ツヴァイザーゲイン


「ツヴァイよ、共に阿修羅となろうぞ…」

バンプレストの『スーパーロボット大戦』シリーズに登場する、ゲームオリジナルのロボット。形式番号EG-XX。
初出は『スーパーロボット大戦A』(以下A)で、同作のラスボスを務める。
『A』の5機の主人公機の一機『ソウルゲイン』の二号機(テスト用予備機)に「ヴァイサーガ」の要素+αを加えたカスタム機であり、
名称も独語で2を表す「ツヴァイ」+「ヴァイサーガ」+「ソウルゲイン」を捩ったようになっている。
略称は「ツヴァイ」。

ソウルゲインに、剣撃タイプの主人公機ヴァイサーガの要素も取り入れ、さらにEOT(未知の技術)も組み込まれ、
その性能とバランスはソウルゲインを凌駕する。
兵装も上記の二機と似通っているものが多いが、「ツヴァイ」の名の通り2体、もしくはそれ以上に分身しての攻撃を得意とし、
分身してロケットパンチを繰り出す「残像玄武弾」、やはり分身して剣で敵を切り刻む「闇刃閃」、
これまた分身し敵に乱舞攻撃を仕掛ける「麒麟・極」などがある。

操縦方法は普通のコックピット式であるヴァイサーガとは違い、
ソウルゲインと同様の「ダイレクト・アクション・リンク・システム」と「ダイレクト・フィードバック・システム」が採用されている。
また、ソウルゲインと互換性もあり、アニメ『ジ・インスぺクター』では、実際にソウルゲインがツヴァイザーゲインの腕を使用していた。
『スーパーロボット大戦OG』(OG)では、「ホーンドマン(=角男)」というコードネームを連邦から付けられている。

最大の特徴は、秘密裏にツヴァイに導入されている「次元転移装置(『OG』ではシステムXN)」であり、
ツヴァイザーゲインがあれば大部隊を空間転移させたり、次元を超えて転移する事も可能である。
また、この装置を利用して空間ごと吹き飛ばす「次元転移弾」という爆弾として使う事もできる。
次元転移弾は半径50kmを消滅させる威力を持ち、『A』のラストでは主人公はこれを用いてアクシズを落下軌道から逸らしている。
しかし、『OG』ではこの次元転移装置は完全ではなく、完全に起動させるにはあるパーツが必要となっている。

+ 原作での活躍
大ボスに相応しい高ステータス・武装に加え、特殊能力HP回復(小)も持っているため、敵フェイズ開始時にHPを10%回復されてしまう。
また、『OG』シリーズでは「分身」を備えているため、発動条件を満たされてしまうと表示命中率が100%でも50%で躱され、辛い戦いとなる。
精神コマンド「必中」は必須と言える。

…が、『A』の時点だと歴代スパロボのラスボスとしては実は最弱候補。
最終ステージでは「10ターン以内にツヴァイザーゲインを破壊」というのがクリア条件なのだが、
実は「脱力」「覚醒」「再動」「魂」などの精神コマンドを駆使すれば最初の1ターンで、
しかも単独のユニットの攻撃で簡単に倒せてしまえるのである。

おまけに中盤に顔見せとして登場した時「どれだけHPが減ったら撤退するか」の設定値が19500と低いため、
その時に撤退させずに撃墜する事は1周目の時点でも可能。
なお、この時に撃墜すると最強の強化パーツである「ハロ」を入手できる。
その反動からか、PSP版ではHPが65000から260200に上昇し、2回行動やMAP兵器など相当強化されたが、
撤退HPの関係でやっぱり1周目から顔見せの時に落としてしまえる辺り、スタッフも「彼の扱い」を理解していると思われる
(顔見せの時はHPが100000で、撤退HPが20000)。
また、HPは大幅に上昇してもEN回復の特殊能力までは備わっていないため、
最強武器を連発し過ぎてガス欠に陥ってしまう事も多かった。

『OG2』でもHPが320000となりMAP兵器も追加されたが、
GBA版ではMAP兵器の効果範囲に自分も含まれていた場合、自分も攻撃対象になるという仕様があるため、
自分だけ当たってしまうというマヌケぶりを晒す事もあった。
PS2版の『OGs』では、最強武器「麒麟・極」の演出がかなり豪華になったものの、
無数の分身で包囲して袋叩きにするのかと思いきや、よく見たら攻撃しているのは本体だけで分身達は見てるだけという、
これまた酷いネタ技にされており、ファンから「必殺技でもぼっち」などと散々に弄り倒される結果となった。
バカにすんな! 当たったら普通に即死級なんだぞ!そうと分かってて喰らう奴なんていないけど

なお、一応念のため補足するが、『A』でも『OG2』でも能力自体は当然ながら最強クラスの数値を誇っている。
『A』は自軍の火力がインフレしているためにあんな事になってはいるが、決して同作の他の敵キャラより劣っているわけではない。
『OG2』でも「敵諸共ダメージ」や「誰一人当たらない」というケースも多く、決して常に自爆ばかりしているわけではないので誤解無きよう。

+ アニメでの活躍
アニメでは尺の都合か、目立った活躍が無い。
最終決戦では最強武器である「麒麟・極」を繰り出すも、特に何の因縁もないブリットが駆る虎龍王にあっさり迎撃され、中破。
因縁のあるラミアもギリアムもこの戦闘に貢献しなかったため、ファンを唖然とさせた
(ラミアは他に因縁のある人物と対峙していたから仕方ないが、ギリアムに至っては愛機のメイン武器をぶっ壊されるという扱いである。
 ……この辺りに特機(スーパーロボット)とPT(リアルロボット)の大きな壁が感じられる)。
なんとか撤退した所で追ってきたギリアムのゲシュペンスト・タイプRVを捕らえ、再び次元転移で逃亡・再起を図ろうとするも、
ギリアムの捨て身の行動により、「システムXN」が搭載されている頭や上半身以外は、
パイロット(ギリアムを止めようとコックピットの外に出ていた)諸共何処かへ強制転移させられてしまった。
その後、上半身は左腕が原型機であるソウルゲインの左腕(直前の戦闘で破壊されていた)として再利用され、
頭部はラスボスを追うために転移装置として使われた(地球に迫るバケモノの目の前に、突如虚空から出現する生首という構図は中々シュールである)、
決戦後はシステムXNを悪用されないよう、ギリアムの手によって完全に破壊されている。

+ 操縦者について
「私は楽しくて仕方がない。……この感覚……闘争だよ」
「そして、そこから生み出される混沌こそが我々の望むものだ」

パイロットは連邦軍特殊部隊「シャドウミラー」指揮官、ヴィンデル・マウザー(声: 梅津秀行 )。
平和で腐敗していく軍を見兼ね、「常に闘争が支配する世界」を作り出そうと画策する『A』本編の黒幕。
「シャドウミラー」の主戦力からして、技術系等が未出のものや、量産予定のものが量産済みとしか思えない数が配備されていたり、
名乗りを上げた際には、「連邦内に無いはずの連邦内部隊を名乗る」など、謎の多い人物。
部下の信頼は篤く、カリスマ性と戦闘力を兼ね備えた男である。

+ 部下の信頼は篤く、カリスマ性と戦闘力を兼ね備えた男…?(以下ネタバレ)
…が、ファンからはその作中でのヘッポコぶりからネタ扱いされる事が多い。
ファン間での愛称は容姿から「緑のワカメ」、またはツヴァイザーゲインが攻撃時よく分身する事から「増えるワカメ」
部下「赤いワカメ」呼ばわりされる原因の一旦は間違いなく彼にある。

その正体は、「こちら側の世界」に転移してきた平行世界出身の人間。
次元転移装置を使ってあらゆる世界に火種をばら撒き、闘争をコントロールしようと目論んでいた。
しかし、その元の世界で成功したかというとそうではなく失敗して逃げ延びてきたという、
開幕前から既に負けていたという驚きの出自であった。
『A』の向こう側の世界ではゲシュペンストの発展系として「究極の機動兵器」が開発され、
『OG』の向こう側の世界では地球連邦軍特殊鎮圧部隊「ベーオウルブス」のゲシュペンストMk-IIIが異様な力を獲得していた、
というのが大きな敗因になったようである。

転移後もその思想を実現するべく世界の裏側で暗躍するのだが…
???「私はクワトロだが、シャアという男の所に胡散臭い奴が来たと聞いている」
???「あのような怪しげな者達と組むとジオンの栄光に傷が付きます!」
???「どこの馬の骨とも知れない者どもなぞにデビルガンダムを渡せるものか!」
???「エレガントさに欠ける。出直したまえ」

上記はあくまで一部だが、まぁ、散々な言われようである。結局、『A』で手を結んだ他の組織とは利用し、されるだけの関係に留まった。
『OG』シリーズでも結果は似たり寄ったりであり、結局両作品を通しても、
その思想に理解を示して協力関係を築けたのはイーグレット・フェフとリー・リンジュンの二人だけで、
その内のリーは「プレイヤー部隊への当て付け」という側面もあるので実質一人だけである。

確かにその思想の根底には「人類の衰退と腐敗を防ぎたい」と言う理想があり、
「世界から切り捨てられ、生きる場所を奪われた兵士の為に立ち上がった」という止むにやまれぬ事情もあった。
しかし、その言動の裏側からは「単に闘争の感覚を楽しんでいるだけ」という真の意図が見え隠れしており、
彼自身どの程度自らの理想を信じていたかには疑問符が付く。
仲間内から「我々じゃなくてあなたが望むものでしょ」と皮肉られる事もあり、ある種の自己陶酔と取れる面もある。
それは彼が救う筈だった「生きる場所を失った兵士」、「闘争の中で進歩を勝ち取った者達」に、その思想が否定されている事からも見て取れる。
そして、当初は彼を信奉していた腹心の部下ないし忠実な道具であった主人公も、結局は彼の元から離れて行く。

ただ、『OG』シリーズでは事情がやや異なり、
アニメ版の描写と設定を考えると、シャドウミラーの居た世界はアインストによって危機的状況に陥っていた可能性が極めて高く、
シャドウミラーはそれに立ち向かう組織としてある程度の正当性があった疑惑がにわかに浮上した。
実際、ベーオウルフが味方を殺害するなどの無茶苦茶な行為を黙認されていた背景を考えると、
政府中枢部もアインストに乗っ取られていた事すら十分に有り得る。というかそうじゃないとあんな欠陥機を正式採用した政府の正気度がピンチ
とはいえ、やはり自分達の世界でだけならともかく、他世界にまで戦乱を広げようとした行為は認められるものではないだろう。
逃げ出さずに踏み止まって戦っていれば、紛れも無く主人公側組織のポジションだっただけに、残念でならない。
そもそもアクセルとヴィンデルとレモンの三人がかりなら楽勝で勝てたんじゃねえの?は禁句

上記の通り『A』では明確な同盟勢力が無かったため、最終決戦での取り巻きも選択しなかった主人公機とやや型落ち感漂うゲシュペンスト
後は他勢力から鹵獲してきた機体。

「台所事情がきびしいのよ、うちの隊はね」

との言葉を同志のレモン・ブロウニングが漏らしている
(何とかスポンサーを見付ける事ができた『OG』シリーズでは、「向こう側」から持ち込んだ高級機と、
 量産型アンドロイド兵士の量産に成功したため、「貧乏臭い」という汚名は一応返上している)。
そして実際にツヴァイに乗って出てきた彼の実力は上記の通りである。
必殺技で無数の分身を生み出そうと誰一人手伝ってくれないなどの姿は、彼の孤独を象徴しているようで涙を誘うという声もちらほら。

このような機体の一部へっぽこな所と主義主張や言動にそこはかとなく漂う情けなさから、
ヴィンデルはスパロボどころかゲームの悪の親玉の中でも有数のヘタレとして、ある意味愛されている。

アニメ『ジ・インスペクター』ではサラサラストレートヘアーになっており、視聴者に衝撃をもたらした。
やはり緑と赤のワカメが二人並ぶのは視覚的に問題があったか…。

物語上の扱いについては前記の通りだが、最終話ではアクセルが主を失ったツヴァイの右腕をソウルゲインに取り付ける際に、
「借りるぞ、ヴィンデル」と発言し、ベーオウルフとの決戦では、アクセルがたとえ自分達の目指したものが否定されても、
ベーオウルフの望む世界にはさせない事を既に死んでいるヴィンデルとレモンに誓うなど、中々良い扱いであった。
でも、死んでから扱いがよくなるって…

シャドウミラーの主要人物はナイフの名称やメーカーから採られており、彼のマウザーも銃器のマウザー(モーゼル)社ではなく、
マルチツールナイフで有名なビクトリノクス社がモーゼル社とのコラボモデルとして製造したモーゼルナイフが由来と思われる。
これは元々軍用に制式採用されていたツールナイフ「トルーパー」に、更にメインブレードの予備を追加したモデルで、
二つの刃を併用する事で長期間使い続けられる仕様なのだが、その分本体に厚みが出てしまい若干使い辛くなってしまっている。
原型モデルのトルーパーは、元軍用品だけあって軽い野外活動にはこれ一本あると便利との声もある逸品なのだが…。
ソウルゲインとヴァイサーガの要素を併せ持った結果、やたらごてごてした機体に成り果てたツヴァイザーゲインを愛機とする彼には、
ある意味相応しい名前かも知れない。


MUGENにおけるツヴァイザーゲイン

無虚氏による『OGs』のスプライトを使用したものが存在する。
氏のサイトは2019年のYahoo!ジオシティーズ終了に伴い消滅してしまったが、OneDrive自体は健在なので現在も入手可能。
原作の技は大体搭載されており、ソウルゲインの「青龍鱗」や「玄武剛弾」も使用可能。
2ゲージ技の「闇刃閃」、3ゲージ技の「麒麟・極」などは、初段をヒットさせると敵をロックする仕様となっている。
もちろん分身をはじめとするゲームのアニメーションもしっかり再現。
また、麒麟・極の使用後は数秒間スーパーアーマーと攻撃力上昇も付加される。
11Pと12Pは特殊カラーとなっており、体力およびENゲージの自動回復などが備わる。
AIはデフォルトで搭載済み。


「このような結末…私は認めん!」

出場大会



最終更新:2023年12月30日 05:37
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