ヴァイサーガ


「これぞ、奥義・光刃閃…!」

バンプレストの『スーパーロボット大戦』シリーズに登場する、ゲームオリジナルのロボット。形式番号VR-02。
初出は『スーパーロボット大戦A(以下A)』。同作の5機の主人公機の一機である。
パイロットは同作の主人公アクセル・アルマー、もしくはラミア・ラヴレス。

拳と肘(とエネルギー的な物)のみで戦うソウルゲインとは正反対に、手持ちの武器を使い技で戦う特機。
武器は、手投げ用の燃えあがる苦無「烈火刃」、腕部に装備されている鉤爪「水流爪牙」、
そして、本機の主武装であるロボット用の長剣「五大剣」を使った技「風刃閃」や「奥義・光刃閃」等を用いて戦う。
また背中に纏っているマントは、敵攻撃を防ぐ事も出来るくらい頑丈で、シールドとして使う事が出来る。
他の特機に比べ、装甲は若干薄いが、それを補えるほどの加速・運動性能を持ち、分身による回避も可能となっている。

操縦形式はソウルゲインとは違い普通のコックピット式だが、システムに「ダイレクト・フィードバック・システム」は搭載されており、
機体の追従性はソウルゲインに劣るが、最大加速は遙かに上回る。

また、『スパロボ64』に登場する「ヴァイローズ」と設定や見た目が似通っているため、
何か関連性があるのではないかと言われているが、現在の所は不明である。
ちなみにヴァイローズは足技主体の格闘戦機体であり、性能的にはあまり似ていない。

+ 原作での性能
スーパー系リアル系の差がはっきりとしていた(一部を除く)『A』当時の例えで言うならば、
「リアル系の性能を持つスーパー系」と言った所だろうか。
他のスーパー系に比べると装甲が薄い分、回避性能が分身も合わせ並ではないため、
リアル系な運用([敵の攻撃を回避→反撃]×n)も可能な性能となっている。
だが、一発としての性能はソウルゲインに劣り、射程は同じ分身持ちのアンジュルグに劣っており、
さらに、他二機と比べ「専用機ではない機体」という現実があるため、一つ劣っている感がどうも拭えない機体でもあった。
とはいえ、『A』はシールドがHP制で改造も可能なため、装甲が薄いという弱点は十分に補え、一騎当千する事は出来る性能である。
ちなみに敵として出てくる場合もあるが、分身やシールドが相当ウザいため、気力が溜まる前に倒すのが最善である。

PSP版の『A PORTABLE』では、「水流爪牙」が無消費・P属性・射程1~3な上にバリア貫通属性を持つため、
ディストーションフィールド持ちの系の敵をばっさばっさと斬り倒せる。
最強武器の「奥義・光刃閃」も射程1~2なので、スーパーロボット系ユニットの援護役としても活躍する。

『スーパーロボット大戦OG2』では、他の主人公機体はどんどん情報公開され、
ヴァイサーガの影は発売された後でもしばらく見られなかったため、「まさか一機だけハブられたか?」とも思われたが、
実際は2周目以降限定の複雑なフラグ*1を立てて手に入る入手難易度が高めの隠し機体として登場
(一部の攻略本にはその存在すら載ってなかったりしていた)。
入手難易度が高めというだけあって、「どの射程でも無双可能な超性能機体」と化していた。
普通に量産されていたり、敵複数人が乗っていた主人公機体がある中、オンリーワンとしての登場だったため待遇は良かったと言えるだろう。
しかし、ここでヴァイサーガと二択で手に入るアシュセイヴァーが存在し、こっちは誰でも乗れる上、
『OGs』ではこの機体の入手でしか手に入らない換装武器がかなり使えるので、
元々ラミアに専用機がある事もあって、ヴァイサーガではなくアシュセイヴァーを選ぶプレイヤーも多い
(ただし、『A』で猛威を振るっていた「ソードブレイカー」はP属性で無くなってしまったが)。
また、ラミアはエースボーナス(撃墜数が一定数を超えた時の特殊能力)が射撃ダメージアップなので、
格闘攻撃の強いこの機体とは相性が少しだけ悪かったりする。
ただし、アンジュルグは地形適応A止まりなので、Sアダプターなどを使わなければ、
エースボーナスを含めても地形適応Sの塊であるヴァイサーガの方が上だったりするのだが
(『第2次OG』ではラミアの能力・エースボーナスが修正され、ヴァイサーガもスペックダウンしたので好みの問題に収まっている)。
なお、必殺技である「奥義・光刃閃」の演出が「すれ違いざまに一閃」から「無数の斬撃を加える乱舞技」へと変化しており、
プレイヤーからはかなり好みが分かれている。
ちなみに、『スパロボ』で2周目以降限定の隠し要素はこの『OG2』版ヴァイサーガが初である
(アシュセイヴァーは1周目からでも入手可)。

リメイクである『スーパーロボット大戦OGs』でも隠し機体として登場するが、入手難易度は若干低下。
性能的には上記と大差無い一騎当千機体であるが、アンジュルグとの差別化のためか空を飛べなくなった。
続編の『OG外伝』では、参戦が遅かったり自軍にチート機体が大量にいたため影は薄くなった。
Sアダプターの少なさもあり、後半に復帰するラミアを使うならこっちの方が良い。
『第2次OG』でも引き続き登場。『OGs』や『OG外伝』に比べるとスペックダウンしたが、アクセルも搭乗可能になった。
愛機ソウルゲインが手元にない状況で替わりに搭乗。
『OG外伝』では乗り換え出来なかったアクセルが、遂に『A』の主人公機全てに乗れるようになった瞬間である。
ラーズアングリフはレイヴン化してしまって戻せないけどな!
しかし今作のソウルゲインは単体最強クラス、アンジュルグも総合性能が高くやや影が薄い。
「フルブロック」(機体・パイロットの能力ダウンを防ぐ特殊能力)があるので一部の敵にはかなり有効に働いてくれるのだが。

『ムーン・デュエラーズ』でも引き続き登場。
今回もフルブロック持ちであるなど高い性能を持つ他、新たに参戦したハーケン・ブロウニングがヴァイサーガ含むシャドウミラー製ロボに搭乗出来るため、
彼の乗機であるゲシュペンスト・ハーケンを他のパイロットに回し、彼をヴァイサーガに乗せる事で死蔵せずに有効活用出来るようにもなった。

+ アニメでの扱い
やはり他の機体と違い情報が全く出ておらず、さらにアニメ化における尺縮小も考えられたため、
「やはりカットされるか」等と嘆かれていたが、
きっちりゲーム上のフラグをアニメで満たし後期機体として登場、OPも登場と共に差し替えられるなど高待遇であった。*1
尺の関係か基本的に五大剣でしか戦ってないが、最後にはきっちり奥義・光刃閃をアニメで披露する事も出来た。
なお、ラミア機という事もあってか、どことなく女性的なデザインになっている。

…そのせいで本来の専用機であるアンジュルグは大した活躍をしていないが。2号機のノワールにエキドナが乗り込んだけど

+ 操縦者について
ソウルゲインの項目で男主人公であるアクセルが紹介されているため、
ここでは『OG2』での専用パイロットであるラミア・ラヴレスの情報を記述する。


「行きますですの…ゴホン、行くぞ…!」

謎の機動兵器に乗り、連邦軍独立部隊「ロンド・ベル隊」に接触してきた女性。
CVはシグナムゼニア・ヴァロフ等を演じている 清水香里 女史。
戦う理由は共に機体を開発した父の敵を討つため、と言っているが、その身体・操縦能力は一般人の能力を逸脱しており、
「空間転移」等の誰も知らない言葉を知っていたりする謎の女性である。
敬語を使うと語尾がおかしくなるという独特な喋り方をしている。
また、どんな台詞、喋り方であっても基本的に真顔のままなため、非常にシュールな絵面になりやがったりしちゃいますです。

「タップ、ライト…がんばって」
「似合わねえぞ」
「もうちょい、かわいらしさがほしいけど…ま、我慢しますか」
「(どんな気持ちで言っていいのか、わからん)」
男主人公との格差を感じる

余談だが、スタイル抜群が多いスパロボオリジナルの中でもトップクラスの戦闘力の持ち主である。
ただし、本人的には「こんなもの重いだけ」と思っているらしい。
また、容姿が飛び抜けて優れている事も度々言及されている。

+ その正体とネタバレ
並行世界よりやって来た連邦軍特殊部隊「シャドウミラー」が所持する戦闘用人造人間「Wナンバーズ」の最新型。
正式名は「W17(ダブリュー・ワン・セブン)」。
戦争用のために生まれた戦うための道具であり、元の世界の強敵ロンド・ベル隊にスパイとして送り込まれた先兵である。
本来の任務はロンド・ベル隊の情報収集。時が来れば旗艦を制圧し、ロンド・ベル隊のスーパーロボット達を奪取する筈だった。
しかし、言語機能の故障等のイレギュラーや、お人好しだらけのロンド・ベル隊との交流などで自我が生まれ、
最終的にはシャドウミラーを裏切りロンド・ベル隊の一員として戦い抜く。
操縦能力はWシリーズでも最強であり、戦闘隊長であるアクセル・アルマーとは模擬戦で互角であるため、唯一戦闘能力は認められている。
敬語の語尾がおかしかったのは転移の影響で言語機能が故障したためであり、一回シャドウミラーに戻った際には元通りに直った。
最後は造物主自身の主同志を全て討ち、残ったシャドウミラーとして自爆しようとしたが、
「闘争が支配していないお人好しだらけの世界」で、もう少し生きてみようと自身で決心する。

『OG』ではさらに考えが人間らしくなり、造物主であるレモン・ブロウニングに「恋すら理解出来るかも」などと評価された。
その後『OG外伝』等で色々な事があったが、最終的に教導隊の一員として収まっている。
なお、『OGs』でも言語機能は一応修理されているものの、故障は直らなかった。
というか一旦直ったと思わせた後でさらに酷くなった

これは ひどいというか遊んでませんかレモン様。
まぁ、レモンとしては「自我を持つ人造人間」の創造が目的であったため、戦闘人形である「W17」ではなく、
「ラミア・ラヴレス」という”個性を持った個人”の方が良かったのだろうが。
言語機能の修理が不十分なのも「完全に修理すると自我に影響が出る可能性がある」という設定が追加されているためであり、
別に適当に修理をしたなどというわけではない。多分。
『A』では完全に修理したけど特に影響無かったがな!

なお、これは「W-●7」系のみに共通する欠陥のようで、他のWシリーズは異常を起こしていない。
彼女の試作機にあたる「W-07」(アシェン・ブレイデル。『無限のフロンティア』に登場)も同様の言語障害を起こしているが、
こちらはこちらで「自分の個性」として受け入れているようだ。
…というか、『第2次OG』ではラミアがアシェンのDTDモードの口調になった際に「プロトコード」などという言葉が出てきているので、
実は欠陥ですらない可能性も……

因みに人造人間ではあるが、ダメージを受けて医務室などで治療を受けてもバレない、食事を摂るなど、かなり高度な偽装工作がされている模様。
バイオドロイドなのかもしれないが、OVAでは生身で宇宙空間に投げ出されても平気だった上、傷跡などに機械部品のような個所も見られる
(ただし、ドラマCDでこの辺りのフォローをする設定が書かれている)。
食事については、『A』ではミスマル・ユリカの手料理、『OG』シリーズではクスハ汁を飲むシーンが見られるが、
前者は身体機能に支障(つーか故障)が出た。後者もやっぱり支障が出た……と見せかけて、その後身体機能が向上した
ラミアは「スパイとバレて毒を盛られたのか」と疑っていたが、上記二つは特に毒などは入っていない、純粋にただひたすらマズイ料理である。
戦闘用人造人間を行動不能にする(クスハに至ってはさらに調子をよくしてしまう)レベルの料理を作るって……。
何なんだアンタら

ちなみに『A』では、アクセルと精神コマンドは同じで格闘・射撃の能力値が若干違う程度であったが
(ただし特殊技能はアクセルが「ニュータイプ」、ラミアが「強化人間」となっている)、
『A PORTABLE』では精神コマンドにも違いが出ており、アクセルが「必中」「不屈」を使えるのに対し、ラミアは「集中」「ひらめき」となっている。
ただし、『A PORTABLE』では終盤は敵の回避率がかなり高く設定されており(敵パイロットの「底力」「強化人間」等の補正がかなり入るため)、
「必中」が使えないラミアはアクセルよりもやや苦しい戦いを強いられる事になる。

+ もう一つの選択肢での彼女
アクセル・アルマーを主人公とした場合、彼女は敵ライバルとして、そして、
「アクセルがそうなっていたかもしれない、ただ、命令を遂行するだけの人形」として彼の前に立ちはだかる……

……のだが、ぶっちゃけてしまうと影が薄い
というのも、アクセルが主役になった場合、シャドウミラー側で主に絡むのは同僚であり恋人でもあったレモン・ブロウニングなので、
「只の女性キャラ」でしかない彼女の影は必然的に薄くならざるを得ないのだ。
そしてその最期も、やはり自分というものを確立する事の出来ない「ただの人形」として散っていくというものであった。

『OG』シリーズで彼女が主人公に選ばれたのは、寺田氏は「夢のアクセルvsキョウスケが見たかった」と述べていたが、間違いなくおっぱいの差
「敵としてのアクセルと比較して、敵としてのラミアは魅力に乏しい」事が理由だろう。
……「その結果がアレか」って?『OGs』で大分修正したんだからもう許してやれよ

なお、『OGs』においては「敵としてのラミア」のキャラクターは同系機である「W-16」エキドナ・イーサッキがその大部分を引き継いでいる。
……が、こっちはこっちで死に際に個性が生まれているため、敵対時のラミアよりよっぽどマシな扱いである。
『OGs』に至ってはアクセルも「仲間」と認めてくれるし。

シャドウミラーの人物はナイフメーカーの名前で統一されており、彼女のラヴレスという苗字もファッション関連ではなく、
ラブレスナイフに由来する。
作者のR・W・ラブレスはモダンカスタムナイフの創始者であり、高品質の鋼材から直接ナイフの原型を削り出し焼き入れするだけという、
鍛造の工程を省いた簡略なストック&リムーバル製法を確立、カスタムナイフの裾野を広げた功績から「ナイフの神様」と尊敬された人物である。
鋼材自体の質が最初から良ければ、不純物を取り除く鍛造の工程が必要ないのは確かに道理。所謂「コロンブスの卵」というやつであろう
工業的に生産されながら、数奇な運命により命ある鋭い刃として完成したラミアに相応しい名と言えるかも知れない。

ちなみにエキドナの方のイーサッキ・ヤルベンパー社は、北欧のラップランドナイフの伝統を厳格に守り続ける最古のメーカーと呼ばれる。

+ ちょっとした余談
前期搭乗機体が弓使いでもう一つの機体が剣使い、性格的にも「生真面目な軍人気質」で、
おまけに中の人が清水香里という事で、某ベルカの騎士を思い出す人はかなり多い。
実際、清水氏もたまに混乱する事があるとかないとか。

なお、時系列的には、
  • 01年09月:SRWA発売(ボイス無)
  • 05年05月:OGのOVA第1巻発売(初めて声が付く)
  • 05年10月:リリカルなのはA's放送開始
となっており、キャスティングに関してはわずかな差でこちらの方が先ではある。
もっとも、気にせず両方楽しむのがファンの嗜みである事は言うまでも無い。
コメントする時はくれぐれも節度を忘れずに。


MUGENにおけるヴァイサーガ

R-2などの『スパロボ』キャラを多数手掛けるZ.A.I.氏による、『OGs』のスプライトを使用したものが公開されている。
パイロットはラミア・ラヴレスで、ボイスやカットインに彼女のものが使われている。
武器は原作で使用した物が搭載されているのに加え、『A』でのモーションとGBA版『OG2』でのモーション、
そして『OGs』でのモーションを再現したものがそれぞれ別の技として搭載されている。
まず、「水流爪牙」は地上で放つと『OG2』の動き、空中からだと『A』での動きになり、1ゲージ消費版では『OGs』での回転するような動きとなる。
「風刃閃」と「光刃閃」はどちらも『OG2』風の方が消費ゲージが少なく、『A』風の方は発生が遅い分ガード不能の一撃を浴びせる技となっている。
もちろん光刃閃の方が上位の技のため、ゲージ消費と威力が風刃閃よりも高く設定されている。
原作通り運動性はやや高めで上記の剣技が強力な他、飛び道具として「烈火刃」と「地斬疾空刀」も搭載されているため、
技のバランスも良い。また、更新されてカットインが入るようになった。原作通りよく揺れる。

外部AIはリュウセイ氏のものが本体同梱で公開されており、このAIを搭載すると12Pカラーが追加される。
常時低ダメージ・攻撃判定拡大・スーパーアーマー追加等という強化カラーとなっているので、使用する際は注意しよう。
※公開場所のURLは古いものなので注意

2014年12月26日の更新よりデフォルトAIが搭載され、新技や投げが追加された。
「五大剣」は切り上げのみの技だが、ジャンプでキャンセルが可能なため空中で追い討ちが可能。
空中で出す事もでき、こちらはモーションが変化する。
「見切り」は当て身技。成功すると一閃して反対側に抜けるので画面端からの脱出にも使える。
「分身」は1ゲージ消費のガードキャンセル技。成功すると相手の後ろに瞬間移動する。
「地斬疾空刀」は『OG INFINITE BATTLE』風の空中版が追加。
少し斜めに行った後に空中を滑っていくものと、地面に着地後に滑っていくものの二種類があるため牽制に使える。
また、各種ゲージ技が空中で出せるようになった。
特殊ダッシュも追加され、相手の後ろに瞬間移動する事が出来る。こちらも空中で仕様可能。
これらの更新により、制空権および相手の背後を取りやすくなった。

出場大会



*1
入手フラグと言うのは簡単にまとめると、
  1. エキドナから戦闘中に機密通信装置を入手する。
  2. 特定のステージでアクセルと戦闘(ここの戦闘回数によってヴァイサーガかアシュセイヴァーかが決まる)
  3. ラミアを育てる
であり、アニメでもしっかり再現されたため、『OG』ファンならニヤリとする展開であった。
なお、ゲームでも1と2のフラグが成立したかは入手ステージまで分からない(フラグを立ててもその場では何も起こらない)。
更に作中では、ほぼノーヒントであるため、非常に厄介。


最終更新:2023年10月24日 12:18
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