ガヴァドン


『ウルトラマン』第15話「恐怖の宇宙線」に登場した怪獣。別名「二次元怪獣」。
劇中では外見が一度大きく変化しており、変化前と変化後を区別して「ガヴァドンA」「ガヴァドンB」と呼ばれる。
Aタイプは身長30m、体重2万t。Bタイプは身長60m、体重4万t。

元々はムシバ少年が土管に描いた怪獣の落書きに過ぎなかったが、
地球に降った未知の宇宙線が太陽光線と融合して落書きの絵に作用し、確固たる意志を持った一匹の怪獣へと変化してしまった。
当初出現したAタイプはのっぺりした外見だったが、夕方になると宇宙線のエネルギーが弱まって元の絵に戻るため、
子供達によってより怪獣らしい落書きに描き直され、俗に言うBタイプの外見となった。
A・B共に、特に行動なども起こさずに寝てばかりいたが、その鼾が酷い騒音公害を引き起こしてしまい、
しかも寝ている場所が東京の丸の内であった事から経済にも悪影響が出たため、
やむを得ず科学特捜隊と防衛軍によって武力排除される事になってしまう。
戦闘力は無いに等しいが、科特隊の攻撃で尻尾を千切られながらもピンピンしている等結構タフ。
とはいえウルトラマンとの戦闘ではほぼ一方的にボコボコにされたため、
子供達がウルトラマンに対して「やめてくれよー!」「帰れー!」等と非難するという事態に発展した。帰ってくれウルトラマン
最終的には子供達によるガヴァドンの助命懇願を受け入れたウルトラマンによって宇宙へと運ばれ、星になる。
ガヴァドンとのお別れを寂しがる子供達に対してウルトラマンは「毎年七夕の夜に会わせてあげよう」と約束するのであった。
が、子供の「七夕の夜に雨が降ったらどうなるんだろう?」という素朴な疑問はスルーした

なお、夜の間は絵に戻ってしまい完全に無防備である点が弱点であり、
作中でもイデ隊員が夜の間に落書きを消してしまう事を提案したのだが、
アラシ隊員達が「科学特捜隊が落書きを消しに行けるか」と何故か無駄なプライドを発揮してわざわざ正面対決を挑んでいる。
ZATなら絶対嬉々として落書き消しに励んだだろうに……。
と言うか、実際にウルトラマンタロウは落書き怪獣に水をかけて手で拭いて消してしまった事がある。
ただし、「宇宙線の影響で絵が実体化する」という現象は世界各地で起こっており、
別の国では絵画などが実体化して大混乱を招いていたらしく、「元となった絵を消す」以外の解決方法を模索する必要があったのも事実である。
ムラマツキャップも「つまらん事を考える暇は無い」と叱咤していた。

サブタイトルの「恐怖の宇宙線」に似つかわしくない、何処かほのぼのとした怪獣とストーリーであるが、
同話のラストシーンでは嬉々として落書きをしまくる子供達の姿を見た科特隊が「この落書き達が実体化したらどうしよう」と危惧するも、
子供達から絵を描く自由を奪うわけにもいかずに途方に暮れるという中々に笑えないオチがあるのであった。

楳図かずお氏の漫画版『ウルトラマン』でも基本的な流れはTV版と同じではあるが、
ムシバ少年が考えた「主食はダイヤモンド」という設定を継承して、街の宝石店を狙って暴れ回ったり、
最後はウルトラマンに普通に倒される等、TV版と比べてかなりアグレッシブな普通の怪獣になっている。
本編でもBタイプに描き直される際に子供達から「頼むから光線吐くんだぞ」などと言われていたが、特に反映はされなかったようだ。

Aタイプのガヴァドンはその比較的人畜無害な生態と、割と外見的に可愛い印象もあってか人気が高く、
FCのゲーム『ウルトラマン倶楽部2』などでもドラクエのスライム相当の最弱の怪獣として登場したり、
後年の円谷プロの商品展開においてもマスコット的な立場で登場する機会も多い。
Bタイプ?見かけんなぁ

ウルトラマン達が怪獣を料理したという設定のカプセルトイ「ウルトラクッキングスイング」では、マンによって餃子にされている。

ちなみにBタイプのデザインは、第12話に登場するドドンゴのNGデザインを流用・発展させたものらしい。
また、着ぐるみは後に登場するザンボラーに改造された。
ウルトラマンマックス』第24話「狙われない街」では俺の名を言ってみろという悪戯書きと共に、
ガヴァドンの落書きが描かれているシーンがある。
元ネタは言わずと知れた俺の名を言ってみろ!以外にも関連書籍で「ガドン」と表記が割れている事も背景にあると思われる
(2000年頃からほぼガヴァドンで統一)。
また、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場する、
百体怪獣ベリュドラの胴体部にガヴァドンA、首部分にガヴァドンBの姿が確認出来る。

2023年放映『ウルトラマンブレーザー』では57年ぶりに映像作品で登場を果たした。
製作発表会にて他の新規怪獣達と共にAタイプの新規スーツでの登場が発表されてファンから驚かれ、
更に『ブレーザー』が放映開始されるとそのハードSFかつシリアス寄りな作風から
「この作風でガヴァドンAがどう絡むんだ?」「ブレーザーに餃子にされそう」とファンをやきもきさせた。
同作では、
  • 絵が実体化した怪獣なので絵(に描いた食べ物)を食べる
  • 描いた絵の大きさに比例して実体化した後の大きさが変動する
  • 非常にもちもちしていて柔らかく、防衛隊やウルトラマンの攻撃もあまり効かない
  • 干した後のお布団の匂いがする
というアレンジがされている。
また、「公共物に落書き」という初代の内容が現代ではコンプライアンス的に難しいとあって、
スタッフはかなり苦労したらしい。
+ 『ウルトラマンブレーザー』第15話「朝と夜の間に」ネタバレ注意
ブレーザーの変身者兼対怪獣チームの隊長であるヒルマ・ゲントの息子ジュンが友人アラタに勧められるまま描いた絵から実体化した。
今作では大きさは描いた絵のサイズに比例するという性質を持ち、実体化当初は40cm程度とまだ小さかったが、
内野タカシ*1という男性に発見されてテレビで報道された事で実体化を知ったジュン達が、
今度はスケッチブックをつなぎ合わせて描いたせいで2m超となり、やがて大人達に発見されて騒動に発展する。
これが原因で大人達に捕まらないようにとアラタの妹のツムギも加わった3人が地面にさらなる大きな絵を描いた結果、
30m超で実体化して美多摩市中央通りに出現してインフラに多大な影響を与えたため、防衛隊に危険視されて攻撃に遭う事となるが、
ガヴァドンを狙って撃たれた誘導弾は通用しないばかりか跳ね返ってビル群を破壊。
その爆発でパニックに陥ったガヴァドンのせいで二次災害が起き、ガヴァドンを説得しようとしたジュン達も攻撃に巻き込まれかけてしまうが、
モニターでその様子を確認したゲントが慌ててブレーザーに変身して救出したため難を逃れる(とてもじゃないが余裕が無かったので今回は祈祷は無し)。
弾力性に長けた身体で悉くブレーザーの攻撃を無効化し、しかもパニックを起こして暴れているため人気の無い場所に誘導する事もできず、
一方で当のガヴァドンも攻撃したりしたり逃亡する手段が無いため、戦いは日が暮れるまで延々と膠着状態に陥ってしまう。
『マン』の時と同じくブレーザーに戦いをやめるよう訴えかけるジュン達だったが、
最終的に「自分達のせいでガヴァドンはこんな大きくなって(ガヴァドンも含めて)みんなに迷惑をかけてしまった」と自覚したジュンが謝罪し、
その訴えが届いたのかブレーザーへの抵抗を止める。
ブレーザーもガヴァドンを倒す事無く、初代と同じく空に運び輝く星座とする事で一件落着となった。

『ブレーザー』他多数のウルトラ作品の監督を務めた田口監督のお気入り怪獣らしく、
「既存の怪獣を新規スーツ化する」企画がある度にガヴァドンをリクエストしていたらしい。
今回それが漸く叶った事がよほど嬉しかったのか「(自分が監督を務める回を初出にするため)他の監督に使わせないで!」と予約をし、
前々からスケジュールの調整やプロット作成を行っていたらしい。

(以上、Wikipediaより一部抜粋・改変)

+ 外部出演
コンパチヒーローシリーズのRPG『ロストヒーローズ』シリーズではAタイプが最序盤のザコ敵として登場。

アプリゲーム『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』では当初はAタイプがジオラマ用として用意されたが、
「せっかくモデリング作ったのに置物だけなのは勿体ない」という運営の意向により、
公式のtwitterでアイデアを募集する「ガヴァドンプレイアブル化プロジェクト」が行われ、最終的にプレイアブルキャラとしてまさかの実装を果たした。
肝心の性能だが、運は全怪獣でトップクラス、防御力も高めで、その他の能力がぶっちぎりで最低ランクという極端に偏ったスペックを持つ。
火力面は乏しくダメージソースとしては全く期待出来ないが、固有スキル「みんなのみかた」は、
奇数ターンの自分フェイズ開始時、自分のSPが最大&攻撃または待機した時に、
自分のHPが0になるまでの間味方全体の必殺技攻撃力が小アップ&偶数ターンの間耐性無視で気絶

必殺技「いびき」は自分のHPが0になるまでの間、味方の攻撃力が小アップという効果を持ち、支援系としては優秀。眠りっぱなしな原作再現もばっちり


MUGENにおけるガヴァドン

          

怪獣キャラに定評のあるカーベィ氏による両タイプのガヴァドンが存在。
また、派生キャラ(?)としてガヴァドンZも同氏によって公開されている。

+ アイアンロックスなどの作者氏(カーベィ氏)製作 ガヴァドンA
  • アイアンロックスなどの作者氏(カーベィ氏)製作 ガヴァドンA
「アイアンロックスなどの作者」名義で製作されたガヴァドンA。
当初は無限ロダで、同所の閉鎖後は怪獣スレ2の824でアイアンロックスと一緒に公開されていた。
最新版はカーベィ氏のサイトで公開中。
当初は実写フィギュアの画像をベースとしたパチモン怪獣仕様のキャラクターとして公開されていたが、
2023年に画像の差し替えと共にモーション等が追加される更新が行われ、
それまで公開されていたバージョンは公開停止となっている。

『ウルトラマン』と『ウルトラマンブレーザー』をミックスしたような技構成をしており、
通常技の「頭突き」や「体当たり」はモーションの関係上攻撃範囲が狭いが、
一方で「いびき」のように距離を問わず攻撃できる技や「とびかかり」や「テレポート」のように大きく移動する技も搭載されている。
AIもデフォルトで搭載されている。

+ 旧版の説明
パチモン怪獣をベースにしているとの事で、技は「必死の抵抗」「鼾」「体当たり」の三種だけ。
しかもガヴァドン自体の動きが相当遅いという、紛う事無き原作再現仕様。

カサイ氏による外部AIが氏のOneDriveで公開されている。
ただし、搭載すると原作どこいったレベルの鬼のような強さになるので、そこら辺には注意。

また、2020年7月7日に七夕記念としてセルフリメイク版も公開された。
上記のパチモン仕様とは異なり、ジャンプやガード可能で投げ技も有効になっているなど、一般的なキャラの仕様となっている。
技も大幅に増えており、ほぼ別キャラと言っても良い。
その他には「鼾」の連続使用ができなくなった事や、体当たりで相手をハメる事ができなくなった点など弱体化されている部分もある。
あと移動の際の音声が耳に優しくなった点も
AIも搭載されており、前述のカサイ氏AIほどの強さはないが、キャラの高さが低い点や鼾の範囲が広い点からも中々の強さである。

+ カーベィ氏製作 ガヴァドンB
  • カーベィ氏製作 ガヴァドンB
スプライトは氏のガマクジラと同じくkMIKEj氏のものが使用されている。
氏曰く「ここ最近では一番技が思い浮かばなかった」との事で、
実際劇中ではほとんど寝ておりウルトラマンとの戦闘でも目立った攻撃はしていなかったが、
噛みつきや尻尾攻撃など外見のイメージに合った技がちゃんと搭載されている。
また範囲の広いいびき攻撃も搭載されており必殺技と超必殺技で使用する事ができる。
「狸寝入り」は所謂当身技であり、寝るモーション中に攻撃を受けると反撃できるというもの。
原作で寝てばかりいる事を逆手に取った技である。

ゲージ技の「帰ってくれウルトラマン」は一定時間自身の攻撃力を上げる技であり、
発動中は原作同様子供達の声援が鳴り響くのが特徴。
相手がウルトラヒーローの場合か自身が12Pカラーの場合は常にこの技が発動している状態となり、
対ウルトラマンの場合原作同様ブーイングを受ける姿を見る事ができる。
AIもデフォルトで搭載されている。

+ カーベィ氏製作 ガヴァドンZ
  • カーベィ氏製作 ガヴァドンZ
2023年のガヴァドンAの更新と同時に公開されたキャラ。
ガヴァドンAから人間の足が生えているという衝撃的な姿をしているが、
これは初代『ウルトラマン』放送当時に、とある町内会の運動会のアトラクに登場した着ぐるみ(というか仮装)が元ネタとなっている。
なのでゼットさんとは関係ないでございます
モーションも二足歩行の関係上機動力が上昇している他、一部技は足技に変更されているため攻撃範囲は元よりも広くなっている。
AIもデフォルトで搭載されている。

3種全てとプレイヤー操作で対決

出場大会

プレイヤー操作

R-9cで色々と戦う動画(part145、A・B・Z全て登場)


*1
演じたのはなんと57年前「恐怖の宇宙線」でムシバ少年の友人の1人であるタカシを演じた当人である内野惣次郎氏。


最終更新:2024年02月27日 22:01