アイアント

           
 分類:てつアリポケモン
 タイプ:むし/はがね
 高さ:0.3m
 重さ:33.0kg
 特性:むしのしらせ(HPが減ると、むしタイプのわざが強くなる)
    はりきり(攻撃が1.5倍になるが、命中率が0.8倍に低下する(バトル)
         レベルの高い野生のポケモンと出会いやすくなる(フィールド))
 隠れ特性:なまけ(1ターンおきにしか行動しない)

ブラック
はがねの よろいを みにまとう。てんてきの クイタランの こうげきを しゅうだんで ふせぎ はんげきする。

ホワイト
やまを ほって すあなを つくる。ふくざつに いりくんだ トンネルは アイアントが つくった めいろだ。

任天堂の育成RPG『ポケットモンスター』に登場するポケモンの一匹。初出は第5世代(『ブラック・ホワイト』)。
見ての通りアリ型のポケモンで、鋼の鎧を身に纏っており、足と目を除く全身が銀色である。
群れで生活して、天敵であるクイタラン(アリクイのポケモン)に対して集団戦法で対抗している。
ちなみに、初期のシリーズから「最小サイズのアリのポケモン」という構想が開発スタッフにはあったようだが、
最小はバチュル(0.1m)に譲り、アイアントは敢えてアリらしいフォルムを重視してデザインされた。
ドラゴンクエスト2』では「アイアンアント」というモンスターが出てくるが、あちらが序盤での敵なのに対して、こちらは終盤で登場する。
ちなみに海外名は「Durant」。デュランである。
恐らく丈夫(durable)と蟻(ant)を足して「丈夫なアリ」くらいの意味でつけたネーミングと思われる。
『BW1』と『BW2』では出現場所が異なり、それぞれチャンピオンロード、ネジ山が主な出現地となっている。


原作中の性能

HP:58
攻撃:109
防御:112
特攻:48
特防:48
素早さ:109

ハッサムなどと同様むし・はがねタイプで、弱点は4倍のほのおタイプのみ。
物理攻撃に特化した種族値を持ち、同期のシュバルゴと違って素早さも高く、はがねタイプの中では最速を誇る。
ただ特殊技に対してはかなり弱く、HPも然程高くないので半減しない限りまず耐えられない。相手を見極めて使う必要があるだろう。

「アイアンヘッド」「シザークロス」等のタイプ一致技の威力はそれほど高くはないが、
特性が「はりきり」ならば攻撃が1.5倍になり、数値以上の火力を発揮出来る。
ただ副作用で命中が0.8倍に落ちてしまうため安定はしない。
補助技では「つめとぎ」「でんじは」「バトンタッチ」あたりが使える。
特に攻撃力と命中率を上げる「つめとぎ」は、「はりきり」を持つアイアントにとっては生命線となる。
サブウェポンは、このタイプとしては珍しく覚える「ストーンエッジ」が非常に重要。
アイアント自身は炎に弱いが、アイアントより速いほのおタイプは2匹しか存在しない(ファイアローの126とメガヘルガーの115)ため、
「つめとぎ」を重ねておけば、大抵のほのおタイプは返り討ちに出来る。ただしそれでも命中率が低く安定しない点には要注意。
「ストーンエッジ」は特性が「はりきり」だと「つめとぎ」を1回しても命中が85%ほどしかないため、
また攻撃力の高さと特性のおかげで「ストーンエッジ」より威力が劣る「いわなだれ」でもそこらのポケモンの「ストーンエッジ」以上の威力を叩きだせるために、
安定性重視で「つめとぎ」後の命中が97%ほどになる「いわなだれ」を覚えさせる事もある。
自前の技だけであっても「あなをほる」という手段を用いれば、飛行していないほのおタイプには対抗出来る。
他には必中の「つばめがえし」と相性が良い。命中の増減に左右されない一撃技「ハサミギロチン」も搭載。

「むしのしらせ」でも技の威力を1.5倍に強化出来るが、虫タイプの技限定のうえに「はりきり」+「つめとぎ」の相性の良さからあまり選ばれない傾向にある。
命中が安定するため、「でんじは」で相手を麻痺させて、一定確率で相手を怯ませる「アイアンヘッド」で攻めるのも良い。

野生の時点でアイアンヘッド、むしくい、メタルクロー、かみくだくを習得しており、
少し育てればタイプ一致高威力のシザークロスを習得でき、四天王など終盤で戦うトレーナー達のポケモンに効果抜群を取れる技を技マシンで習得出来るため、
一周目では即戦力として役立つ。が、「はりきり」持ちの個体だと肝心な時に攻撃を外し、反撃で落とされることも。

また、『BW2』で隠れ特性の「なまけ」が解禁された現在はこのような戦法も。

+ 働きアリの法則
こいつの隠れ特性は上記の通り、「なまけ」である。
これは、ケッキングなどが持つ、攻撃を1ターンおきにしか出せないマイナスの特性である。
しかし、「もちもの:だっしゅつボタン」「なかまづくり」「バトンタッチ」を組み合わせることで、
先制して相手になまけを感染させといて自分は脱出で即交代、という非常に変則的な型も考案されている。

実は、このような特性を保持するのにはちゃんとした理由がある。
所謂「働きアリの法則」(「2-8の法則」や「パレートの法則」とも呼ばれる)によるもので、
100匹の働きアリを観察してみると、実際に働いているのはおよそ20匹で、残りは全く働いていないことが分かる。
その働かないアリを取り除いても、残りの内の16匹がまた働かなくなる、というもの。
こうした部分を忠実に再現するあたり、スタッフのこだわりを感じられる。

最近の研究ではこの「なまけアリ」は働いていないのではなく、
エサから巣穴への最短ルートを確保するために存在しているらしいことが明らかになってきた。
通常、エサを発見したアリはフェロモンを分泌しながら巣穴に戻り、仲間に知らせる。
仲間のアリはフェロモンを正確にトレースしながらエサまで辿り着き、巣穴まで運ぼうとする。
しかし「なまけアリ」達はフェロモンをトレースする能力が低く、フェロモンを捉えられずに道筋を外してしまう。
ただ外しても歩き回っている内に道筋に戻ることは出来るため、いくつものルートがエサと巣穴の間に出来ることになる。
そうして道筋を外し、戻るという試行を重ねていくと、結果的にエサと巣穴の最短距離が判明し、
アリ達は最も効率の良いルートを選んでエサを運ぶことが可能になる。
わざわざ働きアリとなまけアリの比率を一定に保とうとするのも、システムの効率化のためだったというわけだ。
人間界でも、全体のシステムの効率化のために敢えて「ゆらぎ」の要素を入れることは大切とされている。

図鑑によると、炎タイプのアリクイポケモン、クイタランが天敵であるとされている。
確かに相性的にはクイタランの方が明らかに有利だが、あちらは耐久が低い上に鈍足なためにはりきりアイアントのストーンエッジで軽く一撃死させられる。
ただ、つめとぎ無しだとストーンエッジは命中率が低い博打技であり、そもそもわざマシン使用でしかストーンエッジは覚えない。
しかし「あなをほる」を自然習得するため結局逆転可能。
対人戦では明らかにアイアントの方が有利なため、一体どこが天敵なのか疑問に思えてくる。しかもこれが複数で襲いかかるのだからたまったものではない。
ちなみにクイタラン自体は、かつてはとくこうやこうげきはそれなりだが鈍足かつ低耐久とバランスが悪く、
おまけに技の数も乏しいという有様で不遇ポケモンの烙印を押されていたが
第7世代からは強力な専用技を得たことをはじめとして様々な強化が施され、不遇からは脱却している。

また、クイタランとアイアントの種族値合計は同値で、種族値の振り方と技の覚え方で戦闘力に差が出る分かりやすい構図である。
+ トレーナーならよく分かるアイアントvsクイタラン
  • アイアントの勝ち筋
    • ストーンエッジ!効果はバツグンだ!クイタランは倒れた!までテンプレ、はりきり補正が乗っていれば生半可なクイタランなぞこれで一撃必殺。
  • クイタランの勝ち筋
    • ストーンエッジを避けるか耐えれば勝ち、アイアントの特殊受け性能が低すぎるため威力30のやきつくすでも一撃必殺圏内。
実際に調べてみると判るがダメージレースがとても世紀末。
アイアントが先に行動する以上アイアント有利は揺るがない訳であるが
クイタラン側が攻撃を耐えるための耐久力調整、ヨロギの実による岩メタ、光の粉などのワンチャン狙いでその差は確実に縮まってしまう。
絶望的に見えるがワンチャンで勝てるのなら詰みに近い五分、運と相性で戦況が動く『ポケモン』の大味なバランスを分かりやすく体現していると言えよう。

ゲーム中では、チャンピオンロードにレベル40前後のものが棲息している。だが、この野生のものが相当な強敵なのだ。
素早くて攻撃力も高いので、半端な素早さの手持ちしかいないと逃げることも出来ずゴリゴリとHPを削られる。
倒そうとすると弱点の少なさと物理耐久の高さに邪魔をされて上手く倒せない上、
捕まえたい場合も、足止め状態異常技を持つくさやエスパータイプの捕獲要員の多くはコイツとは悉く相性が悪く、
素早さの高いエルフーン以外は役割を果たす前に倒されやすい。
攻撃相性が今一つだが、捕まえたいならこちらも格闘や鋼の耐久ポケモンを出した方が被害は少なく済むかもしれない。
しかもこいつ、やたら出現率が高い。そのため、サザンドラの進化元になるモノズの捕獲などを行う場合に厄介になる。
図鑑にはこいつが複雑に入り組んだ迷路を作るとあるため、この断崖絶壁のチャンピオンロード自体がこいつの巨大なアリ塚である可能性も考えられる。
ちなみに『BW2』ではクイタラン共々出現場所がネジ山に変わっている。

この他、サブウェイマスターのクダリもこいつを使う。
アイアンヘッドやシザークロスなどの攻撃技のみで固められ、ほのお対策にいわなだれも完備。

第6世代『X・Y』では、18番道路と終(つい)の洞窟に出現。
18番道路の群れバトルで出現した際にはクイタランと一緒に出てくることがあり、この状態だと敵側のアイアントとクイタランが互いに攻撃し合ったりする。
同じく天敵同士の設定のザングースとハブネークと違い、どのバージョンでもアイアント4匹・クイタラン1匹の編成で出現する。
クイタラン側が袋叩きされて先にやられることが殆どなのは言うまでもない
単体でも出現するため捕まえるならここがオススメだが、群れバトルには「なまけ」持ちが稀に出現することがある。
また、努力値が防御+2なので努力値稼ぎでもお世話になるだろう。
ちなみにこの世代からは、はがねタイプの耐性変更によりあく・ゴーストの技の耐性が減ったが、ハッサム同様弱点はほのおだけで変更が無い。

第7世代『サン・ムーン』『ウルトラサン・ウルトラムーン』では過去作から連れてこなければ入手できなかったが、
第8世代『ソード・シールド』では再び野生で出現するようになった。
こちらでは6番道路やワイルドエリアの巨人の鏡池及びげきりんの湖に出現。クイタランとは出現率が対になっている。
また、げきりんの湖には本作から登場したサダイジャという蛇のポケモンも棲息しているのだが
このサダイジャもまた、アイアントの卵を狙う天敵であり、その際にはアイアントは群れを組んで対抗しているらしい。
対戦においては、メガシンカやZワザの廃止及び一部ポケモンの実装が見送られたことにより、
アイアントに先手を取れるポケモンの数が大幅に減ったことの他、
何より特性「はりきり」のネックであった低命中率やHPの低さをダイマックスで補うことが可能。
本作ではこれら新要素の恩恵を受けたことにより、エース級アタッカーとしての地位を確立させている。
トップメタと称されるミミッキュに有利が取れる点でも高評価。

アニポケでは『新無印編』においてゴウの手持ちが登場。担当声優は 観世智顕 氏。


MUGENにおけるアイアント

Z.A.I氏のものが登場。『BW』のドットを使用したものになっている。
ドット自体は小さいが、当たり判定カンフーマンなどと同様で見た目より大きい
体力は700と低いが、DEFが150なのでむしろ標準的なキャラよりも硬く(実質LIFE1200ほど)、ATKも脅威の150を誇る。
攻撃では近距離攻撃のシザークロスと縦に判定が強いガード不能のストーンエッジ、
加えてめくりに役立つあなをほるや攻撃時にアーマーの付くアイアンヘッドの4種で、結構強力な技が揃っている。
シザークロス以外の技は攻撃前後に隙が多いが、
ゲージが1本溜まると必ず「つめとぎ」を行い(最大3回)、各技の威力が上がったり、攻撃時に無敵が付いたりなどの形で強化される。
特に3回使用した後の「ストーンエッジ」は発生が早いうえに敵の足元で発生、ガー不で6割程の威力というトンデモ技になる。

簡易AIがデフォルトで搭載されており、攻撃面ではその性能を大いに振るうが、
防御はあまりしないため、つめとぎを積まれる前に倒すのがベストであろう。
ちなみに、常時AI起動の状態にしてあるので、プレイヤー操作を行う場合はcmdファイル内の該当部分を消す必要がある。

出場大会

更新停止中


最終更新:2023年12月15日 17:33