やる事はそれだけだが、2人同時プレイが可能で、協力して登る事も相手を叩き落してゲームオーバーにする事も出来る、幅が広いゲーム性を持つ。
エンディングは無く、ゲームオーバーになるまでループしてゲームが続く。当時はこれが普通の形式だった。
そのゲーム性は「任天堂の協力プレイは味方同士の殺し合いになる」の元祖として半ばジョークまじりに、半分くらい本気で語り継がれている。
実際は同社の『マリオブラザーズ』(スーパーでは無く1983年発売の元祖の方)が先で、
そちらには「協力するか、それとも裏切るか」とのキャッチフレーズまである。

ちなみに、とあるゲーセン大会で大会種目に抜擢された実績を持つ。
おい、登頂しろよ


大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにおけるアイスクライマー

作品ごとのデザインの変遷
『スマブラ』では『DX』で初登場。
「ファミコンオリジナルのキャラクターから代表して1つ出そう!」との事*2で、
消去法及び「そのキャラにしかできないこと(2人同時プレイをもじって2人同時に動かすのも面白そう)」により、晴れて参戦と相成った。
ポポとナナの2人1組で、一方をプレイヤーが操作し、もう一方がオプション(相方)として戦う特殊なキャラとなっている。
具体的には自分が動かすプレイヤーのキャラと、少し遅れて全く同じ行動をするもう一人のキャラ、という構成。
この様に奇抜な操作性ながら飛び道具、対空、突進技の格ゲー三種の神器を備えている。
声優は二人とも 小林沙苗 女史。ポポとナナでちゃんと演じ分けられている。
また、少し露出してる髪のデザインも二人で違うので、それで見分けるといいだろう。
ちなみに敗北時のモーションは一部を除く全員共通の拍手ではなく悔し涙を流している。

+ 各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
  • アイスショット(NB)
往年のSNK格ゲー飛び道具の如く氷塊をハンマーで打ち飛ばして地面に這わせる。崖から先は落ち、に当たると跳ね返る。
二人いれば氷塊は二つに増え、しかもリフレクター等で反射されても手前の氷塊が奥の氷塊と相殺して消える(マリオピットは除く)。
氷塊は距離が進むごとに(与えるダメージも)小さくなって最終的に消える。
格ゲーで言うなら『KOF』や『CVS』におけるジョー東のハリケーンアッパーに近い性能か。
ちなみに相手の蓄積%が200を越した状態でアイスショットを当てると凍らせることができ、
二人いる時にブリザードかトルネードハンマーかアピールの使用直後にこのワザを使うと背中合わせに左右へ打つ。
また、『DX』のみ氷塊を打つハンマーにも攻撃判定が存在する。

  • ゴムジャンプ(上B)
二人でゴムを繋ぎ、相方を上に放り投げた反動でジャンプする。
ジャンプ中の両者に攻撃判定があるが、何かにヒットすると上昇量が少し落ちる。
その性質上、相方がいなくなるとその場でほんのわずかに跳ねるだけで、復帰にも攻撃にも使えなくなる。

  • ブリザード(下B)
片手から吹雪を放つワザ。相手を凍らせることが可能。
相方がいる場合、地上で出すと左右に、空中で出すと前方に攻撃する。
『SP』では地上でも相方が前方に攻撃するようになった。

  • トルネードハンマー(横B)
回転しながらハンマーを振り回して攻撃。
相方がいる場合は性能が上がり、最後の一撃で相手を吹っ飛ばすことができる。
B連打で相方付きの場合は上方向、一人の場合は横方向への移動力が上昇するので復帰にも使える。
『SP』ではフィニッシュモーションが追加され、相手を吹っ飛ばすようになった。

発動すると同時に氷山がステージ下から突如として登場。相方がいる場合は発動時に二人でハイタッチする。
氷山そのものに攻撃判定があり、そのまま相手を凍らせることも可能で、自分にはなんの被害もない。さすがアイスクライマー。
ただし、その攻撃で相手を場外に押し出すのはまず不可能なので、追撃などを入れて復帰を妨害するのが有効。
だが、アイスクライマー自身もその氷山を飛び越えるのは難しく、反対側にいる時は素直にダメージが溜まるのを待とう。
更に氷山に立つことは不可能なので、呼び出す場所を間違えるとそのまま自身が滑り落ちることも有り得る。十分注意すべし。
ただ、てっぺんに立つことは可能といえば可能だがかなり狭いので難しい、頑張ろう。
ちなみに攻撃をすると若干下がっていくが、ほぼ誤差の範囲である。
『SP』では左右に動かせるようになり、コンドルに掴まることが出来るようになった。

+ シリーズごとのアイスクライマーの性能
基本はポポが本体でナナはオプション(一部のカラーリングでは逆にナナが本体、ポポがオプションとなる)。
オプションには本体とは別にダメージの蓄積がある。
2人でいるため打ち合いに強い、アイテムが2つ持てる等と言った強みがあるが、オプションとはぐれると性能(特に復帰)がガタ落ちする。
また、彼らだけの特性として氷など滑る床の上に乗ってもその影響を受けないが、その分普通の床では他ファイターに比べて若干滑りやすい。何故だ。
ちなみに、参戦ファイターの中ではリュカと同じくカスタマイズ抜きで氷属性攻撃を持つ、という点でも貴重なファイターでもある。
任天堂の主役級キャラで氷属性扱えそうな面々が客演での専用武器がなぜか氷属性だった侍、ただのスノーボーダー、
本編では敵で前日談の主人公を務めたマンイーターくらいしかいないとは言ってはいけない

+ 『DX』におけるアイスクライマー
それぞれの攻撃の判定や威力は二人という特性上とても強く、発生も早い。
必殺ワザのアイスショットやブリザード、判定の強い突進ワザを備え、どの距離でも安定して立ち回れる。
スマッシュや空中攻撃各種も使いやすく、『DX』のテクニック「絶」の滑りやすさやコンボ能力、コンビネーションは非常に強力。
また、非常に難易度は高いが、特殊な操作で相方をまるで完全に別行動させているかのような動きをさせることも出来る。
二人という特性を活かした極悪非道な投げハメをも持ち、可愛い見かけによらず火力面では他の追随を許さない。
アイテムを2つ持てる特性上、アイテムありルールでの強さは折り紙つきで、
ホームランバット/スーパースコープでの強烈な一撃が非常に狙いやすいという長所もある。
反面、1人になってしまった時、二人の時のメリットが全て失われてしまうので大幅に弱体化してしまう。
リーチにも乏しく、1人にされると多くのキャラに性能負けしてしまう弱点がある。
特に上Bのゴムジャンプは2人専用である(1人時のゴムジャンプは攻撃判定なしで、この時復帰に使うなら全キャラ共通の空中緊急回避の方が性能が上)。
ちなみに救済処置なのか一人になると横Bの復帰力が向上するので、相方が撃墜された場合はこれで粘ろう。
体重は軽く、ふっ飛ばされやすいため事故りやすい乱闘は苦手。
強さ的には中堅上位ぐらい、「捕まえると強いが捕まえるまでが大変」という典型的なキャラである。

+ 『X』におけるアイスクライマー
相変わらずスマッシュや空中挙動は扱いやすく強力と、スペックの高さは揺るがない。
だが、明らかに調整ミスと思われる極悪な投げ連が存在し、これが二人の強さのほとんどを占めているといっても過言ではない。
この投げ連、全てのキャラに入るというとんでもない性能を誇り、一度捕まえてしまえばそのまま相手に何もさせずにボコることも可能。
勿論弱点も存在する。それは、乱闘にて相手に邪魔をされると当然入らないのでタイマン専用であるということ。
特に『スマブラ』はほとんどのステージギミックがある上、アイテムが出現するのでタイマンでもこれらに邪魔される可能性がある。
更に難易度が非常に高く、最後まで倒しきるには相当なテクニックが必要であるということがある。
そして二人時限定なので1人の時には出来ないという欠点もある…と思いきや、別に低%までは一人でも出来る。ありえん(笑)
しかし、タイマンではこの投げ連を以てしても上には上がいた。ありえん(震え声)
投げ連抜きでも二人いるという特性なので、火力は重量級並に高く、元々の性能も相まってとてつもないポテンシャルを秘めている。
乱闘でもタイマンでも非常に強い初級者にも優しく、それでいてとことん極められる職人向けのキャラでもある。
慣れればこんなことになるよくわかる動画

+ 亜空の使者での活躍
初登場はストーリー中盤あたり、のんびり氷山を登っているところに戦艦ハルバードを追って氷山を凄まじい勢いで駆け上がるメタナイトを発見。
負けてられないと言わんばかりにメタナイトについていくポポとナナ。ここで初めて操作が可能になる。
頂上に着いた後、そこにいたルカリオとメタナイトとの戦いを見守る(この勝負の結果はストーリーに影響しない)。
勝負がついた後、スターフォックスがハルバードに攻撃を当てた際に、ハルバードが氷山にぶつかる。
振動が起こる中ルカリオとメタナイトはハルバード内に進入する一方で、アイスクライマー達はその激震で振り落とされたが、
無事に着陸し、その場に居合わせたマリオらと共に影虫と戦った後、他のファイター達と合流して亜空間へ向かった。

以上がアイスクライマー活躍の場面である。

恐らく「亜空の使者」で最も出番に恵まれないキャラ。亜空間突入までの活躍が1度しかなくムービーも非常に少ない。
他のキャラは大いに活躍しているのに……
しかし、少ない出番とはいえその表情や仕草はとても可愛らしい。所謂シリアス系の中の癒し担当である。

+ 『for3DS/WiiU』におけるアイスクライマー
リストラ。
アイスクライマーは観賞用のフィギュアとしてのみの登場となり、
ゲームからの参戦キャラはフィールドスマッシュの敵キャラとしてホワイトベアが参戦するのみに。
性能的にも完全にオンリーワンなキャラだったので、驚いたプレイヤーも多かったのではなかろうか。

リストラの理由は週刊ファミ通にて連載されている桜井氏のコラムにて説明されており、
それによると、「WiiUでは動いたが、3DSのマシンパワーでは動かなかったのが原因」とのことである。
アシストフィギュアや、オリマーが引き連れているピクミンの動作フレームが30fpsであることを考えると仕方がないのかもしれない。

+ 『SP』におけるアイスクライマー
満を持して復活。投げ連が廃止され、掴み時のオプションの行動が制限された
(ついでに相手を投げると喜び、相手に掴まれるとあたふたするようになった)。
『DX』『X』共にハメキャラとして制作側が意図しない形で猛威を振るっていたが、初登場から20年近くかけてやっと本来想定した性能になった。
また、ブレーキ力が向上し若干滑りにくくなった。…それでも下から数えたほうが早いが。
相方のAIにお粗末な所もあり、プレイヤーの回収を待てばいいものを発動できなくとも無駄に上Bを暴発して落ちていく。
当然こうなるとプレイヤーの上Bも不発に終わり道連れにされる。またこっちが復帰したいのに崖に掴まって不発にされることもしばしば。
後にアップデートでようやく相方が上B中の時でも上Bおよび横Bで回収できるようになった。
本作においても強みのあるキャラだが、シモリヒが大の天敵なので要注意。

『for』ではマシンスペックの関係でリストラされたが、
本作でも8人乱闘で全員アイスクライマーによる実質16人乱闘となると流石にSwitchでもキツいらしく、
ポポとナナくらいの線数の少ないシンプルなデザインでないと不可能とのこと
(DLCで『ゼノブレイド2』より参戦したホムラ/ヒカリも、
 当初はアイスクライマーのようにレックスと同時に戦う予定だったが、デザインとスペック上の理由により断念されている)。
常時二人以上のキャラクターが画面に出現するダックハントバンジョー&カズーイ、ロゼッタ、ポケモントレーナー等は、
いずれもシンプルなデザインにまとまっている。
アイスクライマーはその中でも「2人のキャラクターがそれぞれ独立したファイターとして動く」という複雑な処理のキャラクターなので、
やむを得ない事情があるのが窺える。


MUGENにおけるアイスクライマー

MUGENでは以下のアイスクライマーが確認されている。

+ ぼうし氏製作 スマブラ仕様
  • ぼうし氏製作 スマブラ仕様
現在はぼうし氏のサイトが消失したので入手不可能。
ドットはファミコンのものだが性能はスマブラのもので再現率も結構高い。
場外はないのでナナも安心。
ただしちびキャラな為動画では使いづらいかもしれない。

+ 雷光氏製作
  • 雷光氏製作
2019年のYahoo!ジオシティーズ終了によりサイトが消滅し、残念ながら現在は正規入手不可。
こちらはサイズは大きいが自分で行う攻撃は1種類しかなく、主に敵キャラを召喚して戦う
適当にボタンを押してるだけでも強いが、超必を使うと大量にホワイトベアを召喚し手がつけられなくなる。
作りはシンプルだが強さは凶以上はあるだろう。
∞ロダにAIがアップされていたが、現在はロダが消失しているためこちらも入手不可能。


出場大会

  • 「[大会] [アイスクライマー]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
2人の関係性は、『スマブラDX』の公式サイト「速報スマブラ拳!!」では「おさななじみ的な男女」と言及されている。
同時に「友達以上恋人未満」とも言われており、ファンシーな見た目によらず結構甘酸っぱい感じを思わせる。
一方『スマブラX』の公式サイトでは「ふたりはなかよしだ!! たぶん。」、
スネークの通信でも「刎頸の交わり」と、総じて「とても仲の良い友達」程度の言及に留まっている。
まあ原作からして「エスキモー」以上の設定は特に無いので、この辺りのブレはむべなるかな。
ちなみに1Pキャラはポポだが、パッケージイラストに描かれているのはナナ(何故か金髪)。氷原の青っぽい背景に埋もれないようにという配慮だろう。

*2
アイスクライマー以外で候補に挙げられていたファミコン枠のキャラの内、
以下の4名とそれぞれ選ばれなかった理由が「速報スマブラ拳!!」にて記載されている。
バルーンファイト・・・風船割られてだめそうだし
アーバンチャンピオン・・・ワザが少なそうだし
クルクルランド・・・どう戦っていいのかわからないし
エキサイトバイク・・・ジャンプ台つくらなきゃだし
            (そういう問題でなく)
以後も『X』でピットロボット、『for』でダックハントと、ファミコン系のキャラクターが参戦している。
また、『バルーンファイト』の要素はむらびととしずえの上必殺ワザに反映されている。


最終更新:2024年03月25日 20:19